1 平 成 2 7 年 ( 行 ケ ) 第 3 号
地 方 自 治 法 第 2 4 5 条 の 8 第 3 項 の 規 定 に 基 づ く 埋 立 承 認 処 分 取 消 処 分 取 消 命 令 請 求 事 件
原 告 国 土 交 通 大 臣 石 井 啓 一
被 告 沖 縄 県 知 事 翁 長 雄 志
第 6 準 備 書 面
平 成 2 7 年 1 2 月 1 日
福 岡 高 等 裁 判 所 那 覇 支 部 民 事 部 Ⅱ C 係 御 中
被 告 訴 訟 代 理 人
弁 護 士 竹 下 勇 夫
弁 護 士 加 藤 裕
弁 護 士 亀 山 聡
弁 護 士 久 保 以 明
弁 護 士 秀 浦 由 紀 子
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被 告 指 定 代 理 人
町 田 優
池 田 竹 州
城 間 正 彦
神 元 愛
知 念 宏 忠
中 山 貴 史
川 満 健 太 郎
島 袋 均
桃 原 聡
吉 元 徹 成
赤 崎 勉
多 良 間 一 弘
粟 屋 龍 一 郎
佐 久 川 礼
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目 次
第 1 沖 縄 に お け る 米 軍 基 地 の 存 在 に よ る 自 治 権 侵 害 の 実 態 ... 5
1 は じ め に ... 5
2 日 本 国 法 令 に よ る 規 制 が 及 ば な い こ と よ る 自 治 権 侵 害 ... 6
( 1 ) 沖 縄 に お け る 米 軍 基 地 の 面 積 割 合 ... 6
( 2 ) 日 米 地 位 協 定 に よ る 米 軍 の 特 権 的 地 位 ... 6
( 3 ) 他 国 の 地 位 協 定 ... 8
ア ド イ ツ ... 8
イ イ タ リ ア ... 9
( 4 ) 米 軍 に 対 し て 国 内 法 の 環 境 保 全 規 制 が 及 ば な い と 解 釈 運 用 さ れ て い る こ と ... 10
ア 日 米 地 位 協 定 ... 10
イ 他 国 の 地 位 協 定 ... 12
( 5 ) 基 地 の 提 供 、 運 用 、 返 還 に 関 係 地 方 公 共 団 体 の 意 向 を 反 映 さ せ る 仕 組 み が な く 、 著 し く 不 平 等 な 基 地 の 偏 在 が 生 じ て い る こ と ... 14
ア 安 保 条 約 及 び 地 位 協 定 ... 14
イ 他 国 の 地 位 協 定 ( ド イ ツ ) ... 14
ウ 基 地 提 供 の 場 所 や 提 供 条 件 の 規 制 の 不 存 在 ... 15
エ 船 舶 ・ 航 空 機 な ど の 出 入 ・ 移 動 ... 16
オ 課 税 の 免 除 ... 18
カ 出 入 国 及 び 在 留 ... 19
キ 刑 事 手 続 ... 19
ク 公 務 外 不 法 行 為 に つ い て の 民 事 責 任 ... 32
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( 1 ) 環 境 被 害 や 訓 練 に 伴 う 事 故 等 ... 41
ア 航 空 機 騒 音 の 現 状 に つ い て ... 41
イ 航 空 機 事 故 ... 45
ウ パ ラ シ ュ ー ト 降 下 訓 練 に 伴 う 事 故 ... 45
エ 被 弾 事 故 ... 46
オ 山 林 火 災 ... 47
カ 赤 土 汚 染 ... 47
キ P C B 漏 出 事 故 ... 47
ク 劣 化 ウ ラ ン 弾 使 用 事 件 ... 48
ケ 油 状 物 質 ( タ ー ル 状 物 質 ) 汚 染 ... 48
コ 六 価 ク ロ ム 、 鉛 、 フ ッ 素 、 ヒ 素 汚 染 ... 48
サ 鉛 汚 染 ... 48
シ ア ス ベ ス ト 検 出 ... 48
ス ダ イ オ キ シ ン 汚 染 ... 49
セ 原 子 力 軍 艦 ( 潜 水 艦 等 ) の 寄 港 ... 49
ソ 主 な 米 軍 人 等 の 公 務 外 の 事 件 ・ 事 故 ... 50
( 2 ) 航 空 機 騒 音 等 に よ る 生 活 環 境 へ の 悪 影 響 ... 52
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被 告 は 、新 基 地 建 設 強 行 が 憲 法92条 に 反 し 許 さ れ な い こ と に つ い て 、
第 1準 備 書 面 第 3章 を 補 足 し 、 以 下 詳 述 す る 。
第 1 沖 縄 に お け る 米 軍 基 地 の 存 在 に よ る 自 治 権 侵 害 の 実 態
1 は じ め に
安 保 条 約 及 び 「 日 本 国 と ア メ リ カ 合 衆 国 と の 間 の 相 互 協 力 及 び 安 全 保 障 条 約 第 六 条 に 基 づ く 施 設 及 び 区 域 並 び に 日 本 国 に お け る 合 衆 国 軍 隊 の 地 位 に 関 す る 協 定 」( 以 下 、「 日 米 地 位 協 定 」 と い う 。) は 、1960
年 ( 昭 和 35 年 ) 1 月 に 締 結 さ れ 、 同 年 6 月 に 発 効 し た 。
日 米 地 位 協 定 は 、施 設・区 域( 米 軍 基 地 )の 提 供 の 在 り 方 及 び 米 軍・
軍 人 等 ・ そ の 家 族 の 法 的 地 位 を 定 め て い る も の で あ り 、 日 米 両 国 間 の 問 題 で あ る だ け で な く 、 国 民 の 生 活 と 人 権 、 国 土 の 環 境 保 全 や 有 効 利 用 に 直 結 す る も の で あ る が 、 以 下 に 指 摘 す る 種 々 の 構 造 的 問 題 点 を 内
在 さ せ て お り 、 深 刻 な 問 題 を 生 じ さ せ て い る1。
米 軍 基 地 は 自 治 権 を 直 接 的 に 制 約 す る も の で あ り 、 そ の た め に 沖 縄
県 の 振 興 開 発 が 著 し く 阻 害 さ れ 、環 境 行 政 、捜 査 権 の 行 使 が 制 約 さ れ 、
地 域 環 境 や 住 民 の 生 活 に 深 刻 な 被 害 ・ 負 担 が 生 じ て い る な か で 、 沖 縄 県 の 民 意 に 反 し て さ ら に 新 基 地 建 設 を す る こ と は 、 自 治 権 の 侵 害 そ の
も の で あ り 、 憲 法 第 92条 の 保 障 す る 地 方 自 治 の 本 旨 に も 悖 る も の で
あ る 。
1 日 米 地 位 協 定 の 問 題 点 に つ い て は 、 沖 縄 県 「 地 位 協 定 見 直 し 要 請 に 関 す
る 説 明 資 料 」( 平 成 7 年 11 月 )、 沖 縄 県 「 日 米 地 位 協 定 の 見 直 し に 関 す る
要 請 」( 平 成12 年 8 月 )、 日 本 弁 護 士 連 合 会 「 日 米 地 位 協 定 に 関 す る 意 見
書 」(2014 年 ( 平 成 26 年 ) 2 月 )、 九 州 弁 護 士 連 合 会 ・ 沖 縄 弁 護 士 会 「 日
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2 日 本 国 法 令 に よ る 規 制 が 及 ば な い こ と よ る 自 治 権 侵 害
( 1 ) 沖 縄 に お け る 米 軍 基 地 の 面 積 割 合
沖 縄 に は 、 平 成 24年 3 月 末 現 在 、 県 下 41市 町 村 の う ち 21市 町
村 に わ た っ て 33施 設 、23,176.3 ヘ ク タ ー ル の 米 軍 基 地 が 所 在 し て お
り 、 県 土 面 積 227,649ヘ ク タ ー ル ( 平 成 23年 10月 1 日 現 在 、 国 土
地 理 院 の 資 料 に よ る ) の 10.2 パ ー セ ン ト を 占 め て い る 。
米 軍 基 地 が 集 中 す る 沖 縄 島 に つ い て み る と 、 米 軍 基 地 面 積 が 18.3
パ ー セ ン ト を 占 め て い る 。
市 町 村 面 積 に 占 め る 米 軍 基 地 の 割 合 を み る と 、嘉 手 納 街 で 82.5パ
ー セ ン ト 、 金 武 町 で 57.7 パ ー セ ン ト 、 北 谷 町 で 52.9パ ー セ ン ト 、
宜 野 座 村 で 50.7 パ ー セ ン ト と な っ て い る 。
( 2 ) 日 米 地 位 協 定 に よ る 米 軍 の 特 権 的 地 位
米 軍 に 対 す る 日 本 法 の 適 用 に つ い て 、日 本 政 府 は「 一 般 国 際 法 上 、
駐 留 を 認 め ら れ た 外 国 軍 隊 に は 特 別 の 取 決 め が な い 限 り 接 受 国 の 法 令 は 適 用 さ れ ず 、 こ の こ と は 、 日 本 に 駐 留 す る 米 軍 に つ い て も 同 様 で す 。 こ の た め 、 米 軍 の 行 為 や 、 米 軍 と い う 組 織 を 構 成 す る 個 々 の 米 軍 人 や 軍 属 の 公 務 執 行 中 の 行 為 に は 日 本 の 法 律 は 原 則 と し て 適 用
さ れ ま せ ん 」 と の 解 釈 を 示 し て い る ( 外 務 省 HP) 。
ま た 、 厚 木 基 地 騒 音 公 害 第 一 次 訴 訟 に お け る 最 高 裁 判 所 平 成 5 年
2 月 25日 判 決 は「 本 件 飛 行 場 に 係 る 被 上 告 人 と 米 軍 と の 法 律 関 係 は
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さ ら に 、横 田 基 地 対 米 騒 音 訴 訟 に お け る 最 高 裁 判 所 平 成 14年 4 月
12日 判 決 は 、米 軍 の 活 動 に 関 し て は 、「 国 際 慣 習 法 上 、民 事 裁 判 権
が 免 除 さ れ る 」 と し て 訴 え を 不 適 法 と 判 断 し た 。
