『躯体』とは
「躯体」 床や壁、梁等 建物の構造を支える骨組
目 標使 用年 数に合わ せた計画 的な工 事を実 施 する こ と で 、必 要 最 小 限 の回 数 と経 費 で 工 事を 実 施し ラ イフサイクルコストを低減します。
目 標 使 用 年 数 を 定め る 際 は 、「躯 体 」 の 耐 用年 数 を 目標年数とします。「躯体」が健全である限り、「躯体 以 外 の 内 装 、設 備 等 」を 適 切 に保 全 する こ と で 、 建 物を長く有効に活用できます。
本 市 の 公 共 施 設 にお け る 躯 体 の 多 く を 占 め る 鉄 筋 コ ン クリ ート の 耐 用 年 数 (鉄 骨 鉄 筋 コ ン クリ ート の 耐 用年数も同様)をもとに目標耐用年数を定めます。
1目標使用年数の設定
2 改修周期の設定
中規模改修
竣工後20年と60年目を目途に実施する改修で、屋上防水や外壁補修、設備機器の更新 などを行います。主に建物の機能回復を目的とします。
長寿命化改修
竣工 後40年目を 目途に実施する改修 で、中 規模改修の項 目のほか 、給排 水管の更新 、 空調ダクトの更新、躯体の中性化対策などを行います。
主に建物を現状の社会的要求水準まで高 めること 、以後40年間の使用に耐え うるものと することを目的とします。
長寿命化基本計画の方針
使 用 年 数80年 の 改 修 周 期 イ メ ー ジ 長寿命化に必要となる計画的保全の
観 点か ら、建物の 定期的な 改修周 期 を設定します。
目 標 使 用 年 数 を80年 と し た 施 設 は 、 原 則 的 に 構 造 耐 久 性 調 査 を 竣 工 後 35年~40年の内に実 施し、躯体が80 年 の 使 用 に 耐 え う る 施 設 と 判 断 さ れ た 施 設 の み 長 寿 命 化 を 見 据 え た 改 修を行っていきます。
鉄 筋 コ ン クリ ート 造 躯体 におけ る 物 理的 な 耐用 年 数は「建 物 の耐 久 計画 に関 する 考え 方 」(日 本建 築 学 会)に示されており、これに基づき、本市での目標使用年数を80年と設定します。
建 物の 各部 位ごと に、その特 性 に合 った耐 用年 数が あるた め 、計 画的 に改修 を行 ってい く必 要が あり ま す。電気設備(受変電設備や照明設備)やエレベーターなどは、改修コストの面から30年での更新が望ま しく、20年サイクルの改修とは別のタイミングに改修を行うことが効果的です。
長野市長寿命化基本計画(素々案)概要版
平 成28年9月28日公共施設適正化検討会議 資 料 2
構造別の施設量
1 1目標使用年数の設定
2 改修周期の設定
3 施設類型ごとの改修 更新周期の設定
■各施設における保全計画作成と 日常点検
■コストマネジメントの実践
■施設情報の一元的管理
■長寿命化に対応できる躯体
■ランニングコストの削減
■用途変更に柔軟に対応できる設計
■適正規模による更新 4 計画的保全の基本方針
5 施設更新時の取り組み
■機能性の維持と向上
■コストマネジメントの実践
■施設情報の一元管理 6 インフラ施設の
長寿命化
□長寿命化の必要性と効果
□長寿命化に伴う改修更新 費用シミュレーション
□事後保全から予防保全へ
□メンテナンスサイクルの構築
3 施設類型ごとの改修更新周期
使 用 年 数 を40年 と し 、 竣 工 か ら20年 目を中規模改修時期とします。
木 造 施 設 ( ①② )
建物の築年数や構造によりグルーピン グし、施設類型ごとに改修周期を定め、施設ごとの中長期保全計 画の策定に役立てます。
施設を一律に長寿 命化してしまうことで 、劣化していて長期の使用に耐えない施設や縮減対象施 設に無 駄な改修コストをかけないようにします。
非 木 造 施 設 ( ③④⑤ )
目 標 使 用 年 数 を80年 と し 、 竣 工 後40 年 で 長 寿 命 化 改 修 、 竣 工 後20、60年 で 中規模改修を実施します。
た だ し 、1981年 の新 耐 震 基 準 以 前 建 設の既存施設は、今後の施設総量削減 を見据え、原則、長寿命化せず、竣工後 50年を使用年数とします。
4 計画的保全の基本方針
■各施設における保全計画作成と日常点検
利 便 性が 高 く、安 全で 快適 に利用 できる 場として 、目標使 用 年数 まで 施設 の 機能 が十 分 に発 揮さ れ るよう、各施設の「中長期保全計画」を作成し、必要な費用を年度別に明確化します。
