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(1)

' ^- ' ; FL+ ) t

(2)

セロトニンによるイオノトロピック型

 グルタミン酸受容体の発現調節

       1鑓⑭

筑波大学大学院博士課程医学研究科

      首藤文洋

首寄

藤贈

(3)

第1章

 1.

 2.

 3.

 4.

第2章

 1.

 2.

 3.

  ①   ②

 4.

第3章

 1.

2.

3、

目次

緒論       へ㌧シ“

興奮性神経伝達物質と神経伝達の調節      5

セロトニンと神経伝達の調節      7’

限局投射と広範投射       8

研究の目的       10

材料と方法      11

実験動物に対する薬物投与と組織の摘出      11

 大脳皮質セロトニン濃度の測定      12

放射性リガンド結合実験       13

  遠心法      13

  濾過法       14

 定量的イムノブロット実験      15

結果       17

pCPA7目間投与のイオノトロピツク型各受容体発現に対

する影響      17

増加を示すAMPA型受容体サブタイプの特定:定量的イム  ノブロット実験       20

 5−HT.A型セロトニン受容体のAMPA型受容体G1uR2サブ  タイプに対する影響       21

(4)

第4章

 1.

 2.

3. ① ②   ③   ④

 4.

 5.

第5章

謝辞 文献 付図国表 参考諭文

考察

薬物投与の影響

 大脳皮質における各型グノレタミン酸受容体密度変化の部位  特異性

AMPA型グルタミン酸受容体発現に対する影響

  pCPAによる大脳皮質セロトニン濃度減少の各イオノト

  ロピック型グルタミン酸受容体に対する影響

  セロトニン濃度の減少によって影響を受ける受容体サブ

  タイプの同定

  G1疵2発現調節に関与するセロトニン受容体の同定

  5−HT。。受容体によるG1uR2受容体発現調節の意義

 カイニン酸型受容体発現に対する影響

N

M

D

A型受容怜発現に対する影響

結論

22 22 22 23 23 24 25 26 29 30 31 32 33

(5)

第1章 緒諭

1。興奮性神経伝達物質と神経伝達の調節

 神経細胞の基本的な機能は他の神経細胞から受けた興奮を次の神経細胞に伝 達することである.この神経細胞間の興奮伝達はシナプス構造の中で,主とし て化学物質(伝達物質)を媒介として行われている.そして,この興奮性神経

伝達のほとんどをグルタミン酸が伝達物質として担っている(MO蝸gha皿θ 畑五, 1989)。

 神経細胞間の興奮伝達において中心的な役割を果たすものがイオノトロピッ ク型受容体である.神経細胞はシナプス後部にある陽イオィチャンネルの開口

により細胞内にN我キなどの陽イオンが流入し葦興奮性シナプス後電位(EPSP)

が生じる.一つのニューロンは多数のシナプス入力を受けており,同時に多数

のEPSPが生じている。これらのEPSPの時間的空間的総和が軸索小丘(軸索

初節)での閾値を超えたときに発火が起こり神経終末に興奮を伝達すると考え られている(Ni c hous ,1994)。神経伝達物質として興奮性神経終末から放出

されるものがグルタミン酸であり,放出されたグノレタミン酸と結合して開口す るリガンドゲイテッド陽イオンチャンネノレがイオノトロピック型グノレタミン酸

受容体である(Mo蝸gh鋤θ 畑五,1989;Di ng1edj 皿eθ 姑五,1999).

 これまでに大きく3種類のイオノトロピック型グノレタミン酸受容体が知られ

(6)

ている.これらの受容体は受容体サブタイプがオリゴマーを形成することでリ ガンドゲイテッド陽イオンチャンネノレとして機能している.NMDA型受容体 は高いC&2+透過性を持つ。この受容床の陽イオン透過性は,静止膜電位近傍

ではM〆十により抑制されているが,膜電位の上昇に伴ってM∼キによる抑制 が解除される。このような特異な性質をもつ.N㎜)A型受容体は、ヘッブ型シ ナプスの可塑性において中心的役割を果たしていると考えられ,海馬シヤッ

ファー側枝一CA1錐体細胞間シナプスで見られる長期増強現象に主要な役割を

持っている(Now蹴k助a五,1984;Di ng1e出皿eθ 畑ヱ,1999).

 一方,AMPA型受容体は主にN硯斗を透過させることによりEPSPを発生さ

せると考えられており、生じるEPSPは急激な電位変化をもたらすがあまり持

続しない.この性質からAMPA型の受容体はシナプス後細胞の膜電位を上昇

させ,NMDA型受容体のMg2キブロックを外すことが重要な役割であると考え られてきた(Di nge1e伍neθ ∼五,1999).しかし近年,AMPA型受容体チャ

ンネルを形成する4つのサブユニット(G1泌14)のうち、G1uR2が構造的に

C&2+透過を阻害し、G1疵2を含まない受容体チャンネノレがCa2+透過性を持つ

ことが報告された(B㏄het θ 汐班,1994;肚oθ ∼五,1994;Hou醐鵬ana

Hei 皿en㎜弧双,1994)。さらにAMPA型受容体のみでも長期増強現象(LTP)

が起こることや,シナプス後構造である樹状突起棟の形成1維持にAMPA型

受容体を介する微小シナプス後電位(㎜EPSP)が必要であることが報告され

るなど(丁皿皿鵬叉θ 彦班,1982;J i 段θ 畑五,1996;Ml c 蛆nney助泓,1999)この型

の受容体が神経伝達において果たす役割の多様性が症目されている.

 また,カイニン酸型受容体が発生するEPSPの性質はAMl PA型受容体と同

(7)

様であり,AM

PA型受容体とともに醐阯N

M

D

A型とも称される(D

虹g1e虹e説

虹,1999)。NMDA型やAMPA型が後シナプス部に局在するのに対して王カ

イニン酸型は前シナプス部にも発現していることからシナプス前調節に関与し ていることが形態学的に示唆され(Pe枕出&助班,1994)、それを裏付ける報 告もされている(Cos s 枇助姐,1998)が未だその役割はほとんど明らかにさ

れていない.

 以上から,イオノトロピックグルタミン酸受容体は興奮性神経伝達の主な担

い手であり,サブタイプの組み合わせにより生’ じる性質の異なる受容体が混在 する事で多様な伝達調節を行っていることが示唆されている.

