修士論文中間発表
グラフ理論と逆数学
藤原 誠
東北大学理学研究科数学専攻 2011.9.2 東北大学ロジックセミナー
(東北大学ロジックセミナー) グラフ理論と逆数学 1 / 21
修士論文概要
タイトル : グラフ理論と逆数学 ( 仮 )
1
逆数学について
2
グラフ理論の逆数学における先行研究
( 結婚定理とその応用、グラフ彩色、連結性、最短
距離問題、トポロジカルソート、最小全域木
問題… )
3
グラフの平面性判定 ( クラトウスキーの定理 ) 及び
その周辺の話題に関する逆数学的考察・ ・ ・勉強中
今日の発表
1
逆数学のあらすじ
( 修論発表会を意識して… )
2
グラフ理論の逆数学
結婚定理とその応用
グラフ彩色
(東北大学ロジックセミナー) グラフ理論と逆数学 3 / 21
逆数学
目的:数学の諸定理をその複雑さによって分類する。
具体的には・・・
数学の諸定理に対して「それを証明するのに最低限必要な公理 系」を調べる。
これまで逆数学研究は主に二階算術と言われる自然数と自然数 の集合を扱える程度の弱い形式体系の中で行われてきた。
古典的数学の大半は二階算術の中で展開できる。
二階算術の部分体系(公理系)を考えることで数学の諸定理 がきれいに分類される。
逆数学
目的:数学の諸定理をその複雑さによって分類する。
具体的には・・・
数学の諸定理に対して「それを証明するのに最低限必要な公理 系」を調べる。
これまで逆数学研究は主に二階算術と言われる自然数と自然数 の集合を扱える程度の弱い形式体系の中で行われてきた。
古典的数学の大半は二階算術の中で展開できる。
二階算術の部分体系(公理系)を考えることで数学の諸定理 がきれいに分類される。
(東北大学ロジックセミナー) グラフ理論と逆数学 4 / 21
逆数学
目的:数学の諸定理をその複雑さによって分類する。
具体的には・・・
数学の諸定理に対して「それを証明するのに最低限必要な公理 系」を調べる。
これまで逆数学研究は主に二階算術と言われる自然数と自然数 の集合を扱える程度の弱い形式体系の中で行われてきた。
古典的数学の大半は二階算術の中で展開できる。
二階算術の部分体系(公理系)を考えることで数学の諸定理 がきれいに分類される。
逆数学
目的:数学の諸定理をその複雑さによって分類する。
具体的には・・・
数学の諸定理に対して「それを証明するのに最低限必要な公理 系」を調べる。
これまで逆数学研究は主に二階算術と言われる自然数と自然数 の集合を扱える程度の弱い形式体系の中で行われてきた。
古典的数学の大半は二階算術の中で展開できる。
二階算術の部分体系(公理系)を考えることで数学の諸定理 がきれいに分類される。
(東北大学ロジックセミナー) グラフ理論と逆数学 4 / 21
逆数学
目的:数学の諸定理をその複雑さによって分類する。
具体的には・・・
数学の諸定理に対して「それを証明するのに最低限必要な公理 系」を調べる。
これまで逆数学研究は主に二階算術と言われる自然数と自然数 の集合を扱える程度の弱い形式体系の中で行われてきた。
古典的数学の大半は二階算術の中で展開できる。
二階算術の部分体系(公理系)を考えることで数学の諸定理 がきれいに分類される。
逆数学
目的:数学の諸定理をその複雑さによって分類する。
具体的には・・・
数学の諸定理に対して「それを証明するのに最低限必要な公理 系」を調べる。
これまで逆数学研究は主に二階算術と言われる自然数と自然数 の集合を扱える程度の弱い形式体系の中で行われてきた。
