1
行 政 視 察 等 報 告 書
平成26 年3月11 日
長野市議会議長 高 野 正 晴 様
報告者氏名(代表)
新幹線延伸対策特別委員会委員長 小 林 義 和
この度、行政視察をしましたので、その概要について下記のとおり報告いたします。
記
1 視 察 区 分 新幹線延伸対策特別委員会行政視察
2 視察者氏名 小林義和、野本靖、松木茂盛、小林義直、金沢敦志、 勝山秀夫、宮崎治夫、寺澤和男、祢津栄喜
3 随 行 者 書記 松林秀樹
4 視 察 期 間 平成26年1月21日(火)~ 平成26年1月23日(木)
5 視察先及び視察事項
視 察 先 視察日時 視 察 事 項
三重県 伊勢市
1月21日(火) 午後1時30分
~午後3時30分
・御遷宮誘客宣伝事業について
・御遷宮旅客受入基盤整備事業について
兵庫県 姫路市
1月22日(水) 午後1時
~午後2時30分
・文化観光の推進について
・公共交通機関等と連携した観光振興について
山口県 宇部市
1月23日(木) 午前9時
~午前11時
・シティセールスについて
(セールスポイントの柱であるUBEビエンナ ーレ、 ふるさとツーリズムの取組状況)
2 6 調査概要
月日
視 察 地
(市町村名等)
考 察
(所感、課題、提言等) 1月
21 日
(火)
三重県 伊勢市
※ 交 通 政 策 課 長 同行
伊勢市は、神宮を中心として培われてきた深い歴史と豊かな文化 のあるまちで、年間800 万人を超える人が神宮参拝に訪れる。式年 遷宮は、20年に一度の大祭であり、平成25年には遷御の儀が執り 行われ、1400万人を超える観光客が訪れた。
本市も平成 27 年春に、7年に一度の善光寺御開帳を控えている ことから、伊勢市の誘客への取組、公共交通の整備状況などについ て、伊勢市、伊勢市観光協会及び伊勢商工会議所から説明を受ける とともに、伊勢市駅前手荷物預り所、駅前再開発の状況、外宮参道 再整備等の現地視察を行った。
【伊勢市における観光の課題】
○観光客が内宮に集中している。
・駐車場不足による交通渋滞が慢性的に起こる。
・観光による経済効果が内宮周辺(限定的)となっている。
○通過型の観光地になっている。
・市内の滞在は短時間であり、次の目的地へ移動している。
・市内の宿泊者が少ない。志摩・鳥羽方面へ宿泊客が流れている。
○遷宮が終わり、しばらくすると観光客が減少する。
・遷宮後も観光客を減少させたくない。
【式年遷宮に係る観光の取組】
○参宮木札
間伐材を活用した木札を作成し、外宮で配布。まず外宮を参拝 したあと、内宮を参拝する仕掛けづくりを行った。
○情報発信
伊勢商工会議所とタイアップによる「お伊勢参りは外宮から」 をキャッチフレーズとした情報発信※
※観光客は、おかげ横町、おはらい町が隣接する内宮に偏る傾向 があり、外宮への集客が課題となっていた。
※平成25 年の内宮参拝者数は対前年比 1.5倍、外宮参拝者数は、 同 1.8倍で10 月5日には外宮参拝者数が内宮参拝者数を昭和31 年以降初めて上回り、様々な取組が一定の効果を上げている。
○かざすCITY伊勢
スマートフォンを風景にかざすだけで、周辺にある観光・飲食 店情報等を端末内の現実映像の上に重ね合わせ、それらの情報の 詳細案内やルート案内、スポットナビを行い、誘客と回遊性の向 上を図っている。
○お伊勢さん観光案内人
伊勢商工会議所が実施主体であり、検定「お伊勢さん」の上級 合格者約 80 人が登録し、神宮内を案内。観光客のニーズを酌み 取るオーダーメイド型の観光ガイド事業である。着地型旅行商品 として旅行会社も注目し、単独で採算が取れる事業として成長。 補助金に頼らない独自のビジネスモデルとして成功している。
○手荷物預り所
JR伊勢市駅の預り所が廃止されることから、伊勢市観光協会 が主体となり、預り所を設置。現在は、手荷物を預かるだけでは なく、「手ぶらで伊勢参り 」をキャッチ フレーズに 、市内のホテ ル、旅館などへ配送するサービスを始め、観光客の利便性向上に 努めている。
○御遷宮旅客受入基盤整備事業を初めとした公共交通の整備
3
・観光客の増加に伴う交通渋滞対策や公共交通機関の利用促進、 観光客の市内周遊の利便性向上などの課題を解決するため、三重 交通株式会社と協働で市内観光バス「参宮バス」の運行を実施。
・メディアを活用した公共交通機関利用促進の積極的な呼びかけ により、近畿鉄道及びJRの利用が大幅に増加。パークアンドバ スライドの駐車場は約5,600 台を確保し、駐車料金として1台当 たり 1,000 円を徴収している。