2.セロトニンと神経伝達の調節

 セロ、トニンは消化管粘膜や血小板のほかに中枢神経系に存在していることが

確認されて以来,古典的神経伝達物質の一つとして研究されてきた(Tw蹴og

&naPage,五953).セロトニンは中枢神経系のほぼ全ての部位に分布しており、 高次神経機能に深く関っていることが知られている(J &c obs &na Az ㎜i 虹a,

1992)。認知,情動,感覚,運動,サーカディアンリズム,食欲,体温,攻撃 性,性行動など多岐にわたる脳機能をセロトニンは調節している(Car 1s s ㎝,

1987;S&nayk,1992).そして,麓病,精神分裂病,痴呆といった精神神経疾 患の発症機構に重要な役割をしていることが指摘されており(S狐ayk,1992)ヨ 脳機能を考える上でセロトニンの重要性が近年再認識されている.

 セロトニンが神経系で果たす役割の一つに、非神経伝達物質的役割としてシ ナプろの形成画維持が挙げられる.セロトニンの神経線維が個体の発生段階で

(8)

一時的に増加する現象がラットやニワトリなどを使った研究で報告され

(Koj i ㎜aθ 畑五,1988;Oz a虹θ 畑五,1991),この時期にはまた,シナプス数が

急激に増加する臨界期でもある(Chenθ 左∂五,1997).この一時的に増加する

セロトニンがニワトリの脊髄ではシナプスの形成を促進する作用を持ち,かっ

成体でもシナプスの維持に関与していることが明らかにされた(Okaaoθ ∼五,

1993;Ch鋤θ ∼五,1994).このことはセロトニンが神経伝達の可塑性に重要 な役割を果たす事を示しており,高次神経機能の調節機序を解明する上で重要

な糸口になると考えられる.

 前述した様なセロトニン機能の多様性は,現在までのところ蝸種類が知ら れているセロトニン受容体サブタイプの多様性に裏付けされていると考えられ る.加齢,可溶性アミロイドの生成,精神分裂病の治療,麓病の病態生理など に密接に関連するセロトニン2A型(5−HT.A)受容体はセロトニン受容体サ ブタイプの中で最もメジャーなサブタイプと考えられてきた(Hoyer θ 左㌶ 1994)。最近の研究により,セロトニンによるシナプスの形成と維持機能には

5丑丁。。受容体が介在することが明らかになった(N此帥θ 畑五,1994).更に, 5−HT。。受容体蛋白質の免疫組織化学法により、グノレタミン酸作動性と考えられ

る大脳皮質の非対称性シナプスの後シナプス膜肥厚部に5−HT.A受容体が局在

していることが確かめられ,5−HT。。受容体によるシナプス後細胞でのグノレタミ

ン酸神経伝達調節メカニズムの存在が示唆された(H&醐ぬθ 畑五,1998).

3 限局投射系と広範投射系

セロトニンをはじめとする生体アミンを含有する神経線維は中枢神経系の広

(9)

い部位の不特定な標的領域に分布することが知られている.しかし,それらの

線維を出している細胞体は脳幹に局在している(肺xe鋤a Unge蝸t e砒,1968;

J 盆c ob&皿a地㎜i t i &,1992)。このような投射様式は広範投射系(91obaユp醐j ec 虹㎝

SySt e㎜,VOh㎜e t 蝸nS醜i SSi On)と呼ばれている。それに対してグノレタミン酸

などアミ、ノ酸系伝達物質を含有する神経線維はコンピューター型回路のように, 限局した部位の特定の標的に投射していることふら,点対点投射系(poi 沁t o一

脾i 砒脾oj ㏄t i o皿)と呼ばれている。

 広範投射系の一つであるセロトニン神経系と,点対点投射系のうち主たる伝 達系であるグルタミン酸神経系の相互作用についてはヨこれまでにグルタミン 酸の放出調節を中心とした研究が報告されている。電気生理学的実験からセロ

トニンはグノレタミン酸作動性神経細胞の発火に影響することや、グノレタミン酸

作動性シナプスでの前シナプス抑制効果(Leeθ カ泓,1986;Re岬o1as θ ヵ易五, 1988;Ea.t on a孤a Saユt ,1989;Sc h㎜一i t z θ 〃没五,1995;Shupha.kovθ カβ 五,1995;

1M1胴蝸anaR批e血,1996)・さらにセロトニン受容件サブタイプの一つである

5−HT1。型受容体の作動薬がシナプス後細胞に対してその神経終末からのグノレタ

ミン酸放出を抑制するという報告もされている(M舳蝸狐a R批e血,1996; M設触y&醐θ 彦姐,1997)。以上の研究からセロトニンは様々な脳の領域でグ

ルタミン酸神経伝達系の活動に影響する事が示されてきた。

 しかし,興奮性神経伝達に重要な役割を果たすイオノトロピック型グルタミ ン酸受容体に対するセロトニンの作用はほとんど検討されていない。これまで にMen虹i らが,[3瑚グルタミン酸を用いた受容体結合実験でセロトニンが海

馬のグルタミン酸受容体発現量を調節するということを報告している(Men皿虹i

(10)

鋤a Mi 虹,1991).しかし婁〔3珂グノレタミン酸に対してはメタボトロピック型

受容体を含む非常に多様なグルタミン酸受容体が結合する(Di 皿g1e虹eθ 彦8五,

1999)。それぞれの受容体は局在と機能が異なっていることから、それぞれの

受容体サブタイプ別に検討していく必要がある。

4.研究の目的

 本研究は前述した背景から,セロトニンが各イオノトロピック型グノレタミン 酸受容体の発現にどのように影響しているか明らかにすることを目的とした.