す な わ ち 、 日 米 地 位 協 定 等 に お い て 特 別 の 定 め を し な い 限 り 、 米 軍 や 公 務 中 の 米 軍 人 に は 日 本 国 法 令 に よ る 規 制 が 及 ば ず 、 日 本 国 が 米 軍 に 提 供 を し て い う 基 地 を 米 軍 が 日 本 法 令 に 反 す る 使 用 を し て も 日 本 国 政 府 は 米 軍 の 違 法 な 運 用 を 制 約 で き ず ( 第 三 者 行 為 論 ) 、 在 日 米 軍 基 地 の 違 法 な 運 用 に 対 し て 日 本 国 民 が 日 本 の 裁 判 所 に 差 止 を 求 め て 出 訴 し て も 門 前 払 い さ れ る こ と に な る ( 主 権 免 除 ) と い う の が 原 則 で あ る と す る の が 、 日 本 政 府 の 現 在 の 解 釈 で あ り 、 最 高 裁 判 例 で あ る 。
そ う で あ る な ら ば 、 国 民 の 人 権 を 守 る た め 、 日 米 地 位 協 定 に お い て 国 内 法 の 順 守 等 が 取 り 決 め ら れ な け れ ば な ら な い と 言 う べ き で あ る が 、 日 米 地 位 協 定 は 、 米 軍 を 規 制 す る ど こ ろ か 、 反 対 に 米 軍 に 広 範 な 特 権 を 認 め る 内 容 と な っ て い る 。
日 米 地 位 協 定 上 、米 軍 基 地 内 は 米 国 の 排 他 的 管 理 権 が 認 め ら れ( 日
米 地 位 協 定 3 条 1 項 )、日 本 国 の 官 憲 の 立 ち 入 り も で き ず 、事 実 上 、
米 軍 基 地 は 、 治 外 法 権 に も 等 し く 、 自 治 権 が 及 び 得 な い も の と な っ て い る 。 し か も 米 軍 に よ る 基 地 の 利 用 は 、 航 空 機 の 離 発 着 の た め 、 土 地 だ け で は な く 、 広 大 な 水 域 や 空 域 の 巨 大 な 空 間 に ま で 及 ん で い る 。
那 覇 地 方 裁 判 所 昭 和 62年 1 月 27日 判 決 は 、 「 ( 日 米 地 位 協 定 第
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対 す る わ が 国 の 行 政 警 察 権 を は じ め と す る 公 権 力 の 行 使 は 大 幅 な 制 約 を 受 け て い る 」 と 指 摘 し て い る が 、 米 軍 基 地 を 設 置 す る こ と は 、 地 方 公 共 団 体 の 権 限 が 及 ば な い 地 域 を 作 り だ す こ と に ほ か な ら な い 。こ の よ う な 地 方 公 共 団 体 の 職 員 の 立 入 調 査 等 も で き な い 地 域 が 、 沖 縄 県 の 県 土 の 約 1 割 、 沖 縄 島 に 至 っ て は 約 2 割 以 上 を 占 め 、 こ の 巨 大 な 自 治 権 の 空 白 地 帯 の 存 在 が 、 地 域 振 興 等 の 著 し い 阻 害 要 因 と な っ て い る 。
仮 に 、 日 本 国 の 一 地 域 に 、 日 本 の 行 政 権 、 司 法 権 等 の 国 家 権 力 の 及 ば な い 、 他 国 が 排 他 的 管 理 権 を 行 使 し う る 地 域 を 作 る と す れ ば 、 そ れ は ど う 見 て も 日 本 国 主 権 の 侵 害 で あ り 、 日 本 国 民 の 同 意 な く し て そ の よ う な こ と で き る わ け が な い 。
そ れ と 同 様 、 地 方 公 共 団 体 が 、 本 来 、 警 察 権 、 課 税 権 等 様 々 な 行 政 権 限 を 行 使 し う る 地 域 に 、 そ の 地 方 公 共 団 体 の 住 民 の 意 思 を 反 映 さ せ る こ と な く 、 以 下 に 詳 細 に 述 べ る よ う な 、 排 他 的 な 管 理 権 等 特
権 的 な 地 位 が 確 保 さ れ て い る 米 軍 基 地 が 設 置 す る こ と は 、 憲 法 92
条 の 「 地 方 自 治 の 本 旨 」 の 内 容 と さ れ る 住 民 自 治 の 観 点 か ら も 、 団 体 自 治 の 観 点 か ら も 、 地 方 公 共 団 体 の 自 治 権 を 侵 害 す る こ と は 明 白 と い う べ き で あ る 。
( 3 ) 他 国 の 地 位 協 定
ド イ ツ 、イ タ リ ア に お い て は 、以 下 の と お り 、地 位 協 定 に お い て 、 国 内 法 の 適 用 や 立 入 権 に つ い て 規 定 さ れ て お り 、 日 米 地 位 協 定 と は
対 照 的 な も の と な っ て い る 。
ア ド イ ツ
・ ド イ ツ 補 足 協 定 5 3 条 ( ド イ ツ 法 令 の 適 用 )
施 設 ・ 区 域 の 使 用 に 対 し て は 、 ド イ ツ の 法 令 が 適 用 さ れ る 。
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② 軍 隊 等 の 組 織 ・ 内 部 機 能 ・ 管 理 そ の 他 の 内 部 事 項 で あ っ て 第 三 者 の 権 利 に 対 し て 、 又 は 隣 接 地 方 自 治 体 ・ 公 衆 一 般 に 対 し て 予 見 可 能 な 影 響 を 及 ぼ さ な い も の 。
ド イ ツ 当 局 と 軍 隊 当 局 は 、 意 見 の 相 違 を 解 消 す る た め 協 議 ・ 協 力 す る 。
軍 隊 ・ 軍 属 機 関 は 、 ド イ ツ 当 局 が 施 設 ・ 区 域 内 で ド イ ツ の 利 益 を 保 護 す る た め に 必 要 な 措 置 を 執 る こ と が で き る よ う 保 証 す る 。
・ 53条 に 関 す る 署 名 議 定 書 ( ド イ ツ 当 局 の 立 入 権 )
軍 隊 当 局 は 、 ド イ ツ 連 邦 ・ 州 ・ 地 方 自 治 体 の 各 段 階 の 権 限 あ る 当 局 に 、 そ の 公 務 を 遂 行 で き る よ う に 、 ド イ ツ の 利 益 を 保 護 す る た め に 必 要 な あ ら ゆ る 適 切 な 援 助 を 行 う 。
こ の 援 助 は 、 事 前 通 告 後 の 施 設 ・ 区 域 へ の 立 入 り を 含 む 。
緊 急 の 場 合 及 び 危 険 が 差 し 迫 っ て い る 場 合 に は 、 事 前 通 告 な し の 立 入 り も で き る 。
・ そ の 他 関 連 条 項
演 習 ・ 訓 練 実 施 に 関 す る ド イ ツ 側 同 意 権 (45条 1 項 )
環 境 法 の 適 用 確 保 (54A 条 )
イ イ タ リ ア
・ 1995年( 平 成 7 年 )「 イ タ リ ア 駐 留 米 軍 に よ る 基 地 ・ 基 地 施 設 の
使 用 に 関 す る 了 解 覚 書 」 。 そ の 付 属 書 と し て , 次 の 取 極 め を 合 意 。 付 属 書 A = 基 地 ・ 基 地 施 設 の 使 用 に つ い て の 実 施 手 続 に 関 す る モ デ ル 実 務 取 極 ( 個 別 基 地 ご と の 協 定 の モ デ ル 協 定 )
付 属 書 B = 基 地 ・ 基 地 施 設 の 放 棄 の た め に 遵 守 す べ き 手 続 規 則 上 記 付 属 書 A の 実 務 取 極 に よ る 基 地 の 管 理 権 と そ の 使 用 関 係
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米 軍 の 訓 練 活 動 ・ 作 戦 行 動 は 、 ( 平 時 に お い て ) イ タ リ ア の 軍 事 ・ 非 軍 事 事 項 に 関 す る 法 規 に 従 わ な け れ ば な ら な い 。
米 軍 司 令 官 は イ タ リ ア 軍 司 令 官 に 対 し 、 米 軍 の 行 動 の 重 要 な も の 全 て に つ い て 事 前 に 通 告 す る ( イ タ リ ア 軍 も 米 軍 に 対 し て 同 様 ) 。 米 軍 は 、 そ の 行 動 に 際 し て イ タ リ ア の 現 行 法 を 遵 守 し な け れ ば な ら な い 。
イ タ リ ア 軍 司 令 官 は 、 米 軍 の 行 動 が イ タ リ ア 現 行 法 を 遵 守 し て い な い と 判 断 す る と き は 、 米 軍 司 令 官 に 忠 告 し 、 イ タ リ ア の 上 級 当 局 に よ る 助 言 を 仰 ぐ 。
イ タ リ ア 軍 司 令 官 は 、 米 軍 基 地 に 、 原 則 と し て い か な る 制 限 も 受 け な い で 、 基 地 内 の 全 て の 区 域 に 、 自 由 に 立 ち 入 る こ と が で き る 。 米 軍 の 行 動 に よ っ て 生 命 又 は 公 衆 の 健 康 が 危 険 に さ ら さ れ る こ と が 明 白 な 場 合 、 伊 タ リ ア 軍 司 令 官 は そ の 米 軍 の 行 動 を 直 ち に 中 止 さ せ る
米 軍 司 令 官 は 、 基 地 内 の 廃 棄 物 処 理 に 関 し 、 イ タ リ ア の 現 行 基 準 に 合 致 す る こ と を 確 保 す る 責 任 を 負 う 。
( 4 ) 米 軍 に 対 し て 国 内 法 の 環 境 保 全 規 制 が 及 ば な い と 解 釈 運 用 さ れ て
い る こ と
ア 日 米 地 位 協 定
( ア ) 日 米 地 位 協 定 3 条 は 、 提 供 施 設 ・ 区 域 に 対 す る 合 衆 国 の 管 理 権 を 定 め て い る の み で 、 施 設 ・ 区 域 内 の 環 境 保 全 に 関 す る 規 定 は な い 。
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復 請 求 権 又 は こ れ に 代 わ る 補 償 請 求 権 を 放 棄 し て い る ) 。 施 設 ・ 区 域 返 還 後 の 個 々 の 地 主 と の 原 状 回 復 問 題 は 、 専 ら 日 本 政 府 と 当 該 地 主 と の 問 題 と し て 処 理 さ れ て い る 。
そ の 結 果 、 米 軍 基 地 に 起 因 す る 深 刻 な 環 境 被 害 が 生 じ て い る に も か か わ ら ず 、 国 内 法 、 自 治 権 に 基 づ く 実 効 的 な 対 応 を と る こ と が 困 難 と な っ て い る 。
