• 検索結果がありません。

事業継続計画(BCP)策定ガイドライン

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2018

シェア "事業継続計画(BCP)策定ガイドライン"

Copied!
56
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

参考⑥

企業における情報セキュリティガバナンスの

あり方に関する研究会 報告書

参考資料

事業継続計画策定ガイ ド ラ イ ン

(2)
(3)

目 次

第 Ⅰ 章 基 本 的 考 え 方 . . . .1

1. 1. BCP(Business Continuity Plan)の必要性 1

1. 2. BCP が求められる背景 2

1. 3. BCP の特性 6

1. 4. 世界と日本の動向 9

第 Ⅱ 章 総 論 ( フ レ ー ム ワ ー ク ) . . . 10

2. 1. BCP 策定に当たっての考慮事項 10

2. 2. 組 織 体 制 に つ い て 11

2. 3. ビ ジ ネ ス イ ン パ ク ト 分 析 か らBCP 策定までの流れ 12

2. 4. BCP の導入と教育・訓練 15

2. 5. BCP の維持・管理 16

第 Ⅲ 章 BCP 策定に当たっての検討項目 . . . 17

3. 1. 検 討 項 目 の 全 体 像 と ポ イ ン ト 17

3. 2. BCP の実施体制 18

3. 3. BCP 発動フェーズにおける対応のポイント 19

3. 4. 業 務 再 開 フ ェ ー ズ に お け る 対 応 の ポ イ ン ト 22

3. 5. 業 務 回 復 フ ェ ー ズ に お け る 対 応 の ポ イ ン ト 24

3. 6. 全 面 復 旧 フ ェ ー ズ に お け る 対 応 の ポ イ ン ト 25

3. 7. リ ス ク コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 重 要 性 26

第 Ⅳ 章 個 別 計 画 ( ケ ー ス ス タ デ ィ ) . . . 28

4. 1. 大 規 模 な シ ス テ ム 障 害 へ の 対 応 28

4. 2. セ キ ュ リ テ ィ イ ン シ デ ン ト へ の 対 応 33

4. 3. 情 報 漏 え い 、 デ ー タ 改 ざ ん へ の 対 応 37

事 業 継 続 計 画 (BCP)策定ガイドライン参考資料集 . . . 41 参 考 1 各 フ ェ ー ズ に お け る 実 施 項 目

参 考 2 対 策 本 部 室 に 備 え る べ き 設 備 ・ 備 品 類 チ ェ ッ ク リ ス ト 参 考 3 フ ェ ー ズ 毎 の 対 策 本 部 の 役 割

参 考 4 フ ェ ー ズ 毎 の 各 チ ー ム の 役 割 参 考 5 シ ス テ ム 関 連BCP 一覧表の項目 参 考 6 代 替 手 段 の 検 討 項 目 事 例

参 考 7 総 括 の 項 目 ( シ ス テ ム 関 連 )

参 考 8 ベ ス ト プ ラ ク テ ィ ス :BCP 構築事例

(4)
(5)

A6 - 1 第 Ⅰ 章 基 本 的 考 え 方

1. 1. BCP(Business Continuity Plan)の必要性

( 1 ) 序 論

日 本 で は 、地 震 、火 災 ・ 爆 発 、大 規 模 な シ ス テ ム 障 害1な ど が 相 次 い で お り 、そ の 結 果 、基 幹 と な る 事 業 の 停 止 に 追 い こ ま れ る ケ ー ス が 見 ら れ る 。 こ の 場 合 、 財 物 へ の 直 接 の 被 害 や 、 基 幹 事 業 が 停 止 し て い る 間 の 利 益 を 損 な う ば か り で な く 、 取 引 先 や 顧 客 を 失 う 大 き な 原 因 と な り 、 ひ い て は 事 業 か ら の 撤 退 を 余 儀 な く さ れ る こ と に な り か ね な い 。

ま た 、 近 年 発 生 し て い る 基 幹 事 業 の 停 止 は 、 自 社 の 損 失 に と ど ま る こ と な く 、 取 引 先 や 顧 客 の 事 業 停 止 へ と 影 響 が 連 鎖 し て い る 。 思 わ ぬ と こ ろ か ら 企 業 存 続 の 危 機 に 立 た さ れ る ケ ー ス も 見 ら れ る 。 そ の た め す で に 、 取 引 先 や 顧 客 を は じ め と す る 利 害 関 係 者 ( ス テ ー ク ホ ル ダ ー ) は 、 自 社 の 基 幹 事 業 を 停 止 さ せ る リ ス ク や ボ ト ル ネ ッ ク2に 対 し て 、ど の よ う な 対 策 を 講 じ て い る の か の 説 明 を 求 め て い る 。

危 機 が 発 生 し た と き に 、 企 業 に 対 し て 問 わ れ る の は 、 そ の 企 業 が 危 機 に 直 面 し た 時 で あ っ た と し て も 事 業 を 遂 行 ( 継 続 ) す る と い う 社 会 的 使 命 を 果 た せ る か ど う か 、 で あ る 。 こ れ は 、 マ ニ ュ ア ル 化 と い う 次 元 で 解 決 で き る 問 題 で は な く 、 危 機 に 直 面 し た と き の 「 企 業 経 営 の あ り 方 」 そ の も の な の で あ る 。 企 業 は、自 身 の 被 害 の 局 限 化 と い う 観 点 に 留 ま ら ず 、 コ ン プ ラ イ ア ン ス の 確 保 や 社 会 的 責 任 と い う 観 点 か ら 対 策 を 講 じ な け れ ば な ら な い 。

企 業 経 営 者 は 、個 々 の 事 業 形 態・特 性 な ど を 考 え た 上 で 、企 業 存 続 の 生 命 線 で あ る「 事 業 継 続 」 を 死 守 す る た め の 行 動 計 画 で あ る「BCP(Business Continuity Plan)」及び、その運用、見直し ま で の マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム 全 体 で あ る 「BCM(Business Continuity Management)」 を 構 築 す る こ と が 望 ま れ る 。

( 2 )BCP・BCM の定義

現 時 点 で BCP・BCM には様々な定義が唱えられているが、英国規格協会(BSI)3が 策 定 し た PAS56「事業継続管理のための指針(Guide to Business Continuity Management)」 で は 以 下 の 様 に 記 述 さ れ て い る 。

BCP

潜 在 的 損 失 によるインパ クトの 認 識 を行 い実 行 可 能 な継 続 戦 略 の 策 定 と実 施 、事 故 発 生 時 の 事 業 継 続 を確 実 にする継 続 計 画 。事 故 発 生 時 に備 えて開 発 、編 成 、維 持 されている手 順 及 び情 報 を文 書 化 した事 業 継 続 の成 果 物 。 BCM

組 織 を脅 か す潜 在 的 なインパ クトを認 識 し、利 害 関 係 者 の 利 益 、名 声 、ブラン ド及 び価 値 創 造 活 動 を守 るため、復 旧 力 及 び対 応 力 を構 築 するための有 効 な 対 応 を行 うフレームワーク、包 括 的 なマネジメントプロセス。

1 システムのハード障害、アプリケーション障害、通信回線障害等により、当該企業の情報システムが利用不能 と な っ た 場 合 の こ と 。

2

組 織 の 存 続 上 、必 ず 必 要 な 事 象( 事 業 を 構 成 す る 業 務・工 程・部 門 、物 流 、キ ー パ ー ソ ン 、デ ー タ・シ ス テ ム 、 資 金 な ど )

3 BSI(British Standards Institution):http://www.bsi-global.com/index.xalter

<本 章 の位 置 付 け>

本 章 では 、事 業 継 続 計 画 (BCP)の 必 要 性 や 定 義 、一 般 的 な構 築 の 流 れ などの 概 要 を記 載 するとともに、BCP が求められる社会的背景やその特性、国内外の関連動向など、BCP の理 解 を深 めるための基 本 的 な説 明 を行 う。

(6)

A6 - 2

BCP・BCM は、事故や災害などが発生した際に、「 如 何 に 事 業 を 継 続 さ せ る か 」 若 し く は「 如 何 に 事 業 を 目 標 と し て 設 定 し た 時 間 内 に 再 開 さ せ る か 」 に つ い て 様 々 な 観 点 か ら 対 策 を 講 じ る こ と で あ る 。BCP は、そのための計画自体を指し、BCM は、BCP の策定から運用、見直しまでの マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム 全 体 を 指 す の で あ る 。

し た が っ て 、 企 業 に と っ て 重 要 な 視 点 は 、 如 何 に BCM を企業内に浸透させていくか、戦略的 に 活 用 し て い く か と い う こ と で あ る 。具 体 的 に は 、BCP の重要性を企業内で普及啓発・周知させ る こ と に よ り リ ス ク 管 理 能 力 を 向 上 さ せ た り 、 ま た 取 引 先 や 監 督 当 局 に 対 し 、BCM の取組みを ア ピ ー ル し た り す る こ と な ど で あ る 。