(11)

第2章材料と方法

1。実験動物に対する薬物投与と組織の摘出

(実験動物)

 本研究には48頭の成熟期の雄ラット(Wi s 晦系ヨ6週齢,体重150∼160g; SEASC0,埼玉)を実験動物として用いた.ラットは12時間の明暗サイクノレ の保たれた24℃の飼育室で,1ケージあたり2−3頭,自由に飼料と水を摂取 できる状態で飼育した。被験群の動物には異なる2用量(10および100mg及g

体重)のp−c h1oxoph鋤y固a㎡鵬㎜et hy五es t e皿(pCPA:Si g㎜a)を生理的食塩水

に溶解して投与開始目を基準として1,2,4,6目目に腹腔内に投与した.NMDA

型受容体のリガンドである〔3珂MK−801およびAMPA型受容体に高い親和性

を持っ(S)一噸]AMPAを用いた緒合実験と定量的イムノブロット測定において

は高濃度(100㎜g/kg体重)のみを用いた。対照群の動物には生理的食塩水の

みを投与した。

 砂CPA100㎜g/kg投与群と5丑丁。A受容体の選択的アンタゴニストであるケ タンセリン(ke施鵬e由敏t 蝸t e:RBI )10㎜g/kg投与群を比較する実験で, 投与期間7目間のものではPCPAを五,2,4,6目目に,ケタンセリンを1−6目

目に連目投与した。投与期間4目のものではPCPAおよびケタンセリンともに

(12)

1−3目目に連目投与’ した。各実験の対照群はケタンセリン投与群と同じ目程で

生理的食塩水のみを投与した.

(大脳皮質の摘出)

 薬物投与後7目目(PCPAおよびケタンセリン4目間投与実験においては4

目目)に動物を断頭し,大脳皮質をすばやく摘出した.(S)一[3珂1AMPA結合実

験を除く放射性リガンド結合実験には大脳皮質を前頭部皮質(視交叉上部より 吻側),頭頂部皮質(視交叉上部から視床下部尾側端上部)および後頭部皮質

(視床下部尾側端上部より屠側)の3部位に分割後,また、定量的イムノブロッ ト測定と(S)一[3珂AMPA結合実験には大脳皮質全体を液体窒素中で急速凍結し

て一80℃に保存した.

2.大脳皮質セロトニン濃度の測定

 被験群および対照群各個体の大脳皮質のセロトニン含量は,高速液体クロマ

トグラフィー電気化学検出法(HPLC−ECD)を用いて測定した(服yas hi θ 畑1. 1998).急速凍結した大脳皮質標本を内部標準試薬としてイソプロテレノーノレ

を加えた100μ Mエチレンジアミン四酢酸(EDTA)/0.2N過塩素酸溶液中

でホモジェナイズした。移動相としてO.03M酢酸ナトリウム3水和物、O.065

Mクエン酸1水和物,30醐g八1一オクタンスルホン酸ナトリウム塩,5㎜g八

EDTA2ナトリウム、5%メタノール(PH3.O)を用いて,C三。逆相カラム(150 ㎜肌× 3.9㎜㎜:MA−50DS,エイコムサ京都)で分離を行った.HPLC−ECD

により検出されたピークの同定と定量化は既知量の標準試薬によるピークとの

(13)

比較によつて算出した.結果の統計処理においてはS加ae斌のか検定を使用し

た.

3.放射性リガンド結合実験

① 遠心法

 遠心法は遠心分離による沈澁として膜サンプノレを回収する結合実験法で,比

較的親和性の低いリガンドでも非特異的吸着を低く押さえられる特質があるた め,[3瑚AMPAおよび〔3H1カイニン酸結合実験に用いた(Be測蛆o斌θ ㍑五, 197g;01s e皿助班,1987)。凍結保存していた大脳皮質組織を湿重量に対して 10倍量の氷冷したO.32M S双c 珊s e/1㎜M EGTA溶液(PH7.2)の中でポリ

トロンホモジェナイザーを用いてホモジェナイズした.この懸濁液を4℃で

1,400x g,10分間遠心し,その上清を36,OOO x g.30分間再遠心した.こう

して得られた沈澄に対して再懸濁および再遠心の操作を2回繰り返して,よく 洗浄したものをP2膜サンプルとして結合実験に供した.

 [3珂AMPA(NEN,s p㏄遣c 鼠c 虹vi t y五935.1GBq/m㎜o1),[3H1カイニン酸

(NEN,s pec 脆c 会c 虹枇y2146−O,GBq/㎜㎜o1)および(S)一[3H]AMPA(NEN,

s ρ ec 過c  ac t i 枇y五480.O GBq/㎜㎜o1)を用いた結合実験では遠心法を,NMDA

型興奮性アミノ酸受容体に対する[3珂MK−801を用いた結合実験では後述の濾

過法をそれぞれ用いて実験を行つた.各動物の大脳皮質のP2膜サンプノレをアッ セィバッファー(O.1M T血s −HC1pH7.5,O.1㎜M EGTA)で最終蛋白質濃度 がO.5から五。O㎜gになるように懸濁した。この時の懸濁液についてHPLC−ECD

法による測定で確認したところ,モノアミンおよびその代謝物は検出されな

(14)

かった。この懸濁液に放射性リガンドを加えて氷冷下で蝸分間インキュベー ションを行い,その後20,000x g,10分間4℃で遠心分離した.反応させる放

射性リガイドの濃度は〔3瑚AMPAおよび〔3瑚AMPA結合実験では5−100nMの

間に設定し、20皿Mを越える濃度については置換法により、非放射性リガンド

と共用した.また,(S)一〔3珂AMPA結合実験では1.5−1000皿Mの間に設定し, 20nMを越える濃度については同様に置換法を用いた.【3H]AMPAおよび(S)一

【3H]AMPA結合実験で1ヰインキュベーションの際にヨ受容体に対する親和性を

上げる目的で50mMチオシアン化カリウム(KSCN)をバッファーに添加し

た(H汕θ 畑五,1992).非特異的結合の測定は更に非放射性2.O㎜ML一グノレタ

ミン酸を加えて測定を行った.インキュベーション後の遠心により得られた沈 澁は氷冷した純水で表面を洗浄した後,10%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)

を加えて可溶化し、2.5㎜1の液体シンチレーションカクテノレを加え,3時間放

置した後に液体シンチレーションカウンター(LSC6500;BECKMAN,U.S.A.)

で[3H]の放射線活性を測定した.結合定数の算出はスキャッチャードプロッ

ト法で,SP−123(東京大学薬学部小野秀樹博士作製)およびP虹s l m(G蝸Phpaa

s o銑w趾ei nc .,U.S.A.)の専用コンピュータープログラムを用いて行った.

