Sidaama 語(エチオピア中南部のクシ語族の言語)の社会文化的背景・ 使用状況と文法構造の特徴 (他のアフリカの言語、日本語、英語の文法構造との比較)
Kazuhiro Kawachi (河 内 一 博) Na-onal Defense Academy of Japan (防衛大学校) [email protected], [email protected] www.kazuhirokawachi.com
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私 の 研 究
・ 方 法: フィールドワークで話者から集めたアフリ
カの言語(主に、 Sidaama 語と Kupsapiny 語 )
のデータを使う。
・ 言語類型を考慮に入れ、理論的に偏りのない文法
の記述。
・ 言語学の(特に、意味論と統語形態論に関する)
理論的問題。
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言語学の方法
多くの場合、他の科学と同じようにデータのあるところ に行く。
・
対象の言語が研究者の母語である場合: 研究者の内省・
対象の言語が研究者の母語でない場合:その言語の話者の内省にアクセスする必要がある。 ↓
言語が話されているところに行ってデータを取る。
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なぜアフリカの言語か?
・アフリカには、パプア・ニューギニアとアマゾンの奥 地と並んで深く研究されていない言語が多くある。
・偶然
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1997 年7月-2007年6月
University at Buffalo, the State University of New York
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1997 年7月-2007年6月
University at Buffalo, the State University of New York
フィールド・メソッズに3年間出席
1999年秋学期-2000年春学期:ハンガリー語 2000年秋学期-2001年春学期: シェルパ語 2001年秋学期-2002年春学期: ティグリニア語 さらに、
1999年初め-2002年夏
韓国語、ルーマニア語、ハンガリー語、シェルパ語、ティグリニア 語、アムハラ語、エウェ語などのコンサルテーションを Buffalo で試みる。
意味類型論・認知言語学でディサテーションを計画
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2002年夏からディサテーションを終えてから取り組むト ピックとして Sidaama 語のデータを採っていた。
しかし、2005年1月25日
My consultant since 2002: Abebayehu Aemero
Tekleselassie,
Ph.D. in educational administration Currently,
assistant professor of education at George Washington University;
originally from Bansa
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2002年夏-2007年夏:
Awawaayyo とのコンサルテーションによりBuffaloでデータを集 める。約1000時間
通常私のオフィス、行き帰りの車、飛行場、病院など
2008年3月 (自腹)、2009年3月 (AA研)、 2010年2-3月(科研) Sidaama Zone の Hawassa と Bansa でフィールドワーク
( 2011年3月、2012年3月予定) 2007年夏-:
帰国。
Awawaayyo から電話でデータを集める。
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この発表の構成
PART I: Sidaama 語の社会文化的背景と使用状況
(slides 10-108)
PART II: アフリカという言語地域があったとして、 Sidaama 語はアフリカの言語の特徴をもっているか? (Sidaama 語 の他のアフリカの言語との比較)
(Kawachi 2011) (slides 109-160)
PART III: Sidaama 語は「する」的言語か「なる」的言語か? (Sidaama 語の他の日本語と英語との比較)
(Kawachi 2009) (slides 161‐183)
PART II と PART III の共通の問題:
関連があるという類型論的根拠がないいくつかの特徴を 組み合わせて言語を特徴付けることはできるのか?
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PART I
Sidaama 語の社会文化的背景と使用状況
1. Sidaama 語の社会文化的背景
2. Sidaama 語について(使用状況、文法の基礎的情報など)
1. Sidaama 語の社会文化的背景
10 エチオピア
面積 : 1,104,300 km2 (日本の約3倍) 人口: 約8300万人(2009年) 首都:アジスアベバ (人口 約300万人) (ドバイから飛行機で4.5時間)
エチオピアの地形図 11
12 86民族80以上の言語
公用語:アムハラ語(Amharic)
教育に使われる言語:初等教育では民族の言語、高等教育ではアムハラ語と英語 エチオピア: 68 (くらい) の 行政的 ゾーン 、11の行政的地域に分かれている。
13 アムハラ語(Amharic)の文字
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Sidaama /sida:ma/
Sidamo として知られるが、 これは蔑称。
1960-1974 年に現在の Sidaama Zone を含む南部の地域が Sidamo と呼ばれた。
Sidaama Zone: Addis Ababa の南 車で約273 km (170 miles) 15
My driver Kaasu and one of his sisters 16 on the way to Sidaama Zone 17
on the way to Sidaama Zone 18 on the way to Sidaama Zone 19
Sidaama Zone 20 Sidaama Zone 21
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Sidaama
Zone
Sidaama Zone の capital は Hawassa (Awasa) /hawaasa/ 23
Daayie, Bansa 24 25
Bansa
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Awawaayyo’s parents 28 Awawaayyo’s family
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Awawayyo’s family 30 House where Awawaayyo used to live 31
・ エチオピア政府によって、文化的に全く異なる他の56の民族の 12のゾーンと共に Southern Nations, Nationalities, and Peoples (SNNP)という行政的地域に入れられている。
・ SNNP の capital も Hawassa (Awasa): 様々な民族が混在している。公用語はアムハラ語。
32 Hawassa 33
Hawassa 34 Hawassa 35
Sidaama ゾーンの地理と天候
・ 北緯 : 5’ 45- 6’ 45度、東経 : 38’- 39’ 度
・ 面積 : 10,000 km2
・ 海抜 : 1,400-3,000m
(低地1,400-1,700m、中地1,700-2,500m、高地2,500-3,000m)
・ 天候は高度により大きく異なる。
・ 乾季:10-2月、雨季:3-9月
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湖や蚊の周辺は蚊が多く、マラリアの危険がある。
Lake Hawassa
Hailu Gudura 37
蚊帳 38
・16世紀に現在の Sidaama Zone に移ってきたと言われている。
(イスラエルから?)
