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河合塾 予稿_成田2 doc 2016年度の活動(HCG特別企画) 「魅力と意欲」

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Academic year: 2018

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新たな教育理念と高大接続システム改革

~資質・能力,見方・考え方をいかに育成・評価するか~

Points Requiring Careful Consideration on Reform in Connecting High school and University

Education in Japan.

成田 秀夫 Hideo Narita

学校法人河合塾 教育イノベーション本部

Division of Educational Innovation,Kawaijuku Educational Institution.

1「高大接続システム改革」の提起

 英国のEU離脱,トランプ米国大統領の誕生と,今や 戦後世界のフレームが大きく変わろうとしている.極端 な言い方をすれば,われわれは昨日までの常識が通じな いほど変化の激しい社会に生きている.しかし,こうし た激しい変化に教育は対応できているのだろうか.日本 の教育においては,先進国に追いつくための「キャッチ アップ型」から先進国の一員としての「課題解決型」へ の転換が迫られていると喧伝されて久しいが,教育界の

「慣性」は微動だにしないように見受けられる.「高大 接続システム改革会議」の提起はそうした状況への苛立 ちの表現であろう.

2「答申」で示された資質・能力と見方・考え

方の育成

 同会議の「最終報告」と通底する形で提出された「中 央教育審議会答申」(2016 年 12 月 21 日)では,次期学習指 導要領の骨格が示された.そこでは,いままでのように 教師が何を教えたかではなく,児童・生徒が何をできる ようになったかという観点が示されている.これは,溝 上慎一1が言うように,「教授パラダイムから学習パラダ イムへの転換」を意味している.

また「答申」において,育成すべき「資質・能力」や

「見方・考え方」が提示されたことは,大きく一歩を踏 み出したと言える.ただ,それらの内容が教科の固有領 域のみで示されている点では,「社会に開かれた」教育 を謳いつつも,教育固有の領域に限定せざるを得ないと いう日本の文教政策の限界も示している.たとえば,経 済産業省の提唱する「社会人基礎力」に例として触れて はいるものの,省庁の垣根を越えた教育と社会の「接 続」については踏み込んだ提起はみられない.

3 タフな若者を育てるために

 とは言え,日本の若者は,行政の施策を超えて,変化 の激しい現代社会を生き抜かねばならない.目の前の生 徒・学生に向かって,文科省が決めるまでは君たちには 何もできないと,はたして心ある教師は言うことができ るだろうか? 

変化の激しい現代社会を生き抜くために必要な資質・ 能力については,OECD の「キー・コンピテンシー」をは じめ,内閣府の「人間力」,経済産業省の「社会人基礎

力」,文部科学省の「学士力」など,内外においてさま ざまな提起がされている.しかし,それらは名称の違い こそあれ,ほぼ等しい概念であると言える.われわれは それらの概念を「ジェネリックスキル」として総称する ことにした

 こころで,ジェネリックスキルはどのように形成され るのか.たとえば,大学で工学を学んだ学生が会社に入 ってから営業部で働くことも少なくない.こうした異な る領域への移行(Transfer)を容易にすることこそ,教育 から社会への移行(Transition)の課題でもあるが,ジェ ネリックスキル(Generic Skills:汎用的技能)」は,教科 や 専 門 の 「 領 域 固 有 性 (Specific ) 」 を 超 え 出 る 経 験

(Transfer)を繰り返すことでしか形成されない.ここに こそ教科や専門の領域に限定されない,学びの全体像を 構築する意義がある.そして,生徒・学生の主体的な学 びを支えるための教育を整備することで,最終的には 個々人が自律した行為主体(Agency)として成長していく ことが,教育の目的ではないだろうか.

4 カリキュラム・マネージメントの必要性

 さて,上記の目的を実現するためには,教師が個々の 専門領域に埋没していることはできないだろう.教育機 関がそれぞれ教育目標を掲げ,それと連動したカリキュ ラム開発,ひいては授業改善が求められている.

しかし現状では,教育目標が「お題目」に終始したり , 身につけるべき資質・能力,見方・考え方が示されずに 授業が行われたり,あたかも「屋台村」のごとき状態で はないだろうか.そして,評価の基準が示されていない ためにエビデンスに基づいた評価もできない。 こうした 状況を改善するためには教育機関全体でカリキュラム・ マネージメントに取り組む必要があるだろう.

5 終わりに変えて

こうした現状においては,行政の責任を追及するので はなく,官・民,公教育・私教育の枠を超えて,教育改 革に邁進することが求められていると言えよう.

〔参考文献〕

1 溝上慎一,2013「アクティブラーニングと教授学習パ ラダイムの転換」(東信堂)

2 河合塾,リアセック社,2014「PROG 白書 2015―大学 生10 万人のジェネリックスキルを初公開」(学事出版)

参照

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