「県立八戸北高等学校の重大事態に関
する調査報告書」の概要
こ の 資 料 は 、 関 係 者 の 個 人 情 報 の 保 護 に 配 慮 し な が ら 「 県 立
八 戸 北 高 等 学 校 の 重 大 事 態 に 関 す る 調 査 報 告 書 」 を も と に 、 次
の項目を中心にまとめたものである。
1
はじめに
2
調査の概要
3
県 教 育 委 員 会 教 育 長 か ら 審 議 会 へ 諮 問 さ れ た 3 つ の 事 項
について
4
おわりに
平成26年12月23日
1 はじめに
平 成 2 6 年 6 月 、 青 森 県 及 び 青 森 県 教 育 委 員 会 は 、 本 県 の 児 童 生 徒 の 尊 厳 を 保 持 する た め 、「 い じ め 防 止 対 策 推 進 法 」( 以 下 「 法 」 と い う 。) 第 1 2 条 の 規 定 に 基 づ き 、 県 ・ 市 町 村 ・ 学 校 ・ 家 庭 ・ 地 域 住 民 そ の 他 の 関 係 者 の 連 携 の 下 、 い じ め の 防 止 等 の た め の対 策 を 総 合 的 か つ 効 果 的 に 推 進 す る こ と を 目 的 に 、「 青 森 県 い じ め 防 止 基 本 方 針 」 を 策 定 した。
ま た 、 平 成 2 6 年 6 月 定 例 県 議 会 で の 議 決 を 経 て 、 県 の 基 本 方 針 に 基 づ き 「 青 森 県い じ め 防 止 対 策 審 議 会 条 例 」 を 7 月 7 日 に 公 布 ・ 施 行 し 、 県 全 体 と し て い じ め 問 題 に 取り 組 ん で い こ う と し た 矢 先 の 7 月 8 日 、 県 立 八 戸 北 高 等 学 校 2 年 生 の 女 子 生 徒 ( 以 下 「本 生徒」という。)が遺体で発見されるという痛ましい事案が発生した。
こ の 事 案 に つ い て 、 青 森 県 教 育 委 員 会 は い じ め に よ り 生 徒 の 生 命 に 重 大 な 被 害 が 生じ た 可 能 性 も 考 え 、 重 大 事 態 と し て 取 り 扱 う こ と と し 、 事 実 関 係 を 明 確 に す る た め の 調査 組 織 と し て 、 平 成 2 6 年 7 月 3 0 日 、「 青 森 県 い じ め 防 止 対 策 審 議 会 」 を 設 置 し 、 委 員 として我々6名(第3回審議会からは臨時委員を加え7名)を委嘱、任命した。
同 日 の 第 1 回 青 森 県 い じ め 防 止 対 策 審 議 会 に お い て 、 青 森 県 教 育 委 員 会 教 育 長 か ら、 県 立 八 戸 北 高 等 学 校 で 発 生 し た 重 大 事 態 の 事 実 関 係 を 明 確 に す る た め の 調 査 に 関 す る以 下の事項について諮問された。
1 いじめの有無に関する事実関係について 2 死に至った過程や背景について
3 再発防止策について
こ の 諮 問 を 受 け 、 本 審 議 会 は 関 係 資 料 を 収 集 す る と と も に 、 当 該 生 徒 と 関 わ り の あっ た 教 職 員 と の 面 談 を 8 回 、 当 該 生 徒 と 関 わ り の あ っ た 生 徒 と の 面 談 を 5 回 、 当 該 生 徒の 保 護 者 と の 面 談 を 4 回 、 医 療 機 関 関 係 者 と の 面 談 を 1 回 、 医 療 機 関 関 係 者 へ の 電 話 によ る聞き取りを1回実施して、事実関係の確認のための情報を収集し、それらをもとに10回 の審議会を開催して延べ約130時間にわたる調査審議を重ねた。
この調査報告書は、本審議会によるこれまでの調査審議内容をまとめたものである。
2 調査の概要
本審議会は、関係者と直接の人間関係及び特別の利害関係を有しない者(第三者)と いう立場で中立性、公平性の確保しつつ、専門的見地から以下のとおり調査を実施した。
(1)調査期間
平成26年7月30日(水)~平成26年12月23日(火)
(2)調査方法・内容
ア 学校、関係機関及び関係者から提供された資料の収集、分析 (ア)学校が提供した資料の分析
(イ)関係機関が提供した資料の分析