古典的数学の大半は二階算術の中で展開できる。
二階算術の部分体系(公理系)を考えることで数学の諸定理 がきれいに分類される。
(東北大学ロジックセミナー) グラフ理論と逆数学 4 / 21
逆数学
目的:数学の諸定理をその複雑さによって分類する。
具体的には・・・
数学の諸定理に対して「それを証明するのに最低限必要な公理 系」を調べる。
これまで逆数学研究は主に二階算術と言われる自然数と自然数 の集合を扱える程度の弱い形式体系の中で行われてきた。
古典的数学の大半は二階算術の中で展開できる。
二階算術の部分体系(公理系)を考えることで数学の諸定理 がきれいに分類される。
二階算術Z2は次の3種類の公理からなる二階言語L2 の形式体 系である。
(1)自然数の順序< や演算+, · に関する基本公理
(2)帰納法公理:(ϕ(0) ∧ ∀n(ϕ(n) → ϕ(n + 1))) → ∀nϕ(n) (3)集合存在公理:∃X∀x(x ∈ X ↔ ϕ(x))
ここでϕ(x) は X を自由変数に含まない 基礎理論RCA0: (1)+ Σ0
1帰納法公理 + ∆ 0
1集合存在公理
多くの数学的主張はRCA0上で表現できる。 WKL0: RCA0+弱ケーニヒの補題
ACA0: RCA0+算術的集合存在公理 ATR0: RCA0+算術的超限再帰法公理 Π11−CA0: RCA0+Π11集合存在公理 [H.Friedman 1974]
数学の定理の多くはRCA0上で証明できるか、そうでなければ WKL0、ACA0、ATR0、Π11−CA0のどれかと論理的同値である!
(東北大学ロジックセミナー) グラフ理論と逆数学 5 / 21
二階算術Z2は次の3種類の公理からなる二階言語L2 の形式体 系である。
(1)自然数の順序< や演算+, · に関する基本公理
(2)帰納法公理:(ϕ(0) ∧ ∀n(ϕ(n) → ϕ(n + 1))) → ∀nϕ(n) (3)集合存在公理:∃X∀x(x ∈ X ↔ ϕ(x))
ここでϕ(x) は X を自由変数に含まない 基礎理論RCA0: (1)+ Σ0
1帰納法公理 + ∆ 0
1集合存在公理
多くの数学的主張はRCA0上で表現できる。 WKL0: RCA0+弱ケーニヒの補題
ACA0: RCA0+算術的集合存在公理 ATR0: RCA0+算術的超限再帰法公理 Π11−CA0: RCA0+Π11集合存在公理 [H.Friedman 1974]
数学の定理の多くはRCA0上で証明できるか、そうでなければ WKL0、ACA0、ATR0、Π11−CA0のどれかと論理的同値である!
二階算術Z2は次の3種類の公理からなる二階言語L2 の形式体 系である。
(1)自然数の順序< や演算+, · に関する基本公理
(2)帰納法公理:(ϕ(0) ∧ ∀n(ϕ(n) → ϕ(n + 1))) → ∀nϕ(n) (3)集合存在公理:∃X∀x(x ∈ X ↔ ϕ(x))
ここでϕ(x) は X を自由変数に含まない 基礎理論RCA0: (1)+ Σ0
1帰納法公理 + ∆ 0
1集合存在公理
多くの数学的主張はRCA0上で表現できる。 WKL0: RCA0+弱ケーニヒの補題
ACA0: RCA0+算術的集合存在公理 ATR0: RCA0+算術的超限再帰法公理 Π11−CA0: RCA0+Π11集合存在公理 [H.Friedman 1974]
数学の定理の多くはRCA0上で証明できるか、そうでなければ WKL0、ACA0、ATR0、Π11−CA0のどれかと論理的同値である!
