Ⅲ 老 人 福 祉 セ ン タ ー
1 施設の概要 ( 1) 施設の設置目的
老人福祉センターは、老人福祉法第 5 条の 3 に掲げられている老人福祉施設 のひとつである。老人福祉法の目的は、「老人の福祉に関する原理を明らかにす るとともに、老人に対し、その心身の健康の保持及び生活の安定のために必要 な措置を講じ、もって老人の福祉を図ること」(老人福祉法第 1 条)である。 また、老人福祉センターの目的は、「無料又は低額な料金で、老人に関する各 種の相談に応ずるとともに、老人に対して、健康の増進、教養の向上及びレク リエーションのための便宜を総合的に供与すること」(老人福祉法第 20 条の7) とされている。
( 2) 施設設置の経緯
老人福祉センターは老人福祉法上の施設ではあるが、必ず設置しなければな らない施設ではなく、「国及び都道府県以外の者は、社会福祉法の定めるところ により、軽費老人ホーム又は老人福祉センターを設置することができる」(老人 福祉法第 15 条第 5 項)とされているものである。
堺市においては、老人福祉法の趣旨に従い地域高齢者の健康で明るい生活に 資するため早くから老人福祉センターを設置している。昭和 47 年に同和地区の 高齢者のための施設として泉寿苑(市直営施設)を設置した後、市の南部と北 部に各 1 カ所設置した。
その後政令指定都市をにらみ、支所制度が稼働し、また第三次堺市総合計画 の第1期実施計画(平成 3 年度から平成 7 年度)においても「地域の均衡を図 るうえで欠かすことのできない生活基盤施設の整備に重点をおく必要がある」 と明記され、「老人福祉センター建設事業の推進」が謳われている。こうして地 域住民の利便性追求、利用の不均衡を解消することも加味し、各支所毎に公共 施設を設置することが推進され、老人福祉センターについても順次建設された ものである。
( 3) 施設の概要
項 目 南センター 北センター 西センター 東センター 中センター 設置年月日 昭和 48. 9. 1 昭和 59. 5. 1 平成 8. 4. 1 平成 9. 4. 1 平成 11. 4. 1 所在地 御池台5丁 常磐町1丁 鳳東町6丁 日置荘原寺町 八田南之町
延床面積( ㎡) 1, 101. 33 1, 368. 65 1, 278 1, 087 1, 038. 39
建物構造
鉄 筋 コ ン ク リ ー ト 造2階建
鉄 筋 コ ン ク リ ー ト 造 地 上 2 階 建地下1階
鉄 筋 コ ン ク リ ー ト 造 地 上 7 階 建 地 下 1 階 の う ち 5 階 部分
鉄 筋 コ ン ク リ ー ト 造 地 上 4 階 建 地 下 1 階 のうち1・2 階の一部分
鉄 筋 コ ン ク リ ー ト 造2階建
投資額( 千円)
初期 91, 938 追加 103, 588
初期 778, 804 追加 146, 710
初期
1, 516, 157 初期
1, 134, 902 初期
438, 046
管 理 形 態 の 変 遷 ( 注)
平成 11年度 まで直営、平 成 12年度か ら管理委託
平成 11年度 まで直営、平 成 12年度か ら管理委託
管理委託 (当初から)
管理委託 (当初から)
管理委託 (当初から)
従事人員(人) ( )は市関係者 で内数
平成 15 年度末
常勤 3 ( 派遣 3)
非常勤 4 ( 市非常勤2)
常勤 3 ( 派遣 3)
非常勤 4 ( 市非常勤2)
常勤 3 ( 派遣 3)
非常勤 4 ( 市非常勤2)
常勤 2 ( 派遣 2)
非常勤 6 ( 市非常勤2)
( 再雇用3)
常勤 3 ( 派遣 3)
非常勤 4 ( 市非常勤2)
( 再雇用1) ( 注) 管理委託先は、財団法人堺市福祉サービス公社(堺市 100%出捐の公益法人)
( 4) 施設内の主な設備
大広間、和室、娯楽室、会議室、機能回復室、浴室、相談室、事務室等
( 5) 施設運営に関する条例等 ①堺市立老人福祉センター条例
②堺市立老人福祉センター条例施行規則
( 6) 施設の事業(施行規則第 2 条)
①生活及び健康についての相談に関すること。 ②生業及び就労の指導に関すること。
( 7) 使用時間及び休館日(施行規則第 4 条及び第 5 条)