(ウ)本生徒の保護者が提供した資料の分析 (エ)審議会として整理した資料の分析
N O 資 料 分 類 名 提 供 元 1 本 事 案 発 生 に 関 す る 報 告 資 料 学 校 2 学 校 い じ め 基 本 方 針 ( 当 該 校 ) 学 校 3 平 成 2 5 、 2 6 年 度 学 校 要 覧 学 校 4 本 生 徒 の 個 人 カ ー ド 、 保 健 室 利 用 状 況 学 校 5 ス ク ー ル カ ウ ン セ ラ ー の 面 談 記 録 学 校 6 高 校 に お け る 学 習 状 況 等 資 料 学 校 7 高 校 教 職 員 ア ン ケ ー ト 調 査 学 校 8 1 、 2 学 年 時 の ホ ー ム ル ー ム 担 任 対 応 の 記 録 学 校 9 養 護 教 諭 作 成 の 記 録 資 料 学 校 1 0 平 成 2 6 年 度 進 路 希 望 調 査 学 校 1 1 定 期 考 査 学 習 計 画 表 学 校 1 2 思 春 期 と 健 康 に 関 す る 課 題 の レ ポ ー ト 学 校 1 3 平 成 2 6 年 度 体 育 個 人 記 録 カ ー ド 学 校 1 4 平 成 2 5 、 2 6 年 度 ホ ー ム ル ー ム 日 誌 ( 本 生 徒 記 載 部 分 ) 学 校 1 5 平 成 2 6 年 度 文 化 祭 で の 当 該 生 徒 の 役 割 学 校 1 6 全 校 生 徒 に 関 す る 質 問 紙 に よ る 調 査 報 告 学 校 1 7 2 学 年 全 生 徒 へ の 聴 き 取 り 調 査 報 告 学 校 1 8 調 査 分 析 に 関 す る ま と め 学 校 1 9 本 生 徒 に 関 す る 教 科 「 情 報 」 の プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン 評 価 資 料 学 校 2 0 本 生 徒 保 護 者 と 養 護 教 諭 の 面 談 記 録 の 概 要 学 校 2 1 携 帯 端 末 に 関 す る 企 業 等 か ら の 料 金 明 細 内 訳 書 本 生 徒 保 護 者 2 2 医 療 等 に 関 す る 資 料 本 生 徒 保 護 者 2 3 医 療 機 関 受 診 時 の 本 生 徒 作 成 メ モ 本 生 徒 保 護 者 2 4 本 生 徒 自 筆 の 日 記 風 メ モ 本 生 徒 保 護 者 2 5 本 生 徒 自 筆 メ モ ( 便 せ ん ) 本 生 徒 保 護 者 2 6 本 生 徒 保 護 者 の 意 見 要 望 書 等 本 生 徒 保 護 者 2 7 学 校 が 実 施 し た 質 問 紙 、 聞 き 取 り 調 査 の 集 計 審 議 会 2 8 当 該 事 案 に 関 す る 時 系 列 の ま と め 審 議 会 2 9 審 議 会 が 確 認 を 依 頼 し た 事 項 に 関 す る 資 料 審 議 会 3 0 報 告 書 骨 子 案 に 基 づ く 事 実 関 係 の 整 理 及 び 関 係 資 料 等 一 覧 審 議 会 3 1 携 帯 端 末 に 関 す る 企 業 等 へ の 資 料 請 求 結 果 審 議 会 3 2 ブ ロ グ 、 L I N E
※
に 関 す る 資 料 審 議 会
※LINE
イ 聞き取り調査と分析
(ア)審議会委員の面談及び電話による聞き取り調査の実施とその分析 (イ)審議会の指示を受け、事務局が実施した聞き取り調査とその分析
N O 期 日 ( 平 成 2 6 年 ) 調 査 分 類 名 1 7 月 3 1 日 ( 木 ) 本 生 徒 保 護 者 訪 問 ・ 面 談 1 2 8 月 2 日 ( 土 ) 本 生 徒 保 護 者 訪 問 ・ 面 談 2
3 8 月 7 日 ( 木 ) 中 学 校 当 時 の 関 係 教 員 聞 き 取 り 調 査 1 4 8 月 7 日 ( 木 ) 中 学 校 当 時 の 関 係 教 員 聞 き 取 り 調 査 2 5 8 月 8 日 ( 金 ) 高 校 訪 問 ・ 面 談 1
6 8 月 1 1 日 ( 月 ) 高 校 関 係 教 員 の 聞 き 取 り 調 査 1 7 8 月 2 0 日 ( 水 ) 高 校 訪 問 ・ 面 談 2