( イ ) 日 米 両 政 府 は 、2000 年 ( 平 成 12年 ) 9 月 に 、 「 環 境 原 則 に 関
す る 共 同 発 表 」 を し た が 、 そ の 内 容 は ま っ た く 不 十 分 な も の で あ っ た 。
日 本 弁 護 士 連 合 会「 日 米 地 位 協 定 」に 関 す る 意 見 書 」は 、「『 日
米 両 政 府 の 共 通 の 目 的 は 、 施 設 及 び 区 域 に 隣 接 す る 地 域 住 民 並 び に 在 日 米 軍 関 係 者 及 び そ の 家 族 の 健 康 及 び 安 全 を 確 保 す る こ と で あ る 』 と 宣 言 し 、 そ の 上 で 、 環 境 管 理 基 準 に つ い て 『 日 米 の 関 係 法 令 の う ち 、 よ り 厳 し い 基 準 を 選 択 す る と の 基 本 的 考 え の 下 で 在 日 米 軍 司 令 部 に よ っ て 作 成 さ れ る 日 本 環 境 管 理 基 準 ( J E G S ) に 従 っ て 行 わ れ る 。 そ の 結 果 、 在 日 米 軍 の 環 境 基 準 は 、 一 般 的 に 、 日 本 の 関 連 法 令 上 の 基 準 を 満 た し 又 は 上 回 る も の と な る 。 』 と し て い る 。 し か し な が ら 、 J E G S は 米 軍 に よ る 内 部 基 準 に す ぎ ず 、 し か も 日 本 側 が 基 地 内 へ の 立 入 調 査 が で き な い 以 上 、 基 地 内 の 環 境 汚 染 を 住 民 や 地 方 公 共 団 体 が 調 査 で き ず 、 上 記 共 同 発 表
は「 絵 に か い た も ち 」と 考 え る 外 は な い( …2013 年 8 月 の 米 空 軍
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場 合 、 海 外 の 米 国 防 省 施 設 の 騒 音 プ ロ グ ラ ム 指 針 で あ る 海 軍 作 戦
本 部 長 指 針(OPNAVINST11010.36B)に よ る べ き も の と 考 え ら れ 、
同 指 針 は 滑 走 路 延 長 上 900m ま で の 地 帯 は 利 用 禁 止 区 域 ( ク リ ア
ゾ ー ン )と さ れ 、さ ら に 同 延 長 上 2100m ま で の 地 帯 も 事 故 危 険 区
域 と し て 利 用 制 限 が な さ れ る べ き と こ ろ 、 例 え ば 普 天 間 基 地 で は ク リ ア ゾ ー ン 内 に す ら 民 家 や 学 校 が あ る な ど 、 日 本 の 米 軍 航 空 基 地 周 辺 は こ の 指 針 と は か け 離 れ た 実 態 に あ る 」 と し て い る 。
( ウ )2015 年 ( 平 成 27年 ) 9 月 28日 、 「 日 本 国 と ア メ リ カ 合 衆 国
と の 間 の 相 互 協 力 及 び 安 全 保 障 条 約 第 六 条 に 基 づ く 施 設 及 び 区 域 並 び に 日 本 国 に お け る 合 衆 国 の 地 位 に 関 す る 協 定 を 補 足 す る 合 衆 国 軍 隊 に 関 連 す る 環 境 の 分 野 に お け る 協 力 に 関 す る 環 境 の 管 理 の 分 野 に お け る 協 力 に 関 す る 日 本 国 と ア メ リ カ 合 衆 国 と の 間 の 協 定 」 ( 以 下 、 「 環 境 補 足 協 定 」 と い う 。 ) が 締 結 さ れ 、 同 日 の 日 米 合 同 委 員 会 に お い て 「 環 境 に 関 す る 協 力 に つ い て 」 が 合 意 さ れ た が 、 そ の 内 容 は 、 我 が 国 の 環 境 法 令 の 適 用 や 日 本 国 や 地 方 公 共 団 体 の 立 入 権 を 認 め る も の で は な く 、 「 環 境 原 則 に 対 す る 共 同 発 表 」 の 前 記 問 題 点 は 改 め ら れ て い な い 。
イ 他 国 の 地 位 協 定
( ア ) ド イ ツ
ド イ ツ 補 足 協 定 (1971 年 ) が 1993 年 ( 平 成 5 年 ) 改 正 さ れ た
が 、そ の 54A 条 及 び B 条 で は 環 境 ア セ ス メ ン ト の 実 施 と ド イ ツ 環
境 法 規 の 遵 守 義 務 及 び 不 可 避 の 環 境 被 害 に つ い て 適 切 な 回 復 措 置 又 は 清 算 措 置 を 行 う こ と を 規 定 し て い る 。
( イ ) イ タ リ ア
1995 年( 平 成 7 年 )2 月 2 日 イ タ リ ア 駐 留 米 軍 に よ る 基 地 な い
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さ れ 、 そ の 付 属 書 と し て 基 地 ・ 基 地 施 設 の 放 棄 の た め に 遵 守 す べ き 手 続 規 則 が あ り , 米 軍 司 令 官 は , 基 地 内 の 廃 棄 物 処 理 に 関 し 、 イ タ リ ア の 現 行 基 準 に 合 致 す る こ と も 確 保 す る 責 任 を 負 う こ と に な っ た 。
( ウ ) 韓 国
・ 米 韓 相 互 防 衛 条 約 (1953 年 ( 昭 和 28年 )10 月 1 日 ) と 駐 留 軍
地 位 協 定 (1967 年 ( 昭 和 42年 ) 2 月 9 日 ) が あ る 。
地 位 協 定 は 2001年 ( 平 成 13 年 ) 4 月 2 日 改 正 さ れ 、 合 意 議 事
録 と 特 別 了 解 覚 書 が 取 り 交 わ さ れ た 。
・ 合 意 議 事 録 で は 、 環 境 保 護 の 重 要 性 を 互 い に 認 め , 米 国 側 は 韓
国 の 環 境 法 を 尊 重 し 、 韓 国 側 は 米 軍 の 安 全 を 適 切 に 考 慮 す る と 規 定 さ れ て い る 。
・ 特 別 了 解 覚 書 で は 、 以 下 が 合 意 さ れ て い る 。
両 国 の 環 境 法 の う ち 、 よ り 厳 格 な 基 準 に 基 づ き 、 米 軍 の 環 境 管 理 指 針 を 2 年 毎 又 は 随 時 、 検 討 し 、 補 完 す る こ と
環 境 関 連 情 報 の 共 有 を 強 化 す る こ と 及 び 共 同 調 査 の た め の 米 軍 基 地 出 入 り 手 続 を 設 け る こ と
環 境 管 理 に 対 す る 実 績 評 価 及 び 汚 染 除 去 と 関 連 し て 、 米 国 側 は 定 期 的 に 環 境 管 理 の 実 績 を 評 価 し 、 か つ 主 な 汚 染 を 是 正 し , 韓 国 側 は 米 軍 の 健 康 に 影 響 を 及 ぼ す 基 地 外 部 の 主 要 汚 染 に 適 切 な 措 置 を 行 う こ と な ど を 規 定 し て い る 。
・ 土 壌 汚 染 対 策 で は 、2003 年 ( 平 成 15 年 ) 5 月 , 米 韓 間 で 「 環
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( 5 ) 基 地 の 提 供 、 運 用 、 返 還 に 関 係 地 方 公 共 団 体 の 意 向 を 反 映 さ せ る
仕 組 み が な く 、 著 し く 不 平 等 な 基 地 の 偏 在 が 生 じ て い る こ と
ア 安 保 条 約 及 び 地 位 協 定
安 保 条 約 第 6 条 は 、 「 日 本 国 の 安 全 に 寄 与 し 、 並 び に 極 東 に お
け る 国 際 の 平 和 及 び 安 全 の 維 持 に 寄 与 す る た め 」 に 、 合 衆 国 は
「 日 本 に お い て 施 設 及 び 区 域 を 使 用 す る こ と を 許 さ れ る 。」( 1
項 ) と し 、 施 設 ・ 区 域 の 使 用 及 び 米 軍 の 地 位 は 、 「 別 個 の 協 定 」
( 地 位 協 定 ) 及 び 「 合 意 さ れ る 他 の 取 極 」 に よ り 規 律 さ れ る ( 2
項 ) と 定 め て い る 。 同 2 項 を 受 け て 締 結 さ れ た 地 位 協 定 は 、 2
条 1 項 で 、 日 本 が 合 衆 国 に 提 供 す る 「 個 個 の 施 設 及 び 区 域 に 関 す
る 協 定 」( 提 供 協 定 )は 合 同 委 員 会(25条 )を 通 じ て 両 政 府 が 締
結 す る と 定 め て い る 。 そ の 上 で 、 い ず れ か 一 方 の 要 請 が あ る と き は 、 提 供 協 定 を 再 検 討 し な け れ ば な ら な い ( 2 項 ) と し 、 施 設 ・ 区 域 が 「 こ の 協 定 の 目 的 の た め に 必 要 で な く な っ た と き は 、 い つ
で も 、日 本 国 に 返 還 し な け れ ば な ら な い 」( 3 項 )と 定 め て い る 。
イ 他 国 の 地 位 協 定 ( ド イ ツ )
( ア ) 施 設 ・ 区 域 の 提 供 に 関 す る 主 な 条 項
・ ド イ ツ 補 足 協 定 48条
施 設 ・ 区 域 に つ い て の 軍 隊 ・ 軍 属 機 関 の 需 要 は 、 計 画 書 の 形 式 で 一 定 期 間 ご と に 連 邦 当 局 に 申 告 し 、 こ の 申 告
書 に は 、 地 区 ・ 大 き さ ・ 使 用 目 的 ・ 使 用 予 定 期 間 等 の
細 目 が 記 載 さ れ る( 1 項(b))。こ れ に 基 づ き 、個 別 の 提
供 取 極 が 締 結 さ れ る が 、そ こ に は 大 き さ・種 類・所 在 地 ・
状 態 ・ 設 備 ・ 用 途 の 細 目 等 が 記 載 さ れ る ( 3 項(a)) 。
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用 の 方 法 、修 理・維 持 の 責 任 、交 通 安 全 措 置 、必 要 な 財 政 的 規 則 を い う 。
( イ ) 施 設 ・ 区 域 の 返 還 に 関 す る 主 な 条 項