① 施設の使用時間は、午前 9 時から午後 5 時 15 分まで。ただし、浴室は午 前 10 時から午後 3 時まで
② 休館日は、毎週日曜日、国民の祝日(敬老の日を除く)、年末 12 月30 日 から年始 1 月 4 日まで
( 8) 使用者の資格(施行規則第 3 条) ①堺市に居住する 60 歳以上の者 ②その他市長が適当と認める者
( 9) 使用のための手続き
使用者からの申込みにより、有効期限 5 年間の利用証を発行している。 個人使用の場合は、使用当日に利用証を受付に提示する。
団体(10 名以上)使用の場合は、使用申込書を提出し、使用許可書の交付を 受ける。使用申込みは、使用期日の属する月の 3 か月前に応当する月の初日か ら受理される。なお、団体利用であっても、当日利用証の提示は必要である。
( 10) 施設の所管部署
健康福祉局 福祉推進部 高齢福祉課
( 11) 施設の利用状況
各施設の利用に関するデータは次のとおりである。 ①利用証発行者数(平成 16 年 9 月末現在)
②延利用者数の推移
( 単位 :人)
南セ ンタ - 北セン ター 西セン ター 東セ ンタ ー 中セン ター 合計 1, 571 2, 308 3, 022 2, 820 1, 482 11, 203
60歳以 上人口( イ) 38, 973 35, 917 33, 523 24, 209 27, 161 159, 783 割合 ( ア) / ( イ) 4. 0% 6. 4% 9. 0% 11. 6% 5. 5% 7. 0%
利用証発行 者数( ア )
区 分
( 単位:人 )
南セン タ- 北セン ター 西セン ター 東セン ター 中セ ン ター 合計 平 成13年度 66, 702 99, 844 85, 265 108, 771 67, 885 428, 467 平 成14年度 54, 362 39, 661 84, 987 119, 603 75, 138 373, 751 平 成15年度 72, 776 107, 641 86, 848 121, 962 75, 636 464, 863
( 注) 平成 14 年度南センター及び北センターの利用者数が少ない主な原因
南センター:平成 14 年 9 月 24 日から平成 15 年 2 月 7 日まで、浴室改修工事のため浴 室の利用ができなかったため、利用者数が減少した。
北センター:平成 14 年 8 月 1 日から平成 15 年 2 月 28 日まで、改修工事のため休館し たため、利用者数が減少した。
③ 団体・個人別及び男女別延利用者数(平成 15 年度)
④ 貸室の利用状況(平成 16 年 10 月)
( A) 団体利用(平成 16 年 10 月の4週間 24 日間)
南センタ- 北センター 西センター 東センター 中センター 合計
貸室数 ( ア) 4 5 3 4 3 19
利用可能単位数( イ) =( ア) × 24× 2 192 240 144 192 144 912
団体利用単位数( ウ) 153 106 107 146 96 608
団体利用率( エ) =( ウ) / ( イ) 79. 7% 44. 2% 74. 3% 76. 0% 66. 7% 66. 7%
参考:団体数 28 27 31 48 34 168
( B) 団体及び個人利用(平成 16 年 10 月の 25 日間)
南センタ- 北センター 西センター 東センター 中センター 合計
貸室数 ( ア) 4 5 3 4 3 19
利用可能単位数( イ) =( ア) × 25× 2 200 250 150 200 150 950
利用単位数( ウ) 171 199 134 181 120 809
全体利用率( エ) =( ウ) / ( イ) 85. 5% 79. 6% 89. 3% 90. 5% 80. 0% 85. 2% ( 注) 団体利用は、週単位で特定曜日としているため 4 週間 24 日での利用率を算定してい
る。利用単位は 1 日を「午前」と「午後」の 2 単位としている。
( 単位 :人)