現 場 レベ ルで 公 共施 設を 適 切 に維持 保 全してい く ために、施 設 管 理 講習 会 の開 催 や公 共 建 築物 保 全マニュアルの活用などを通じて、適時・適切な日常点検を実施します。
■コストマネジメントの実践
適 切 な改 修 ・更 新を 、限 られた予 算内 で行 うた め に、施設 の 劣化 状 況を踏 まえた優 先順 位 付けや 施 設量の削減を行い、改修や更新の時期を分散化することで、財政負担の平準化を図ります。
ランニングコストを削減するため省エネ対応の設備機器の導入を行います。
■施設情報の一元的管理
施設の建築年度や延床面積、構造などの基本的な情報のほか、日々の管理業務記録や施設管理者 の周期点検、修繕履歴、また、光熱水費などを一元化することで、不具合に対する迅速かつ効果的な 修繕対応や保全工事の将来予測などを行い、計画的保全に務めます。
5 施設更新時の取り組み
■長寿命化に対応できる躯体
鉄 筋 コ ン ク リ ー ト 躯 体 の 場 合 、 設 計 ・ 施 工 の 段 階 で 、 表 面 か ら 鉄 筋 ま で の コ ン ク リ ー ト の か ぶ り 厚さを 増して 中性 化 が鉄 筋位 置 まで 至る ま での時間を長くすることが重要です。
■ランニングコストの削減
建 物 の 企 画 ・基 本 設 計 時 点 で コ ス ト 要 因 の8 割が決まると言われています。建物の更新時期、 設備等の更新周期を あらかじめ想定し、建設後 の 費 用が 低減 できる よ う配 慮 する 必要 が あり ま す。
■用途変更に柔軟に対応できる設計
マネジメントの推進により、建物が一生、同一 目的で使用されることは減少することから、用途 変 更 に対 応 し や すい 設 計 と し 、 用 途 変 更 ・ 複 合 化・多機能化に、柔軟に対応で きるようにします。
■適正規模による更新
施設総量の適正化方針や、建替時だけでなく、 人口減少など将来の需要を考慮した上で、適正 な規模による更新をする必要があります。
6 インフラ施設の長寿命化
現在策定されている長寿命化計画の見直しを
含む、個別のインフラ施設長寿命化計画の策定を施設所管課を中心に行い、関係部署が連携を強化 し、良好な管理体制の構築を図ります。
■コストマネジメントの実践
インフラ施設の重 要度(リス ク評価による優先度)を検 討し、重要度に応じて、点検劣化 状況等を踏ま えた優先順位付けなどにより、更新時期を先送りや分散化することで、財政負担の平準化を図ります。
各インフラ施設は、それぞれ作成する インフラ長寿命化 計画に基づき維持保全を実施しますが、市全 体 で執 行で きる予 算は 限 られる こと か ら、今 後はそ れぞれ の 長寿 命化 計画を 相互 に調整 し、予算 配 分の調整等を行っていく必要があります。
■施設情報の一元管理
優先順位付けや、その基礎となる劣化診断・劣化予測を行うためには、インフラ施設管理者が持つ情 報 の 質 と 量 が 重 要 に な り ま す 。 そ の た め 、 点 検 ・ 修 繕 履 歴 等 に つ い て 、 経 年 で デ ー タ 蓄 積 、 デ ー タ ベース化を行っていく必要があります。
Ⓐ 事後保全 を前提 とした管 理
Ⓑ 長寿命化 を考慮 した計 画的な管 理
▼管理基 準値
※ この 水準 を下 回ら ない よう 施設 の 管理 を行 う
▼使用限 界値 健 全度
機能停止 または事 故発生
■機能性の維持と向上
より多 くの市民 にとって利便性が 高く 、安全で 快 適 に 利 用 で き る も の と し て イ ン フ ラ 施 設 の 機 能 が十 分 に発 揮され る よ う 、機 能回 復を 図 る 「 予 防 保 全 」 と 、 バ リ ア フ リ ー 化 や 利 用 者 ニ ーズに応じた改修など 、機 能性の 向上を 図 る「改良保全」を、計画的かつ継続的に進め、 機能性の維持・向上に努めます。
長寿命化の 必要性 と 効果
長 野 市 公 共 施 設 白 書 で は 、 今 後40年 間 に 必 要 と な る 公 共 施 設 ( 建 物 ) の 改 修 ・ 更 新 費 用 は 、 総 額 約 5,858億円、1年当たり約146.5億円になると試算しています。