( 3 ) BCM 構築の一般的な流れ

BCM では通常次のような PDCA4サ イ ク ル を 実 施 す る こ と と な る 。

【 図 表 1 BCM 構築の一般的な流れ】

BCMの運営

会社とてのBCP方針の策定

組織体制の構築

目標復旧時間を設定しその事業体に応じBCP作成

効果検証・ 継続的改善 BCPの策定

事業継続に当たってのボトルネッ(事業継続上、重要な 箇所・事象) を特定。 事業継 続 上、ボトルネッを守るた めの対策検討・実施。

ビジネスインパクト分析

BCPはあくまで計画であり、それをいかに企業内に浸透、 戦 略 的 に 活 用 す るか というマネジメントの 視 点 」 BCM)が重要。

維持・管理

BCP は、BCM 上重要な要素であることは間違いないが、一方で先に述べた通り BCP はあくま で 計 画 で あ り 、 そ れ を い か に 企 業 内 に 浸 透 、 戦 略 的 に 活 用 す る か と い う 「 マ ネ ジ メ ン ト の 視 点 」 を 欠 か し て は な ら な い 。

1.2. BCP が求められる背景

( 1 ) 事 業 活 動 の 変 化

企 業 は 、 現 在 、 効 率 化 を 追 求 し 徹 底 的 な コ ス ト 削 減 を 行 う た め 、 生 産 拠 点 や 物 流 拠 点 、 取 引 先 等 を 集 約 せ ざ る を 得 な い 状 況 に 追 い 込 ま れ て い る 。 こ の こ と は 一 方 で 、 そ の 拠 点 や 取 引 先 に 障 害 が 発 生 し た 場 合 、 代 替 拠 点 や 取 引 先 の 手 配 を 困 難 に し 、 基 幹 事 業 の 停 止 に 直 結 す る 確 率 が 格 段 に 増 加 し て い る こ と を 意 味 す る 。 自 動 車 部 品 メ ー カ ー の 部 品 供 給 が 停 止 し た た め に 自 動 車 メ ー カ ー の 操 業 が 停 止 し て し ま っ た な ど と い う 事 象 は 記 憶 に 新 し い と こ ろ で あ る 。

4 事業活動を「計画(Plan)「 実 施 (Do)「 監 視 (Check)「 改 善 (Action)」のマネジメントサイクルとして 捉 え 、 組 織 運 営 を 通 じ て 継 続 的 な 改 善 を 図 る 取 組 み 。

(7)

A6 - 3

( 2 ) 情 報 シ ス テ ム へ の 依 存 増 大

重 要 イ ン フ ラ で あ る 金 融 サ ー ビ ス や 通 信 サ ー ビ ス を 提 供 す る 企 業 は も ち ろ ん 、 在 庫 管 理 や 受 発 注 管 理 、 顧 客 管 理 等 、 ほ と ん ど す べ て の 企 業 に お い て 、 事 業 は 情 報 シ ス テ ム や ネ ッ ト ワ ー ク の 稼 動 を 前 提 に 構 築 さ れ て い る 。 情 報 シ ス テ ム に 障 害 が 発 生 し た 、 あ る い は ネ ッ ト ワ ー ク が 中 断 し た 場 合 に 、BCP の準備がない企業は、工場を稼動させることも、顧客にサービスを提供することも 不 可 能 な 状 況 に 追 い 込 ま れ る 可 能 性 が あ る 。2002 年夏に KPMG ビジネスアシュアランスによっ て 実 施 さ れ た ビ ジ ネ ス 継 続 マ ネ ジ メ ン ト サ ー ベ イ に お い て も 「 ビ ジ ネ ス の 中 断 の 原 因 と い う と 真 っ 先 に 地 震 な ど の 自 然 災 害 が 思 い 浮 か ぶ か も し れ な い が 、 実 際 に は 情 報 シ ス テ ム の 障 害 に よ る ケ ー ス が 非 常 に 目 立 つ 」 と 報 告 さ れ て い る 。 過 去 1 年 間 に 経 験 し た 事 業 中 断 の 原 因 と し て , 最 も 多 か っ た の は 「 機 器 故 障 」 で46%,次いで「ソフトウェア障害」が 34%だった。「 ウ イ ル ス 感 染 や 不 正 ア ク セ ス 行 為 」 の18%という数字が注目される。

【 図 表 2 業 務 中 断 の 原 因 】KPMG ビジネスアシュアランス ビジネス継続マネジメントサーベイ 2002)

1.0% 0.4%

46.0% 34.0%

26.0% 19.0%

1.0%

29.0% 0.1%

18.0% 20.0%

22.0% 1.0%

0% 10% 20% 30% 40% 50%

地震によるコンピュータセンターの利用不能 台風によるコンピュータセンターの利用不能 機器故障 ウェア障害 人的ミ 停電 取引先や委託先からのサービスや製品供給の中断 通信の故障 施設や設備に対する破壊行為 ウイルス感染や不正アクセス行為 施設移転やシステム更新による計画的な中断 業務中断はなかっ その他

質 問 】貴 社 において過 去 一 年 間 に下 記 の うち、どの 原 因 による業 務 中 断 を経 験 しましたか (複 数 選 択 可 )

た だ し 、 上 記 統 計 は 過 去 一 定 期 間 の 業 務 中 断 を も と に し て い る の で あ っ て 、 地 震 が も た ら す 事 業 継 続 へ の 影 響 が 小 さ い こ と を 意 味 す る の で は な い 。 地 震 国 で あ る 日 本 に お い て は、地 震 リ ス ク の 大 き さ を 盛 り 込 ん だBCP を構築する必要がある。

BCP とSCM(サプライチェーンマネジメント)>

SCM は、サプライチェーンを構成する企業全体で経営効率を追求する経営管理手法である。「在 庫 や 仕 掛 品 の 削 減 」、「生 産 や 供 給 の リードタイムの 削 減 」などの 実 現 につながるもの と考 えられ ている。 一 方 で、SCM の導入は、サプライチェーンを構成する一企業にボトルネックがあれば、構成企業全体 に影 響 を与 える可 能 性 を有 する。つまり、サプライチェーンを構 成 する一 企 業 の事 業 中 断 が、他 の 企 業 の事 業 中 断 へと波 及 することになる。

それゆえに自 企 業 だけでBCP を構築するのではなく、サプライチェーンを構成する全企業で BCP を 構 築 する必 要 が あり、こうした考 え方 の 浸 透 する欧 米 の グローバ ル 企 業 か ら、サプライチェーンを構 築 する企 業 に対 してBCP の策定や適用を求められるケースも見られる。

(8)

A6 - 4

ま た 、世 界 の 企 業 に と っ て もBCP 上の IT の重要性については大きく認識されている。BCI が 2004 年に世界企業を対象にした調査結果によると、企業の BCP 責任者が、BCM 上事業の混乱 に 関 し て 最 も 留 意 し て い る 事 項 は 、「 テ レ コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 喪 失(62%)」、「IT 能力の 喪 失 (60%)」「 火 災(53%)」「 事 業 拠 点 の 喪 失(51%)」となっている。

( 3 ) 予 測 困 難 な リ ス ク の 頻 発

2001 年 9 月 11 日に発生した米国同時多発テロは、世 界 中 に 衝 撃 を 与 え た 。BCP にとっても様々 な 課 題 を 浮 き 彫 り に し た 。米 国 で は 、BCP に取り組んでいる企業が多かったものの、これほどま で 突 然 で か つ 広 範 囲 に 影 響 を 及 ぼ す 想 定 は し て い な か っ た 。 複 数 の 企 業 が 同 一 の バ ッ ク ア ッ プ サ イ ト を 対 象 に 契 約 を 結 ん で い た た め 、 実 際 に バ ッ ク ア ッ プ サ イ ト を 利 用 す る こ と の で き た 企 業 は ご く わ ず か で あ っ た 事 例 等 、 様 々 な 課 題 が 浮 き 彫 り に な っ た 。

ま た 重 症 急 性 呼 吸 器 症 候 群 (SARS)の蔓延は、自然災害だけではなく、予想し得ないリスク に よ っ て 事 業 停 止 に 追 い 込 ま れ る こ と を 改 め て 認 識 さ せ ら れ る 事 象 と な っ た 。

( 4 ) 地 震 等 自 然 災 害 リ ス ク

日 本 は 他 の 地 域 に く ら べ は る か に 自 然 災 害 が 多 い 国 で あ る 。 特 に 、 地 震 に つ い て は 、 過 去 に も 巨 大 地 震 に 見 舞 わ れ 大 き な 損 害 を 被 っ て い る 。 従 来 は 工 場 な ど を 分 散 す る こ と で 地 震 リ ス ク に 対 応 し た 企 業 も 、 海 外 企 業 と の グ ロ ー バ ル な 競 争 環 境 の 中 で 、 拠 点 を 集 約 化 せ ざ る を 得 な い 状 況 に 追 い 込 ま れ て い る 。 こ れ が 、 自 然 災 害 の 経 営 に 与 え る 影 響 を よ り 一 層 深 刻 な も の と し て い る の で あ る 。 海 外 の 取 引 先 に と っ て、日 本 の 企 業 が サ プ ラ イ チ ェ ー ン 上 の 重 要 な 要 素 と な っ て い る 場 合 に は 、 今 後 地 震 を は じ め と す る 様 々 な リ ス ク に 対 す るBCP を求められることが想定される。

<2001 年 9 月 11 日 同 時 多 発 テロの対 応 >

世 界 貿 易 センター地 域 に所 在 していた金 融 系 会 社 が 、最 重 要 拠 点 を失 ったにもか か わ らず危 機 的 状 態 を見 事 なまでにくぐり抜 け、9,000 人以上の従業員を無事に避難させたばかりか、その翌日からそ の拠 点 にあった事 業 の一 部 を他 の場 所 で再 開 した。