・ ド イ ツ 補 足 協 定 48条
軍 隊 ・ 軍 属 機 関 は 、 使 用 す る 施 設 ・ 区 域 の 数 及 び 規 模 を 必 要 最 小 限 度 に 限 定 す る こ と を 確 実 に す る た め に 、 施 設 ・ 区 域 の 需 要 に つ い て 絶 え ず 検 討 し 、 ま た 、 ド イ ツ 当 局 か ら 要 請 が あ る と き は 個 々 の 特 殊 な 場 合 の 需 要 を 検 討 す る ( 5 項(a)(ⅰ)) 。 特 定 の 施 設 ・ 区 域 に つ い て は 、
共 同 の 防 衛 任 務 に 照 ら し て も そ の 使 用 よ り も ド イ ツ 側
の 利 益 が 明 ら か に 上 回 る 場 合 に は 、 ド イ ツ 当 局 の 返 還 請
求 に 適 切 な 方 法 で 応 ず る も の と す る ( 同 項(b)) 。
ウ 基 地 提 供 の 場 所 や 提 供 条 件 の 規 制 の 不 存 在
( ア ) 著 し く 不 平 等 な 基 地 提 供 の 実 態
日 米 地 位 協 定 第 2 条 で は 、 安 保 条 約 に 基 づ き 日 本 国 内 の ど こ に で も 基 地 を 置 く こ と が で き る ( い わ ゆ る 全 土 基 地 方 式 ) 旨 規 定 さ れ て い る 。
し か し 、 基 地 を 置 く 場 所 の 限 定 は な く 、 実 際 に は 基 地 は 沖 縄 に 集 中 し 、 沖 縄 県 の 振 興 開 発 に 大 き な 支 障 と な り 、 ま た 、 県 民 の 生 活 に 大 き な 影 響 を 及 ぼ し て い る 。
2012 年( 平 成 24年 )3 月 末 現 在 ,米 軍 専 用 の 施 設 ・ 区 域(2
-4- a 区 域 を 含 む 。 ) の 数 は 83(30,894 ヘ ク タ ー ル ) あ り 、
そ の う ち 沖 縄 県 に 32(22,808 ヘ ク タ ー ル ,73.8 パ ー セ ン ト )が
集 中 し て い る ( 沖 縄 県 2013 年 ( 平 成 25年 ) 3 月 「 沖 縄 の 米 軍
及 び 自 衛 隊 基 地( 統 計 資 料 集 )」1・8頁 、2013 年( 平 成 25 年 )
16
区 域 (2-4- b 区 域 ) は 、2012 年 ( 平 成 24年 )3 月 末 現 在 49
(71,816ヘ ク タ ー ル ) と な っ て い る が ( 前 掲 『 防 衛 ハ ン ド ブ ッ
ク 』470 頁 )、こ の 形 態 に よ る 施 設 ・ 区 域 は 特 に1985 年( 昭 和
60年 ) 以 降 急 速 に 増 大 し て い る 。
さ ら に 、 日 本 の 領 域 及 び そ の 周 辺 に は 、 公 海 ・ 公 空 に ま で 及
ん で 、米 軍 用 の 訓 練 空 域・訓 練 水 域 が 75か 所 設 定 さ れ て 広 大 な
範 囲 を 占 め て い る が 、こ れ も 沖 縄 周 辺 に 48か 所( 訓 練 空 域 20
か 所 ,訓 練 水 域 28か 所 )が 集 中 し て い る( 沖 縄 県「 沖 縄 の 米 軍
基 地 の 現 状 と 課 題 」 ) 。
( イ ) 基 地 使 用 の 条 件 規 制 も な く 提 供 協 定 の 公 表 な い こ と
基 地 の 範 囲 、 使 用 目 的 、 使 用 期 間 、 使 用 条 件 、 使 用 方 法 、
米 軍 の 配 置 ・ 装 備 、 公 共 の 安 全 確 保 等 、 そ の 提 供 条 件 は 、 基 地 周 辺 住 民 や 地 方 自 治 体 の 利 害 に 直 接 影 響 す る も の で あ る が 、 日 米 地 位 協 定 に は 、 ど の よ う な 具 体 的 条 件 で 基 地 を 提 供 す る か に つ い て 、 何 ら 規 定 さ れ て い な い 。
ま た 、 日 米 合 同 委 員 会 合 意 は 原 則 非 公 開 と さ れ て い る た め 、 提 供 条 件 の 詳 細 な 取 決 め の 有 無 や 内 容 を 、 関 係 地 方 公 共 団 体 や 住 民 が 知 る こ と も で き な い 。
エ 船 舶 ・ 航 空 機 な ど の 出 入 ・ 移 動
( ア ) 日 米 地 位 協 定
a 日 米 地 位 協 定 5 条 は 、 1 項 で , 米 軍 の 船 舶 ・ 航 空 機 は 、
17
で は 、 米 軍 が 港 湾 を 利 用 す る 場 合 の 通 告 義 務 、 強 制 水 先 を 免 除 す る こ と を 定 め て い る 。
b 出 入 ・ 移 動 に 関 連 し て は 、 9 条 2 項 に お い て 、 軍 人 等 ・
家 族 の 日 本 へ の 出 入 国 に つ い て 旅 券 及 び 査 証 に 関 す る 日
本 法 令 の 適 用 が 除 外 さ れ て お り 、10条 1 項 及 び 2 項 に お い
て 、 車 両 移 動 の 際 の 運 転 免 許 証 、 車 両 登 録 に 関 す る 日 本 法 令 の 適 用 が 免 除 も し く は 緩 和 さ れ て い る 。
( イ ) 他 国 の 地 位 協 定 ( ド イ ツ )
・ ド イ ツ 補 足 協 定 57条 6 項
軍 隊 及 び 軍 属 は 、 軍 用 航 空 機 の 着 陸 の た め 、 緊 急 の 場 合 に 限 り 、 又 は 権 限 の あ る ド イ ツ 当 局 と 締 結 し た 行 政 協 定 そ の 他 の 取 極 に 従 っ て の み 、 民 間 飛 行 場 そ の 他 の 自 己 の 専 用 に 供 さ れ て い な い 着 陸 地 の 使 用 を 認 め ら れ る 。 ( ウ ) 問 題 点
a 無 制 限 な 民 間 の 港 湾 ・ 空 港 使 用 権
米 軍 の 港 湾 ・ 空 港 を 使 用 す る 権 利 は 、 「 公 の 目 的 」 で 運 航 さ れ る 場 合 に 限 定 を さ れ て い る が 、 そ れ 以 上 に 具 体 的 な 使 用 目 的 、 使 用 手 続 は 定 め ら れ て い な い 。 日 本 政 府 は 、 米 軍 の 船 舶 ・ 航 空 機 の 出 入 に つ き 日 本 の 個 別 の 同 意 は 不 要 と
解 釈 し て い る (1967 年 ( 昭 和 42年 )4 月 28日 衆 議 院 運
輸 委 員 会 等 ) 。 し か し な が ら 、 も と も と 提 供 施 設 ・ 区 域 に は 米 軍 専 用 の 空 港 や 港 湾 が 含 ま れ て い る こ と 、 5 条 の 規 定 は 提 供 施 設 ・ 区 域 へ の 出 入 に 付 随 す る 条 項 で あ る こ と な ど か ら す れ ば 、 米 軍 が 無 制 限 に 民 間 の 港 湾 や 空 港 を 使 用 で き
る と す る の は 、 施 設 ・ 区 域 の 提 供 の 趣 旨 に 反 す る も の と
18
ら す こ と に な る 。 こ の よ う な 権 利 が 認 め ら れ て い る こ と は 、 提 供 施 設 、 区 域 外 で の 米 軍 の 活 動 を 容 認 す る も の で あ る 。
b 施 設 ・ 区 域 間 移 動
第 5 条 2 項 で は 、 米 軍 の 施 設 間 の 移 動 が 認 め ら れ て い る が 、 「 施 設 間 の 移 動 」 を 根 拠 に ( 外 務 省 の 見 解 ) 、 民 間 地 域 で の 行 軍 が 度 々 行 わ れ 、 地 域 住 民 に 不 安 を 与 え て い る 。 「 行 軍 」 は 「 移 動 」 の 概 念 で と ら え る に は あ ま り に 無 理 が あ り 、 こ れ は 明 ら か に 「 施 設 外 の 訓 練 」 で あ る 。
こ の よ う な 施 設 外 の 訓 練 が 認 め ら れ る の で あ れ ば 、 演 習 場 等 の 提 供 は 意 味 を も た な い こ と に な る 。
オ 課 税 の 免 除
( ア ) 日 米 地 位 協 定
日 米 地 位 協 定 第13 条 は 、米 軍 が 、日 本 で 保 有 し 、使 用 し 、又
は 移 転 す る 財 産 に つ い て 租 税 を 課 さ な い こ と 、 軍 人 、 軍 属 及 び 家 族 は 、 米 軍 等 に 勤 務 す る こ と に よ る 所 得 に つ い て 租 税 が 免 除 さ れ る こ と 、 軍 人 、 軍 属 及 び 家 族 は 、 一 時 的 に 日 本 に あ る こ と の み に 基 づ い て 日 本 に 所 在 す る 動 産 の 保 有 、 使 用 、 移 転 に つ い て も 租 税 が 免 除 さ れ る こ と を 定 め て い る 。
( イ ) 問 題 点
地 方 税 で あ る 自 動 車 税 及 び 軽 自 動 車 税 に つ い て 、 日 米 合 同 委 員 会 合 意 に よ っ て 、 米 軍 人 等 の 負 担 軽 減 に つ き 合 意 さ れ 、 民 間 車 両 に 対 す る 自 動 車 税 と 比 べ 著 し く 低 い 税 率 と さ れ 、 民 間 人 と の 著 し い 不 均 衡 が 生 じ て い る 。
沖 縄 県 総 務 部 税 務 課 の 調 べ で は 、平 成 24年 度 の 自 動 車 税 を 排
19
円 で あ る の に 対 し 、米 軍 人 等 は 7500 円 と 5 分 の 1 以 下 と な っ て
い る 。
カ 出 入 国 及 び 在 留
( ア ) 日 米 地 位 協 定
日 米 地 位 協 定 第 9 条 は 、 軍 人 の 旅 券 及 び 査 証 に 関 す る 法 令 の 適 用 免 除 、 軍 人 、 軍 属 及 び 家 族 の 外 国 人 登 録 の 免 除 を 定 め て い る 。
( イ ) 他 国 の 地 位 協 定 ( ド イ ツ )
ド イ ツ 補 足 協 定54 条
伝 染 病 の 予 防 及 び 駆 除 並 び に 植 物 害 虫 の 繁 殖 予 防 及 び 駆 除 に 関 し て は 、 軍 の 規 則 が 同 等 か 、 よ り 厳 し い 基 準 を 設 定 し て い る 場 合 を 除 き 、 ド イ ツ 法 の 規 定 が 軍 隊 及 び 軍 属 に 適 用 さ れ る 。
( ウ ) 問 題 点