8 8 月 2 6 日 ( 火 ) 本 生 徒 保 護 者 の 聞 き 取 り 調 査 1 9 8 月 2 9 日 ( 金 ) 中学校当時の関係生徒聞き取り調査1 1 0 8 月 3 1 日 ( 日 ) 高 校 関 係 生 徒 の 聞 き 取 り 調 査 1 1 9 月 2 日 ( 火 ) 中学校当時の関係生徒聞き取り調査2 1 2 9 月 2 日 ( 火 ) 中学校当時の関係生徒聞き取り調査3 1 3 9 月 5 日 ( 金 ) 中学校当時の関係生徒聞き取り調査4 1 4 9 月 2 8 日 ( 日 ) 医 療 関 係 者 へ の 聞 き 取 り 調 査 1 1 5 9 月 3 0 日 ( 火 ) 高 校 関 係 教 員 の 聞 き 取 り 調 査 2 1 6 9 月 3 0 日 ( 火 ) 高 校 関 係 教 員 の 聞 き 取 り 調 査 3 1 7 1 0 月 9 日 ( 木 ) 医 療 関 係 者 へ の 聞 き 取 り 調 査 2 1 8 1 0 月 2 1 日 ( 火 ) 高 校 関 係 教 員 の 聞 き 取 り 調 査 4 1 9 1 0 月 2 6 日 ( 日 ) 本 生 徒 保 護 者 の 聞 き 取 り 調 査 2
ウ インターネット上の情報の収集、分析
※
( ア ) 個 人 が 携 帯 端 末 に 保 有 し て い る 情 報 又 は ネ ッ ト に 公 開 さ れ て い る 情 報 の 収 集とその分析
(イ)企業等が保有している情報の収集とその分析
※ イン タ ー ネ ッ ト や携 帯 端 末 に関 す る 情 報 の 入手 に つ い て 、本 審 議 会 は 関 係生 徒 及 び 保護 者 の同 意 を得 て 、公 開 され てい る 情報 や 各個 人の 端末 に 保有 し てい る情 報 の収 集を 行 った 。
ま た 、調 査 時 点 で 公開 さ れ て い な い過 去 の 情 報 につ い て も 、関 係 生 徒 及 び 保護 者 の 同 意 を得 て 、 株式 会 社 N T T ド コ モ に 対 し て 1 回 、 L I N E 株 式 会 社 に 対 し て は 2 回 、 弁 護 士 法 第 2 3 条 2 第 2 項 に 基 づ き 、弁 護士 及 び弁 護士 会を 通 して 照 会を 行っ た 。
N O 調 査 対 象 情 報 の 収 集 結 果 ( 照 会 先 の 回 答 等 )
1 本 生 徒 が 発 信 し 、 ネ ッ 本 生 徒 自 身 の ブ ロ グ 及 び 他 者 の ブ ロ グ へ の コ メ ン ト を 収 ト 上 に 残 っ て い た 情 報 集 し 、 分 析 し た 。
2 関 係 生 徒 が 保 有 し て い 関 係 生 徒 が 携 帯 端 末 に 保 有 し て い る L I N E の や り 取 り る 情 報 の 情 報 を 収 集 し 、 分 析 し た 。
3 株 式 会 社 N T T ド コ モ 本 生 徒 の 通 信 履 歴 等 に つ い て 情 報 提 供 を 求 め た 結 果 、 照 が 保 有 し て い る 情 報 会 先 か ら は 、 電 気 通 信 事 業 者 と し て 、 電 気 通 信 事 業 法 に 基 づ き 、 通 信 の 秘 密 に 属 す る 事 項 と 思 料 し 情 報 を 提 供 で き な い と の 回 答 が あ っ た 。( 照 会 期 間 : 平 成 2 6 年 7 月 1 日 ~ 平 成 2 6 年 7 月 4 日 )
4 L I N E 株 式 会 社 が 保 本 生 徒 の 通 信 履 歴 等 に つ い て 情 報 提 供 を 求 め た 結 果 、 有 し て い る 情 報 ① メ ッ セ ー ジ 送 受 信 履 歴 及 び 送 信 記 録 は 、 既 に サ ー バ ー か
ら削除されており、情報を提供できないとの回答があっ た 。 ② 送 受 信 記 録 ( メ ッ セ ー ジ を 除 い た 情 報 ) は 、 一 部 保 存 さ
3 県教育委員会教育長から審議会へ諮問された3つの事項について (1)諮問事項1 「いじめの有無に関する事実関係について」