②濾過法・

 濾過法は専用のセノレハーベスターを使用して、膜サンプルをガラス繊維濾紙

上にトラップして同収する結合実験法で遠心法よりも簡便な方法であり、

N

M

D

A型受容体に対する肛3H

]M

K−801(N

EN

,Spec 過c &c t i 枇y884.3

Gbq/㎜㎜o1)結合実験に用いた(W㎝gθ 右凌五,1986).P2膜サンプルを前述の

(15)

遠心法と同様に処理した後,この懸濁液に放射性リガンドを加えて室温で60 分間インキュベーションを行った。放射性リガンドの非特異的吸着を抑制する

ため,あらかじめO.1%ポリエチレンイミンで処理したガラス繊維濾紙(G亙/B: W就醐狐n)上にセノレハーベスター(跣鋤ae1,U.S.A.)を用いて吸引濾過して 膜サンプノレを回収した.膜サンプルを回収した濾紙は氷冷バッファーで3回洗

浄した後,液体シンチレーション液中に24時間浸し,液体シンチレーション

カウンター(LSC6500,B㏄k皿駐孤,U.S.A.)で放射活性を測定した。反応させ

る放射性リガンドの濃度は2.5−20皿Mの間に設定した。また、インキュベー

ションの際に,受容体に対する親和性を上げる目的で10μ M L一グノレタミン酸

および10粋Mグリシンをアツセイバツファーに添加した(B6na耐胎s θ ヵa五, 1988).非特異的結合の測定は500脾Mの非放射性フェンシクリジン(PCP)

を加えて行った。結合定数の算出は前述の遠心法と同様に行った.

4.定量的イムノブロット実験

 ラットの大脳皮質全体から作製したP2膜サンプルもしくは総蛋白質をポリ

アクリルアミドゲノレ電気泳動法(SDS−pAGE)で泳動した。泳動にあたって膜 サンプルを蛋白質分解酵素阻害剤(1糾g/㎜1ロイペプチン,}g/㎜1ペプスタチ

ンAラ100μ g/㎜1フェニノレメチノレスルフォニノレフロライド)を含むSDS−PAGE

サンプノレバッファー(25蛆MT虹s −HC1,4%SDS,10%グリセロール)中で

超音波破砕機(B蝸ns o孤,U.S.A.;タイテック,埼玉)を用いて可溶化したのち、

蝸℃のヒートブロック中で10分間蛋白質の熱変性を行った。このそれぞれ

の検体の可溶化膜サンプノレ中の蛋白質量をBCA蛋白質定量キット(Pi e鵬,

(16)

U.S.A.)を用いて,ウシ血清アルブミンを標準蛋臼質として蛋白質量を測定し

た.その値から、サンプノレ中の蛋白質量が一定になるようにSDS−pAGEサン

プルバッファーによる希釈で調整した。対照群と被検群のサンプノレを同量ずつ

(10−50粋9),同一の7%アクリルアミドゲル上で同時に泳動した.蛋白質

の泳動を行つた後,ゲノレ内の蛋白質をポリビニリデンジフロライド(PVDF)

膜上に電気泳動的に転写した.次に,膜を50%メタノーノレ,10%酢酸で洗

浄した後,蛋白質をクマシーブリリアントブノレーで染色し,各レーンごとの蛋

白質量が等量であることを確認した.95%メタノールで脱色した後、抗体希

釈液(20㎜MT虹s 丑C1pH7.5,150㎜MNaC且,5%脱脂粉乳,O.01%Twee皿

20)中に室温で1時間または4℃で一晩ブロッキングを行った.その後,各

AMPA型受容体に対する抗体を上記抗体希釈液に溶解して室温で60分間イン

キュベーションを行った.本実験で使用した抗体は,ポリクローナル抗体とし

て虹t i −G1疵1,A砒i −GhR2,A砒i −G1uR2/3,A砒ポGhR4ラモノクローナノレ抗体

として,A阻t i −GhR2(4)(いずれもChe㎜i c onI nc .,U.S.A.).A砒i −GhR2(4)は

イムノブロット法ではG1u−R2のみを認識する抗体なので,G1冊2特異抗体と

して用いた.洗浄後HRPで標識した二次抗体で処理して,ECL化学発光検出

システム(A㎜e鵬h&㎜,U.S.A.)を用いて免疫陽性バンドをフイノレム上に焼き

付けた。フイノレム上の免疫陽性バンド銀粒子密度の計測は,スキャナーにより

コンピューター上に取り込んだ精細両像から密度解析プログラム(N睨i m&9e V甑.1.6)を用いて行った.解析結果は,対照群の平均値を100%として表し

た.結果の統計処理においてはWe1c hのt 一検定を使用した.

(17)

第3章 結果

1. CPA7目間投与のイオノトロピック型各受容体発現に対する影響

(大脳皮質中のセロトニン濃度の測定)

 セロトニンの合成阻害薬であるpCPAを100皿gl kg体重7目間投与したラッ

トの大脳皮質においてセロトニン濃度は対照群の5%以下に減少していた.ま

た,ノノレアドレナリンおよびカテコーノレアミンの代謝物(DOPAC)濃度には

変化が無かった事から,セロトニンが特異的に減少している事が示された。ま

た,pCPA10㎜g/㎜1投与群においてはセロトニン濃度が対照群の約87%に

減少した(図1)。詳細な測定値は表1に示した.

(放射性リガンド結合実験)

 5−100皿Mの[3H]AMPAを用いた結合実験では,スキャッチャードプロッ ト法で直線回帰により算出した最大結合量(B㎜、)が,前頭1頭頂1後頭部皮 質のいずれにおいても増加していた(図2).また,親和性を示すKd値に大き な変化は見られなかったことから,この増加が親和性の変化ではなく受容体量 の増加によることが示された。また,予備的に行ったpCPA1O㎜g/kg体重投

与群の最大結合量は対照群とpCPA1OO㎜g彼g体重投与群との中間の値を示

し,HPLC−ECDによる大脳皮質内セロトニン濃度の結果と併せて,この増加 が大脳皮質内セロトニン濃度に依存的であることが示唆された。それぞれの

(18)

B、、、値とKd値は図中に示した

 AMPA型受容体のリガンドに対する結合活性は、高親和一性と低親和性の二っ の相があり、高親和性と低親和性の受容体が存在していると考えられているた め,上記[3珂AMPA緒合実験の結果がこの両方に等しく作用しているかどう か検討しなければならない。一般に,低濃度域から高濃度域までの間に広く濃 度段階を設定した結合実験では,スキヤッチヤードプロット法で非直線回帰分 析を行うことにより両部位の結合定数(Bm邊、値およびKd値)をそれぞれに算 出することが可能となる.しかし,[3H]AMPAについては本研究の実験系では 使用可能な放射性リガンド量に限界があり,非直線回帰分析に十分な結合が得 られなかった.そこで,[3H]AMPAの8倍の親和1性を持つことが報告されてい

る(S)一[3珂AMPAを用いて結合実験を行った.この実験では害大脳皮質全体か

ら作製した膜標本から低親和性部位と高親和性部位それぞれの発現量に対する

大脳皮質セロトニン濃度減少の影響を検討した.