(東北大学ロジックセミナー) グラフ理論と逆数学 5 / 21
二階算術Z2は次の3種類の公理からなる二階言語L2 の形式体 系である。
(1)自然数の順序< や演算+, · に関する基本公理
(2)帰納法公理:(ϕ(0) ∧ ∀n(ϕ(n) → ϕ(n + 1))) → ∀nϕ(n) (3)集合存在公理:∃X∀x(x ∈ X ↔ ϕ(x))
ここでϕ(x) は X を自由変数に含まない 基礎理論RCA0: (1)+ Σ0
1帰納法公理 + ∆ 0
1集合存在公理
多くの数学的主張はRCA0上で表現できる。 WKL0: RCA0+弱ケーニヒの補題
ACA0: RCA0+算術的集合存在公理 ATR0: RCA0+算術的超限再帰法公理 Π11−CA0: RCA0+Π11集合存在公理 [H.Friedman 1974]
数学の定理の多くはRCA0上で証明できるか、そうでなければ WKL0、ACA0、ATR0、Π11−CA0のどれかと論理的同値である!
二階算術Z2は次の3種類の公理からなる二階言語L2 の形式体 系である。
(1)自然数の順序< や演算+, · に関する基本公理
(2)帰納法公理:(ϕ(0) ∧ ∀n(ϕ(n) → ϕ(n + 1))) → ∀nϕ(n) (3)集合存在公理:∃X∀x(x ∈ X ↔ ϕ(x))
ここでϕ(x) は X を自由変数に含まない 基礎理論RCA0: (1)+ Σ0
1帰納法公理 + ∆ 0
1集合存在公理
多くの数学的主張はRCA0上で表現できる。 WKL0: RCA0+弱ケーニヒの補題
ACA0: RCA0+算術的集合存在公理 ATR0: RCA0+算術的超限再帰法公理 Π11−CA0: RCA0+Π11集合存在公理 [H.Friedman 1974]
数学の定理の多くはRCA0上で証明できるか、そうでなければ WKL0、ACA0、ATR0、Π11−CA0のどれかと論理的同値である!
(東北大学ロジックセミナー) グラフ理論と逆数学 5 / 21
グラフ理論の逆数学
RCA0 有限グラフ全般
有限結婚定理
有界グラフが局所k彩色可能ならば2k − 1彩色可能(k ≥ 2) WKL0 有界結婚定理、有界対称結婚定理
有界グラフが局所k彩色可能ならば2k − 2彩色可能(k ≥ 2) グラフが局所k彩色可能ならばm彩色可能(m ≥ k ≥ 2) ACA0 結婚定理、対称結婚定理
連結性 最小距離問題 最小全域木問題
トポロジー的ソーティングの存在
ATR0 高々1つのハミルトン道をもつグラフの列から ハミルトン道を持つものを選択する関数の存在
Π11−CA0 グラフの列からハミルトン道を持つものを選択する関数 の存在
グラフ理論の逆数学
RCA0 有限グラフ全般
有限結婚定理
有界グラフが局所k彩色可能ならば2k − 1彩色可能(k ≥ 2) WKL0 有界結婚定理、有界対称結婚定理
有界グラフが局所k彩色可能ならば2k − 2彩色可能(k ≥ 2) グラフが局所k彩色可能ならばm彩色可能(m ≥ k ≥ 2) ACA0 結婚定理、対称結婚定理
連結性 最小距離問題 最小全域木問題
トポロジー的ソーティングの存在
ATR0 高々1つのハミルトン道をもつグラフの列から ハミルトン道を持つものを選択する関数の存在
Π11−CA0 グラフの列からハミルトン道を持つものを選択する関数 の存在
(東北大学ロジックセミナー) グラフ理論と逆数学 7 / 21
結 婚 問題
少年と少女が多数います。
誰と誰が知り合いかどうかが分かっています。 少年と少女は知り合い同士でしか結婚できません。 多重婚、同性婚は認めません。
全ての少年が無事結婚することはできるでしょうか?