南セ ンタ - 北セン ター 西セン ター 東セ ンタ ー 中セン ター 合計 男性 5, 467 5, 205 6, 318 13, 512 5, 159 35, 661 女性 10, 953 9, 734 16, 065 21, 024 11, 402 69, 178 計 16, 420 14, 939 22, 383 34, 536 16, 561 104, 839 団体数 1, 001 833 1, 250 1, 796 1, 049 5, 929 男性 37, 745 56, 952 41, 168 55, 771 37, 990 229, 626 女性 18, 611 35, 750 23, 297 31, 655 21, 085 130, 398 計 56, 356 92, 702 64, 465 87, 426 59, 075 360, 024 男性 43, 212 62, 157 47, 486 69, 283 43, 149 265, 287 女性 29, 564 45, 484 39, 362 52, 679 32, 487 199, 576 計 72, 776 107, 641 86, 848 121, 962 75, 636 464, 863 団体
個人
(12)管理運営委託の概要 ① 委託金額及び補助金額
(単位:千円) 項 目 平成 13 年度 平成 14 年度 平成 15 年度
委託料 275, 085 266, 572 258, 967
補助金 − 44, 746 42, 736
合 計 275, 085 311, 318 301, 703
② 委託業務内容の概要
( ア ) 老人福祉センターの建物、設備その他器具備品(堺市の財産であるもの に限る)の維持管理業務
( イ ) 老人福祉センターの使用に関する業務
( ウ ) 老人福祉センターの利用証の交付に関する業務 ( エ ) 生活及び健康についての相談に関する業務 ( オ ) 生業及び就労の指導に関する業務
( カ ) 健康の増進、教養の向上及びレクリエーションに関する業務 ( キ ) その他老人福祉センターの設置目的を達成するために必要な業務
③ 補助金の概要(補助金交付要綱より抜粋) ( ア ) 目的
補助金は、財団法人堺市福祉サービス公社(以下、この章で「サービス 公社」という。)の運営に要する経費の一部を補助することにより、在宅福 祉サービスに関する調査研究、相談、情報提供等を行うとともに、市民の 参加と協力を得て、在宅保健福祉サービスの提供を行い、堺市に居住する 高齢者等援護を必要とする者の福祉の増進に寄与することを目的とする。
( イ ) 補助対象事業
補助対象事業は、上記②の委託業務と同一の内容である。
( ウ ) 補助対象経費
補助対象経費は、補助対象事業に係る人件費(役員報酬、給料手当額、 福利厚生費)。
補助金の額は、予算の範囲内で補助対象経費の実支出額からその他の収 入を控除した額を限度額とし、市長が定める額。
2 監査の結果
( 1) 委託料及び補助金算定方法の見直し
委託料は、平成 13 年度までは人件費は実際従事者の人件費に基づき積算、物 件費は個別項目毎に積算を行い算定していた。平成 14 年度からは次のとおり算 定方法を変更している。
( ア ) 人件費は老人福祉センター運営に必要と考えられる職員の人数(サー ビス公社管理部門の役職員も含む)に人件費単価を乗じて算出。人件費 単価は民間給与統計データを参考にしている。
( イ ) 物件費(サービス公社管理部門の物件費も含む)については、従来ど おり個別項目毎に積算。
( ウ ) 諸経費として人件費と物件費の合計額の 10%を積算。
( エ ) 上記( ア ) から( ウ ) の積算合計額をもって委託料を算定している。 平成 13 度までは老人福祉センター管理に必要な経費はすべて委託料の算定 に含められていたため、補助金の交付はされていない。平成 14 年度から委託料 算定方法を変更した結果、新方式により算定された委託料では人件費のすべて を賄うことができないとして、人件費不足分を補助金として交付している。 ①委託料の金額算定の見直し(諸経費の積算について)
