Ⅵ 総務局
1 堺市職員厚生会貸付金
(1)概要
堺市職員厚生会は、堺市職員の厚生制度を実施するための組織であり、会員制福利 厚生事業、生命保険事業等を行っている。その一つに派遣職員貸付事業があり、派遣
職員の臨時の支出に対する資金の貸付けを目的としている。ここでいう派遣職員とは、
公益法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律第 10 条第 1 項の規程に基づ き、特定法人の業務に従事するよう求める任命権者の要請に応じて退職し、引き続き 当該特定法人に在籍する者をいう。
通常の市職員であれば共済組合からの貸付けが可能であるのに対し、派遣職員は共
済組合員ではなくなるため共済組合からの貸付けを受けることができない。そのため、
堺市職員厚生会が共済組合に代わり派遣職員に対して貸付事業を行うこととし、堺市
職員厚生会が実施する派遣職員貸付事業に係る原資として、市が平成 14 年 4 月に堺市
職員厚生会に対して貸付けを行ったものである。なお、堺市職員厚生会における派遣 職員への貸付けの種類には、普通貸付、住宅貸付、災害貸付、特別貸付(医療貸付、 入学貸付、修学貸付、結婚貸付、葬祭貸付)がある。
平成 16 年度における貸付金残高及び内容は、以下のとおりであり、債権管理業務に
ついては特段行われていない。
貸付対象事業 堺市職員厚生会派遣職員貸付事業
貸付額 50,000千円
貸付利子 無利子
貸付期間 平成14年4月5日から事業終了まで
(2)根拠法令等
特に根拠法令等はなく、金額に応じて総務人権局局長もしくは総務人権局人事部部 長決裁による
(3)所管部署
(4)貸付金の全般的状況
【表Ⅵ−1】直近 3 年間の状況 (単位:千円)
新規貸付 期末残高
年度 期首残高
件数 金額
回収
件数 金額
平成14年度 − 2 65,000 15,000 1 50,000 平成15年度 50,000 − − − 1 50,000 平成16年度 50,000 − − − 1 50,000
(注)1.平成 14 年度における貸付金額 15, 000 千円、回収金額 15, 000 千円は、堺市職員厚生会が 実施する購買あっ旋事業に係る原資として、貸付期間を平成 14 年 4 月 5 日から平成 15 年 3 月 31 日までとする無利子の貸付けを行ったものであるが、期日に全額償還されている。
(5)実施した監査の手続
① 貸付実行に関する決裁書類を閲覧し、貸付実行に関して内規に基づく決裁があるか を検証した。
② 貸付実行業務については、決定通知書、借用証書等関係書類を閲覧及び照合し、適 切な貸付決定が行われているかを検証した。
③ 事業の目的に合致する効果が上がっているかを担当者に質問し、貸付けの有効性を 検討した。
(6)監査の結果及び意見
① 資金の有効活用について
堺市職員厚生会貸付金は、堺市職員厚生会が実施する派遣職員貸付事業の原資と
して貸し付けたものであるが、平成 16 年度における堺市職員厚生会における貸付
けの利用実績はなかった。また、当該貸付金は、50, 000 千円を平成 14 年 4 月から 事業終了まで貸し付けるとしているが、貸付金額に算定根拠はなく、その根拠のな い金額を事業終了まで貸し付けることには問題があると考える。
現状においては、堺市職員厚生会に貸付資金が眠っている状態であり、本来の目 的と乖離したものとなってしまっている。資金の有効的な運用を行うためにも、利 用実績に応じた貸付けを行う必要がある。
2 災害援護資金貸付金(阪神淡路大震災)
(1)制度の概要
自然災害により災害を受けた者に対する救済措置として、法令に準拠し、条例制定 したもので、被害を受けた世帯に対し、生活の建て直しに資するために創設された有 利子の貸付制度である。
この貸付制度は、平成 7 年 1 月 17 日(平成 6 年度)の阪神淡路大震災により、平成
6 年度及び平成 7 年度に災害援護資金として貸付けを行ったものであり、償還条件は 5
年間の猶予期間を設け、5 年間の均等償還で回収されるものである。
なお、およそ 250 千円が平成 16 年度末において償還期限未到来となっており、平成
16 年度においては、債権管理業務のみ行われている。
(2)根拠法令等
災害弔慰金の支給等にかかる法律(昭和 48 年法律第 82 号)