日 本 国 政 府 は 、 民 間 人 に 関 し て は 、 入 国 時 の 検 疫 に よ っ て 、
伝 染 病 の 侵 入 を 、 出 入 国 管 理 と い う 水 際 で 防 ぎ と め よ う と し て い る 。
し か し 、 米 軍 人 等 が 入 国 す る 場 合 、 あ る い は 、 動 物 及 び 植 物
を 入 国 さ せ よ う と す る 場 合 の 検 疫 や 保 健 衛 生 に 関 す る 規 定 が な い ( 日 米 合 同 委 員 会 の 合 意 の み 。 ) 。 米 軍 人 等 が 、 日 本 国 の 出 入 国 管 理 当 局 に よ る 直 接 的 な チ ェ ッ ク な し に 日 本 に 入 港 し 、 ま た は 着 陸 す る こ と が で き る だ け に 、 伝 染 病 の 病 原 菌 が 持 ち 込 ま れ る こ と は な い か と い う 不 安 は 、 と り わ け 基 地 周 辺 地 域 の 住 民 の 間 で は 大 き い 。
キ 刑 事 手 続
20
日 米 地 位 協 定 は 、1960 年 ( 昭 和 35年 ) に 署 名 ・ 発 効 さ れ た
も の で あ る が 、 そ の 前 身 は 、1952 年 ( 昭 和 27年 ) の い わ ゆ る
旧 安 保 条 約 ( 日 本 国 と ア メ リ カ 合 衆 国 と の 間 の 安 全 保 障 条 約 ) と 同 時 に 発 効 し た い わ ゆ る 日 米 行 政 協 定 ( 日 本 国 と ア メ リ カ 合 衆 国 と の 間 の 安 全 保 障 条 約 第 三 条 に 基 く 行 政 協 定 ) で あ る 。 日
米 地 位 協 定 と 同 じ く 1960 年 ( 昭 和35 年 ) に 署 名 ・ 発 効 し た 合
意 議 事 録 ( 公 表 さ れ て い る ) は 、 日 米 両 国 の 全 権 委 員 が 地 位 協 定 の 交 渉 に お い て 到 達 し た 了 解 事 項 の 記 録 で あ り 、 協 定 自 体 と
同 列 の も の と 言 わ れ て い る 。 合 意 事 項 ( 1 か ら 52ま で あ る が 、
非 公 表 ) は 、 大 部 分 は 1953 年 ( 昭 和 28年 ) に 日 米 合 同 委 員 会
に 設 置 さ れ て い る 刑 事 裁 判 管 轄 権 分 科 委 員 会 に お け る 日 米 両 国 の 協 議 の 結 果 、 合 意 を み た 事 項 で あ り 、 協 定 の 実 施 に あ た る 両
当 事 者 間 の 内 部 的 な 運 用 準 則 で あ る 。地 位 協 定 発 効 に よ り 本 来
合 意 事 項 は 廃 止 か 改 訂 さ れ る べ き で あ っ た が 、こ れ が な さ れ ず 、
地 位 協 定 17条 の 実 施 細 目 と し て 引 き 継 が れ て い る こ と が 米 軍
人 ら に 対 す る 適 正 な 裁 判 権 の 行 使 が 実 現 し な い 原 因 と な っ て い る 。
a 米 軍 人 ・ 軍 属 被 疑 者 の 身 体 拘 束
日 米 地 位 協 定 17条 5 項(c)は 「 日 本 国 が 裁 判 権 を 行 使 す べ き 合 衆 国 軍 隊 の 構 成 員 又 は 軍 属 た る 被 疑 者 の 拘 禁 は 、 そ の 者 の 身 柄 が 合 衆 国 の 手 中 に あ る と き は 、 日 本 国 に よ り 公 訴 が 提 起 さ れ る ま で の 間 、 合 衆 国 が 引 き 続 き 行 う も の と す る 」 と 規 定 し て い る 。
b 公 務 執 行 中 か 否 か の 認 定
日 米 地 位 協 定 17条 3 項 ( a ) ( ⅱ ) は 「 公 務 執 行 中 の 作 為
21
衆 国 軍 隊 の 構 成 員 又 は 軍 属 に 対 し て 裁 判 権 を 行 使 す る 第 一 次
の 権 利 を 有 す る と し て い る 。合 意 事 項 43は「 議 定 書 3 項( a )
( ⅱ ) に 関 す る 公 式 議 事 録 に 掲 げ る 証 明 書 は 」 、 要 請 に 基 づ
き 、当 該 被 疑 者 が 所 属 す る 部 隊 の 指 揮 官 か ら 、犯 罪 が 発 生 し
た 地 の 検 事 正 に 対 し 提 出 さ れ る も の と す る 。 … 。 こ の 証 明 書 は 、 反 証 の な い 限 り 、 公 務 中 に 属 す る も の で あ る と い う 事 実 の 充 分 な 証 拠 資 料 と な る 」 と し て い る 。
合 意 議 事 録 は 地 位 協 定 17条 3 項(a )(ⅱ )に 関 し て「 合 衆
国 軍 隊 の 構 成 員 又 は 軍 属 が 起 訴 さ れ た 場 合 に お い て 、 そ の 起
訴 さ れ た 罪 が も し 被 告 人 に よ っ て 犯 さ れ た と す る な ら ば 、そ
の 罪 が 公 務 執 行 中 の 作 為 又 は 不 作 為 か ら 生 じ た も の で あ る
旨 を 記 載 し た 証 明 書( 引 用 者 注 い わ ゆ る「 公 務 証 明 書 」の こ
と で あ る 。 ) で そ の 指 揮 官 又 は 指 揮 官 に 代 わ る べ き 者 が 発 行 し た も の は 、 反 証 の な い 限 り 、 刑 事 手 続 の い か な る 段 階 に お い て も そ の 事 実 の 充 分 な 証 拠 資 料 と な る 。 前 項 の 陳 述 は 、 い
か な る 意 味 に お い て も 、 日 本 国 の 刑 事 訴 訟 法 第 318 条 を 害 す
る も の と 解 し て は な ら な い 」 と し て い る 。 c 「 公 務 」 の 範 囲
1956年 ( 昭 和 31 年 )3 月 28日 付 け 日 米 合 同 委 員 会 合 意 に
お い て 、 「 公 務 」 と は 、 「 合 衆 国 軍 隊 の 構 成 員 又 は 軍 属 が 、
そ の 認 め ら れ た 宿 舎 又 は 住 居 か ら 、 直 接 の 勤 務 場 所 に 至 り 、
ま た 、 勤 務 場 所 か ら 、 直 接 、 そ の 認 め ら れ た 宿 舎 又 は 住 居 に 至 る 往 復 の 行 為 を 含 む も の と 解 釈 さ れ る 。 た だ し 、 合 衆 国 軍 隊 の 構 成 員 又 は 軍 属 が 、 そ の 出 席 を 要 求 さ れ て い る 公 の 催 事
に お け る 場 合 を 除 き 、 飲 酒 し た と き は 、 そ の 往 復 の 行 為 は 、
22
法 務 省 刑 事 局 長 事 務 代 理 は 、 検 事 総 長 、 検 事 長 、 検 事 正 宛 て
に 、同 年 4 月 11 日 付 け で「 合 衆 国 軍 隊 の 構 成 員 又 は 軍 属 の 公
務 の 範 囲 に つ い て 」 と 題 す る 同 内 容 の 通 達 を 発 し た 。
2011年( 平 成23年 )12月16日 の 日 米 合 同 委 員 会 に お い て 、
「 そ の 出 席 を 要 求 さ れ て い る 公 の 催 事 に お け る 場 合 を 除 き 」 が 削 除 さ れ 、 飲 酒 後 の 自 動 車 運 転 に よ る 通 勤 は 、 い か な る 場 合 で あ っ て も 公 務 と 取 り 扱 わ な い こ と と さ れ た 。
d 公 務 執 行 中 の 軍 人 等 に 対 す る 刑 事 裁 判 権 の 規 定
日 米 地 位 協 定 第 17 条 1 項 は 、 刑 事 裁 判 権 分 配 の 基 本 に つ い
て 、「 こ の 条 の 規 定 に 従 う こ と を 条 件 と し て 、(a)合 衆 国 の
軍 当 局 は 、 合 衆 国 の 軍 法 に 服 す る す べ て の 者 に 対 し 、 合 衆 国
の 法 令 に よ り 与 え ら れ た す べ て の 刑 事 及 び 懲 戒 の 裁 判 権 を
日 本 国 に お い て 行 使 す る 権 利 を 有 す る 。 (b) 日 本 の 当 局 は 、
合 衆 国 軍 隊 の 構 成 員 及 び 軍 属 並 び に 家 族 に 対 し 、日 本 国 の 領
域 内 で 犯 す 罪 で 日 本 国 の 法 令 に よ つ て 罰 す る こ と が で き る も の に つ い て 、 裁 判 権 を 有 す る 。 」 と し て い る 。
日 米 地 位 協 定 第 17条 3 項 ( a ) は 、 「 合 衆 国 の 軍 当 局 は 、
次 の 罪 に つ い て は 、合 衆 国 軍 隊 の 構 成 員 又 は 軍 属 に 対 し て 裁
判 権 を 行 使 す る 第 一 次 の 権 利 を 有 す る 。」と し て 、( ⅱ )「 公
務 執 行 中 の 作 為 又 は 不 作 為 か ら 生 ず る 罪 」 を あ げ て い る 。
こ の 刑 事 裁 判 権 分 配 の 基 本 規 定 に よ り 、 従 来 、 軍 属 に つ い
て も 、 公 務 執 行 中 の 場 合 に は 日 本 は 裁 判 権 を 行 使 し な い も の と さ れ て き た 。
e 刑 事 裁 判 権 不 行 使 の 日 米 合 意 と 法 務 省 通 達
日 米 地 位 協 定 第 17条 3 項 (b) は 、 同 項 ( a ) ( ⅰ ) 「 も
23
ら 合 衆 国 軍 隊 の 他 の 構 成 員 若 し く は 軍 属 若 し く は 合 衆 国 軍 隊 の 構 成 員 若 し く は 軍 属 の 家 族 の 身 体 も し く は 財 産 の み に 対 す る 罪 」 、 同 ( ⅱ ) 「 公 務 執 行 中 の 作 為 又 は 不 作 為 か ら 生 ず る 罪 」 に つ い て は 合 衆 国 軍 隊 が 第 一 次 裁 判 権 を 有 す る と の 規 定 を 受 け て 、 「 そ の 他 の 罪 に つ い て は 、 日 本 国 の 当 局 が 、 裁 判 権 を 行 使 す る 第 一 次 の 権 利 を 有 す る 」 と し て い る 。
と こ ろ が 、日 米 合 同 委 員 会 裁 判 権 分 科 委 員 会 刑 事 部 会 の 非
公 式 議 事 録(1953 年( 昭 和 28年 )10月 28日 )に お い て 、日