全ての少年が結婚できる⇔ n 人の少年は n 人の少女を知っている
結婚定理
B, G, R は集合とし、R ⊂ B × G とする。このとき
∀B′ ⊂ B∃G′ ⊂ G(∀g ∈ G′∃b ∈ B′((b, g) ∈ R) ∧ |B′| ≤ |G′|)
=⇒ ∃ f ( f は B から G への単射 ∧B × f (B) ⊂ R). 以後R を結婚問題、 f を結婚問題の解、
∀B′ ⊂ B∃G′ ⊂ G(∀g ∈ G′∃b ∈ B′((b, g) ∈ R) ∧ |B′| ≤ |G′|) を条件 H と言うことにする。
結 婚 問題
少年と少女が多数います。
誰と誰が知り合いかどうかが分かっています。 少年と少女は知り合い同士でしか結婚できません。 多重婚、同性婚は認めません。
全ての少年が無事結婚することはできるでしょうか?
全ての少年が結婚できる⇔ n 人の少年は n 人の少女を知っている
結婚定理
B, G, R は集合とし、R ⊂ B × G とする。このとき
∀B′ ⊂ B∃G′ ⊂ G(∀g ∈ G′∃b ∈ B′((b, g) ∈ R) ∧ |B′| ≤ |G′|)
=⇒ ∃ f ( f は B から G への単射 ∧B × f (B) ⊂ R). 以後R を結婚問題、 f を結婚問題の解、
∀B′ ⊂ B∃G′ ⊂ G(∀g ∈ G′∃b ∈ B′((b, g) ∈ R) ∧ |B′| ≤ |G′|) を条件 H と言うことにする。
(東北大学ロジックセミナー) グラフ理論と逆数学 8 / 21
結 婚 問題
少年と少女が多数います。
誰と誰が知り合いかどうかが分かっています。 少年と少女は知り合い同士でしか結婚できません。 多重婚、同性婚は認めません。
全ての少年が無事結婚することはできるでしょうか?
全ての少年が結婚できる⇔ n 人の少年は n 人の少女を知っている
結婚定理
B, G, R は集合とし、R ⊂ B × G とする。このとき
∀B′ ⊂ B∃G′ ⊂ G(∀g ∈ G′∃b ∈ B′((b, g) ∈ R) ∧ |B′| ≤ |G′|)
=⇒ ∃ f ( f は B から G への単射 ∧B × f (B) ⊂ R). 以後R を結婚問題、 f を結婚問題の解、
∀B′ ⊂ B∃G′ ⊂ G(∀g ∈ G′∃b ∈ B′((b, g) ∈ R) ∧ |B′| ≤ |G′|) を条件 H と言うことにする。
結婚定理と逆数学 (Hirst,1987)
有限結婚定理
RCA0 ⊢条件Hを満たす任意の有限結婚問題(B 有限,G, R 可算) は解をもつ
結婚定理
RCA0 ⊢条件H , I を満たす任意の結婚問題(B, G, R 可算)は解を もつ↔ACA0
有界結婚定理
RCA0 ⊢条件H , I′を満たす任意の結婚問題(B, G, R 可算)は解を もつ↔WKL0
条件I : ∀b ∈ B∃n∀g ∈ G ((b, g) ∈ R → g < n)
条件I′ : ∃h(h は B から G への関数 ∧∀x, y((x, y) ∈ R → y < h(x)))
(東北大学ロジックセミナー) グラフ理論と逆数学 9 / 21
対称結婚定理と逆数学 (Hirst,1987)
対称結婚定理 RCA0上以下が同値
1 ACA0
2 条件Hsym, Isymを満たす任意の結婚問題は対称解をもつ 条件Hsym:
∀B′ ⊂ B∃G′ ⊂ G(∀g ∈ G′∃b ∈ B′((b, g) ∈ R) ∧ |B′| ≤ |G′|)
∧∀G′ ⊂ G∃B′ ⊂ B(∀b ∈ B′∃g ∈ G′((b, g) ∈ R) ∧ |G′| ≤ |B′|) 条件Isym:∀b ∈ B∃n∀g ∈ G ((b, g) ∈ R → g < n)
∧∀g ∈ G∃n∀b ∈ B ((b, g) ∈ R → b < n) 対称解:B × f (B) ⊂ R なる B から G への全単射 f
対称有界結婚定理 RCA0上以下が同値
1 WKL0