【ポスト遷宮対策】
○長期的な誘客につなげるためには、メディアへ情報を一気に出 すのではなく、小出しにする必要があるとのこと。
○若い人にも広がる「祈り」や「信仰」に対する意識の変化を捉 え、歴史、伝説、物語に恋愛を絡めたストーリーを組み込んだ観 光ルートの作成を検討
○今後、新たな地域の魅力を発掘し、観光資源として活用する「神 宮プラスワン」を展開したいとのこと。
【所感】
○駅前手荷物預り所、外宮までの再開発道路整備、公共交通利用 促 進 に 係 る ホ ー ム ペ ー ジ 等 広 報 の 強 化 、 パ ー ク ア ン ド バ ス ラ イ ド、パーキング収容台数増、バス会社への補助金、セミオーダー メイド型観光への転換、観光案内人の育成、木札作成、まちなか 誘導、ポスト遷宮対策など、それぞれの施策は特に変わったもの ではなかったが、小さなこと、一つ一つを積み重ねるという関係 者の信念を感じた。
○駅前手荷物預り所、伊勢・二見・鳥羽周遊バス「CANばす」、 伊勢市内周遊バス「参宮バス」は、公共交通機関利用促進施策と して非常に有効な取組である。
○国からの相当な予算が投入されていると感じた。市の面積の4 分 の 1 を 占 め る 伊 勢 神 宮 の 固 定 資 産 税 相 当 分 を 市 に 寄 付 し て い るとのこと。
○年間観光客数が約 800 万人から約 1,400 万人と大幅に増えた要 因としては、おかげ横丁含む大規模ハード事業、東日本大震災に よる国民意識の変化が挙げられる。
○伊勢神宮、伊勢市役所、伊勢市観光協会、伊勢商工会議所との 連携がうまくいっている印象。
○観光協会の専務理事は以前ロスアンゼルスに在住。こういった パイプ役となる人材が必要と感じた。
○本市においては前回の善光寺御開帳の反省を踏まえ、渋滞対策 が急務である。
1月 22 日
(水)
兵庫県 姫路市
世界文化遺産・国宝「姫路城」に代表される姫路市は、文化と歴 史のまちである。現在行われている平成 21 年秋から5年の歳月を 掛けた姫路城「平成の修理」に対しては、逆転の発想で姫路城修理 そ の も の を 新 た な 観 光 資 源 に す べ く 、 姫 路 城 大 天 守 修 理 見 学 施 設
「天空の白鷺」をオープンさせ、観光客の減少を食い止めている。 また、NHK大河ドラマ「黒田官兵衛」の誘致に成功し、観光のコ ンテンツとして活用を図っている。
【姫路市における観光の課題】
○市内の滞在時間が短く、宿泊客が少ない。宿泊は神戸や大阪な どの近郊の都市へ流れてしまっている。
○姫路城は、観光資源として活用しようとしても、国の許可が必 要など様々な制約がある。
○姫路城以外の観光資源の認知度が低い。
4
【文化観光の推進について】
○和船(姫路城文化観光学習船)の運行
文化庁から補助を受け、和船を復元建造して堀に浮かべ、姫路 城ならではの新しい歴史的空間を創っている。
○平成 24 年度に黒田官兵衛ゆかりの地を巡るバスツアーをバス 事業者に委託。
○地場産業や工業など、産業都市としての魅力を生かし、ものづ くり体験の観光コースを作成。
○観光案内ボランティア
・姫路市観光案内ボランティア登録制度を、平成 21 年度から 施行。市が補助金を交付している。
・検定制度はないが、市が研修を実施している。
【公共交通機関等と連携した観光振興について】
○姫路駅と直結する主要都市を対象とした「ひめのみちキャンペ ーン」を展開。山陽電鉄との連携や、旅行業者への姫路市観光商 品の売込みなど。
○観光パスポート
・姫路城周遊コースと姫路城・書写山周遊コースの2コースを設 定し、有効期限を7日間とした共通利用券を最高 50 パーセント の割引率で販売。
【姫路市観光案内所】
姫路駅内に観光案内所を設置し、姫路観光コンベンションビュー ローに運営を委託。観光庁が定める「外国人案内所カテゴリー2」 の認定を受け、外国人観光客の受入態勢を整えている。
【所感】
○市役所にて説明、質疑、その後駅構内、観光案内所、駅前を視 察。
○現在、大河ドラマ「黒田官兵衛」に力点。大河ドラマ館入場者 数、1週間で約1,500 人を集客。
○姫路城は、現在修理中だが、工事の様子を見られるよう公開す る工夫。世界文化遺産のため、観光のために事業を展開しようと しても制約が非常に多い。