災害弔慰金の支給等に関する法律施行令(昭和 48 年政令第 374 号) 堺市災害弔慰金の支給等に関する条例
堺市災害弔慰金の支給等に関する条例施行規則
(3)所管部署
総務局 危機管理室
(4)貸付金の全般的状況
【表Ⅵ−2】直近 3 年間の状況 (単位:千円)
新規貸付 期末残高
年度 期首残高
件数 金額
回収
件数 金額
平成14年度 8,200 − − 1,140 8 7,060 平成15年度 7,060 − − 980 8 6,080 平成16年度 6,080 − − 1,580 3 4,500
【表Ⅵ−3】直近 3 年間の回収状況 (単位:千円)
年度 区分 調定額 収入済額 収入未済額 回収率
現年度 2,877 1,242 1,635 43.2% 過年度 1,308 − 1,308 −% 平成14年度
合計 4,185 1,242 2,943 29.7% 現年度 2,376 1,068 1,308 45.0% 過年度 2,294 − 2,294 −% 平成15年度
合計 4,670 1,068 3,602 22.9% 現年度 2,376 1,395 981 58.7% 過年度 3,597 327 3,270 9.1% 平成16年度
合計 5,973 1,722 4,251 28.8%
(注)1.上記金額には、利子を含めて記載している。
(注)2.現年度、過年度の区分については、担当者への質問に対する回答に基づいている。 (注)3.上記調定額及び収入未済額には、過誤調定額(平成 14 年度 現年度 654 千円、平成 15
年度 過年度 5 千円)が含まれている。
(5)実施した監査の手続
① 債権管理業務については、貸付台帳、償還計画表等関係書類の閲覧、担当者への質
問等により、債権管理業務が適切に行われていることを確認した。また、平成 16 年度
の回収額が、貸付台帳に適切に記帳されていることを確認した。
延滞債権の管理については、貸付台帳を閲覧し、滞納者の状況及び督促の状況等を 把握するとともに、今後の回収可能性について担当者に質問を行った。
(6)監査の結果及び意見
① 延滞債権について
ア.延滞債権の状況について
平成 16 年度末の延滞債権の状況別内訳は、以下のとおりである。
【表Ⅵ−4】延滞債権の状況別内訳(単位:千円)
状況 件数 金額
生活困難 2 2,834
行方不明 1 1,417
(注)2.上記金額には、利子を含めて記載している。
貸付台帳の作成状況に問題はなく、延滞債権については、定期的に年に 1 回督促 状を発送するとともに、電話、戸別訪問による督促も行われている。また、行方不 明の者については、現地調査や照会を行う等、追跡調査を実施しており、行方不明 又は死亡等で借受人本人に対して督促できない場合は、保証人に連絡をして督促を 行っている。
しかし、いずれの場合も効果が上がっているとはいえず、平成 16 年度の回収額
は 1, 722 千円にとどまっている。
また、滞納者の現状等を担当者から書面によって上長等に報告する仕組みになっ ていない。回収経過、回収見込み及び対応等を整理して書面による報告を行い、上 長等による検閲承認を受けることが望ましい。
イ.延滞金の徴収について
災害弔慰金の支給等に関する法律施行令第 10 条においては、年 10. 75%の違約金
(以下、延滞金という。)を徴収することを規定している。
このため償還の延長が認められないまま滞納している者に対しては、条例に則り 延滞金の徴収を行うべきであるが、現状では借受人の支払能力を鑑み延滞金を徴収
していない。しかし、現実に支払能力がなく、「その他やむを得ない理由」に該当
すると判断される場合には、適切に延滞金免除の申請を行って、免除を受けるべき である。これに該当せずに滞納している者については、延滞金を徴収する必要があ る。現状のように延滞金の免除を決裁しないまま、実質的には延滞金を免除してい る状態は、災害弔慰金の支給等に関する法律施行令に準拠していないものと考えら れる。法令、条例等で明記されている事項については、それらに準拠して適正に執 行される必要があり、延滞金についても適切に徴収する必要がある。
ウ.履行期限の延長について
履行期限の延長について、災害弔慰金の支給等に関する法律施行令第11 第 1 項
において、やむを得ない理由により返済が著しく困難になった場合には「償還金の