2 条件Hsym, I′symを満たす任意の結婚問題は対称解をもつ
3 ∀k ≥ 1(k− 社会は対称解をもつ )
4 2− 社会は対称解をもつ 条件Hsym:
∀B′ ⊂ B∃G′ ⊂ G(∀g ∈ G′∃b ∈ B′((b, g) ∈ R) ∧ |B′| ≤ |G′|)
∧∀G′ ⊂ G∃B′ ⊂ B(∀b ∈ B′∃g ∈ G′((b, g) ∈ R) ∧ |G′| ≤ |B′|) 条件I′sym:
∃h(h は B から G への関数 ∧∀x, y((x, y) ∈ R → y < h(x)))
∧∃h′(h′はG から B への関数 ∧∀x, y((x, y) ∈ R → x < h′(y))) k− 社会:
それぞれの人がちょうどk 人の異性を知っている結婚問題
(東北大学ロジックセミナー) グラフ理論と逆数学 11 / 21
証明
1 → 2 まずB, G を並べ挙げ、長さ k の道が B, G, R を k 番目までに 制限した時の対称解をコードするような木T を構成する。 このときT は関数 h, h′から再帰的につくれる関数で抑えら れる。
有界ケーニヒの補題(RCA0上WKL0と同値)より木T は無限 道 p を持つ。p は対称解をコードする。
2 → 3 k− 社会は条件 Hsym, I′symを満たすことが示せる。
4 → 1 発想は「偶数と奇数の互換性を用いる!」
WKL0を示す代わりにRCA0上それと同値である「値域が重 ならない2つの単射 f , g の分離集合 S が存在する」を示す。 次のようなグラフを考える。→黒板
このグラフは2− 社会であり、4 から対称解 s : B → G が存 在する。s から求める分離集合 S が得られる。
証明
1 → 2 まずB, G を並べ挙げ、長さ k の道が B, G, R を k 番目までに 制限した時の対称解をコードするような木T を構成する。 このときT は関数 h, h′から再帰的につくれる関数で抑えら れる。
有界ケーニヒの補題(RCA0上WKL0と同値)より木T は無限 道 p を持つ。p は対称解をコードする。
2 → 3 k− 社会は条件 Hsym, I′symを満たすことが示せる。
4 → 1 発想は「偶数と奇数の互換性を用いる!」
WKL0を示す代わりにRCA0上それと同値である「値域が重 ならない2つの単射 f , g の分離集合 S が存在する」を示す。 次のようなグラフを考える。→黒板
このグラフは2− 社会であり、4 から対称解 s : B → G が存 在する。s から求める分離集合 S が得られる。
(東北大学ロジックセミナー) グラフ理論と逆数学 12 / 21
証明
1 → 2 まずB, G を並べ挙げ、長さ k の道が B, G, R を k 番目までに 制限した時の対称解をコードするような木T を構成する。 このときT は関数 h, h′から再帰的につくれる関数で抑えら れる。
有界ケーニヒの補題(RCA0上WKL0と同値)より木T は無限 道 p を持つ。p は対称解をコードする。
2 → 3 k− 社会は条件 Hsym, I′symを満たすことが示せる。
4 → 1 発想は「偶数と奇数の互換性を用いる!」
WKL0を示す代わりにRCA0上それと同値である「値域が重 ならない2つの単射 f , g の分離集合 S が存在する」を示す。 次のようなグラフを考える。→黒板
このグラフは2− 社会であり、4 から対称解 s : B → G が存 在する。s から求める分離集合 S が得られる。
対称有界結婚定理の応用 ( バナッハの定理 )
[ 定理 ]RCA0上以下が同値
1 WKL0
2 f , g は N から N への単射 ∧ f , g の値域集合が存在する
→ ∃h(hは N から N への全単射∧
∀n, m(h(n) = m → ( f (n) = m ∨ n = g(m))))