本 側 部 会 長 の 声 明 と し て 「 日 本 の 当 局 は 通 常 、 合 衆 国 軍 隊 の
構 成 員 、軍 属 、あ る い は 米 軍 法 下 に あ る そ れ ら の 家 族 に 対 し 、
日 本 に と っ て い ち じ る し く 重 要 と 考 え ら れ る 事 例 以 外 に つ い て は 第 一 次 裁 判 権 を 行 使 す る つ も り が な い と 述 べ る こ と が で き る 」 と 記 録 さ れ て い る 。
同 日 の 日 米 合 意 に 先 立 っ て 発 せ ら れ た 、法 務 省 刑 事 局 長 発
の 検 事 長 、検 事 正 宛 て 1953 年( 昭 和 28年 )10 月 7 日 付 け 通
達 「 日 本 国 と ア メ リ カ 合 衆 国 と の 間 の 安 全 保 障 条 約 第 三 条 に 基 づ く 行 政 協 定 第 一 七 条 の 改 正 に つ い て 」 に お い て 、 「 第 一 次 の 裁 判 権 の 行 使 に つ い て は 、 日 本 国 に 駐 留 す る 合 衆 国 軍 隊 の 地 位 並 び に 外 国 軍 隊 に 対 す る 刑 事 裁 判 権 の 行 使 に 関 す る 国 際 先 例 に か ん が み そ の 運 用 上 極 め て 慎 重 な 考 慮 を 払 わ な け れ ば な ら な い も の と 思 慮 す る … 日 本 側 に お い て 諸 般 の 事 情 を 勘 案 し 実 質 的 に 重 要 で あ る と 認 め る 事 件 に つ い て の み 右 の 第 一 次 裁 判 権 を 行 使 す る の が 適 当 で あ る 」 と さ れ て い る 。
f 基 地 外 で 起 き た 事 故 等 の 日 本 国 の 捜 査 を 妨 げ て い る 規 定
当 初 の 行 政 協 定 第 17条 3 項 ( g ) は 「 日 本 国 の 当 局 は 、 合
24
た は 所 在 地 の い か ん を 問 わ ず 合 衆 国 軍 隊 の 財 産 に つ い て 捜 索 ま た は 差 し 押 さ え を 行 う 権 利 を 有 し な い 」 と さ れ て い た が 、
1953年( 昭 和 28年 )の N A T O 地 位 協 定 の 発 効 に 伴 う 行 政 協
定 の 改 定 に よ り こ の 規 定 は 削 除 さ れ 、日 米 地 位 協 定 に も こ の 規
定 は 存 在 し な い 。
し か し 、合 意 議 事 録 は 、地 位 協 定 第 17 条 10項(a)及 び 10項
(b)に 関 し て 、 「 日 本 の 当 局 は 、 通 常 、 合 衆 国 軍 隊 が 使 用 し 、
か つ 、そ の 権 限 に 基 づ い て 警 備 し て い る 施 設 若 し く は 区 域 内 に
あ る す べ て の 者 若 し く は 財 産 に つ い て 、又 は 所 在 の い か ん を 問
わ ず 合 衆 国 軍 隊 の 財 産 に つ い て 、捜 索 、差 押 え 又 は 検 証 を 行 う
権 利 を 行 使 し な い 。 た だ し 、 合 衆 国 軍 隊 の 権 限 の あ る 当 局 が 、
日 本 の 当 局 に よ る こ れ ら の 捜 索 、差 押 え 又 は 検 証 に 同 意 し た 場
合 は 、 こ の 限 り で な い 」 と し て い る 。
ま た 、 合 意 事 項 20 は 、 「 合 衆 国 軍 用 機 が 合 衆 国 軍 隊 の 使 用
す る 施 設 又 は 区 域 外 に あ る 公 有 若 し く は 私 有 の 財 産 に 墜 落 又
は 不 時 着 し た 場 合 に は 、適 当 な 合 衆 国 軍 隊 の 代 表 者 は 、必 要 な
救 助 作 業 又 は 合 衆 国 財 産 の 保 護 を な す た め 事 前 の 承 認 な く し
て 公 有 又 は 私 有 の 財 産 に 立 ち 入 る こ と が 許 さ れ る も の と す る 。
た だ し 、当 該 財 産 に 対 し 不 必 要 な 損 害 を 与 え な い よ う 最 善 の 努
力 が 払 わ れ な け れ ば な ら な い 。日 本 国 の 公 の 機 関 は 、合 衆 国 の
当 局 が 現 場 に 到 着 す る 迄 財 産 の 保 護 及 び 危 険 防 止 の た め そ の
権 限 の 範 囲 内 で 必 要 な 措 置 を 執 る 。日 米 両 国 の 当 局 は 、許 可 の
な い 者 を 事 故 現 場 の 至 近 に 近 寄 ら せ な い よ う に す る た め 共 同 し て 必 要 な 統 制 を 行 う も の と す る 。」と 規 定 し て い る 。こ れ に
対 応 す る も の と し て 、1959年( 昭 和 34年 )7月 14 日 刑 事 局 長
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又 は 区 域 外 に お け る 同 軍 隊 航 空 機 の 事 故 現 場 に お け る 措 置 に
つ い て 」に お い て は 、「 基 本 方 針 」と し て「 合 衆 国 軍 用 機 が 合
衆 国 軍 隊 の 使 用 す る 施 設 又 は 区 域 外 に あ る 公 有 若 し く は 私 有
の 財 産 に 墜 落 又 は 不 時 着 し た 場 合 に は 、適 当 な 合 衆 国 軍 隊 の 代
表 者 は 、必 要 な 救 助 作 業 又 は 合 衆 国 財 産 の 保 護 を な す た め 事 前
の 承 認 な く し て 公 有 又 は 私 有 の 財 産 に 立 ち 入 る こ と が 許 さ れ
る も の と す る 。 日 米 両 国 の 当 局 は 、 無 用 の 者 を か か る 事 故 現
場 の 至 近 に 近 寄 ら せ な い よ う に す る た め 、墜 落 又 は 不 時 着 の 現
場 に 対 し て 必 要 な 共 同 管 理 を 行 う も の と す る 」 と し て い る 。 ( イ ) 刑 事 手 続 に 関 す る 問 題 点
a 米 軍 人 ・ 軍 属 被 疑 者 の 身 体 拘 束
1995年( 平 成 7 年 )9 月 に 沖 縄 県 に お い て 発 生 し た 米 軍 人 に
よ る 少 女 強 姦 事 件 に お い て 、 日 米 地 位 協 定 第 17 条 5 項 ( c )
に 基 づ き 、 公 訴 提 起 が な さ れ る ま で 米 軍 人 の 身 体 が 米 軍 当 局 か ら 日 本 側 に 引 き 渡 さ れ な か っ た た め 、 沖 縄 県 民 を は じ め と す る 日 本 国 民 か ら 強 い 批 判 が 高 ま っ た 。
そ の 後 、 同 年 10月 の 「 刑 事 裁 判 手 続 に 係 る 日 米 合 同 委 員
会 合 意 」 に よ り 、 「 殺 人 又 は 強 姦 と い う 凶 悪 な 犯 罪 の 特 定 の 場
合 に 」 起 訴 前 の 被 疑 者 の 身 体 の 移 転 に つ い て 米 国 政 府 に よ る
「 好 意 的 な 考 慮 」 が 払 わ れ る こ と 、 合 衆 国 は 「 そ の 他 特 定 の 場
合 に つ い て 」 日 本 国 の 提 示 す る 特 別 の 見 解 を 充 分 考 慮 す る こ
と と な っ た 。こ の「 そ の 他 特 定 の 場 合 」の 内 容 に つ い て は 、 2004
年 ( 平 成 16年 ) 4 月 2 日 の 日 米 合 同 委 員 会 合 意 ( 口 頭 ) で 、
26
し か し 、 こ の 1995 年 ( 平 成 7 年 ) 運 用 改 善 合 意 で の 引 渡 の
対 象 は 、 原 則 と し て 殺 人 又 は 強 姦 と い う 凶 悪 犯 罪 の み に 限 定 さ れ て い る こ と は 問 題 で あ る 。 し か も 、 殺 人 又 は 強 姦 の 場 合 で あ っ て も 「 そ の 他 特 定 の 場 合 」 で あ っ て も 、 米 国 政 府 が 好 意 的 な
配 慮 を 払 う に 過 ぎ ず 、 義 務 的 な も の で は な い 。 実 際 、2002年
( 平 成 14年 )11月 2 日 に 沖 縄 県 に お い て 発 生 し た 米 軍 人 に よ
る 女 性 強 姦 未 遂 、器 物 損 壊 事 件 に お い て 、日 本 国 が 日 米 合 同 員
会 で 起 訴 前 の 身 体 引 渡 し を 要 求 し た が 、 米 国 が 拒 否 し た と い う 事 例 も あ る 。
こ の よ う に 起 訴 前 の 米 軍 人 ・ 軍 属 の 被 疑 者 の 身 体 引 渡 し を 米
国 の 好 意 的 な 考 慮 に 委 ね た の で は 、 米 国 は 身 体 引 渡 し を 拒 否 す る こ と も で き る の で あ る か ら 、 そ の よ う な 場 合 に は 第 一 次 裁 判 権 を 有 す る 日 本 国 の 適 正 な 捜 査 が 妨 げ ら れ る こ と に な る 。
b 「 公 務 執 行 中 」 か 否 か の 認 定
1974年 ( 昭 和 49年 ) 7 月 、 沖 縄 県 の 伊 江 島 に お い て 、 米 軍
人 が 住 民 に 信 号 銃 を 発 砲 し て 負 傷 さ せ た 事 件( 伊 江 島 事 件 )で 、
事 件 発 生 直 後 米 側 は 、 公 務 証 明 書 を 発 行 し な い と 非 公 式 に 言
明 し た に も か か わ ら ず 、 そ の 後 態 度 を 翻 し て 公 務 証 明 書 を 発 行
し 、 日 本 政 府 は 、1975年 ( 昭 和 50 年 ) 5 月 、 裁 判 権 を 行 使 し
な い 旨 を 米 側 に 通 報 し た 。
2005年 ( 平 成 17年 )12月 22 日 、 東 京 都 八 王 子 市 に お い て
小 学 生 3 名 が 米 海 軍 人 の 運 転 す る 自 動 車 に よ っ て ひ き 逃 げ を さ れ た 道 路 交 通 法 違 反 、 業 務 上 過 失 致 傷 被 疑 事 件 で は 、 警 視 庁 が 米 軍 人 を 緊 急 逮 捕 し た が 、 米 海 軍 よ り 公 務 証 明 書 が 発 行 さ れ 、