ア 本 生 徒 は 、 高 校 1 年 生 の 5 月 か ら 6 月 に か け て 、 入 学 当 初 に 同 級 生 で 結 成 し た L I N E グ ル ー プ を 自 ら 退 会 し た 。 退 会 後 に お け る 当 該 グ ル ー プ 内 で の L I N E 上 又 は 本 生 徒 不 在 時 で の 悪 口 な ど の 一 部 の 生 徒 の 言 動 、 及 び い じ め と 判 断 さ れ る 可 能 性 の あ る 出 来 事 を 2 1 項 目 挙 げ 、 そ れ ぞ れ に つ い て 検 討 し 、 い じ め の 有 無 を 判断した。
そ の 際 、「 当 該 行 為 の 対 象 と な っ た 児 童 等 が 心 身 の 苦 痛 を 感 じ て い る も の を い う 。」 と す る 法 第 2 条 に 定 め る い じ め の 定 義 、 及 び 文 部 科 学 大 臣 が 決 定 し た 「 い じ め の 防 止 等 の た め の 基 本 的 な 方 針 」 や 「 基 本 方 針 」 に 示 さ れ て い る い じ め の 態 様を基準とした。
いじめ防止対策推進法
第2条 この法律において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在 籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等 が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行わ れ る も の を 含 む 。) で あ っ て 、 当 該 行 為 の 対 象 と な っ た 児 童 等 が 心 身 の 苦 痛 を感じているものをいう。
青森県いじめ防止基本方針
第1 いじめの防止等のための対策の基本的な方向に関する事項 2 いじめの定義
(6)具体的ないじめの態様には、以下のようなものがある。 ・冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる ・仲間はずれ、集団による無視をされる
・軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする ・ひどくぶつかられたり、叩かれたり、蹴られたりする
・金品をたかられる
・金品を隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりする
・嫌なことや恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする ・パソコンや携帯電話等で、誹謗中傷や嫌なことをされる 等
イ 検 討 の 結 果 、 2 1 項 目 の 行 為 の う ち 、 本 生 徒 に 対 す る 無 視 や 悪 口 な ど 7 項 目 を いじめと判断した。
そ し て 、 4 項 目 を い じ め と は 判 断 し な か っ た 。 ま た 、 残 り の 1 0 項 目 に つ い て はいじめの事実を確認できなかったため、いじめと判断できないとした。
○いじめと判断した7項目
で指摘していたり、LINE上で本生徒の悪口を言っていた。
④ 一 部 の 生 徒 間 で 、 本 生 徒 が L I N E グ ル ー プ を 退 会 し た こ と に 対 し 、 本 生 徒が抜けて良かったという趣旨のやり取りがあった。
⑤ 行 為 の 主 体 及 び 内 容 は 確 認 で き な か っ た が 、 小 さ い 嫌 が ら せ が 続 い て い た と自筆のメモに残しており、医師にもそのことを話している。
⑥ 一部の生徒は、本生徒の髪型についてからかっていた。
⑦ 体育のバスケットボールの時間に、本生徒にボールが渡ると歓声がやんだこ とがあったという指摘が一部の生徒からあった。
ウ この7項目について、行為の質(悪質性など)を以下の3つの観点から評価した。
観点1)本人に対し心身の苦痛を与えるという加害の意図があったかどうか (行為の主観面)
観点2)継続的・集中的あるいは執拗な行為であったかどうか (行為の客観面)
観 点 3 ) 一 方 的 に 被 害 を 受 け て い る か 、 そ れ と も い じ め た 側 と い じ め ら れ た 側に相互性があるか(両者の相互関係)