この会 社 は、自 社 の業 務 状 況 ・リスク状 況 を分 析 (ビジネスプロセスの脆 弱 性 分 析 )に沿 ってBCP を 策 定 し、BCP のトレーニングを効果的に実施してきた。この BCM の過程では、あらかじめ、どの業務を 国 内 外 のどこの拠 点 に移 すことができるか、さらにどの従 業 員 をどの拠 点 に移 すかについて検 討 をして いた。また、経 営 層 のBCM に対する理解が会社内での BCM 推進に大きな役割を果たしたことは言う までもない。

<コンピュータ西 暦 2000 年 問 題 への対 応 >

年 号 を二 桁 で管 理 しているコンピュータが西 暦 2000 年を 1900 年と誤認してしまい、処理できなくな るというコンピュータ西 暦2000 年問題(Y2K 問題)は、システムリスクが経営に及ぼす影響の大きさを 認 識 させ るとともに、未 知 のリスクが システム部 門 だけでは 解 決 できず、経 営 者 としての 対 応 が 必 要 と なることを認 識 させた。また、2000 年問題への対応が遅れている企業に対して取引停止を勧告するな ど、サプライチェーンを構 成 する企 業 すべてに対 応 が求 められた点 も特 筆 すべきポイントである。

ただし、2000 年問題は「2000 年問題が発生しないこと」のみを目 的 とた危 機 管 理 対 応 であったこ とに留 意 する必 要 がある。

(9)

A6 - 5

( 5 )BCP の取組みに関する情報開示

2003 年 3 月に「企業内容等の開示に関する内閣府令」等が改正され、有価証券報告書におい て 「 事 業 等 の リ ス ク に 関 す る 情 報 」 の 記 載 が 義 務 付 け ら れ た 。 単 に リ ス ク を 開 示 す る の み な ら ず BCP の取組みについて触れる報告書も多く、この流れは今後加速することが予想される。

ま た 、金 融 業 界 で は 金 融 庁 が 危 機 管 理 体 制 の 構 築 を 求 め て い る ほ か 、BCP やコンティンジェン シ ー プ ラ ン な ど に 関 す る 取 り 組 み に つ い て の 情 報 開 示 を 自 主 的 に 行 っ て い る 先 も あ る 。

( 6 ) 従 業 者 と の 関 係

BCP を運用していく上で重要な要素として人的資源の側面がある。特に広域災害が発生した場 合 は 、 人 員 確 保 の 必 要 性 が 高 く 、 緊 急 時 の 復 旧 作 業 に 動 員 す べ き 従 業 員 の モ チ ベ ー シ ョ ン を 維 持 し て お く 必 要 が あ る 。 併 せ て 、 災 害 時 の 福 利 厚 生 確 保 も 人 員 を 確 保 す る 重 要 な 要 素 と 言 え る 。

<震 災 など自 然 災 害 の経 験 >

1995 年1月の阪神・淡 路 大 震 災 以 前 の地 震 対 策 は、従 業 員 の安 全 対 策 、資 産 の保 全 と避 難 訓 練 と いう視 点 での み 取 り組 まれ ており、事 業 の 継 続 を視 野 に入 れ て考 えられ ることは 少 なかった。自 社 の 安 全 だけを考 えていた従 来 の地 震 防 災 計 画 は、その 枠 組 みの根 本 的 な見 直 しを迫 られることになった。地 震 対 策 は 経 営 の 根 幹 をなす重 要 な危 機 管 理 対 策 であり、事 業 を継 続 するための マネジメントが 不 可 欠 であることを思 い知 らされる結 果 となった。

2004 年 10 月の新潟県中越地震では都市直下型地震であった阪神・淡 路 大 震 災 と比 べ、企 業 の 本 社 や 重 要 な拠 点 の 直 接 的 な被 災 は 少 なか ったもの の 、被 災 地 に製 造 拠 点 を置 く取 引 先 や 子 会 社 など が 被 災 し、サプライチェーン上 で問 題 が 生 じ、事 業 活 動 に影 響 が 生 じた企 業 もあった。代 替 拠 点 の 確 保 など、SCM の観点からもBCM を構築する必要が改めて認識された。

また、新 潟 県 中 越 地 震 は 大 きな余 震 が 続 いたことが 特 徴 に挙 げられ る。これ により復 旧 に向 けた施 設 や 設 備 の 総 点 検 を何 回 も繰 り返 さなけれ ば ならず、復 旧 作 業 に大 幅 な支 障 を来 した。計 画 通 りに復 旧 が できない場 合 には 、被 災 地 外 で事 業 を早 期 に再 開 する対 策 が 必 要 となるが 、こうした企 業 の 早 期 再 開 ・早 期 復 旧 ・全 面 復 旧 など事 業 継 続 に関 する総 合 戦 略 を柱 とした B C M が重 要 となることを学 んだ。

<日 本 銀 行 「災 害 発 生 時 における日 本 銀 行 の業 務 継 続 体 制 の整 備 状 況 について」より抜 粋 >

『取 引 先 金 融 機 関 等 か らは 、自 社 の 業 務 継 続 計 画 をより実 効 性 の あるもの とするためにも、災 害 発 生 時 における日 本 銀 行 の 業 務 継 続 体 制 の フレームワークを示 して欲 しいとの 要 望 を数 多 く頂 きました。 私 どもでも、業 務 継 続 体 制 の 整 備 については なお検 討 を要 する点 が 残 され ていますが 、現 時 点 で体 制 整 備 が 進 んでいる部 分 について、その 概 要 をセキュリティ等 の 面 で支 障 の ない範 囲 で公 表 することとし ました。』(http://www.boj.or.jp/about/03/sai0307a.htm)

<東 京 証 券 取 引 所 「危 機 管 理 への取 り組 み」より抜 粋 >

『当 取 引 所 は、我 が国 証 券 市 場 全 体 の業 務 継 続 体 制 の整 備 のために、BCP について取引参加者を は じめとする関 係 機 関 にもできる限 り広 く知 っていただくことが 有 効 であると考 えており、この 度 、セキュ リティ等 の面 で問 題 とならない範 囲 で公 表 することといたしました。』

http://www.boj.or.jp/set/03/fsk0307a.htm)

(10)

A6 - 6

ま た 事 業 が 継 続 で き な く な る と 、 従 業 員 の 雇 用 問 題 に ま で 発 展 す る こ と が あ り 、 工 場 閉 鎖 な ど に よ り 大 量 の 失 業 者 を 生 み 出 す こ と に な れ ば 、 地 域 社 会 へ の 影 響 は 甚 大 で あ る 。 雇 用 確 保 を 含 め た 地 域 社 会 へ の 貢 献 な ど 、 企 業 の 社 会 的 責 任 の 観 点 か ら もBCP への取組みは重要である。 1.3. BCP の特性

( 1 ) 経 営 戦 略 と し て の 位 置 づ け

海 外 で は BCP を他社と差別化するための経営戦略と位置づける企業が数多く見受けられる。

つ ま り 、BCP の水準を利害関係者である株主や取引先にアピールすることにより企業価値を向上 さ せ よ う と し て い る の で あ る 。 大 規 模 な 事 故 ・ 災 害 ・ 事 件 な ど が 発 生 し て も 短 期 間 に 事 業 を 復 旧 で き る 企 業 で あ る か 否 か は 消 費 者 や 企 業 が 今 後 取 引 先 を 選 別 す る 上 で の 重 要 な 要 素 に な る と い う こ と を 先 取 り し た 取 組 み と い え る 。

ま た 、BCP の大きな特性は、「目標復旧時間(RTO; Required Time Objective)」を定めること で あ る 。 こ の 目 標 復 旧 時 間 は 、 事 故 ・ 災 害 ・ 事 件 な ど が 発 生 し た 場 合 に 、 そ の 発 生 時 か ら 基 幹 事 業 の 再 開 ま で の 企 業 が 設 定 す る「 目 標 と す る 復 旧 時 間 」で あ る 。テ ロ な ど の 大 災 害 が 発 生 し て も 、 BCP を導入している企業は、目標復旧時間内に製品・サービスの提供を再開することにより、他 社 よ り 圧 倒 的 優 位 に 立 つ こ と が で き る 。 事 実 、 大 規 模 な 災 害 が 発 生 し た 際 の BCP の有無がマー ケ ッ ト シ ェ ア を 大 き く 変 化 さ せ た 事 例 も あ り 、 そ の 意 味 で も BCP は経営戦略として位置づけな け れ ば な ら な い の で あ る 。

な お 、BCI の調査(2004 年実施)によると、世界企業が BCP を導入した理由は、「既存顧客 か ら の 要 望(30%)」、「 コ ー ポ レ ー ト ガ バ ナ ン ス の 一 貫(24%)」、「 保 険 会 社 か ら の 要 望(22%)」、「 見 込 み 顧 客 か ら の 要 望(21%)」と続いており、企業の事業及び経営戦略上にとって、BCP は重要な

役 割 を 果 た し て い る と い っ て も 過 言 で は な い 。

( 2 ) 経 営 者 の ト ッ プ マ ネ ジ メ ン ト

策 定 さ れ る BCP はあくまでも緊急時・復旧時・回復時の「計画」である。その実効性を確保 す る た め に も 、 あ ら ゆ る 事 業 の 停 止 リ ス ク に 対 応 で き る わ け で は な い 。 様 々 な リ ス ク の 中 か ら 事 業 停 止 の 影 響 の 範 囲 を 想 定 し 、 事 業 継 続 ・ 復 旧 の 優 先 順 位 を 付 け 、 真 に 必 要 な も の を 選 別 し 、 対 応 す る こ と が 不 可 欠 と な る 。 こ れ は ひ と え に 重 要 な 経 営 判 断 で あ る と 言 え 、 経 営 者 の 強 い リ ー ダ ー シ ッ プ 、 ト ッ プ マ ネ ジ メ ン ト が 求 め ら れ る 。