 五.ポ1000nMの(S)イ3H]AMPAを用いた結合実験では,スキャッチャード プロット法で専用のコンピューターソフトウェア(SP−123およびG蝸phpad Ph舶)による非直線回帰により算出した最大結合量(B㎜)が,低親和性部 位と高親和性部位のいずれにおいても増加していた(図3).また,親和性を 示すKd値も両者とも変化は見られなかった.このことから大脳皮質セロトニ

ンの濃度低下に伴つて,機能的AMPA型受容体量が増加していることが示さ

れた.それぞれのB㎜値とKd値は図中に示した.

  5−100nMの[3H]カイニン酸を用いた結合実験では,スキャッチャード

プロット法で直線回帰により算出した最大結合量(Bm、、)が,前頭蟷頭頂国後

(19)

頭部皮質のいずれにおいても滅少していた(図4ジまた,親和性を示すKd値 に大きな変化は見られなかったことから,この増加が親和性の変化ではなく受 容体量の減少によることが示された.それぞれのB㎜、、値とKd値は図中に示

した。予備的に行ったpCPA1O㎜g/kg体重投与群の最大結合量は対照群と

pCPA1O

O

㎜g服g体重投与群との中間の値を示し,H

PLC−ECD

による大脳

皮質内セロトニン濃度の結果と併せて,この減少が大脳皮質内セロトニン濃度 に依存的であることが示唆された。カイニン酸型受容体のリガンドに対する結 合活性においても,高親和性部位と低親和性部位の受容体が存在していると考

えられている.しかし、[3珂カイニン酸は受容体に対する親和性が比較的低く 本研究で用いた実験系においては使用可能な放射性リガンドの量に限界があり,

非直線回帰分析に十分な結合が得られなかった.また、カイニン酸型受容体に

は未だ高親和一性の特異的リガンドが開発されていないことや,その役割が未だ

明瞭ではないため,低親和一性部位と高親和性部位それぞれに対する検討は行わ なかった。

 2.ポ20皿M

の【3H

]M

K−801を用いたN

M

D

A型受容体に対する結合実験で

は,スキャッチャードプロット法で直線回帰により算出した最大結合量(Bm、、)

が,前頭・頭頂1後頭部皮質のいずれにおいても変化がみられなかった(図5).

また,親和性を示すKd値にも変化が見られなかった.このことから,NMDA

型受容体発現量は大脳皮質内セロトニン濃度に影響されない可能性が示唆され

た。それぞれのBm、、値と囚値は図巾に示した.

(20)

2。増加を示すAMPA型受容体サブタイプの特定:定量的イムノブロット実

駿

 放射性リガンド結合実験の緒果を受けて、大脳皮質セロトニン濃度減少によ

るAMPA型受容体量増加の主体となっている受容体サブタイプを特定するた

め,サブタイプ特異抗体を用いた定量的イムノブロット実験を行った.

 まず,放射性リガンド結合実験と同様のP2膜サンプノレの可溶化蛋白質を用 いて、AMPA型受容体のサブタイプ特異抗体による実験を行った.このうち, G1岨3サブタイプについては特異抗体が入手できないので,GhR2/3交差抗体

を用いた(図6A)。G1疵1サブタイプでは発現量の減少傾向がみられ(76.61士

7.88%),G1皿R2(4)(123.02士5.32%)とGhR2/3(125.96± 2.09%)サブ

タイプでは増加傾向がみられた(図6B).G1uR2(4)とG1皿R2/3の増加程度 が同様’ であったことから,この増加の主体はG1疵2サブタイプの増加が主体 であることが示唆された.G五uR4サブタイプについては,発現が小脳で非常に 高く,大脳皮質ではごく低いことが報告されている.本実験においてG1岨4

の免疫反応はごく微弱であったため有効な発現量計測ができなかった.

 次に,P2膜標本は作成段階で遠心操作を行うため、膜蛋白質の欠失が起こ

り正確な測定が行われない可能性がある.そこで,G1皿R2(4)およびG1皿R2/3

については摘出した大脳皮質を直接サンプルバッファー中でホモジェナイズし て作製した可溶化蛋白質を用いて検討した.その結果,P2膜標本を用いたも のと同様の増加傾向が確認された(図6C).G1uR2(4)とG1疵2/3密度の増 加程度も同様であった.このことからP2膜標本を用いた実験での測定の有効

性が示された.

(21)

3.5丑丁。A型セロトニン受容体のAMPA型受容体GhR2サブタイプに対す

る影響

 5−HT.A受容体がグノレタミン酸作動性と考えられる大脳皮質非対称性シナプス の後シナプス肥厚部の直下に局在する事から,セロトニンが5−HT。。受容体を

介してAMPA型グルタミン酸受容体サブタイプ組成を調節している可能性が

考えられる。そこで,5−HT2A受容体の選択的アンタゴニストのケタンセリンを

投与した動物群,pCPA投与群および対照群について、定量的イムノブロット

実験によりG1疵2受容体発現量を検討した.

 まず。投薬期間をこれまでの実験と同様に7目間として実験を行った.

G1皿R213交差抗体を用いて単一免疫陽性バンド(図7A)を計測した結果,pCPA

投与群(125.96士2.09%)とケタンセリン投与群(112.84士3.52%)の両方

に免疫反応の増力叫が見られた(図7B).