そ の 結 果 、 い ず れ も 顕 著 な 悪 質 性 を 認 め る に は 至 ら ず 、 程 度 の 差 は あ れ 、 集 団 生 活 の 中 で 不 可 避 的 に 生 じ る 人 間 関 係 上 の 衝 突 の 範 疇 に あ る 行 為 、 あ る い は そ の 延 長 線上にある言動であると判断するものである。
(2)諮問事項2 「死に至った過程や背景について」
ア 本 審 議 会 は 、 死 に 至 っ た 過 程 や 背 景 に つ い て 、 本 生 徒 の 抱 え る 悩 み や 不 安 を 、 学 校 に 係 る 要 因 ・ 背 景 、 個 人 に 係 る 要 因 ・ 背 景 、 家 庭 に 係 る 要 因 ・ 背 景 に 分 け て 分析した。
特 に 、 本 生 徒 の 性 格 的 特 性 と 悩 み や 不 安 に つ い て は 、 確 認 で き る 客 観 的 デ ー タ と し て 本 生 徒 の 体 重 の 変 化 を 調 べ る と と も に 、 そ れ に 身 体 的 、 精 神 的 な 影 響 を 示 す言動や出来事を本人が書き残したものと照合し、医学的に分析した。
イ そ の 結 果 、 本 審 議 会 は 、「 人 間 関 係 の ト ラ ブ ル 」 に お い て 、 い じ め に 相 当 す る 行 為 は あ っ た と 判 断 す る が 、 自 殺 は い じ め に よ り 直 接 的 に 引 き 起 こ さ れ た も の で は な く 、 重 度 の 摂 食 障 害 と 抑 う つ や 体 調 不 全 、 友 人 関 係 、 学 業 成 績 、 孤 立 へ の 不 安 、 自 尊 心 や 自 己 評 価 の 著 し い 低 下 な ど の 幾 重 に も 重 な っ た 複 合 的 因 子 に よ り 惹 起されたものと考える。
ウ 本 生 徒 の 摂 食 障 害 は 、 も と も と 中 学 時 よ り そ の 素 地 が あ っ た も の と 考 え ら れ 、 本事案におけるいじめと摂食障害の直接的な因果関係は認められなかった。
エ 本 生 徒 の 行 方 が 不 明 と な っ た 7 月 4 日 ( 金 ) に 、 本 生 徒 が 行 動 を 起 こ す き っ か け が 何 で あ っ た か は 不 明 で あ る が 、 当 日 、 返 却 さ れ た 、 第 2 回 考 査 の あ る 科 目 の 答案の結果は、本生徒の自殺企図の衝動を後押ししたと考えられる。
オ 本生徒の死を「いじめられたから自殺した」と考えるのは、むしろ本生徒の17 年 の 人 生 を 正 当 に 評 価 し て い な い と 考 え ら れ る 。 本 生 徒 は 、 も っ と 多 く の 困 難 と 必死に闘っていた。
(3)諮問事項3 「再発防止策について」
提言1 子どもを取り巻く状況の把握力を高める。
① 教 員 、 保 護 者 と も 、 L I N E 等 ソ ー シ ャ ル ネ ッ ト ワ ー キ ン グ サ ー ビ ス に つ い て 、 生 徒 の 利 用 実 態 に 追 い つ い て い な い こ と か ら 、 そ れ ら の 媒 体 使 用 に よ る 社 会 的 、 心 理 的 影 響 に 関 し て の 理 解 が 不 十 分 で あ る 。 そ の た め 、 生 徒 、 保 護 者 へ の啓発活動及び教員向けの研修の充実を図る必要がある。
② 各 校 は 「 心 の 健 康 に 関 す る 教 育 」 の 充 実 を 図 り 、 研 修 等 に よ り 摂 食 障 害 を は じ め と す る 精 神 疾 患 へ の 理 解 を 深 め 、 保 護 者 と も 連 携 し た 組 織 的 ・ 継 続 的 な 対 応となるような体制づくりが必要である。
ま た 、 学 校 に お い て 、 身 体 的 、 精 神 的 な 悩 み の 相 談 の 最 前 線 に い る 養 護 教 諭 に 対 し 、 高 度 の 専 門 的 な 対 応 や 判 断 が 求 め ら れ た 場 合 に 対 す る 養 護 教 諭 へ の 支 援・協力体制の確立に努める必要がある。
③ 生徒を対象とした「自殺予防教育」の導入を調査研究する。