一般的に委託料を積算する場合、委託事務に必要な直接人件費及び直接物 件費を積算し、次に間接人件費及び間接経費を個別方法により又は直接費に 対する一定割合により積算し、直接費及び間接費の合計をもって委託料算定 額とすると考えられる。老人福祉センターの委託料積算においては、間接部 門である サービ ス公社 管理部 門費 用を個 別見積 り方法 により 積算し ている (上記( ア ) 及び( イ) に含まれている)。それにも関わらず人件費及び物件費合計 額の 10%を諸経費として加算している。
しかし、間接人件費及び経費を個別見積りしていることから、諸経費は予 備費の役割を果たすこととなるが、総額の 10%もの諸経費の必要性は認めら れず、委託料算定を明瞭にするため見直しが必要である。
め、やはり諸経費加算は見直しが必要である。
( ア ) 委託料積算方法と、実質的取扱いが異なっている。
( イ ) 人 件費 の金 額を 民間 給与 レベ ルで 算定 する とし てい るが 、 実際 は 10%加算しており、建前と実質が相違している。
②補助金の金額算定の見直し
補助金交付要綱において、老人福祉センターの事業を補助対象事業とし、 「補助対象経費は、補助対象事業に係る人件費(役員報酬、給料手当額、福 利厚生費)とする。」、また補助金額は、「予算の範囲内で、補助対象経費の実 支出額からその他の収入を控除した額とし、市長が定める。」としている。
原則的には、合理的に計算した委託料を支払っているのであり、補助金は 必要ないのであるが、サービス公社の常勤職員がすべて市からの派遣職員で ある現状からすると、委託料のみでは人件費を賄えない状況にある。「委託料 は民間並の人件費で算定し、不足額を補助金で補うという現在の方法」は、 従前のように「必要な経費をすべて委託料とする方法」に比べて、老人福祉 センターにかかる費用をより明確に示す点で改善がなされたといえる。
補助金額計算に算入している人件費は、老人福祉センターの管理に直接携 わっている職員の人件費のほか、サービス公社全体の運営管理を担当する役 員、総務・経理等職員(以下「管理部門役職員」という。)の人件費が含まれ ている。サービス公社の役職員は老人福祉センターの運営に間接的に関与し ているため、管理部門役職員人件費を補助対象経費とすることに問題はない。
しかし、サービス公社は老人福祉センターの管理運営受託業務のほかに、 特別会計で介護保険事業及び支援費事業を実施、一般会計においても他の事 業を実施している。したがって、管理部門役職員の人件費は、老人福祉セン ター事業のみが負担するのではなく、各々の管理部門役職員の従事割合に基 づき各事業に配賦する必要がある。現在の方法では、老人福祉センター事業 が人件費を多く負担しており、市がサービス公社に補助金を多く交付してい ることになる。
早急に、管理部門役職員の各事業への従事割合を調査し、各事業に対し合 理的な人件費を負担させる必要がある。
( 2) 老人福祉センターで使用するために購入した備品の取扱い
( 注) 備品は、長期間にわたり、その性質又は形状を変えることなく使用し、保存 に耐える物品をいう(堺市財産規則第 53 条第 1 項( 1) )
サービス公社は、受託見積書(費用明細)を提出するものの、委託料は確定 金額であるため精算の取決めはなく、委託料を実際どのように使ったかの報告 義務はない。老人福祉センター内で長期的に使用する備品について市査定の予 算に基づき購入している。しかし、備品購入については、次のような理由から 市とサービス公社間での正式な取決めが必要である。
① 老人福祉センター内の事業の一環として使用するものであり、老人福祉 センター内で行う事業は市の了解の下に行われるべきである。
② 物品の耐用年数が経過するまでの間、老人福祉センターの管理をサービ ス公社に委託するという保証はなく、委託先を他の業者に変更する可能性 がある。備品をサービス公社の資産としておくと、委託先を変更した場合、 市はその備品を引続き使用したいのであればサービス公社から購入しなけ ればならない。この場合、購入金額をどのようにするかが問題となる。一 方、市が備品を使用しない場合は、サービス公社はその備品を他の事業に 転用しなければならない。うまく転用できない場合は当該資産は無駄にな る。
以上の事項を勘案して、数年使用可能な備品については、次のいずれかの取 扱いを採用することを提案する。