・人口:約290万人(2005年)
・周辺の民族は、 Oromo 族 (クシ系)、 Gedeo 族 (クシ系)、
Wolaita 族 (Wolaytta) (オモ系)。 牧草地の所有権をめぐって Sidaama 族 と Oromo 族 の 紛争が絶えない。
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Sidaama Ethnic Group
Oromo
・ 最も大きな家系的組織のレベルとして gosa ‘tribe’ があり、以 下2、3のレベル (e.g., ga’re ‘clan’, boosaallo ‘subclan’) に階 層的に構成されている。
各家系的組織は地理的に分散しているが、ある地域に多く集 まっているものもある。
・ 地域コミュニティーでの強い結束
・ 老人支配の(gerontocratic)社会
子供は老人に敬意を払うように教育を受ける。 ある社会的組織のレベルで問題が起こると、 老人の審議会 songo が招集され審議される。
・男性が優位の社会
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Sidaama 族の社会と暮らし
41 Gaduuda and Dangura
女性の仕事
‘to prepare food’, ‘to milk cows’, ‘to fetch water’,
‘to convert weese plant into (edible) waasa’ 男性の仕事
‘to plow the earth with an ox’, ‘to gather the crop’,
‘to plant weese plant’, ‘to plant a corn’, ‘to weed out of a corn’ 子供の仕事
‘to wash guests’ feet’ (both girls and boys) 女性と女児の仕事
‘to sweep the house’, ‘to take out dungs of cattle’ 男児の仕事
‘to take care of the cattle’ 男性と男児の仕事
‘to break firewood’ 42
・女性、男性、子供の労働の役割がはっきりと決まっている。
「社会的責任を果たすために行う」という意味を表す動詞の 接尾辞がある。(Kawachi 2008)
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・ほとんどの男性が農業を営む。
高地: weese (enset), wheat, barley, cabbages, potatoes, beans and peas, apples, papayas
中地: weese (enset), coffee, corn, wheat, beans and peas, avocados 低地: coffee, sugar cane, sweet potatoes, tomatoes, avocados, oranges,
lemons, bananas, pineapples, papayas, mangoes
Weese (enset) (“false banana”) (バナナ科)
Sidaama 族(および周辺のいくつかの民族)の人々にとって最も重要な農作物。 Sidaama Zone の高地と中地のほとんどの家の周りに見られる。
44 Weese (‘enset’) (“false banana”)
様々な目的に使われる。
繊維(haant’iččo):ロープ、食べ物の濾過、食べ物をつぶすときの包み、穀物を 入れる袋など。
葉(hoga):調理時の食材の包み、(手の代わりとしての)食事の用具、マット レス、枕、敷物、牛の飼料、 waasa を置く皿としてなど。
Weese (Enset) 45
Weese (‘enset’) 46 Weese (Enset) 47
48 Weese (enset) (“false banana”)
根(ha’miččo):食用 (waasa) ー長い複雑なプロセスを経て、 waasa を作る。 (粉状の waasa とパンのタイプの waasa の2種類がある。)
Yehualaeshet Aschenaki 49
コーヒー
Sidaama Zone は飲み物としてのコーヒーの発祥の地と言われる場所の一つ。
Ginger cofffee and cake 50 51
エチオピア政府による訴訟:Sidaama 族の人々とは無関係
“Sidamo coffee” は商標なのか、単なる産地名なのかという問題。 2005年9月 エチオピア政府が「シダモ」等をコーヒー豆のブランド名とし
て特許庁に商標登録を申請、2006年5月に商標登録した。 2006年 社団法人 全日本コーヒー協会:特許庁に商標の無効を請求
(「産地名であり、独占使用は適当ではない」) 2007年1月 特許庁が、 「シダモ」 等は商標として無効と判断。
商標法:「商品の産地や品質を普通の方法で表示した商標は登録でき ない」
2009年 エチオピア政府が 知財高裁に「欧米では商標登録されている」と して審決取消し訴訟。
2010年3月 エチオピア勝訴:知財高裁判決は、シダモという地名は辞典 類に掲載されていないことなどを挙げたうえで、「日本では、シダモ という地名の認知度は低い」、業者や消費者はエチオピア産の高品質 のコーヒーと認識していると認定し、「シダモ地方で生産されたコー ヒー豆や、その豆を原料としたコーヒー」として商標登録を認めた。 2006年にもエチオピア政府は Starbucks Coffee に対しても訴訟を起 こし、ライセンス料を支払うということで合意している。
52 牛の数=経済力の判断の基準の一つ
納屋がある場合もあるが、ほとんどの家の中に 家畜のセクション (hadiro) があって、 そこに入れて一緒に住んでいる。
家の中に入れる動物:牛、馬、ラバ、ロバ、羊、ヤギ、鶏、
ときに犬、猫
・ 牧畜
・伝統的な Sidaama の家 一階建て
乾草で覆われた屋根
人間のセクションと家畜のセクション(hadiro)がある。 人間のセクションは二つの部分から成る。
holge: ベッドルームと貯蔵所(食品、用具、金など) boosaallo: 居間と台所
玄 関(gola)の羊のセクションの上にベッドルームが設けられていることもある。
Gaduuda’s houses in č'affe ko)e ǰaweessa Village 53
Gaduuda’s houses in č'affe ko)e ǰaweessa Village 54 55
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58 Bamboo house 59