な お 、 文 部 科 学 省 は 「 子 供 に 伝 え た い 自 殺 予 防 - 学 校 に お け る 自 殺 予 防 教 育 導 入 の 手 引 - 」 を 平 成 2 6 年 7 月 に 作 成 し 、 こ の 1 1 月 に 各 校 に 配 布 し た こ と か ら 、 本 県 に お い て も こ れ を 機 に 学 校 現 場 へ の 導 入 に つ い て 調 査 研 究 す る こ と が望まれる。
提 言 2 教 育 相 談 体 制 の 更 な る 整 備 を 図 る な ど 学 校 を 支 援 す る 体 制 の 拡 充 を 図 る 。
① ス ク ー ル カ ウ ン セ ラ ー 及 び ス ク ー ル ソ ー シ ャ ル ワ ー カ ー の 増 員 や 配 置 の 拡 充 を図る必要がある。
学 校 に お い て は 、 そ れ ぞ れ の 置 か れ て い る 状 況 に 応 じ て 、 教 育 相 談 体 制 の 更 なる整備が必要である。
② 重 大 事 態 に 対 し て 、 学 校 が 機 動 的 に 対 応 で き な か っ た り 、 日 常 の 学 校 運 営 に お い て 、 学 校 だ け で の 対 応 ・ 解 決 が 難 し い ケ ー ス で は 、 関 係 機 関 等 の 連 携 に よ る 「 学 校 緊 急 サ ポ ー ト チ ー ム 」( 仮 称 ) の よ う な 第 三 者 的 な 支 援 組 織 の 導 入 の 在り方について検討する。
提言3 学校・家庭・地域との連携を図る。
① 本 事 案 か ら 法 の 内 容 や 成 立 過 程 に つ い て 、 保 護 者 や 生 徒 を 対 象 に 学 校 単 位 で 詳しく説明する機会を設けることが望まれる。
② 今日のICT
※
社会におけるコミュニケーション能力を身に付けさせるととも に、子どもの健全な発育・発達、子育ての在り方、特に思春期の発達の節目が持 つ意義等について、学校、家庭及び地域社会が共有を図ることが必要である。
※ IC T
I C T と は 、 Information and Communication Technology( イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン ・ ア ン ド ・ コ ミ ュ ニ
ケ ー シ ョ ン ・ テ ク ノ ロ ジ ー ) の 略 で あ り 、 日 本 語 で は 一 般 に ” 情 報 通 信 技 術 ” と 訳 さ れ る 。 I T 技 術 の
総 称 で あ り 、 特 に 公 共 サ ー ビ ス の 分 野 に お い て 使 わ れ る 。 医 療 、 介 護 ・ 福 祉 、 教 育 な ど の 公 共 分 野 へ の
4 おわりに
平成26年7月30日、本審議会が設置され、県立八戸北高等学校で発生した重大事態 の事実関係を明確にするための第三者的調査機関として、以下の事項について調査・検討 を行った。
1 いじめの有無に関する事実関係について 2 死に至った過程や背景について
3 再発防止策について
法施行後、本県では初めての事例であり、全国的にも前例が少ない中での、試行錯誤の 連続と手探りの調査審議であったため、本事案の調査審議には予想以上の時間がかかった。
しかも、つながり依存が強くなると言われるソーシャルネットワーキングサービスを利 用した関係性の中での「コミュニケーション操作系」のいじめに共通する「いじめ」も含 まれており、その客観的事実の入手と検証には、プロバイダ、通信関連会社への情報開示 請求はじめ個人情報保護、通信の保護等の困難がつきまとった。
加えて対象となった本生徒の所有していた携帯端末の所在が不明ということも、携帯端 末等での「いじめ」の調査審議には大きな障害となった。
そ の 意 味 で は 、 関 係 者 が 本 審 議 会 の 立 ち 位 置 を 十 分 に 理 解 し 、 本 事 案 の 調 査 に 快 く 協 力 し て く れ た こ と に 感 謝 す る と と も に 、 中 途 で 専 門 の 知 見 を 有 す る 臨 時 の 委 員 の 追 加を 認 め て く れ た 青 森 県 教 育 委 員 会 を は じ め 、 関 係 す る 学 校 の 生 徒 や 職 員 、 保 護 者 の 皆 様の 協 力 に 対 し 、 本 審 議 会 が 、 最 後 ま で 中 立 性 、 公 平 性 、 専 門 性 を 確 保 し つ つ 調 査 審 議 を進 めることができたことを重ねて感謝したい。