※ 値域集合の存在は束縛関数の存在に対応する。 [ 定理 ]RCA0上以下が同値
1 ACA0
2 f , g は N から N への単射
→ ∃h(hは N から N への全単射∧
∀n, m(h(n) = m → ( f (n) = m ∨ n = g(m))))
3 f , g は N から N への単射 ∧ g の値域集合が存在する
→ ∃h(hは N から N への全単射∧
∀n, m(h(n) = m → ( f (n) = m ∨ n = g(m))))
(東北大学ロジックセミナー) グラフ理論と逆数学 13 / 21
対称有界結婚定理の応用 ( バナッハの定理 )
[ 定理 ]RCA0上以下が同値
1 WKL0
2 f , g は N から N への単射 ∧ f , g の値域集合が存在する
→ ∃h(hは N から N への全単射∧
∀n, m(h(n) = m → ( f (n) = m ∨ n = g(m))))
※ 値域集合の存在は束縛関数の存在に対応する。 [ 定理 ]RCA0上以下が同値
1 ACA0
2 f , g は N から N への単射
→ ∃h(hは N から N への全単射∧
∀n, m(h(n) = m → ( f (n) = m ∨ n = g(m))))
3 f , g は N から N への単射 ∧ g の値域集合が存在する
→ ∃h(hは N から N への全単射∧
∀n, m(h(n) = m → ( f (n) = m ∨ n = g(m))))
グラフ彩色と逆数学
c がグラフ (V, E) の k 彩色:
c は V から k への関数 ∧(x, y) ∈ E → c(x) , c(y)
グラフ(V, E) が k 彩色可能:(V, E) の k 彩色が存在する グラフ(V, E) が局所 k 彩色可能:
(V, E) の任意の有限部分グラフが k 彩色可能 無向グラフ(V, E) が有界:
∃h(h は V から N への関数 ∧∀v, v′((v, v′) ∈ E → v′ < h(v))) [定理] RCA0上以下が同値
1 WKL0
2 局所k 彩色可能なグラフは k 彩色可能である (k ≥ 2)
3 局所k 彩色可能な有界グラフは k 彩色可能である (k ≥ 2) [3 → 1]「2− 社会は対称解をもつ →WKL0」の証明に用いたグラ
フを適用できる。
(東北大学ロジックセミナー) グラフ理論と逆数学 14 / 21
グラフ彩色と逆数学
c がグラフ (V, E) の k 彩色:
c は V から k への関数 ∧(x, y) ∈ E → c(x) , c(y)
グラフ(V, E) が k 彩色可能:(V, E) の k 彩色が存在する グラフ(V, E) が局所 k 彩色可能:
(V, E) の任意の有限部分グラフが k 彩色可能 無向グラフ(V, E) が有界:
∃h(h は V から N への関数 ∧∀v, v′((v, v′) ∈ E → v′ < h(v))) [定理] RCA0上以下が同値
1 WKL0
2 局所k 彩色可能なグラフは k 彩色可能である (k ≥ 2)
3 局所k 彩色可能な有界グラフは k 彩色可能である (k ≥ 2) [3 → 1]「2− 社会は対称解をもつ →WKL0」の証明に用いたグラ
フを適用できる。
定理(Hirst&Gasarch,1998) RCA0上以下が同値
1 WKL0
2 局所k 彩色可能なグラフは 2k − 1 彩色可能である (k ≥ 2) [1 → 2] k ≥ 2 に対して k 彩色は 2k − 1 彩色でもあるので明らか。 [2 → 1]WKL0を示す代わりにRCA0上それと同値である「値域 が重ならない2つの単射 f , g の分離集合 S が存在する」を示す。 局所k 彩色可能なグラフを以下の手順で再帰的に構成する。