( 3 ) 結 果 事 象 に よ る 対 応 方 針 の 整 理

財 団 法 人 情報処理相互運用技術協会の調査5に よ る と 、9.11 世界同時多発テロ発生の際、BCP

5 INTAP「平成 15 年度ビジネス継続性技術調査報告書」

http://www.net.intap.or.jp/INTAP/information/report/15-business-report.pdf

<携 帯 端 末 メーカーの事 例 >

2000 年に発生した他企業での火災事故により、携帯端末用のコンピュータチップの供給が停止。A 社 は事 故 後 直 ちにBCP を発動させ、代替のコンピュータチップメーカーの確保に努め、生産を継続、マ ーケットシェアを維 持 することができた。ライバル会 社 であるZ 社は、対応が後手となってしまったため、 代 替 のコンピュータチップメーカーの大 多 数 をA 社に押さえられ、生産を継続することが不可能となり、 結 果 としてマーケットシェアを大 きく落 とすこととなった。現 在 A 社と Z 社のマーケットシェアには大きな 差 が見 られるが、BCP の有無もその一因となっているといわれている。

(11)

A6 - 7

の 詳 細 な プ ラ ン は か え っ て 効 果 が 少 な か っ た こ と が 報 告 さ れ て い る 。 リ ス ク 毎 に BCP を作成す れ ば 、 企 業 と し て 危 機 発 生 後 、 対 策 の 漏 れ は 少 な く で き る 。 し か し な が ら 、 全 て の リ ス ク に つ い

て BCP を作成すれば、そのコストは多大なものになり、また企業内に浸透させる場合も効率的

に 実 施 で き な く な る 。

様 々 な 想 定 に 基 づ く ビ ジ ネ ス 影 響 度 分 析 を 実 施 す れ ば 、 基 幹 事 業 に 対 す る 脅 威 を 各 々 評 価 す る こ と が 可 能 と な る が 、 む し ろ 、 施 設 も 従 業 員 の ア ク セ ス も シ ス テ ム の 稼 動 も す べ て 失 わ れ た と い う 最 悪 の シ ナ リ オ を 想 定 す る こ と に よ っ て 洞 察 に 満 ち た 評 価 を 得 る こ と が で き る 。

東 京 証 券 取 引 所 が 公 表 し て い る BCP によると、同取引所では結果事象を下記のように分類しそ れ ぞ れ の 対 応 手 順 を 定 め て い る 。

<.結 果 事 象 の分 類 定 義 > 東 京 証 券 取 引 所 「危 機 管 理 へ の 取 り組 み 」より

①局 所 被 害

テロ(予 告 、破 壊 行 為 )等 により当 取 引 所 は 被 害 をうけているものの、外 部 関 係 機 関 には特 段 の影 響 がない場 合

②広 域 災 害

大 規 模 地 震 、風 水 害 等 により、当 取 引 所 及 び外 部 機 関 が ともに被 害 を受 けている 場 合

③システム障 害

システムのハード障 害 、アプリケーション障 害 、通 信 回 線 障 害 等 により、当 取 引 所 の 情 報 システムが利 用 不 能 となった場 合

( 4 )BCM とリスクファイナンシング

リ ス ク フ ァ イ ナ ン シ ン グ と は 、 リ ス ク が 具 現 化 し 、 損 害 が 生 じ て し ま う 場 合 に 必 要 な 資 金 繰 り を あ ら か じ め 計 画 し て 準 備 し て お く 手 法 で あ る 。 企 業 の 利 益 を 守 る こ と 、 そ し て 事 業 を 継 続 す る た め の 各 種 費 用 を 確 保 す る こ と を 考 え て も 、BCM 上、リスクファイナンシングの機能は非常に 重 要 で あ る 。 リ ス ク フ ァ イ ナ ン シ ン グ の 手 法 と し て は 、 保 険 、 災 害 時 発 動 型 融 資 予 約 契 約 、 保 険 デ リ バ テ ィ ブ 、 リ ス ク の 証 券 化 な ど が 挙 げ ら れ る 。 た だ し 企 業 は 、 事 業 の 停 止 に よ る 顕 在 化 す る 損 失 ( 利 益 の 減 少 、 財 務 的 な イ ン パ ク ト 、 事 業 を 継 続 す る た め に 必 要 と な る 費 用 ) と 、 潜 在 的 な 損 失 ( 顧 客 や 取 引 先 の 離 反 、 マ ー ケ ッ ト シ ェ ア や 株 価 の 低 下 、 ブ ラ ン ド 価 値 低 下 ) を 整 理 し て 考 え る 必 要 が あ る 。

リ ス ク フ ァ イ ナ ン シ ン グ の 機 能 は 顕 在 化 す る 損 失 を カ バ ー す る も の で あ り 、 潜 在 的 な 損 失 を カ バ ー で き る わ け で は な い 。潜 在 的 な 損 失 は 、BCP の構築・運用以外に軽減する方法はないのであ る 。ま た 、リ ス ク フ ァ イ ナ ン シ ン グ の 機 能 に は 、BCP における発動時(緊急時対応)に要するコ ス ト や 当 面 の 財 務 イ ン パ ク ト を 軽 減 す る 効 果 が あ る が 、 こ れ ら も 的 確 な BCP の運営・管理が前 提 で あ る 。

( 5 ) 周 辺 領 域 ・ 関 連 法 規 制

BCP と関連法規

BCP を運用していく上で、関連法規及び関係官公庁等との関係も生じてくる。例えば、災害対 策 基 本 法 や 都 道 府 県 の 防 災 計 画 等 に 基 づ く 国 や 自 治 体 と の 情 報 共 有 、 連 携 も 場 合 に よ っ て は 必 要 に な っ て く る 。 個 人 情 報 保 護 法 で は 、 各 省 か ら 公 開 さ れ て い る ガ イ ド ラ イ ン に 個 人 情 報 が 漏 え い し た 場 合 の 対 処 方 法 な ど が 記 載 さ れ て い る 場 合 も あ る の で 、確 認 の 必 要 が あ る( 第 Ⅳ 章 4. 3 参 照 )。 ま た 各 種 事 業 法 が あ る 業 界 ( 金 融 、 通 信 、 交 通 、 エ ネ ル ギ ー 等 ) で は 、 そ れ ぞ れ の 法 令 に 従 っ て 関 係 部 局 に 対 す る 報 告 を 行 う 義 務 な ど も 生 じ て く る た め 、 法 令 に 従 っ た 内 容 を 盛 り 込 ま な け れ ば な ら な い 。 こ う し た 各 種 関 連 法 規 は 、 コ ン プ ラ イ ア ン ス 確 保 の 視 点 か ら も 留 意 す る 必 要 が あ り 、 BCP を構築する際には参照すべきである。

(12)

A6 - 8

BCM と CSR6

BCM は、企業にとって「最も重要な事業の継続性」という具体的な事象に焦点をあてたマネ ジ メ ン ト 手 法 で あ る 。 企 業 が 事 業 継 続 性 を 確 保 す る こ と は 、 上 記 の よ う に 関 連 法 規 を 遵 守 す る こ と で あ り 、 顧 客 や 取 引 先 に と っ て は 製 品 ・ サ ー ビ ス を 継 続 的 に 受 け る こ と を 可 能 と す る も の で あ り 、地 域 社 会 に と っ て は 継 続 的 な 雇 用 に つ な が る も の で あ る 。BCM と企業の社会的責任(CSR) は 互 い に 密 接 に 関 連 す る も の で あ り 、 企 業 は 双 方 を 推 進 し て い く 必 要 が あ る 。

③BCP とコンティンジェンシープラン(CP、緊急時対応計画)

企 業 に よ っ て は 危 機 管 理 対 策 と し て 、こ れ ま で コ ン テ ィ ン ジ ェ ン シ ー プ ラ ン( 緊 急 時 対 応 計 画 ) を 構 築 し て き た と こ ろ も あ る 。BCP と CP との違いは、想定できるインシデントに対して、発生 し た 場 合 の 対 応 計 画 を あ ら か じ め 策 定 し て お く こ と は 同 様 で あ る も の の 、BCP は事業の継続性の 観 点 か ら 事 項 、 手 順 、 体 制 、 資 源 等 の 計 画 を 具 体 化 し た も の で あ る と 言 え る 。

ま た 、CPは緊急事態発生直後の行動を中心とした計画であるのに対し、BCPは事 前 に ビ ジ ネ ス プ ロ セ ス の 脆 弱 性 を 分 析 (ビ ジ ネ ス イ ン パ ク ト 分 析) し た 上 で 、 そ れ に 基 づ い た 計 画 を 実 施 す る こ と に 特 徴 が あ る 。

④BCM と JISQ2001 リスクマネジメント

阪 神 淡 路 大 震 災 の 教 訓 を 生 か す た め に 「 リ ス ク マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム 構 築 の た め の 指 針 」 と し てJISQ2001が2001年に制定された。ここで示すリスク対策は時系列で「事前対策」「 緊 急 時 対 策 」、「 復 旧 対 策 」 の 3 つ に 分 け ら れ て い る 。 総 論 的 な リ ス ク マ ネ ジ メ ン ト に 関 す るJISQ2001に