本審議会は第1回目の会議で、事案の調査審議に入るにあたり、「いじめ」の定義に関 する解釈や取り扱い方の確認を行った。
まず、法第2条の定義を踏まえた上で、文部科学大臣が決定した「いじめの防止等のた めの基本的な方針」や「青森県いじめ防止基本方針」に示されているいじめの態様を基準 としてそれぞれの事項を検証した。
当事者間での、たとえ「ちょっとしたささいな事」であっても、相手が「精神的な苦痛 を感じているもの」であれば、「いじめ」として取り上げ調査・検討する。ただし、その ことに起因する「けんか」等はいじめではない、との解釈を共有して調査審議を進めた。
調査を進めていた8月26日(火)、本審議会と本生徒の保護者との面談の中で、希死 念慮をもうかがわせる衝撃的な内容の2枚の便せんが提供された。
本生徒の筆跡であり、書いた時期は不明だが、書かれてある内容と本生徒の保護者の説 明から2年生の4月頃に書いたと思われるもので、しっかりとした筆跡で書きしたためら れていた。
私たち人間が生きるということは、単に生命を維持していくというのではなく、生きる ことの価値を自らの内に見いだすことである。
心に問題を抱えた子どもには、極端に「自己肯定感」の欠如や「自己存在」への嫌悪感 にも似た態度・そぶりをとるケースが多々見られると言われる。
本生徒の便せんに書かれてある内容やノートのメモ、日記等の記録を通読して感じたのは、 本来青春を謳歌しているはずの17歳の女子高校生が、あまりに多くの困難に囲まれていた ことである。しかもその一つひとつが決して軽いものではなく、普通の女子高校生の明るい 笑顔の陰に、数多くの死を予感させる危険因子が横たわっていたことが理解される。
2年生の5月7日、本生徒は三たび、1年生の1月と2月に病院を保護者と訪れている が、そこで摂食障害の治療のために専門の病院を紹介してもらった。その紹介状は、1か 月半後の6月25日に他の病院に渡され初診を終え、本生徒が行方不明となった7月4日 にいよいよ本格的な治療がはじまるのであるが、4月からこの時点までの病院での詳細な やり取りや希死念慮、自殺企図のことは、最初に受診した病院にも、学校にも伝わっては いなかった。
自殺は防ぐことのできる死である。
もし、希死念慮の内容や自殺を企てたことを学校に伝えてあれば、学校の対応は全く違 ったものとなったはずである。
本生徒は、自力で解決できない多くの困難と必死に向き合い、限界値ぎりぎりのところ で生を営んでいたが、最後に定期考査の結果も衝撃となり、様々な要因により自殺行動と なったのではないかと考える方が、本生徒の17年の人生の「存在の証」となるのではな いか。
最後に、本事案の当該校においては、事態を一刻も早く正常化することが重要であるが、 決 して 風化さ せるこ とな く、「 ハイン リッヒ の法則 」
※
にある ように 、ど んなささいな事 でも、見逃せばさまざまな要因が絡み合い、深刻な事態が発生することにもつながること を再確認することが求められる。
子どもの命を預かる学校は、一人ひとりの生徒に目を配り、ちょっとした変化にも気づ くような対応が、すべての教師には求められている。
※ ハ イ ンリ ッヒ の 法則
一 つ の 重 大 な 事 故 の 裏 に は 2 9 の 軽 微 な 事 故 が あ り 、 さ ら に そ の 裏 に は 3 0 0 の 「 ヒ ヤ リ ハ ッ ト 」 が あ る
資料
青森県いじめ防止対策審議 会委員
1 委員
No. 所 属 役 職 氏 名 備 考
1 公立大学法人青森公立大学 教 授 うちうみたかし 会長 内海 隆
2 青森県臨床心理士会 会 長 せきやみちお 会長職務代理者 (学校法人弘前厚生学院長) 関谷 道夫
3 沼田法律事務所 弁護士 ぬまたとおる 沼田 徹
4 県立精神保健福祉センター 所 長 たなかおさむ (医師) 田中 治
5 公益社団法人 会 長 ならひでお
青森県社会福祉士会 奈良 秀夫
6 青森県高等学校 会 長 すみよしはるひこ
PTA連合会 住吉 治彦
2 臨時委員
No. 所 属 役 職 氏 名 備 考
1 医療法人芙蓉会 医 師 あらやまさこ 第3回審議会