○和船事業(文化庁より 1000 万円補助)も実際は観光のためだ が、文化庁との交渉では技術保存、後継者育成の部分を前面に押 し出すなど工夫をしているが、苦労が多いようであった。
○姫路駅から姫路城が鳥かんできるコーナーを設置、駅から姫路 城に直結する道路のトランジットモール化、駅前広場整備で駅か ら姫路城が直結する整備。
○国宝松本城との接点で松本市と国内姉妹都市提携
○姫路城という一史跡に大きく依存している点、その史跡がそれ ほど手を加えられないという部分で、本市との共通点を感じた。 1月
23 日
(木)
山口県 宇部市
宇部市は、明治以降、石炭産業の発達とともに急速な発展を遂げ てきたが、その代償として公害問題が深刻化し、かつて世界一のば いじんの降るまちであった。産官学一体となった「宇部方式」によ り環境問題を克服する一方、市民が一丸となった緑化運動、花いっ ぱい運動などの活動は、最大の野外彫刻展「UBEビエンナーレ」 の開催に発展し、現在、市はシティセールスポイントとして力を入 れている。また、市の地域資源と人材を生かし、地域主体の着地型 観光を開発、推進する「うべふるさとツーリズム創出事業」もシテ ィセールスの柱に位置付けている。
【うべふるさとツーリズム創出事業】
5
多種多様な体験型プログラムで構成している「うべ探検博覧会」、 また、小学校の夏休み期間中、主として小学校及びその保護者を対 象に、地域の愛着や誇りを醸成することを目的とした「キッズうべ たん」は、埋もれた資源の発掘や新しいチャレンジを起こす人材を 育成する場として、高い効果を上げているとともに、参加者からも 非常に高い評価を得ている。有名な観光資源は無いが、創意工夫を 凝らした体験型プログラムは、宇部市の魅力の再発見と地域の活性 化につながっている。
【実績】
NPO法人に業務委託。平成 24 年秋は、「巡(めぐる)」「知(し る)」「創(つくる)」「食(たべる)」「癒(いやす)」「楽(たのしむ)」 の6つのカテゴリー、51 プログラムを実施。定員1,289 人に対して 1,025人が参加。参加率79.5 パーセント。
【今後の課題】
現 時 点 で は 市 民 及 び 周 辺 地 域 の 住 民 を タ ー ゲ ッ ト と し た コ ン テ ンツであるため、観光客の誘致までには発展できていない。今後は、 地域づくり的な要素が大きい現在の事業の収益性を高めながら、自 立に導き、観光の発展に結び付けていくかが課題である。
【UBEビエンナーレ】
1961 年に大規模な彫刻展が開催されて以降、2年に一度のビエン ナーレ方式により開催し、2011 年の第24 回展で通算26 回、野外彫 刻展50 周年を迎えた。
審査には市民も参加し、UBEビエンナーレを通じて築き上げて きた彫刻コレクションは、屋内外を含め400 点に及ぶ。彫刻は、中 心市街地や駅前広場、市の主要な施設や空港など、様々な公共空間 に設置しており、市内広域に広がっている。特にUBEビエンナー レの会場でもあるときわ公園には、園内整備により集中的な作品の 設置を行っている。
【所感】
○市役所にて説明、質疑、その後ときわ公園にて説明、現地視察。
○明治以降、石炭産業を中心に発展してきた工業都市であったた め、観光についての意識は少なかったとのこと。工業都市を生か し た産業観 光バスツ アー「大 人の社会 派ツアー 」、地 元の人間 が 地 域 を 好 き に な り 、 誇 り を 持 て る よ う に な る た め の プ ロ グ ラ ム
「うべ探検博覧会」、そこから派生した「キッズうべたん」など、 非常に先進的な取組をしている。
○別府市などをモデルにしたようだが、仕掛人は今回説明してく ださった宇部市の担当係長。当初は相手にしてもらえなかったと のこと。一職員のやる気と情熱によってここまでのことができる のかと感じた。
○ときわ公園については、江戸時代からのもので、そもそも市民 の憩いの中心地であったとのこと。戦後焼け野原となった殺伐と したまちに、花と緑を取り入れようと、努力した人たちがいたと のこと。余った予算で、野外彫刻を取り入れたことに始まり、現 在は「UBEビエンナーレ」が 50 周年とのこと。選考について は、専門家ばかりでなく市民の審査も採り入れている。本市にお いては、野外彫刻設置場所等の要望があまり受け入れられていな いと感じた。
○観光資源が乏しい中で、非常に工夫していると感じた。本市の ように観光資源が豊富な場合、危機感を持ちにくいのか。