対 し 、BCMはあくまでも事業継続に焦点を絞った上で、事業継続にとって非常に重要な事象を洗

出 し 、 対 策 を 立 て 、 計 画 ・ シ ス テ ム 化 し て い く も の で あ る 。 し た が っ て 、BCMはJISQ2001を適 用 し よ う と す る 組 織 が「 事 業 継 続 」を 目 的 と し た 対 策 を リ ス ク 対 策 の ひ と つ と し て 具 体 的 に 立 案・ 実 施 ・ 推 進 す る 場 合 の 具 体 的 方 法 論 で あ る 。

⑤BCM と情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)

ISMS の国際規格である ISO/IEC17799 では、技術的な対策だけでなく、物理的な対策、コン プ ラ イ ア ン ス の 確 保 な ど 、 経 営 管 理 上 の あ ら ゆ る 側 面 に お け る 情 報 セ キ ュ リ テ ィ 対 策 が 網 羅 的 に 示 さ れ て い る 。こ の 中 で BCM について記載されており、詳細管理策として「事業継続管理手続」、

「 事 業 継 続 及 び 影 響 分 析 」、「 継 続 計 画 の 作 成 及 び 実 施 」、「 事 業 継 続 計 画 作 成 の た め の 枠 組 み 」、「 事 業 継 続 計 画 の 試 験 、維 持 及 び 再 評 価 」が 記 さ れ て い る 。ISMS 構築に当たっては、BCM が重要な 要 素 の 一 つ と 言 え る 。

⑥BCP とサービスレベルアグリーメント(SLA)7

情 報 シ ス テ ム の 構 築 、運 用 や 保 守 、デ ー タ 保 存 な ど を 外 部 に 委 託 し て い る 事 業 者 が 、BCP を策 定 し 、「 目 標 復 旧 時 間 」を 定 め る 場 合 は 、外 部 の サ ー ビ ス 事 業 者 と サ ー ビ ス 内 容 に つ い て 協 議 し な け れ ば な ら な い 。SLA の項目の一つとして、障害などが発生した場合に備えて、どの程度システ ム 停 止 が 許 容 で き る の か を 取 り 決 め 、 そ の レ ベ ル を 保 証 す る た め に 二 重 化 等 の 措 置 を 取 る こ と に な る 。

6 企 業 の 責 任 を ,従 来 か ら の 経 済 的・法 的 責 任 に 加 え て ,企 業 の ス テ ー ク ホ ル ダ ー( 社 内 外 の 利 害 関 係 者 。従 業 員 や 株 主 、 消 費 者 、 取 引 先 に 加 え 、 地 域 社 会 ま で 含 め る 場 合 が 多 い ) に ま で 広 げ る 考 え 方 。

7 SLA(Service Level Agreement): 製品・サービスの提供者が、利用者にサービスの品質を保証する制度(契約)。

(13)

A6 - 9

例 え ばIT 関係であれば、レスポンスタイム、セキュリティレベル、保守体制、緊急時体制、許

容 停 止 時 間 、 料 金 体 系 な ど の 項 目 に つ い て 規 定 し 、 サ ー ビ ス 提 供 側 は そ の サ ー ビ ス レ ベ ル を 保 証 す る 義 務 を 負 う こ と に な る 。

1. 4. 世 界 と 日 本 の 動 向

( 1 ) 各 国 の 状 況

欧 米 で は 多 く の 企 業 がBCPの重要性を認識して取組みを進めている。英国ではBCIが2002年に 策 定 し た 「Good Practice Guidelines(実践的な指針)」をもとに英国規格協会(BSI)がPAS56

( 一 般 仕 様 書 ) を 策 定 し た 。 米 国 で はDRII(Disaster Recovery Institute International)がBCM の 普 及 啓 発 活 動 を 行 い 、NFPA(National Fire Protection Association)でも2004年にNFPA1600

「Standard on Disaster/Emergency Management and Business Continuity Programs」8を 発 行 し 、BCMの導入を促進している。両国ではそれぞれPAS56、NFPA1600をベースに国際基準化 の 提 案 を 準 備 し て い る 。

ア ジ ア で も 、BCMの規格化・規制化の動きが出てきている。例えば、シンガポールでは、金融 当 局 が 実 質 的 にBCMの強制化しており、これを現在全産業に広げる動きがある。また香港やマレ ー シ ア で も 規 制 化 さ れ る 見 込 み で あ る と い う 。

( 2 ) 日 本 の 状 況

こ れ ら 活 発 化 し て い る 海 外 の 動 き に 対 し て 、 日 本 で は 、 経 済 産 業 省 の 本 研 究 会 以 外 に 、 内 閣 府 中 央 防 災 会 議「 民 間 と 市 場 の 力 を 活 か し た 防 災 力 向 上 に 関 す る 専 門 調 査 会 」9に「 企 業 評 価・業 務 継 続 ワ ー キ ン グ グ ル ー プ 」 が 設 置 さ れ 、BCPについて議論されている。

ま た 前 述 の よ う に 金 融 機 関 に お い て は 、 金 融 検 査 マ ニ ュ ア ル に 危 機 管 理 体 制 の 重 要 性 が 指 摘 さ れ て い る こ と か ら 、BCPやコンティンジェンシープランに関する対応がすすめられている。( 財 ) 金 融 情 報 シ ス テ ム セ ン タ ー(FISC)10が「 金 融 機 関 等 に お け る コ ン テ ィ ン ジ ェ ン シ ー プ ラ ン 策 定 の た め の 手 引 書 」 を 発 刊 し て い る ほ か 、 日 本 銀 行 が 2 0 0 3 年 7 月 に 民 間 金 融 機 関 を 対 象 に し て

「 金 融 機 関 に お け る 業 務 継 続 体 制 の 整 備 に つ い て 」11に つ い て の 報 告 書 を 取 り ま と め て お り 、 こ れ は 民 間 金 融 機 関 に も 業 務 継 続 体 制 を 整 え る よ う 求 め る 内 容 と な っ て い る 。

8 http://www.nfpa.org/PDF/nfpa1600.pdf

9 http://www.bousai.go.jp/MinkanToShijyou/

10 http://www.fisc.or.jp/

11 http://www.boj.or.jp/set/02/fsk0203a.htm

(14)

A6 - 10 第 Ⅱ 章 総 論 ( フ レ ー ム ワ ー ク )

2. 1. BCP 策定に当たっての考慮事項

( 1 ) 対 象 範 囲

BCP は、組織において事故や災害などが発生した場合に、「 い か に 事 業 を 継 続 さ せ る か 」 あ る い は「 い か に 事 業 を 目 標 と し て 設 定 し た 時 間( 目 標 復 旧 時 間 )内 に 再 開 さ せ る か 」に つ い て 、様 々 な 観 点 か ら 対 策 を 講 じ る こ と が 目 的 で あ る の で 、 対 象 範 囲 は 原 則 と し て 、 全 て の 事 業 ・ 業 務 、 施 設 、 人 員 に な る 。 し か し な が ら 、 組 織 に よ っ て は 、 対 象 範 囲 を ま ず は 基 幹 事 業 ・ 業 務

12

に 特 定 し た り 、 ま た 、 人 員 の 安 全 確 保 や 公 平 な 取 引 の 観 点 か ら 事 業 ・ 業 務 を 停 止 す る こ と な ど 、 優 先 度 に 応 じ て 復 旧 さ せ る 施 設( 設 備 )を 限 定 し た り す る 場 合 も 考 え ら れ る の で 、BCP においても、対象 と す る 業 務 、 対 象 施 設 、 対 象 と な る 人 員 を 定 義 す る こ と は 必 要 で あ る 。 ま た 、 段 階 的 に そ の 範 囲 を 拡 大 し て い く こ と も 考 慮 さ れ る べ き で あ る 。

経 営 者 は 、 企 業 の 社 会 的 責 任 の 観 点 か ら 事 業 継 続 の 基 本 方 針 を 決 定 し 、 い く つ も の 事 業 が 継 続 で き な く な る よ う な 状 況 に 陥 っ た 場 合 に は 、 事 業 継 続 の 観 点 か ら 事 業 ・ 業 務 の 優 先 順 位 付 け を す る こ と が 重 要 で あ る 。

対 象 範 囲 記 述 の 例

対 象 事 業 ・ 業 務 全 て の 事 業 ・ 業 務 、 基 幹 事 業 ・ 業 務 な ど 。

対 象 施 設 対 象 施 設 が 被 災 し た 場 合 に 、事 業・業 務 の 継 続 が 困 難 と な る 可 能 性 の あ る 本 社 ・ 他 の 拠 点 な ら び に コ ン ピ ュ ー タ セ ン タ ー と す る 。

対 象 と な る 人 員 対 象 施 設 に 常 勤 の 正 社 員 、 契 約 社 員 、 派 遣 社 員 な ら び に 協 力 会 社 社 員 等 。 そ の 他 、対 象 施 設 に 来 訪 し て い る 顧 客 等 に つ い て は 、必 要 に 応 じ て 対 象 に 準 じ た 扱 い を す る 。