① 備品購入費全額を委託料に含め、購入した備品は市の所有物とする。 ② 備品の購入は市の了解の下にサービス公社が行い、備品はサービス公社
の所有物とする。委託料には備品の減価償却費年額相当額を含める。委託 先を変更する場合の備品の取扱いについて、市とサービス公社で取決めて おく。
どちらの場合においても、委託契約書又は仕様書において、その方法を記載 しておく必要がある。
( 3) 老人福祉センターへの寄付品の取扱い
老人福祉センターに対する寄付品の取扱いについて定めたものがない。過去 に、カラオケセットの寄付を受けたが、市とサービス公社のどちらの帳簿にも 資産計上されていないとのことである。
ンターの所有者である市に帰属するものと考える。しかし、寄付は寄付者の意 思が尊重される必要があることから、今後は、寄付者から市に寄付するのか、 サービス公社に寄付するのかの寄付先を記載した書面を受取り、帰属先を決定 することが適切である。
3 意見
( 1) 清掃業務の指名競争入札における最低制限価格 ①概要
3 センター(南、北、中)の清掃業務を外部委託するに当たっては、1 年目 に指名競争入札により委託業者を決定し、翌年度から 2 年間は 1 年目の落札 業者と原則随意契約することを予定している。指名業者の選定及び予定価格 並びに最低制限価格は市の積算に基づきサービス公社が決定することとなっ ている。
平成 15 年度に行われた南センター及び北センターの入札の状況は次のと おりである。(なお、中センターは平成 14 年度に八田荘老人ホームと合わせ て指名競争入札を実施している。中センター単独の資料がないため、ここで は記載していない。)
<南センター> <北センター>
金額(円) 結果 金額(円) 結果
最低制限価格 ― 最低制限価格 ―
入札価格 A 2, 700, 000 入札価格 A 3, 500, 000 B 2, 087, 800 落札 B 2, 990, 000 C 1, 975, 000 失格 C 2, 630, 000 D 1, 890, 000 失格 D 2, 560, 000 E 1, 880, 000 失格 E 2, 460, 000
F 1, 650, 000 失格 F 2, 290, 000 落札 G 1, 500, 000 失格 G 2, 240, 000 失格 H 1, 200, 000 失格 H 2, 087, 800 失格
I 辞退 I 欠席
また、前回の平成 12 年度指名競争入札の状況は次のとおりである。
平成 15 年度は平成 12 年度に比べ空調清掃業務が加わったことなど業務の 仕様内容が異なっているため、予定価格については、平成15 年度は平成12 年度に比べ高くなっている。
また、最低制限価格については、従来は工事請負には設定されていたもの の業務委託に関しては設定されていなかった。市が、平成 15 年度から業務委 託にも最低制限価格制度を導入することとなったため、サービス公社におい ても導入されている。
②意見
最低制限価格を設定した結果、南センターの平成 12 年度の落札者は失格に なっている。しかし、最低制限価格制度は、委託業務の契約に当たり、適正 な競争性の確保及び当該契約内容に適合した履行の確保を目的として設けた ものであり、この条件を充足しないため失格になることは、制度導入の結果 である。
最低制限価格の設定については、上記最低制限価格制度が導入された目的 に則って、業務遂行に必要な最低限の経費を積算する方法をとっているが、 積算方式に問題はない。今後とも最低賃金法の趣旨を踏まえ、近隣都市や民 間取引状況を考慮し、より妥当性のある最低制限価格の設定に向けて努めら れたい。
( 2) 老人福祉センターの今後のあり方
老人福祉センターの利用者数は増加傾向にあり、1日平均してかなりの利用 者がある。また、部屋の利用率も高い。その点において、老人福祉センターの 施設は有効に利用されていると言える。
しかし、利用証発行者数は地区内 60 歳人口に対して 4. 0%から 11. 6%、平均 7%に留まっており、施設が地区内高齢者にまんべんなく利用されているとは言 い難い状況である。
<南セ ンター> < 北センター>