即 日 、 釈 放 さ れ た 。 こ の 米 軍 人 に 対 し て は 、 軍 事 裁 判 は 行 わ
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公 務 中 の 米 軍 人 が 2008 年( 平 成 20年 )か ら 2011 年( 平 成
23 年 ) に 起 こ し た 公 務 中 の 事 件 の う ち 、 被 害 者 が 死 亡 し た 事
案 や 4 週 間 以 上 の 重 傷 を 負 っ た 事 案 を 含 め て も 、 軍 事 裁 判 に か
け ら れ も の は な か っ た (2013年 ( 平 成 25 年 )5 月 23日 衆 議 院
安 全 保 障 委 員 会 に お い て 法 務 省 が 赤 嶺 政 賢 衆 議 院 議 員 の 質 問
に 対 し て 明 ら か に し た ) 。 そ の 一 例 と し て 、2008 年 ( 平 成 20
年 ) 、 沖 縄 県 う る ま 市 に お い て 、 米 海 軍 人 の 運 転 す る 自 動 車 が 対 向 車 線 に 侵 入 し て バ イ ク と 衝 突 し 、 バ イ ク を 運 転 し て い た 男 性 が 死 亡 し た 事 件 に つ い て は 、 日 本 側 が 公 務 中 を 理 由 に 不 起 訴 処 分 と し た 上 、 米 海 軍 は 米 海 軍 人 に 過 失 や 不 注 意 が な か っ た と
し て 刑 事 処 分 を 科 し て い な か っ た (2011 年 ( 平 成 23年 )8月
26日 付 琉 球 新 報 ) 。
c 「 公 務 」 の 範 囲 に つ い て
2010年 ( 平 成 22年 ) 9 月 7 日 、 山 口 県 岩 国 市 に お い て 、 通
勤 途 中 の 米 軍 属 が 被 害 者 を 自 動 車 で ひ い て 死 亡 さ せ る 自 動 車 運 転 過 失 致 死 被 疑 事 件 が 発 生 し た が 、 山 口 地 方 検 察 庁 岩 国 支 部
は 、 同 年 10月 7 日 、 当 該 軍 属 に 対 し て 不 起 訴 処 分 と し た 。
遺 族 は 、 岩 国 検 察 審 査 会 に 審 査 請 求 を し た が 、 同 審 査 会 は 、
2011 年 ( 平 成 23年 )1月 11 日 、 不 起 訴 相 当 の 議 決 を し た 。 そ
の 後 、下 記 同 年 11 月 23日 日 米 合 同 委 員 会 合 意 後 の 2012年( 平
成 24 年 )10月 、 遺 族 が 告 訴 を し た が 、 同 検 察 庁 は 、 当 該 軍 属
に 対 し て 再 び 不 起 訴 処 分 と し た 。 当 該 軍 属 は 、 岩 国 基 地 内 の 4 か 月 の 運 転 禁 止 と い う 懲 戒 処 分 に と ど ま っ た 。
d 公 務 執 行 中 の 米 軍 属 に 対 す る 刑 事 裁 判 権 に つ い て
在 日 米 軍 に 勤 務 す る 米 軍 属 が2006 年 ( 平 成 18年 )9 月 か ら
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達 し 、 日 本 国 に 第 一 次 裁 判 権 が な い こ と 理 由 に 日 本 国 の 検 察
当 局 が 全 て を 不 起 訴 処 分 と し た 。 そ の 62 件 の う ち 、 軍 事 裁 判
に か け ら れ た も の は 1 件 も な く 、米 軍 に よ る 懲 戒 処 分 が 35 件 、
処 分 な し が 27件 で あ っ た 。
2011年( 平 成 23 年 )1 月 12日 、米 軍 属 の 被 疑 者 が 沖 縄 市 に
お い て を 運 転 中 、 対 向 車 線 に 侵 入 し 、 被 害 者 の 運 転 す る 軽 自 動 車 に 正 面 衝 突 さ せ て 被 害 者 が 死 亡 し た 自 動 車 運 転 過 失 致 死 被
疑 事 件 に つ い て 、 同 年 3 月 24日 、 那 覇 地 方 検 察 庁 は 、 米 軍 属
に よ る 公 務 中 の 犯 罪 で あ る と し て 日 本 国 に は 第 一 次 裁 判 権 が
な い と 判 断 し て 、 米 軍 属 を 不 起 訴 処 分 と し た 。 こ れ に 対 し 、 遺
族 が 那 覇 検 察 審 査 会 に 審 査 の 申 し 立 て を し た 。同 年 5 月 27 日 、
那 覇 検 察 審 査 会 は 、 平 時 に 軍 属 を 軍 事 裁 判 に 付 す る こ と は 憲 法
違 反 で あ る と の 1960 年 ( 昭 和 35年 ) ア メ リ カ 合 衆 国 連 邦 最 高
裁 判 所 判 決 (Guagliardo c ase) に よ り 、 軍 属 に は 日 米 地 位 協 定
17条 1 項 (a) の 適 用 は な く 、 同 項 ( b ) に 基 づ き 、 日 本 国 が
被 疑 者 に 対 す る 裁 判 権 を 行 使 す べ き と し て 、 起 訴 を 相 当 と す
る 議 決 を し た 。
そ の 後 、2011年 ( 平 成 23 年 )11 月 23日 の 日 米 合 同 委 員 会
に お い て 、 次 の 合 意 が な さ れ た 。
① 米 側 は 、 公 務 中 の 犯 罪 を 犯 し た 軍 属 を 刑 事 訴 追 す る か
否 か を 決 定 し 、 日 本 側 に 通 告 す る 。
② 米 側 が 当 該 軍 属 を 刑 事 訴 追 し な い 場 合 、日 本 政 府 は 、そ
の 通 告 か ら 30 日 以 内 に 、 米 国 政 府 に 対 し 、 日 本 側 に よ
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③ 米 国 政 府 は 、( ア )犯 罪 が 、死 亡 、生 命 を 脅 か す 傷 害 又
は 永 続 的 な 障 害 を 引 き 起 こ し た 場 合 に は 、 当 該 要 請 に
好 意 的 考 慮 を 払 う 、 ( イ ) そ れ 以 外 の 犯 罪 の 場 合 に は 、 当 該 要 請 に 関 し て 日 本 政 府 か ら 提 示 さ れ た 特 別 な 見 解 を 十 分 に 考 慮 す る 。
同 合 意 を 受 け て 、当 該 軍 属 は 起 訴 さ れ 、2012年( 平 成24 年 )
2月 2 2 日 、 那 覇 地 方 裁 判 所 は 懲 役 1 年 6 月 の 実 刑 判 決 を 言
い 渡 し 、 同 年 9 月 20 日 、 福 岡 高 等 裁 判 所 那 覇 支 部 は 当 該 軍
属 の 控 訴 を 棄 却 す る 判 決 を 言 い 渡 し た 。
し か し 、か か る 上 記 日 米 合 同 委 員 会 合 意 は 、犯 罪 が 、死 亡 、
生 命 を 脅 か す 傷 害 又 は 永 続 的 な 障 害 を 引 き 起 こ し た 場 合 に 限 定 さ れ て い る 上 、 日 本 政 府 に よ る 要 請 に 対 し て ア メ リ カ 合 衆 国 政 府 が 好 意 的 考 慮 を 払 う に す ぎ な い の で あ っ て 、 日 本 の 刑 罰 権 を 確 保 す る 上 で は 不 十 分 な も の と な っ て い る 。
e 刑 事 裁 判 権 不 行 使 の 日 米 合 意 と 法 務 省 通 達
1952 年 ( 昭 和 27年 ) 発 効 当 初 の 日 米 行 政 協 定 17条 に お い
て は 、「 北 大 西 洋 条 約 協 定 が 合 衆 国 に つ い て 効 力 を 生 ず る ま で
の 間 、 合 衆 国 の 軍 事 裁 判 所 及 び 当 局 は 、 合 衆 国 軍 隊 の 構 成 員
及 び 軍 属 並 び に そ れ ら の 家 族( 日 本 の 国 籍 の み を 有 す る そ れ ら
の 家 族 を 除 く )が 日 本 国 内 で 犯 す す べ て の 犯 罪 に つ い て 、専 属
的 裁 判 権 を 日 本 国 内 で 行 使 す る 権 利 を 有 す る 」 と さ れ て い た 。
そ の 後 、 N A T O 地 位 協 定 が 1953年 ( 昭 和 28 年 ) 8 月 23日
に ア メ リ カ 合 衆 国 に つ い て 発 効 し た の に 合 わ せ て 日 米 間 で 同
条 の 改 定 交 渉 が 行 わ れ 、 同 年 9 月 29日「 行 政 協 定 を 改 正 す る
議 定 書 」 が 日 米 間 で 結 ば れ 、 行 政 協 定 第 17 条 が 改 め ら れ 、 現
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同 年 8 月 、 行 政 協 定 第 17条 の 改 定 交 渉 の 裏 側 で 、 日 本 側 の 裁
判 権 を 事 実 上 放 棄 す る 密 約 が 結 ば れ た 。当 初 、ア メ リ カ 合 衆 国
政 府 の 行 政 協 定 の 合 意 議 事 録 案 と し て 「 日 本 国 政 府 は 、 日 本
国 に と っ て 特 に 重 大 で あ る と 認 め ら れ る 場 合 を 除 く 外 、 合 衆
国 軍 隊 の 構 成 員 若 し く は 軍 属 又 は そ れ ら の 家 族 に 対 し て 裁 判 権 を 行 使 す る 第 一 次 の 権 利 を 行 使 す る こ と を 希 望 し な い も の
と す る 」と い う 条 項 が 含 ま れ て い た が 、ア メ リ カ 合 衆 国 に 極 め
て 有 利 な 行 政 協 定 に 対 す る 世 論 を 考 慮 し た 日 本 側 が 公 式 議 事
録 か ら 削 除 す る こ と を 望 み 、 そ の 結 果 、 前 述 の と お り 、 日 米
合 同 員 会 刑 事 部 会 で の 協 議 の 中 で「 日 本 に と っ て 著 し く 重 要 と
考 え ら れ る 事 件 以 外 に つ い て は 第 一 次 裁 判 権 を 行 使 す る つ も
り が な い 」と い う 密 約 が 津 田 實 日 本 側 部 会 長 の 声 明 と し て 非 公
開 議 事 録 に 記 録 さ れ た( 吉 田 敏 浩『 密 約 日 米 地 位 協 定 と 米 兵 犯