( 2 )BCP と他規程との関係

BCP は、平時のリスク管理を主な目的として規定された『情報セキュリティポリシー』、『 プ ラ イ バ シ ー ポ リ シ ー 』、『 コ ン プ ラ イ ア ン ス 規 程 』 な ど に お い て 、 そ れ ぞ れ で 想 定 さ れ て い る リ ス ク が 発 現 し た 場 合 か つ 事 業 継 続 が 脅 か さ れ る 可 能 性 が あ る 場 合 に 発 動 さ れ る 計 画 と し て 位 置 付 け る

12 基 幹 事 業・業 務: 企 業 の 存 続 に 関 わ る 最 も 重 要 度・ 緊 急 度 の 高 い 事 業・ 業 務 。重 要 度・緊 急 度 の 高 い 事 業・ 業 務 と は 、 そ れ を 失 う と 企 業 の 財 務 状 態 に 大 き な 影 響 を 与 え る 事 業 ・ 業 務 を さ す 場 合 が 多 い が 、 ブ ラ ン ド イ メ ー ジ 失 墜 ( 例 と し て 、 創 業 以 来 の 商 品 の 供 給 不 能 な ど ) や 顧 客 と の 関 係 悪 化 な ど の 影 響 を 加 味 す る 場 合 も あ る 。

○ 対 象 事 業 ・業 務 は原 則 全 てであるが、重 要 度 ・緊 急 度 に応 じて優 先 度 付 けが必 要 な場 合 もある。

○ リスク分 析 は 網 羅 的 に行 う必 要 があるが、これに時 間 をかけ過 ぎてはいけない。なぜなら、事 業 継 続 を脅 か すリスクは 常 に変 化 しているの で、検 討 に時 間 をか けている間 に対 策 が 陳 腐 化 してしまう危 険 があるからである。

○ BCP 発動時においては、行政の目的との整合性が求められる場合もあるので、遵守すべき法令の

チェックが必 要 である。

<本 章 の位 置 付 け>

本 章 では、BCM 構築の一般的な流れについて、ステップ・バイ・ステップで説 明 しBCP 策定プロ ジェクトの開 始 に当 たって考 慮 すべき事 項 に言 及 する。

(15)

A6 - 11 こ と が 考 え ら れ る 。

ま た 、 危 機 管 理 規 程 ( あ る い は 緊 急 事 態 管 理 規 程 等 ) と 相 ま っ て 、 事 業 ・ 業 務 を 継 続 で き な い 不 測 事 態 に お け る 基 本 計 画 、あ る い は「2.1(1) 対象範囲」において人員の具体的な行動指針とし て 位 置 付 け ら れ る 場 合 も あ る 。

( 3 ) 遵 守 す べ き 法 令 ・ 関 連 法 規

BCP が発動される事態においては、自社が取ろうとしている対策が行政の目的と整合性をもっ て い る か ど う か を 確 認 す る 必 要 が あ り 、 日 頃 か ら 行 政 と の 連 携 に つ い て 調 整 を し て お く こ と が 重 要 に な る 。 ま た 、 法 令 に お い て 事 故 報 告 に 関 す る 規 定 が 定 め ら れ て い る 場 合 が あ る 。 遵 守 す べ き 法 令 と し て 、 ど の よ う な も の が 存 在 す る か を 列 挙 し 、 法 令 違 反 が 起 こ ら な い よ う に す る こ と が 必 要 で あ る 。 例 と し て 、 災 害 対 策 基 本 法 、 個 人 情 報 保 護 法 、 各 種 事 業 法 な ど が あ る 。

2. 2. 組 織 体 制 に つ い て

( 1 )BCP 責任者(BC マネージャー)の任命

BCP 策定には、多数の組織や要員が関与するが、最終的には BCP 責任者がその取りまとめに つ い て 責 任 を 負 う 必 要 が あ る 。BCP 責任者は BC マネージャーとも呼ばれ、次のような役割を担 う 。 ま た 、 組 織 と し て 最 終 的 な 責 任 の 所 在 を 明 確 化 す る た め に 、 組 織 の 経 営 陣 の 役 割 ・ 責 務 を 明 記 す る こ と が 望 ま れ る 。

( 2 ) 全 社 的 横 断 組 織 ( タ ス ク フ ォ ー ス ) の 設 立

BCP では、事業継続に係る組織内の様々な問題を取り扱うことから、原則すべての部署等の関 係 者 が こ れ に 関 わ る こ と が 必 要 と な る 。 し た が っ て 、 全 社 的 横 断 組 織 ( タ ス ク フ ォ ー ス ) を 設 け て 対 応 す る こ と が 有 効 で あ る 。 中 心 的 な 構 成 メ ン バ ー と し て は 、 人 事 ・ 給 与 、 総 務 ( 総 務 ・ 施 設 関 連 )、財 務・ 調 達 、経 営 、広 報 、法 務 、営 業 ・ マ ー ケ テ ィ ン グ 、製 造 、情 報 シ ス テ ム な ど の 関 係 者 を 含 む こ と が 考 え ら れ る 。

な お 、BCP 策定には、経営陣の関与・承認は必須であるので、タスクフォースのメンバーの中

に 経 営 陣 を 含 め る こ と も で き る が 、 上 位 組 織 と し て 経 営 陣 等 で 構 成 す る 組 織 ( 例 え ば 、 リ ス ク 管 理 委 員 会 、BCP 委員会等)を設ける場合もある。これにより、組織全体による支援が約束される こ と と な る 。

<BCP 責任者の役割>

○ BCP プロジェクトの調整、組織管理

○ 経 営 陣 からの支 援 の取 り付 け

○ プロジェクト計 画 の策 定 と予 算 管 理

○ 教 育 ・テスト計 画 の策 定 と指 導

○ 定 期 的 なBCP の見直し

(16)

A6 - 12

【 図 表 3 BCP プロジェクトの組織体制の例】

2. 3. ビ ジ ネ ス イ ン パ ク ト 分 析 か らBCP 策定までの流れ

( 1 ) ビ ジ ネ ス イ ン パ ク ト 分 析

ビ ジ ネ ス イ ン パ ク ト 分 析 と リ ス ク 分 析 は 、 発 動 基 準 の 明 確 化 に つ な が る 一 連 の プ ロ セ ス で あ る 。 ビ ジ ネ ス イ ン パ ク ト 分 析 の 目 的 は 以 下 の 通 り で あ る 。

① 事 業 継 続 ・ 復 旧 の 優 先 順 位 付 け

② ボ ト ル ネ ッ ク の 特 定

③ 目 標 復 旧 時 間 (RTO)の設定

ビ ジ ネ ス イ ン パ ク ト 分 析 で は 、組 織 に お け る 重 要 な 事 業・業 務( 基 幹 事 業・業 務 )・プ ロ セ ス 、 そ れ に 関 連 す る リ ソ ー ス を 特 定 し 、 事 業 継 続 に 及 ぼ す 影 響 の 分 析 を 行 う 。 こ の 分 析 で 、 ボ ト ル ネ ッ ク の 特 定 や そ の ボ ト ル ネ ッ ク の 機 能 を 如 何 に 継 続 さ せ て い く か と い う 方 策 を 検 討 す る 。 分 析 の 手 法 と し て は 、 社 内 外 で の ビ ジ ネ ス の 流 れ や 取 引 先 な ど と の 相 互 依 存 関 係 分 析 、 リ ス ク 管 理 関 係 の 資 料 の 確 認 、 関 係 者 に よ る イ ン タ ビ ュ ー や ア ン ケ ー ト に よ っ て 行 わ れ る の が 一 般 的 で あ る 。 時 間 軸 に 沿 っ た 業 務 へ の 影 響 を 明 ら か に す る こ と で 、 目 標 復 旧 時 間(RTO)を設定し、事業継続の 優 先 順 位 付 け やBCP 関係者の行動指針を設定・明確化することができる。

経 営 陣

BBCCPP責任任者

((BBCCマネマネーージジャャー)ー)

全社全社的的横横断組断組織織

(タタスクスクフフォォーースス)) 最 終 的 な内 容 の 承 認 、

辞 令 の発 令

BCPの取りまとめ

人 事 ・給 与 総 務 総 務 (施 設 ) 財 務 ・調 達 プロジェクトの推 進

社社内関内関係係部部 情 報 提 供 等 へ の 協 力 、

関 連 文 書 整 備 など

広 報 法 務 営 業 ・

マーケティング

製 造

BCP責任者(BCマネージャー)の役 割

BCPプロジェクトの調整、組織管理

経 営 陣 からの支 援 の取 り付 け

プロジェ計 画 の策 定 と予 算 管 理

教 育 ・テスト計 画 の策 定 と指 導

定 期 的 なBCPの見直し

経 営 情 報 シス

テム

ス テ ッ プ 1 : ビ ジ ネ ス イ ン パ ク ト 分 析

① 事 業 継 続 、 復 旧 の 優 先 順 位 付 け

② ボ ト ル ネ ッ ク の 特 定

③ 目 標 復 旧 時 間 の 設 定 ス テ ッ プ 2 : リ ス ク 分 析 ス テ ッ プ 3 : 発 動 基 準 の 明 確 化 ス テ ッ プ 4 :BCP 策定

(17)