金額( 円) 金額(円)
最低 制限価格 設定 なし 最 低制限価格 設定なし
落札 者 F 落 札者 D
落札 価格 1, 864, 800 落 札価格 1, 795, 50 0
現在の利用証発行者数の割合が市の公共施設として適当なのかどうかの判断 は難しいが、老人福祉センターの今後のあり方に関して、次の3つの事項につ いて提案する。検討が望まれる。
①利用状況及び高齢者のニーズの調査
現在、利用状況等のデータ収集について次のような問題点が認められる。 ( ア ) 個人利用は浴室利用が多いとのことであるが、団体利用者も含めて浴室 の利用者が何人いるかのデータを収集していない。また、個人利用者が浴 室以外のどの施設を利用しているかのデータがない。
( イ ) 1日の延利用者数は集計されているが、利用証発行者のうち実際利用し ている者の人数、利用者の利用頻度の分布を収集していない。
( ウ ) 利用証発行者及び実際利用者の年齢別集計を行っていない。なお、利用 証発行者については、申込書に生年月日の記載があるためデータはあるが、 年齢別の集計を行っていない。
( エ ) 利用者の住所分布を把握していない。支所内の端に位置するセンターも あるが、遠方の者の利用はどうなのか、近隣の者ばかりの利用となってい ないのかのデータを収集していない。
( オ ) 施設の設備及びサービス内容が 60 歳以上の者のニーズに合っているか の調査を行っていない。
延利用者数が多いことをもって満足せずに、より多くの者が利用したいと 望む施設とするために、上記したような施設利用の具体的データの収集や利 用者へのアンケートによるニーズの調査等を実施することが必要である。 ② 老人福祉センターの位置付けの明確化
現在の老人福祉センターの利用は、団体クラブ活動、個人では、浴室利用 及び囲碁・将棋等個人で行える競技での利用が中心である。
老人福祉センターの事業として、「健康の増進、教養の向上及びレクリエー ションに関すること。」が掲げられているが、このうち「健康の増進」への貢 献度が低いように思われる。具体的には、「健康教室は月に一度と少ない。」 「健康器具の数は少なく、東センターで視察したところ、スペースの関係で 肩関節輪転運動器は利用不可能な場所に置かれていた。」「団体(クラブ)は、 健康関係・運動クラブよりも文化クラブの方が圧倒的に多い。」などである。
また、一部のクラブは近隣小学校の児童との交流、ハーベストの丘で花壇 作り等を行っているが、多くのクラブは内部の活動に留まっているとのこと である。
は、「健康な高齢者」「生きがいをもった高齢者」「高齢者の社会貢献」である と考える。
市は、平成 15 年 3 月に「堺市高齢者保健福祉計画及び介護保険事業計画(平 成 15 年度から平成 19 年度)を策定している。この中の「いきいき暮らせる 地域づくり」の施策体系において「高齢者の活動支援の充実」「地域福祉活動 の充実」を掲げている。まさに、これら施策を重点施策として推進すること が重要であり、その中で、老人福祉センターの役割は何であるかを明確にし て今後のセンターのあり方を検討する必要がある。
今後の老人福祉センターのあり方の一例として次のことを提案する。 ( ア ) 高齢者が社会貢献できるシステムづくりを行う。例えば、クラブの日頃
の練習成果を生かして、未経験者への指導、子どもへの指導等、センター 外部での活動、地域への還元を行う。その拠点として老人福祉センターを 位置付ける。
( イ ) 健康に関する催しを積極的に実施し、健康な高齢者の増加に寄与する。 ③高齢者活動のネットワークづくり
市担当課は、今後の課題として次の事項を挙げている。「老人福祉センター の利用者が増加する中、多様化する高齢者ニーズに対応するため、老人集会 所(室)などとのネットワーク化により、分散利用を図るなどの工夫が必要 と考える。」
老人集会所( 室) は、基本的に校区に設置されており、地域の老人クラブや 老人クラブ連合会の活動拠点となっている。老人クラブはその活動のひとつ に社会奉仕活動を掲げており、社会貢献を実施している。これに対して、老 人福祉センターは高齢者の広域活動を支援することを目的としており、校区 に関係なくセンターを利用できるメリットがあり広域交流は行われていると 思われるが、その活動はセンターに集まった高齢者内部の活動に留まってお り、広域的社会貢献の拠点となりえていない。