支払を猶予することができる。」と規定されている。履行期限の延長を受ける場合
は、堺市災害弔慰金の支給等に関する条例施行規則第13 条第 1 項により、履行期
限の延長を受けようとする者が、市長が必要と認める事項を記載した申請書を提出 しなければならない。
しかし、現在残高があるものは、すべて延滞債権であり、結果として履行期限が 延長されているにも拘らず、申請書の提出及び申請内容の可否の決裁がない。担当 者及び上長が、やむを得ないと判断した場合には、履行期限の延長を申請するよう 助言し、適切に決裁することが望まれる。
エ.回収強化について
い、もしくは自己破産等借受人からの回収が望めないものについて、保証人又は相 続人に督促状の送付を行っているものもあるが、強制執行は行われていない。
保証人又は相続人への督促、強制執行等の実施に係る明確な判断基準を設け、回 収業務の強化を図ることが望まれる。
上記のほかに、特記すべき事項は発見されなかった。
3 災害援護資金貸付金(昭和 57 年台風水害)
(1)制度の概要
自然災害により災害を受けた者に対する救済措置として、法令に準拠し、条例制定 したもので、被害を受けた世帯に対し、生活の建て直しに資するために創設された有 利子の貸付制度である。
この貸付制度は、昭和 57 年の大和川水害により、昭和 57 年度に災害援護資金とし て貸付けを行ったものであり、償還条件は翌年の昭和 58 年度から 3 年間の猶予期間 を設け、昭和 61 年度から平成 4 年度までの 7 年間の均等償還で回収されるものであ る。よって、平成 16 年度の期末残高はすべて償還期限が到来しているが、15 件につ
いては回収されていない状況であり、平成 16 年度においても、債権管理業務が継続
されている。
(2)根拠法令等
災害弔慰金の支給等にかかる法律(昭和 48 年法律第 82 号)
災害弔慰金の支給等に関する法律施行令(昭和 48 年政令第 374 号) 堺市災害弔慰金の支給等に関する条例
堺市災害弔慰金の支給等に関する条例施行規則
(3)所管部署
(4)貸付金の全般的状況
【表Ⅵ−5】直近 3 年間の状況 (単位:千円)
新規貸付 期末残高
年度 期首残高
件数 金額
回収
件数 金額
平成14年度 4,105 − − 66 16 4,038 平成15年度 4,038 − − 41 15 3,996 平成16年度 3,996 − − 26 15 3,970
(注)1.昭和 57 年度貸付総額は、112 件 65, 690 千円である。
【表Ⅵ−6】直近 3 年間の回収状況 (単位:千円)
年度 調定額 収入済額 収入未済額 回収率
平成14年度 4,589 74 4,514 1.6% 平成15年度 4,514 51 4,463 1.1% 平成16年度 4,463 30 4,433 0.7%
(注)1.上記金額には、利子を含めて記載している。
(5)実施した監査の手続
① 債権管理業務については、貸付台帳、償還計画表等関係書類の閲覧、担当者への質
問等により、債権管理業務が適切に行われていることを確認した。また、平成 16 年度
の回収額が、貸付台帳に適切に記帳されていることを確認した。
延滞債権の管理については、貸付台帳を閲覧し、滞納者の状況及び督促の状況等を 把握するとともに、今後の回収可能性について担当者に質問を行った。
(6)監査の結果及び意見
① 延滞債権について
ア.延滞債権の状況について
平成 16 年度末の延滞債権の状況別内訳は、以下のとおりである。
【表Ⅵ−7】延滞債権の状況別内訳 (単位:千円)
状況 件数 金額
返済中 4 708
生活困難 7 2,506
行方不明 4 1,218
(注)1.内訳については、担当者への質問に対する回答に基づいている。 (注)2.上記金額には、利子を含めて記載している。
貸付台帳の作成状況に問題はなく、延滞債権については、定期的に年に 1 回督促 状を発送するとともに、電話、戸別訪問による督促も行われている。また、行方不 明の者については、現地調査や照会を行う等、追跡調査を実施しており、行方不明 又は死亡等で借受人本人に対して督促できない場合は、保証人に連絡をして督促を 行っている。
しかし、いずれの場合も効果が上がっているとはいえず、平成 16 年度の回収額は
30 千円にとどまっている。
また、滞納者の現状等を担当者から書面によって上長等に報告する仕組みになっ