A6 - 13

【 図 表 4 ビ ジ ネ ス イ ン パ ク ト 分 析 結 果 の イ メ ー ジ 】

① 事 業 継 続 ・ 復 旧 の 優 先 順 位 付 け

特 定 し た 事 業 ・ 業 務 や そ れ に 関 連 す る リ ソ ー ス の う ち 、 そ の 影 響 度 を 総 合 的 に 勘 案 し た 上 で 、 事 業 継 続 及 び 早 期 の 事 業 再 開 の 観 点 か ら 、 そ れ ぞ れ に 優 先 順 位 を 付 け る 。 こ れ に 基 づ き 資 源 配 分 や 事 業 ・ 業 務 停 止 時 の 再 開 順 序 を 決 定 す る 。 企 業 に と っ て ど の 事 業 を 優 先 す る か は 、 正 に 経 営 判 断 で あ る と 言 え 、 経 営 層 に よ る 了 承 が 必 要 で あ る 。

② ボ ト ル ネ ッ ク の 特 定

通 常 、 ひ と つ の 事 態 か ら 複 数 の 結 果 ( シ ナ リ オ ) が 考 え ら れ る 存 在 す る こ と に な る が 、 企 業 に と っ て 最 悪 の シ ナ リ オ 事 態 か ら 優 先 し て 検 討 す る こ と に よ り 、 他 の シ ナ リ オ を 包 含 す る こ と が 可 能 な 場 合 も あ る 。 リ ス ク が 発 生 す る 事 態 ( 原 因 ) だ け に 目 を 奪 わ れ ず 、 事 業 を 継 続 す る 上 で の ボ ト ル ネ ッ ク13に な る リ ソ ー ス の 喪 失 を 想 定 す る と よ い 。

③ 目 標 復 旧 時 間 の 設 定

目 標 復 旧 時 間 (RTO)とは事業・業務の中断が発生した場合に、事業に重大な影響を及ぼさな い う ち に 事 業 活 動 を 復 旧 ・ 再 開 さ せ る た め の 目 標 時 間 で あ る 。 言 い 換 え れ ば 、 ど の 程 度 ま で 中 断 が 許 容 さ れ る か の 指 標 と も い え る 。 目 標 復 旧 時 間 を 設 定 す る こ と は 、 ビ ジ ネ ス イ ン パ ク ト 分 析 に お け る 主 な 成 果 物 で あ る 。 目 標 復 旧 時 間 は 、 図 表 4 に 例 示 す る よ う に 、 事 業 ・ 業 務 と 、 そ れ に 関 連 す る リ ソ ー ス を 特 定 し た 上 で 、 影 響 度 を 分 析 す る 。 加 え て 、 顧 客 か ら の 要 請 、 社 会 的 要 請 、 さ ら に は 関 係 当 局 か ら の 要 請 な ど 影 響 度 を 総 合 的 に 勘 案 し た 上 で 、 ビ ジ ネ ス 部 門 側 の 役 員 の 承 認 も 得 て 組 織 と し て 最 終 決 定 す る 必 要 が あ る 。ま た 、IT 部門においては、データ・システムの喪失を ど れ だ け 許 容 で き る か を 示 す 目 標 復 旧 ポ イ ン ト (RPO;Recovery Point Objective)を設定し、 こ れ に 応 じ た バ ッ ク ア ッ プ シ ス テ ム を 構 築 す る こ と が 重 要 に な る 。こ の よ う に 、BCP のビジネス イ ン パ ク ト 分 析 に お い て は 、 時 間 枠 で 考 え る こ と が 非 常 に 重 要 で あ る 。

13 ボ ト ル ネ ッ ク : 組 織 の 存 続 上 、 必 ず 必 要 な 事 象 ( 事 業 を 構 成 す る 業 務 ・ 工 程 ・ 部 門 、 物 流 、 キ ー パ ー ソ ン 、 デ ー タ ・ シ ス テ ム 、 資 金 な ど )

本 社 2

名 、 センタ

2名 顧 客 照 会 システム、 顧 客 情 報

DB ンピュ

ータ センタ 営 業 部 情 報 シス

テム部 の照 会 、 DB メンテナ ンス 顧 客 照 会 業 務 シス テム

電 話 、 F A X 3名

総 務 別 棟

総 務 部 監 督 官 庁 対 応 法 務 関 連 業 務 管 理

5名 L A N システム

P C 5台 ) 本 社

経 営 企 画 部 経 営 計 画 の策 定 経 営 企 画 業 務 管 理

その他 必 要 資 源 必 要 人 員 数 利 用

システム名 業 務

遂 行 場 所

関 連 部 署 主 管 部 署

業 務 概 要 業 務 名

区 分

業 務 遂 行 上 必 要 となるリソース 業 務 名

社 会 的 影 響 度 収 益 資 産 影 響 度 顧 客 影 響 度

影 響 度 分 析 結 果

5 5 4 4 5 5

1 1 33 22

1 1 3 3 3 3

R RTTOO

2 2HH 2244HH

1 1WW

復旧 優先先度

高い 中位 低い

(18)

A6 - 14

【図 表 5 目 標 復 旧 時 間 と目 標 復 旧 ポイントの概 念 】 目標復旧ポイント( RPO; Requi r ed Poi nt Obj ec t i ve)

どの時点までデータを戻せるか

目標復旧時間( RTO; Requi r ed Ti me Obj ec t i ve) どれだけ早く事業を再開できるか

災害発生

時間

目標復旧ポイント( RPO; Requi r ed Poi nt Obj ec t i ve) どの時点までデータを戻せるか

目標復旧時間( RTO; Requi r ed Ti me Obj ec t i ve) どれだけ早く事業を再開できるか

災害発生

時間

( 2 ) リ ス ク 分 析

ビ ジ ネ ス イ ン パ ク ト 分 析 の 過 程 に お い て 、 並 行 的 に 組 織 に 存 在 す る リ ス ク の 洗 出 し と 、 そ の リ ス ク を 低 減 さ せ る た め の 方 策 を 検 討 す る リ ス ク 分 析 ・ 評 価 も 実 施 す る 。 リ ス ク 分 析 ・ 評 価 で は 、 組 織 に お け る 重 要 な 業 務( 基 幹 業 務 )、プ ロ セ ス 、関 連 す る リ ソ ー ス を 対 象 に 関 係 す る リ ス ク を 洗 い 出 す こ と か ら 始 ま る 。 洗 い 出 さ れ た リ ス ク の 脅 威 と 発 生 可 能 性 に 関 し て 、 統 計 デ ー タ 、 新 聞 の 記 事 、 過 去 の ト ラ ブ ル 報 告 書 な ど 利 用 可 能 な デ ー タ を で き る 限 り 収 集 し 、 そ れ ら の デ ー タ を 参 考 に し て 、BCP の発動にいたる可能性のある事態(リスク)を関係者で検討する必要がある。これ に よ り 、 組 織 の 事 業 継 続 に 関 わ る 重 要 な 事 態 ( シ ナ リ オ ) が 明 ら か に な る 。

( 3 ) 発 動 基 準 の 明 確 化

ビ ジ ネ ス イ ン パ ク ト 分 析 に お い て 、 事 業 ・ 業 務 へ の 影 響 度 と 目 標 復 旧 時 間 を 明 ら か に し た 後 、 組 織 と し て の 対 応 レ ベ ル に 従 っ た 発 動 基 準 を 定 め る こ と が 必 要 で あ る 。 地 震 な ど の リ ス ク に つ い て は 、 発 動 基 準 を 自 動 立 上 げ と す る こ と も 有 り 得 る 。 こ れ に よ り 、 組 織 と し て 対 応 す る レ ベ ル に 応 じ た 対 応 手 順 を 策 定 す る こ と が 可 能 に な る 。ま た 、各 組 織 は 、目 標 復 旧 時 間 を 達 成 す る た め に 、 必 要 な リ ソ ー ス を 準 備 す る こ と も 重 要 で あ る 。 こ こ で の リ ソ ー ス に は 、 要 員 の ほ か に 、 バ ッ ク ア ッ プ デ ー タ の 確 保 や 通 信 手 段 の 確 保 な ど も 含 ま れ る 。

( 4 )BCP 策定

ビ ジ ネ ス イ ン パ ク ト 分 析 終 了 後 、 そ の 結 果 に 応 じ た BCP を策定する。組織として合意の取れ た 目 標 復 旧 時 間 を 達 成 す る た め に 必 要 な 投 資 額 の 予 算 化 を 行 う こ と も 、 こ こ で の 重 要 な 作 業 で あ る 。 全 社 に 関 わ る 基 本 対 応 手 順 と 部 署 毎 に 異 な る 対 応 が 必 要 な 個 別 計 画 が あ る の で 、 相 互 の 依 存 関 係 を 明 確 に し た り 、 う ま く 分 割 し た り す る こ と で 、 重 複 を 避 け 効 率 化 す る こ と が 重 要 で あ る 。

な お 、 情 報 シ ス テ ム の 復 旧 に 当 た っ て は 、 複 数 の 選 択 肢 が あ り 、 一 般 的 に は 次 の よ う な 対 策 が 考 え ら れ る 。

<情 報 システム・データの維 持 ・復 旧 のための方 法 >

○ ホットスタンバイ、ホットサイト(同 等 の機 器 やシステムを準 備 し、同 じ動 作 を行 わすもの)

○ ウォームサイト(同 等 の機 器 を準 備 しておくこと)

○ コールドサイト(機 器 のスペースを予 め準 備 しておくこと)

○ 内 部 分 散 システムおよびネットワーク

○ 相 互 援 助 協 定 (災 害 時 における要 員 や機 器 等 のリソース共 有 )

○ 上 記 の組 み合 わせ

(19)