老人福祉センターが高齢者の広域活動を支援し、それを地域へ還元するに 当たって、老人集会所( 室) や高齢者に限定されず市民が利用できる地域の社 会資源との連携が求められる。老人福祉センターが中心となり、高齢者が生 きがいをもって社会に貢献できるようなネットワークづくりが必要である。
( 3) 老人福祉センターの運営形態について
委託方式に変更した」とのことである。
センターの従事人員を比較すると、例えば北センターでは、直営時(平成 11 年度)は常勤職員 9 名、非常勤職員1名の計 10 名であったが、委託に変更後(平 成 12 年度から)は常勤職員 3 名、非常勤職員 4 名の計 7 名となっている。清掃 業務の外部委託化等業務量の減少もあるが、常勤職員から非常勤職員への移行 が行われたことにより費用削減効果が現れている。このように、効率的運営の 努力が認められる。
しかしながら、老人福祉センターの運営に携わっている役職員に関しては、 次のような問題点が認められる。
① サービス公社設立時(平成 8 年 4 月)から現在までの間、常勤役員は 市のOB又は市職員が就任している。常勤役員の就任期間は、長い者で 3 年間である。
② センター業務に従事している常勤職員はすべて市からの派遣職員であ り、派遣の期間は原則 3 年間、例外的に認められている期間で 5 年間で ある。このように比較的短期間で役職員の交代が行なわれている。 老人福祉センターの運営に関して、ノウハウを積み重ねサービス向上につな
げるのであれば、担当者を短期間で交代させるのではなく、長期的にセンター に人員を配置し、経験を積ませる必要がある。一方、センターの利用者は定着 しており現状維持を考えるのであれば、運営の効率化のため、従事者を正職員 ではなく嘱託職員に、正職員であっても民間給与並の者に置き換えることが求 められる。
今後は、上記( 2) に記載したように高齢者の社会貢献広域活動拠点としての老 人福祉センターを運営していくためには、指定管理者制度に移行してセンター の運営を、積極的に社会貢献に意欲を示しかつ施設運営に企画力のある者を選 定し、任せていくことを提案する。
( 4) 施設の使用料徴収の検討
現在は、老人福祉センターの施設利用は無料とされている。
浴室の利用者は多く、利用者統計はないが、センター利用者全体の約 7 割程 度が利用しているのではないか、個人利用者に限るとその率はもっと高くなる と思われるとのことである。
センターの浴室の利用は、センターの各施設で活動を実施した後にその疲れ をとるために利用することを主目的とすべきと考える。
繁に利用するのは近隣の者が多いと思われ、その場合は、遠隔地の者との経済 的公平性が問題となる。また、センターの他の施設(貸部屋)に比べ、浴室の 運営には水道光熱費、清掃費等の多くの費用が必要である。これらを考慮して、 浴室の利用に当たり低額の料金徴収を検討してはどうかと考える。
また、センターの利用も 60 歳以上であれば誰もが利用可能であるが、実際の 利用者はそのうち数%の者であることを勘案すると、センター利用についても、 年会費などの徴収を検討してはどうかと考える。利用料金を決定するに当たっ ては、センター利用者にその点を十分に説明し、アンケートを実施し、それを 参考にすることも検討に値する。
なお、浴室利用1回 100 円、センター利用年会費 1, 000 円として、収入額を 試算すると、次のとおりである。
平成 15 年度の利用者数を使用して収入額を試算
〈仮定〉・平成 15 年度のセンター利用者を使用し、浴室利用者はセンター利用者の 70%とした。
・年会費徴収者は、平成 16 年 9 月現在の利用証発行者数とした。 〈収入の計算〉浴室利用料 464, 863 人(センター利用者)× 70%=325, 404 人 100 円× 325, 404 人=32, 540, 400 円
年会費収入 1, 000 円× 11, 203 人=11, 203, 000 円