ていない。2 災害援護資金貸付金(阪神淡路大震災)(6)①ア.の記載と同様、
書面による報告を行い、上長等による検閲承認を受けることが望ましい。 イ.延滞金の徴収について
2 災害援護資金貸付金(阪神淡路大震災)(6)①イ.の記載と同様である。
ウ.履行期限の延長について
2 災害援護資金貸付金(阪神淡路大震災)(6)①ウ.の記載と同様である。
エ.回収強化について
2 災害援護資金貸付金(阪神淡路大震災)(6)①エ.の記載と同様である。
オ.不納欠損処理について
現在残高として残っているものは、履行期限到来後 10 年以上経過しているもの
のみである。Ⅰ 1 母子・寡婦福祉資金貸付金(6)①オ.の記載と同様、適時
に不納欠損処理を行うべきである。なお、過去における不納欠損処理の実績はない。
上記のほかに、特記すべき事項は発見されなかった。
4 非常勤職員等社会保険料資金貸付金
(1)制度の概要
市に勤務する非常勤職員又は短期臨時職員で、社会保険加入手続を必要とするもの に対し、その資格取得年月日に遡及して社会保険料を納付するための臨時の支出に対 する資金を貸し付けるための制度である。
平成 7 年 6 月 28 日の会計検査院による会計実地検査において、非常勤職員の社会保
負担分、本人負担分とも)を納付することが求められた。納付にあたっては、市が本 人負担分も立替えて支払い、後日、本人から徴収している。この際、対象者に臨時的 に高額な支出を強いることを考慮し、分割払いも選択できるように無利子の貸付制度 を創設したものである。
この貸付制度は、原則、平成 7 年度中に全額を償還するよう規定しており、貸付制 度の利用を選択した者に対する貸付金は、平成 7 年度中に全額償還されている。しか
し、市が立替払いした対象者のうち 1 名は、平成 16 年度末においても貸付申込みも提
出されず、立替えを貸付けに切り替える手続もできない状態で、収入未済となってい る。
市は、収入未済額を貸付金として管理し、決算附属書上も、社会保険料貸付金元利 収入の収入未済額と開示しているため、以下は、この収入未済額について述べること とする。
(2)根拠法令等
堺市非常勤職員等社会保険料資金貸付要綱
(3)所管部署
総務局 人事部
(4)貸付金の全般的状況
【表Ⅵ−8】直近 3 年間の状況 (単位:千円)
新規貸付 期末残高
年度 期首残高
件数 金額
回収
件数 金額
平成14年度 272 − − − 1 272 平成15年度 272 − − − 1 272 平成16年度 272 − − − 1 272
(注)1.遡及本人負担総額は、281 名 44, 957 千円である。
なお、個人別の償還状況の記録が保管されていないため、貸付制度を利用した人数や金額 は不明である。
(注)2.平成 7 年度末残高は、1件 272 千円である。
(5)実施した監査の手続
① 残高が 1 名分のみであることを、厚生年金保険料遡及分貸付金一覧で確認したうえ で、貸付申込みされず、延滞に至った経緯、督促の状況及び今後の回収可能性につい て担当者に質問を行った。
(6)監査の結果及び意見
① 早期回収について
借受人は、会計検査院の会計実地調査以前から社会保険の加入を希望したにも拘 らず、市から加入できない旨の回答を受けた事により、未加入の状態を余儀なくさ れていた。その後の会計実施調査によって、未加入の保険料の遡及分の支払義務を 負うことになった経緯から、その支払いに同意しておらず、市が既に立替済みの未 加入期間の社会保険料の一括返済も貸付申込みも拒否している。この結果、立替え を貸付けに切り替える手続もできない状態で、収入未済となっている。
督促の履歴等は記録されていないが、質問の限りでは平成 8 年 2 月に返還請求の 通知を行い、その後は、少なくとも年 1 回は連絡を取り、償還するよう説得してい るとのことである。社会保険加入期間が延びることによる利点は、当人が享受する こと、支払能力があることから、理解を得て回収する以外の選択肢はない。
なお、回収できない場合には、法的手段も検討せざるを得ないと考えられる。
② 延滞金の徴収について
貸付金となっていないため、堺市非常勤職員等社会保険料資金貸付要綱第 9 条に 規定する延滞金は認識されていないが、規定に則った延滞金を徴収するのが適当と 考えられる。