A6 - 15 2. 4. BCP の導入と教育・訓練

( 1 ) 導 入 作 業 の 概 要

不 測 の 事 態 に お い て 、BCP を有効に機能させるためには、組織の構成メンバーに BCP を周知 徹 底 し 、 確 実 に 実 行 で き る よ う に し て お く 必 要 が あ る 。BCP の教育・訓練とテストは、BCP に つ い て の 知 識 と 理 解 を 深 め る た め に 重 要 な も の で あ り 、 計 画 的 に 実 施 す る 必 要 が あ る 。

( 2 ) 年 間 計 画

① 教 育 ・ 訓 練

教 育・訓 練 の 計 画 は 、BCP 責任者の指導のもとに行い、組織全体および各部署にて行う。教育・ 訓 練 の 主 催 者 は 年 間 の 「 教 育 ・ 訓 練 計 画 書 」 を 作 成 し 、 実 施 状 況 は 「 教 育 ・ 訓 練 実 施 記 録 」 と し て 保 存 す る 必 要 が あ る 。 全 社 的 に 実 施 す る 場 合 は 、 集 合 教 育 と し て 実 施 す る 例 が 多 い と 考 え ら れ

る が 、BCP の配付や説明会を行い、不測事態発生時の報告・連絡体制およびシステム障害時に確

認 す べ き 事 項 等 を 確 認 す る 。 各 部 署 で 実 施 す る 教 育 ・ 訓 練 で は 、 よ り 具 体 的 な 緊 急 連 絡 網 や シ ス テ ム 障 害 時 の 代 替 ・ 復 旧 手 順 の 確 認 を 行 う 。

< 教 育 ・ 訓 練 の 実 施 方 法 >

教 育 ・ 訓 練 受 講 対 象 者 実 施 時 期 ・ 回 数 実 施 の 必 要 度 合 い

新 入 社 員 採 用 時 必 ず 実 施

対 策 本 部 メ ン バ ー 少 な く と も 一 年 に1 回 必 ず 実 施

上 記 以 外 の メ ン バ ー 少 な く と も 一 年 に1 回 必 要 に 応 じ て 実 施

② テ ス ト

テ ス ト は 、BCP の有効性を検証するために必要なものであり、実際に対応手順を経験すること で 対 応 力 の 強 化 に も つ な が る 。し か し な が ら 、BCP のテストはそれ自体リスクを伴うものである た め 、 実 際 に は 、 机 上 テ ス ト と 実 践 テ ス ト を 組 み 合 わ せ て 行 う の が 一 般 的 で あ る 。 テ ス ト 計 画 を 作 成 す る に 当 た っ て は 、 テ ス ト の 目 的 に あ っ た 検 証 項 目 、 テ ス ト 実 施 範 囲 、 テ ス ト 方 法 、 実 施 対 象 部 署 お よ び 頻 度 な ど を 検 討 し 、「 テ ス ト 計 画 書 」 と し て 文 書 化 す る 必 要 が あ る 。

<BCP のテスト検証項目>

検 証 項 目 種 別 実 施 方 法

体 制 の 確 立 BCP のテストとして実施 机 上 ( 文 書 レ ビ ュ ー )

緊 急 連 絡 網 ・ 安 否 確 認 BCP のテストとして実施 実 践

消 防 ・ 避 難 訓 練 防 災 訓 練 と し て 実 施 実 践

シ ス テ ム 障 害 訓 練 BCP のテストとして実施

個 別 シ ス テ ム の 障 害 訓 練 と し て 実 施

実 践 ・ 机 上 BCP 総合訓練 関 係 部 署 を 対 象 と し た 総 合 訓 練 実 践

③ 結 果 の 記 録 、 評 価

教 育 ・ 訓 練 の 結 果 は 、「 教 育 ・ 訓 練 実 施 記 録 」 と し て 、 ま た 、 テ ス ト の 結 果 は 、「 テ ス ト 結 果 報 告 書 」 と し て 、 記 録 し 保 存 す る 。 こ れ ら はBCP 導入の状況を知る重要な指標となる。「 教 育 ・ 訓 練 実 施 記 録 」 は 、BCP の周知徹底の浸透度を調査するために、また、「テスト結果報告書」は、 テ ス ト の 成 功 ・ 失 敗 に 関 わ ら ずBCP の見直しの必要性を検討するために重要なものである。

④ 経 営 陣 へ の 結 果 報 告

(20)

A6 - 16

教 育・テ ス ト の 結 果 も ま た 、経 営 陣 へ の 報 告 が 必 要 で あ る 。BCP は時々の事業環境に適応させ、 常 に 見 直 し を す る 必 要 が あ る た め 、 教 育 ・ テ ス ト か ら 得 ら れ た 結 果 に 基 づ い て 、 改 善 が 必 要 な 事 項 が あ れ ば 、 経 営 陣 の 指 示 に 従 っ て 、 見 直 し を 行 う 必 要 が あ る 。

2. 5. BCP の維持・管理

( 1 )BCP の管理方法と配付

BCP を関係者に周知するための、BCP の配付や説明会を行う。なお、BCP の配付先は「BCP 配 付 先 一 覧 」 に 規 定 さ れ た 部 署 ・ メ ン バ ー に 限 定 し 、 外 部 に 漏 え い し な い よ う 、 厳 重 に 取 り 扱 う こ と を 徹 底 す る 必 要 が あ る 。 配 付 さ れ た BCP は、最新版のものを不測事態発生時に直ちに取り 出 せ る よ う に 保 管 し な け れ ば な ら な い 。ま た 、BCP の発動時に重要な役割を担当する者について は 、 自 宅 保 管 者 と し て 、 最 新 版 の コ ピ ー を 自 宅 に も 保 管 し て お く 必 要 が あ る 。

( 2 ) 見 直 し

BCP は、情報システムの変更、新たな脅威等を踏まえ、見直しを適切に行うことが必要である。 見 直 し の 結 果 、BCP の見直しが必要な場合には変更を行わなければならない。

( 3 )BCP の監査

BCP は時々の事業環境に適応させ、常に見直しをする必要があるため、必要な変更が適切に 行 わ れ て い る 必 要 が あ る 。 こ の た め に 、BCP の監査を適切に実施することが重要である。BCP の 監 査 で は 、 最 新 性 お よ び 実 効 性 の 観 点 か ら 実 施 す る こ と が 必 要 で あ る 。BCP が適切に維持・ 管 理 さ れ て い る か ど う か の 確 認 は 、 次 の よ う な 事 項 に よ り 行 う こ と が 考 え ら れ る 。

( 4 ) 変 更 ・ 承 認 手 順

BCP の内容に変更もしくは改定が必要であると判断した場合には、BCP 責任者の指示に従っ て 改 定 案 を 作 成 す る 必 要 が あ る 。 改 定 案 は 、 全 社 的 横 断 組 織 ( タ ス ク フ ォ ー ス ) に お い て 検 討 さ れ た 後 、 最 終 的 に は 経 営 陣 の 承 認 を 得 て 発 効 す る 。 改 定 に 伴 う 発 効 日 付 、 バ ー ジ ョ ン 等 の 履 歴 管 理 は 組 織 の ル ー ル( 文 書 管 理 規 程 な ど )に 基 づ い て 行 う 必 要 が あ る 。BCP が変更・改定された場 合 、 各 種 リ ス ト 等 の 関 連 文 書 も 見 直 し を 行 い 、 速 や か に 必 要 な 変 更 を 行 う 必 要 が あ る 。 ま た 、 改 訂 さ れ たBCP は、BCP 配付先一覧に基づき速やかに配付する必要がある。

<BCP の適切な維持・管 理 のための確 認 事 項 例 >

○ BCP の最新版が定められた場所に保管されているか

○ BCP のテスト結果に沿って、見直しが行われているか

○ 緊 急 連 絡 網 を含 む各 種 リストが最 新 版 に更 新 されているか

○ BCP において想定されている脅威等が評価され、その結果で見直しがされているか

○ 経 営 陣 の承 認 が得 られているか

<BCP 見直しの契機の例>

○ テスト結 果 によるBCP 自体の見直し

○ 定 期 的 な見 直 し

○ BCP の前提条件の変更による見直し

○ 人 事 異 動 や組 織 の大 幅 な変 更 による見 直 し

○ システム構 成 の大 幅 な変 更 による見 直 し

○ 新 たな脅 威 の発 生 (リスク環 境 の変 化 )による見 直 し

○ 監 査 の指 摘 事 項 による見 直 し

○ 準 拠 すべき法 令 等 の改 正 による見 直 し

参照

関連したドキュメント

2  事業継続体制の確保  担当  区各部 .

この国民の保護に関する業務計画(以下「この計画」という。

※各事業所が提出した地球温暖化対策計画書の平成28年度の排出実績が第二計画

遮蔽設計及び換気設計により免震重要棟内緊急時対策所及び 5 号炉原子炉建屋内緊 急時対策所の居住性については, 「実用発電用原子炉に係る重大事故等時の制御室及 び

自動車環境管理計画書及び地球温暖化対策計 画書の対象事業者に対し、自動車の使用又は

なお、2011 年度のコスト削減額の実績は、緊急特別事業計画で掲げた 434 億円を 12 億円 上回る 446

第Ⅱフェーズ:2012 年度の東電グループ全体での売却額は緊急特別事業計画の策定時点 の 436 億円相当(時価ベース)に対し、3

中央防波堤内の施工事業者間では、 「中防地区工