過去5年間の公共施設に係る投資的経費実績(約83.1億円)の約1.8倍の予算が必要となり、現存する全 ての公共施設を将来にわたり維持 するための財源を確 保し続けていくことは、極めて難しいとしています。
指針に「計 画的な保全 による 長寿命化の推 進」を掲げ、引き続き活用していく公共施 設は、長 期にわ たる安心安全な施設維持に努め、財政負担の軽減と平準化を図るとしています。(基本方針2)
長寿命化のイメージ
現状
時間
施設総量を減らすことで、改修・更新費を減らす 施設総量
の縮減
今 まで、施設 の老 朽化 に対 する 対策 は建 替え が一 般的 でしたが、これ か らは 施設を 計画 的 に維持 保 全 して長寿命化を図ることにより、単年度の建替えコストを軽減していくことが必要です。
長寿命化
( 建 物 の 延 命 )
長寿命化により、毎年度の負担を軽減する
計画的に保全・更新を行うことで、毎年の負担を平準化する 財政負担の平準化
長寿命化に伴う改修更新費用シミュレーション
今 後40年 間 の 建 物 改 修 更 新 費 用 に つ い て 、 長 寿 命 化 に 加 え て 総 量 縮 減 を 行 った 場 合 の 費 用 を 試 算 し た と こ ろ 、 約3,563億 円(白書:5,858億円)に、1年当たり平均で 約89.1億円(白書:146.5億円)となります。
使用年数
木造施設:40年
非木造施設(旧耐震):50年 非木造施設(新耐震):80年 建替率
学校教育系施設:65% 公営住宅:60% その他施設:0% 試算条件
オ リ ン ピ ック施 設は 規模 が大 きく 、建 築 年度 が近い ことか ら、改 修周 期 も重 複し ます 。今 後は 、詳細 な修 繕計画を作成し、年度 毎に必要とな る改修費を正確 に把握するとと もに、施設相 互間で改修時期を調整 し 、単 年度 の 費用 の平 準 化を 図 る必 要 が あり ます。その 上 で 、各 施 設の 将 来の あり 方を 検討 してい く 必 要があります。
旧耐震施設の建替えが終わる2031年以後、建替え対象施設が減る一方、長寿命化改修を実施した施設 が増えることになり 、施設削 減統廃合などが進めづ らくなります 。長寿命化改修を行 う前の調査の結果 、 長寿命化が難しい施設は、他施設への機能移転や複合化等を進める事が必要です。また長寿命化改修 の際には以後の施設需要を考慮し、過剰な施設は減築も検討します。
長寿命化によるコスト削減効果
大 規 模 改 修
3 0年 目 6億円
解 体
6 0年 目 0 .2億円
竣 工 9 .4億円
長寿命 化改修
4 0年 目 5 .3億円
解体
8 0年目 0 .2億円
3 0年目 中規模
改 修
20 年目 0.9億円
竣 工 9.4億円
中規 模 改修
6 0年 目 1 .6億円
(電 設含む )
60年 使用 した場 合
80年 使用 した場合 60年使 用した 場合
0 .7億 円 電設 改修
建 物 の 長 寿 命 化 を 図 る こ と は 、 建 替 え 時 期 を 先 送 り する こ と で 毎 年 度 の 負 担 を 軽 減 する だ け で な く 、 建 物 の 建 設 か ら 除 却 ま で に か か る 費 用 (ラ イフサ イクルコ スト)を低 減 する効 果 も あります。
個 別 施 設 の ラ イフサ イクル コ ス ト を 、60年 と80 年 で 比 較 し た 場 合 、長 寿 命 化 に よ り 年 間 の コ ストが低減されることが分かります。
社 会 的 に 要 求 さ れ る平 均 的 な 性 能 水 準
補 修 社
会
改 修 的
( 性 能 向 上 ) 劣
化 竣 工 時の
性 能 水 準 物
補 修 補 修 理
修 繕 実 用 上 支 障の な い 状 態 的
劣 化 経 年 劣 化
時 間 性 能水 準
竣 工時
修 繕 に は 、 設 備 故 障 や 雨 漏 な ど 異 常 が は っきり し た 段 階で 修 繕を 行 う 事 後 保全と 、 定期点検などで建物の機能や性能及び劣 化 の 状 態 を 把 握 し 、 予 防 的 に 修 繕 を 行 う 予防保全があります。
こ れ ま で は 、 事 後 保 全 の 考 え 方 が 中 心 で した が、一 定の 性 能水 準 を保 ち な が ら長く 使っていくためには 、建物の 使用年数を設 定 し 、 適 切 な 改 修 を 行 う 計 画 的 な 予 防 保 全に大きく転換します。
長寿命化に必要な計画的保全