 次に,各薬物の投与期間を4目間に短縮した動物を作成したところ,各群に おける大脳皮質中のセロトニン濃度は7目間投与した動物と同様に’ pCPA1OO

mg依g投与群では対照群に対して約7%に減少していた(図8).そこで,

各薬物を4目間投与した動物についてポリクローナノレのG1皿R2受容体特異抗

体を用いて単一免疫陽性バンド(図9A)を計測した結果,pCPA投与群(133.86 士6.01%)とケタンセリン投与群(128.19士2.43%)の両方に同等の免疫反応

の増加が見られた(図9B).ケタンセリン10㎜g/㎏投与群では対照群と比

較して大脳皮質中のセロトニン濃度に有意な変化は無く,ケタンセリン10

㎜gl kg投与はセロトニン濃度に影響していなかった(図8)。詳細な測定値は 表2に示した.

(22)

第4章 考察

 本実験では大脳皮質のセロトニン濃度を減少させるためにセロトニンの合成 阻害薬であるpCPA1OO㎜gl kg画体重を用いた.この薬物は以前より脳内セロ

トニン濃度を選択的に減少させる目的で用いられており(KoeanaWei s s ㎜&n,

1966),今回使用した投与量が有効に大脳皮質内のセロトニン濃度を減少させ、

その他のモノアミン濃度に影響を与えていないことはHPLC−ECDを用いた測

定で確認された.

 また,5丑丁。。受容体の選択的阻害剤として,ケタンセリン10㎜銚gを用い

た.この薬物は以前よりもっとも選択性の高い5丑丁。。受容体阻害剤として用

いられている(Hoyexθ ∼41994).今回使用した投与量は受容体に対する阻

害効果を確実に見るため,若干高い用量を用いた。そのため,5−HT.c 受容体に

も阻害効果が現れている可能性がある(S&nae蝸一B鵬hθ 畑五,1988).

2.大脳皮質における各型グルタミン酸受容体窃度変化の部位特異性

 イオノトロピック型グルタミン酸受容体の3つの型に対する特異的放射性リ ガンド結合実験では,まず,大脳皮質を前頭部皮質1頭頂部皮質1後頭部皮質 の3部位に分けて検討を行った.これは,各大脳皮質の部位を連合野ヨ体性感

(23)

覚および運動野、そして視覚野というおおまかな区分としてとらえ争それぞれ 個別の調節効果があるか検討するためである。結果として,AMPA型1カイニ

ン酸型1NMDA型受容体に部位による差は認められなかった。このことは,

大脳皮質のイオノトロピック型グルタミン酸受容体の発現にセロトニンは一様

の効果を持つことを示唆している。

①pCPAによる大脳皮質セロトニン濃度減少の各イオノトロピック型グルタ

  ミン酸受容体に対する影響

 スキャッチャードプロット法を用いた直線回帰分析により,大脳皮質の3部 位において同様に,[3珂AMPAの最大結合量(Bm、)が増加傾向を示した.リ

ガンドの受容体に対する親和性を示す解離定数阻d)には変化が見られなかっ

たので,大脳皮質セロトニン濃度の低下に伴うAMPA型受容体量の増加が示

された。

 [3瑚AMPAのスキャッチャードプロヅトは以前より高親和性部位と低親和性 部位の二相性を示すことが知られており(M㎝&9h搬θ ∼五,1989),それぞ れのBm、、とKdを求めるためには非直線回帰分析を行わなければならない。し かし、本実験を開始した時点での目的はA㎜PA型受容体総量の変化をとらえ ることであったため、直線回帰分析による解析で総量の変化を検討した。その 背景にはモノアミンと受容体の結合に比べ,AMPAの受容体に対する親和性は

非常に低く、非直線回帰を行うには非常に高濃度の放射性リガンドを必要とし, そのようなの実験を複数回行うことが困難である事情があった.

(24)

 ところが,江3珂AMPAの8倍の親和性を持つ選択的リガンドの(S)一[3珂AMPA

が利用可能になり,本実験の後半では高親和性部位と低親和性部位それぞれの 変化を非直線回帰により解析した(肋wk㎞s θ ㍑五,1995).[3珂Al MPA結合 実験の結果が大脳皮質で部位差がない事が明らかになったため、大脳皮質全体

を用いて実験を行い,高親和性と低親和性の両部位において同程度のB㎜眺値の

増加が観察された。また,軋値は変化しなかったので,大脳皮質セロトニン濃 度の低下に伴ってAMl PA型受容体の高親和性および低親和性の両方の部位が

ともに同程度に増加したことが示された。

②セロトニン濃度の滅少によって影響を受ける受容体サブタイプの同定

(実験方法に対する検討)

 定量的イムノブロット実験においては各実験群において測定された蛋白質量 の一定性が重要である。本実験においては,膜サンプル作製の最終段階で各個

体のサンプノレ中の蛋白質量を統一し,さらにクマシーブリリアントブノレー染色 で転写された各サンプノレのタンパク質濃度に差がないことを確認した。また,

密度変化の評価に関しても,被検群と対照群の各個体のサンプルを全て同じゲ

ノレで同時に処理することにより実験操作による誤差を最大限排除するようにつ

とめた。ま仁評価に用いた蛋白質濃度と異なる濃度のサンプルでも同様の結

果が示されたので,サンプノレ間の免疫反応が平行となる蛋白質濃度で評価した

ことが確認された.これらのことから本研究で行った定量的イムノブロット実

験の結果の信頼性は高いものと考えられる。

(25)

(発現量が変化する主要な受容体)

 本実験においてG1疵2受容体の増加とともにG1岬1受容体の減少が示され

た。放射性リガンド結合実験の結果はAMPA型受容体の増加を示しているが,

これまでにラットの大脳皮質に発現するGhR2受容体量はGhR1受容体の4

倍という報告があり(B級h皿θ ㍑五,1996)、AMPA型受容体の総量の増加には

GhR2の増加を反映している。GhR3受容体については直接的な結果は得ら

れなかったが,GhR2抗体とGhR213交差抗体を用いた実験が同様の結果を

宗したため、G1搬3受容体量大きく変化していないと考えられる.GhR4受

容体の発現は小脳に限局することが知られ争大脳皮質での発現量は僅少である

(Ke虹触鵬皿θ ㍑五,1990:S就o甜姐,1993)。本実験では極めて高濃度の抗

体(50倍)を反応させても非常に希薄な免疫陽性バンドしか得られなかったた め、発現量計測に不十分であった。この緒果から害AMPA受容体総量の変化に

おけるGhR4の関与は極めて小さいと考えられる・従って,大脳皮質セロト

ニンの濃度低下に伴つたAM早A型受容体の増加は主にG1nR2受容体の増加に

よる事が示された。

③G1疵2発現調節に関与するセロトニン受容体の同定

 これまでに茅セロトニンが中枢神経系においてシナプス数を調節するという 報告があり、この現象は5−HT.A受容体が主体となって関与していることが明

らかになっている(N批帥砿姐,1995)。このことは中枢神経系での神経伝達

の調節機構に5−HT。。受容体が深く関わっている事を示唆している.また,5− HT。。受容体特異抗体を用いた免疫組織化学的研究では、サノレとラットの大脳皮

(26)