罪 』毎 日 新 聞 社 )。そ し て 実 際 に も 、現 在 に 至 る ま で そ の よ う
な 裁 判 権 不 行 使 の 運 用 が な さ れ て き た 。例 え ば 、米 海 軍 横 須 賀
基 地 、 厚 木 基 地 等 が あ る 神 奈 川 県 で は 、2008 年 ( 平 成 20 年 )
か ら 2012 年 ( 平 成 24年 ) の 一 般 刑 法 犯 ( 自 動 車 運 転 過 失 致
死 傷 を 除 く )と し て 起 訴 さ れ た 米 軍 人・軍 属 と そ の 家 族 は 、送 検 さ れ た122人 の う ち わ ず か 7 人( 約5.7パ ー セ ン ト )で あ り 、 強 姦・同 致 死 傷 、強 制 わ い せ つ・同 致 死 傷 に つ い て は 、送 検 さ
れ た 16人 全 員 が 不 起 訴 で あ っ タ ( 東 京 新 聞 平 成 26年 1 月 3
日 ) 。2012年 ( 平 成 24 年 ) の 一 般 刑 法 犯 の 起 訴 率 が 約 38.2
パ ー セ ン ト で あ る こ と と 比 較 し て 、米 軍 人・軍 属 と そ の 家 族 に
対 す る 起 訴 率 は 、 異 常 に 低 く な っ て い る 。
日 米 地 位 協 定 第 17 条 3 項(b)に よ り 日 本 国 が 第 一 次 裁 判
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使 し な い の は 主 権 国 家 と し て 大 き な 問 題 で あ り 、米 軍 人 等 に よ
る 犯 罪 被 害 者 の 納 得 を 得 る こ と が で き な い 。
f 米 軍 基 地 外 で 起 き た 米 軍 航 空 機 墜 落 事 故 に つ い て
2004 年( 平 成16 年 )8 月 13日 、沖 縄 国 際 大 学 に 米 軍 ヘ リ C
H53D が 墜 落 し 、爆 発 炎 上 し た が 、そ の 事 故 直 後 、米 軍 普 天 間
基 地 か ら 数 十 人 の 米 兵 が 基 地 の フ ェ ン ス を 乗 り 越 え 、 事 故 現
場 の 沖 縄 国 際 大 学 構 内 に な だ れ こ ん で 、事 故 現 場 を 封 鎖 し 、そ
こ か ら 日 本 人 を 排 除 し て 、沖 縄 県 警 の 警 察 官 も 墜 落 現 場 に 入 る
こ と が で き な か っ た 。
か か る 米 軍 の 措 置 は 、上 記( 1(6))の 合 意 事 項 20及 び 1959
年( 昭 和 34 年 )7月 14 日 刑 事 局 長 発 検 事 総 長 、検 事 長 、検 事
正 宛 て 通 達 に も 違 反 す る も の で あ っ た 。
そ の 後 、2005 年( 平 成 17年 )4 月 1 日 の「 日 本 国 内 に お け
る 合 衆 国 軍 隊 の 使 用 す る 施 設・区 域 外 で の 合 衆 国 軍 用 航 空 機 事
故 に 関 す る ガ イ ド ラ イ ン 」が 策 定 さ れ た 。か か る ガ イ ド ラ イ ン
に お い て 、 合 衆 国 軍 用 航 空 機 が 日 本 国 内 で 米 軍 施 設 ・ 区 域 外
に あ る 公 有 又 は 私 有 の 財 産 に 墜 落 し 又 は 着 陸 を 余 儀 な く さ れ
た 場 合 に お い て 、日 本 国 政 府 の 職 員 又 は 他 の 権 限 あ る 者 か ら 事
前 の 承 認 を 受 け る 暇 が な い と き は 、合 衆 国 軍 隊 の 然 る べ き 代 表
者 は 、必 要 な 援 助・復 旧 作 業 を 行 う 又 は 合 衆 国 財 産 を 保 護 す る
た め に 、当 該 公 有 又 は 私 有 の 財 産 に 立 ち 入 る こ と が 許 さ れ る と
さ れ 、事 故 現 場 の 立 入 規 制 に つ い て は 、合 衆 国 側 が 全 て の 残 骸 、
部 分 品 、部 品 及 び 残 渣 物 に 対 し て 管 理 を 保 持 す る と さ れ 、ま た 、
事 故 現 場 至 近 周 辺 の「 内 周 規 制 線 」に 日 本 政 府 及 び 合 衆 国 政 府
の 責 任 を 有 す る 職 員 が 配 置 さ れ 、 日 本 国 の 法 執 行 当 局 が 「 外
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し か し 、 そ も そ も 、 上 記 合 意 事 項 20及 び 上 記 刑 事 局 長 通 達
が 、合 衆 国 軍 隊 の 代 表 者 は 、必 要 な 救 助 作 業 又 は 合 衆 国 財 産 の
保 護 を な す た め 事 前 の 承 認 な く し て 公 有 又 は 私 有 の 財 産 に 立 ち 入 る こ と が 許 さ れ る と し て い る こ と 、 上 記 ガ イ ド ラ イ ン が 、 日 本 国 政 府 の 職 員 又 は 他 の 権 限 あ る 者 か ら 事 前 の 承 認 を 受 け
る 暇 が な い と き は 、合 衆 国 軍 隊 の 然 る べ き 代 表 者 は 、必 要 な 援
助・復 旧 作 業 を 行 う 又 は 合 衆 国 財 産 を 保 護 す る た め に 、当 該 公
有 又 は 私 有 の 財 産 に 立 ち 入 る こ と が 許 さ れ る と し て い る こ と は 、 日 本 国 の 行 政 警 察 権 を 制 約 す る も の で あ る 。
ク 公 務 外 不 法 行 為 に つ い て の 民 事 責 任
( ア ) 問 題 の 所 在
a 日 米 安 保 条 約 に 基 づ き 、我 が 国 に は 平 時 に お い て 恒 常 的 に 米
軍 が 駐 留 し て い る た め 、米 軍 基 地 か ら 派 生 す る 事 件・事 故 等 が
日 常 的 に 発 生 し て い る 。
と り わ け 、 全 国 の 米 軍 基 地 ( 専 用 施 設 ) の 73.8 パ ー セ ン ト
が 集 中 す る 沖 縄 県 に お い て は 、住 民 の 生 活 空 間 と 米 軍 基 地 と は
フ ェ ン ス 一 つ で 隔 て ら れ て お り 、住 民 の 生 活 空 間 が 住 居 や 学 校
等 の 施 設 が 密 集 し て お り 、の 生 活 は 全 面 的 に 基 地 の 影 響 下 に お
か れ て い る と い っ て も 過 言 で は な い 。
こ の よ う に 基 地 の 集 中 に よ り 住 民 の 生 活 空 間 と 近 接 し て 米
軍 基 地 が 存 在 す る こ と か ら 、住 民 を 被 害 者 と す る 米 軍 人 等 に よ
る 事 件 ・ 事 故 が い わ ば 構 造 的 に 恒 常 的 に 発 生 し て い る 。 ま た 、と り わ け 重 大 悪 質 と い い う る 性 犯 罪 に つ い て は 、住 民
の 生 活 の 場 と 近 接 し て 多 数 の 米 軍 人 が 恒 常 的 に 駐 留 し て い る と い う 実 態 や 前 述 の 刑 事 手 続 上 の 問 題 に よ っ て 刑 事 責 任 の 追
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在 日 米 軍 基 地 は 突 出 し た 性 犯 罪 の 発 生 率 を 示 し て い る と さ れ
る 。 米 オ ハ イ オ 州 の デ イ ト ン ・ デ イ リ ー ・ ニ ュ ー ズ 紙 の 1995
年 ( 平 成 7 年 )10 月 8 日 付 に 掲 載 さ れ た 「 醜 い ア メ リ カ 人 」
と い う 見 出 し の 記 事 は 、「 世 界 の ど の 米 軍 基 地 よ り も 日 本 の 基
地 に お い て 、よ り 多 く の 海 兵 隊 員 や 海 軍 の 兵 士 が 、レ イ プ( 性
的 暴 行 )や 児 童 へ の 性 的 い た ず ら そ の 他 の 性 的 犯 罪 の た め 裁 判
に か け ら れ て い る 」と 指 摘 し て い る 。同 紙 が 根 拠 と し て あ げ て
い る の は 、1988 年 か ら 1994 年 ま で の 7 年 間 に 性 犯 罪 を 犯 し
て 被 告 と し て 軍 法 会 議( ま た は 裁 判 )に か け ら れ た 人 数 で あ る 。
被 告 数 1 位 の 在 日 米 軍 基 地 は 被 告 数 169 人 ( 要 員 4 万 1008
人 ) で 、 2 位 の カ リ フ ォ ル ニ ア 州 サ ン デ ィ エ ゴ 基 地 の 被 告 数
102 人 ( 要 員 9 万 3792 人 )、 3 位 の バ ー ジ ニ ア 州 ノ ー ス フ ォ
ー ク 基 地 の 被 告 数 90 人( 要 員 11万 3004 人 )に 対 し て 、突 出
し た 性 犯 罪 率 の 高 さ を 示 し て い る 。す な わ ち 、在 日 米 軍 基 地 の
場 合 、 米 軍 要 員 240 人 に 対 し て 性 犯 罪 被 告 1 人 の 割 合 で 分 布
し て い る の に 対 し て 、サ ン デ ィ エ ゴ 基 地 で は 性 犯 罪 発 生 率 は 在
日 米 軍 基 地 の 4 分 の 1 程 度 、ノ ー ス フ ォ ー ク 基 地 で は 5 分 の 1
以 下 に 過 ぎ な い 。 米 兵 犯 罪 に 詳 し い フ ロ リ ダ 州 在 住 の ロ バ ー
ト・フ ィ ー ロ ッ ク 弁 護 士 は 、米 軍 部 隊 の 配 備 が 非 常 に 集 中 し て
い る と こ ろ で 性 犯 罪 が 起 き 、今 日 も っ と も 目 立 つ の は 、若 い 米
海 兵 隊 員 が 集 中 的 に 配 備 さ れ た 沖 縄 で 性 犯 罪 が 多 発 す る こ と で あ る と 指 摘 し て い る2。
b 公 務 外 の 米 軍 人 ・ 軍 属 の 不 法 行 為 に よ り 第 3 者 に 損 害 を 与 え た 場 合 は 米 軍 人 ・ 軍 属 個 人 に は 、 地 位 協 定 上 の 特 権 は 認 め
2 デ イ ト ン ・ デ イ リ ー ・ ニ ュ ー ズ 紙 の 記 事 及 び ロ バ ー ト ・ フ ィ ー ロ ッ ク 弁