質にある錐体細胞の多くがこの受容体を発現し,非対称性シナプスの後シナプ

ス膜肥厚部に局在することが報告されている(H鋤&由θ 彦a五,1998;J 盆k&b馳虚

Go1d皿触一Ra虹c ,19⑭8)。このことは5岨丁2A受容体とGhR2受容体が同じ後

シナプス膜肥厚部に共存していることを強く示唆している。これらのことから、

次に大脳皮質セロトニン濃度の減少に伴って起こるG1疵2受容体発現量の増

加に対する5丑丁。A受容体の役割を検討した。

 ラットに選択的アンタゴニストであるケタンセリンを投与することによって 5−HT.A受容体を阻害した結果、GhR2/3抗体の免疫反応が皿CPAを投与した 群と同様な増加傾向を示した。薬物投与期間を4目間に短縮した実験でもpCPA 投与群とケタンセリン投与群のG1皿醐抗体の免疫反応は同様の増加傾向を示

し,大脳皮質セロトニン濃度の減少に伴うGhR2発現量の増加に5−HT.A受容

体が関わっている事が示された、

④5−HT.A受容体によるGhR2受容体発現調節の意義

 従来AMPA型受容体にはC&2+透過性がないと考えられてきたが、その原因

がG1皿R2受容体にあることが明らかにされた(Hou㎜独n砿2五,1991;

Ve珊oor 皿助姐,1991)。GhR2受容体は立体構造でイオノフォアを形成する 部分に極性アミノ酸分子が配置されるようにRNAエディティングが起こりヨ2

価の陽イオンの透過を阻害する(So醐㎜e皿θ 后姐,1990;Hi 駆c hi θ 畑五,1993).

これに対して他の3つのサブタイプは2価の陽イオンの透過を阻害しないため,

GhR2を含まないAMPA型受容体チャンネルはC盟2+を透過させると考えられ

ている(Peue釦ni −Gi 醐pi ぬoθ 彦凌五,1997)。この点NAエデイテイングは出

(27)

生以後では全てのG1疵2の㎜RNAに起こることが報告されており,本研究で

増加が確認されたGhR2は全てC凱2ヰ透過性を阻害する性質があると考えられ

る(Hou㎜敏nn&皿aHd皿e㎜&nn,19⑨4)。

 また、G1u醜の発現をなくしたミュータントマウスの研究ではNMDA型受

容体の阻害下でも著しいC&2キの細胞内流入が報告されている(J i &θ 彦姐,

1996)。また,NMDA型受容体非依存性のLTPがこのミュータントマウスに

みられた(丁嚇鵬皿砿姐,1982;J i a,θ ㍑五,1996)。また、このミュータントマ

ウスは幼若期に死亡することが報告されている(J i 我θ け五,1996).以上のこ

とからGhR2受容体が細胞内へのC&2キ流入に対して果たす役割が大きいこと

が推察される。

 このような性質からG1皿R2は神経細胞に対する内因性グノレタミン酸による 神経毒性発現の「分子的スイッチ」になっていると考えられている.実験的に 脳虚血状態にしたラットの海馬で神経細胞死が起こり(H6醐孤θ ヵ泓,1993;

N

i 鮎o㎡砿姐,1995),これに伴うG

1疵2の㎜RN

Aの顕著な減少が報告され

ている(Peue釦皿i −Gi 鋤pi e枕o甜β 五,19躯)。また,実験的に痙撃重積状態

にしたラットの海馬でも神経細胞死とAMPA型受容体の㎜RNA発現量の変化

が報告されている(D蝸駅皿owθ 后姐,1995&;M就he亙皿θ 彦泓,1998)。この神

経細胞死の原因が、C&料透過型AMPA受容体を介した神経細胞内への過度の

C設料流入にあるとした「G1疵2仮説」が提唱されている。「Gh醐仮説」は

脳虚血やてんかんぱかりではなく,アルツハイマー氏型痴呆やハンチントン氏 病などの神経細胞死が見られる疾患で(D醐騨醐wθ 彦姐,1995b)、G1疵2発 現量減少に起因する神経細胞への過度のC&料流入が起こっており、病態の発

(28)

現に関与していることを示唆している(Peue紅ホGi 独pi et r oθ 庄∂五,1997).セ

ロトニンはアノレツハイマー氏型痴呆など様々な神経疾患への関与が知られてお

り(S弧ayk,1992),その病態発現にセロトニンによるG1疵2の発現調節機

構が関与しているかもしれない。

 本実験の結果から夢5丑丁。。受容体を介したセロトニン刺激の阻害に伴って

G1疵2が増加する事が明らかになった.放射性リガ:/ド結合実験の結果は

AMPA型受容体総量の増加によるA㎜∼A型受容体を介する伝達の増強を示唆

する.一方,定量的イムノブロット法の結果が示すC&2+を透過させるG1疵1 の減少と,C&2ヰ透過を阻害するGhR2の増加はAMPA型受容体チキンネノレ構

成の変イヒに伴う細胞内へのCa2+流入の減少を推測させる.このように本実験

は大脳皮質においてセロトニン濃度が変化すると,シナプス後部にあるAMPA

型受容体発現量が変化して興奮性神経伝達が調節されることを示唆している.

 また,興奮性シナプス後部におけるAMPA型受容体と5−HT。。受容体の共存

を基にして,セロトニンによる興奮性神経伝達の調節に関して一つのモデノレが 考えられる.図10のように興奮性シナプスに存在する5−HT。。受容体はそこか

ら離れた神経線維から放出されたセロトニンに対して反応し,その結果AMPA

型グノレタミン酸受容体の発現が調節されるというものである.AMl PA型グルタ

ミン酸受容体はNMDA型受容体と協働し,興奮性神経伝達の効率を変化させ

る。セロトニンはこのような機構を通して脳内濃度が1000倍も高いグノレタミ ン酸による神経伝達に影響し,間接的に高次神経機能を調節しているのではな

いかと考えられる。

(29)

 スキャッチャードプロット法を用いた直線回帰分析により,大脳皮質におい

ては部位差が無く,[3珂カイニン酸の最大結合量が減少傾向を示した.リガン

ドの受容体に対する親和性には変化が見られなかった.従って,大脳皮質セロ

トニン濃度の低下に伴ってカイニン酸型受容体量が減少する事が示された.  〔3珂カイニン酸のスキャッチャードプロットも高親和性部位と低親和性部位

の二相性を示すことが知られている(Mo蝸gh狐θ ∼五,1989)。このために

は非直線回帰を行わなければならないが,[3瑚カイニン酸の受容体に対する親

和性が極めて低いことや高親和性の特異的放射性リガンドが利用できない

(Di 皿g1e伍鵬θ 畑1.1999)ことなどの理由により,非直線回帰による分析は行

わなかった。本実験での直線同帰分析による結果は,カイニン酸型受容体総量

の変化を示していると考えられる.

 これまでにカイニン酸型受容体について,免疫組織化学的研究や血8加ハ

イブリダイゼーシ戸ン法により脳内分布が調べられている(Monagha皿θ ㍑ヱ, 1989;Hon㎜鼠n孤狐a He㎞e㎜駁n双,1994).この受容体は他のイオノトロピッ ク型グノレタミン酸受容体と同様に中枢神経系全体に広く発現しているが,シナ プス前終末部にも発現するという特徴がある(Pe枇出&θ 汐泓,1994).最近,

AM

PA受容体の特異阻害薬が開発され,N

M

D

A型とAM

PA型受容体の阻害下

にカイニン酸型受容体活性だけを維持した興奮性伝達の実験が可能になった

(Vi 興es 狐a Co肚阻釦age,1997)。この実験系を用いて海馬においてカイニ

ン酸型受容体の活性化が神経終末からのグルタミン酸放出を抑制するというこ

とが報告された(Cos s 鮒t θ ∼五,1998).この現象を大脳皮質に適用すると,

(30)

本実験の結果からセロトニン濃度の低下は興奮性神経終末からのグノレタミン酸

放出抑制の解除に働く可能性が考えられる.しかし,カイニン酸型受容体の働

きは未だ不明な点が多く今後さらに検討していくべき課題である。

5.NMDA型受容体発現に対する影響

 NMDA型受容体には,グルタミン酸以外の結合部位が知られている.㎜ζ 一801

はフェンシクリジン(PCP)の特異結合部位に高い親和性を示す非競合的アン タゴニストである(Wongθ ㍑五,1986)。スキャッチャードプロット法を用い

た直線回帰分析にキりヨ大脳皮質の3部位において同様に,[3珂㎜ζ 一801の最

大結合量と親和性には変化が見られなかった。㎜ζ 一801の結合部位は親和性が

単一でスキャッチャードプロットは直線を示すことが知られている.本実験の

結果は単一親和性の結合部位のみを認識した。

 本実験の緕果から、大脳皮質セロトニン濃度の低下に伴うイオノトロピック 型グノレタミン酸受容体発現量の変化はno阯NMDA型受容体が主体となってい

ることが示唆された.

(31)

第5章 緒論

1本研究により以下のことが明らかとなった.

 セロトニンの合成阻害剤pCPA1OO㎜g欣g体重を7目間投与したラットに

おいて,大脳皮質のセロトニン濃度は5%以下に減少しヨそれに伴い,機能 的AMPA型グノレタミン酸受容体密度の増加とカイニン酸型受容体密度の減少 が観察された。NMDA型受容体密度に変化は見られなかった。

 このうち,AMPA型受容体密度の増加はAMPA型受容体のC鼠2+透過性を調

節するG1疵2受容体の増加によるものであった.

 また,このヤロトニン濃度の低下によるG1協2受容体の増加現象は5−HT。。型 セロトニン受容体を介したものであった.

1また 本研究から以下の可能性が示唆される。

 広範投射系であるセロトニン作動性神経は、限局投射系であるグノレタミン酸

作動性興奮性神経伝達に対して、イオノトロピック型グノレタミン酸受容体の構

成を変化させることにより伝達効率を調節し,神経伝達の可塑的現象や高次神

経機能の発現に関与している.

(32)

謝辞

 本研究を行うにあたりご指導頂きました指導教官の筑波大学基礎医学系 岡

戸信男教授に心より御礼申し上げます。

 本研究を行うにあたっての討議および実験に関するご助言を頂きました筑波

大学基礎医学系 濱岡俊講師に心より御礼申し上げます。

 本研究にご助言を頂きました筑波大学基礎医学系 志賀隆助教授に心より御

礼申し上げます。

 本研究に対するご助言およびpCPA投与によるGhR2増加説に対してその

醐RNAの増加データの付加によりご支援下さいました筑波大学基礎医学系 成

田正明講師に心より御礼申し上げます.

 本研究に対して神経細胞培養法による解析をご指導下さいました東京都精神

医学総合研究所 山本秀子博士に厚く御礼申し上げます.

 実験に関するご助言を頂きました筑波大学基礎医学系解剖学グループの諸先

生方に厚く御礼申し上げます.

 [3瑚MK−801縞合実験およびその他の放射性リガンド結合実験にご便宜下さ

いました筑波大学臨床医学系 鈴木利人助教授ならびに精神薬理学グノレープの 諸先生方に厚く御礼申し上げます.

 最後に、[3瑚MK801結合実験にあたってご協力頂きました筑波大学大学院

修士課程医科学研究科平成10年修了の柴閏路代氏に深く感謝します.

(33)

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Peueg血ni −Gi a.㎜pi e位o D.E.,Z皿虹皿R.S.,Be皿皿et t  Ml .V.,Cho S.a.nd−

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  皿凱t s .1ケoo.1〉身〃.ノ盆oa∂。8oゴ,乙1二8.ノ乳.89:10499−10503.

Peueg虹ni −Gi &㎜一pi et xo D.E.,Go武e皿J .A.,Bennet t  Ml .V.狐a Z泄ki n R.S.

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