k 頂点完全グラフを N 個と k × N 頂点完全グラフを用意する。 2k − 1 彩色の方法が制限されるようにそれらを辺で結ぶ。 n が f または g の値域であるとき n 番目の k 頂点完全グラフ とk × N 頂点完全グラフを結ぶ。この際 f か g かに応じて
「ずらして」結ぶ。
N個のk 頂点完全グラフの彩色の情報から f , g の分離集合が再帰 的に得られる。
(東北大学ロジックセミナー) グラフ理論と逆数学 15 / 21
定理(Schmerl,2000) RCA0上以下が同値
1 WKL0
2 局所k 彩色可能なグラフは m 彩色可能である (m ≥ k ≥ 2) 系(Bean,1976)
任意のm ≥ k ≥ 2 に対して再帰的 m 彩色可能でない局所的 k 彩色 可能な再帰的グラフが存在する。
一般に再帰的グラフは局所k 彩色可能であっても再帰的な m(m ≥ k) 彩色をもたないかもしれないが、強再帰的グラフに関 してはそうではない。
実際、局所k 彩色可能な強再帰的グラフは必ず再帰的な 2k − 1 彩 色をもつ。
定理(Schmerl,2000) RCA0上以下が同値
1 WKL0
2 局所k 彩色可能なグラフは m 彩色可能である (m ≥ k ≥ 2) 系(Bean,1976)
任意のm ≥ k ≥ 2 に対して再帰的 m 彩色可能でない局所的 k 彩色 可能な再帰的グラフが存在する。
一般に再帰的グラフは局所k 彩色可能であっても再帰的な m(m ≥ k) 彩色をもたないかもしれないが、強再帰的グラフに関 してはそうではない。
実際、局所k 彩色可能な強再帰的グラフは必ず再帰的な 2k − 1 彩 色をもつ。
(東北大学ロジックセミナー) グラフ理論と逆数学 16 / 21
定理(Schmerl,2000) RCA0上以下が同値
1 WKL0
2 局所k 彩色可能なグラフは m 彩色可能である (m ≥ k ≥ 2) 系(Bean,1976)
任意のm ≥ k ≥ 2 に対して再帰的 m 彩色可能でない局所的 k 彩色 可能な再帰的グラフが存在する。
一般に再帰的グラフは局所k 彩色可能であっても再帰的な m(m ≥ k) 彩色をもたないかもしれないが、強再帰的グラフに関 してはそうではない。
実際、局所k 彩色可能な強再帰的グラフは必ず再帰的な 2k − 1 彩 色をもつ。
deg(x) : 頂点xに隣接する頂点の数
グラフGが強再帰的:Gは再帰的∧deg : V → Nが再帰的 再帰的グラフ理論から(Schmerl,1980)
任意のk ≥ 2 に対して、局所 k 彩色可能な強再帰的グラフは 再帰的2k − 1 彩色可能である。
任意のk ≥ 2 に対して、再帰的 2k − 2 彩色可能でない局所 k 彩色可能な強再帰的グラフが存在する。
定理(Hirst&Gasarch,1998) RCA0で以下が示せる。
局所k 彩色可能な有界グラフは 2k − 1 彩色可能である (k ≥ 2) RCA0上以下が同値
1 WKL0
2 局所k彩色可能な有界グラフは2k − 2彩色可能である(k ≥ 2)
逆数学において、有界グラフは再帰的グラフ理論における「強再帰的 グラフ」に対応するものである。
(東北大学ロジックセミナー) グラフ理論と逆数学 17 / 21
deg(x) : 頂点xに隣接する頂点の数
グラフGが強再帰的:Gは再帰的∧deg : V → Nが再帰的 再帰的グラフ理論から(Schmerl,1980)
任意のk ≥ 2 に対して、局所 k 彩色可能な強再帰的グラフは 再帰的2k − 1 彩色可能である。
任意のk ≥ 2 に対して、再帰的 2k − 2 彩色可能でない局所 k 彩色可能な強再帰的グラフが存在する。
定理(Hirst&Gasarch,1998) RCA0で以下が示せる。
局所k 彩色可能な有界グラフは 2k − 1 彩色可能である (k ≥ 2) RCA0上以下が同値
1 WKL0
2 局所k彩色可能な有界グラフは2k − 2彩色可能である(k ≥ 2) 逆数学において、有界グラフは再帰的グラフ理論における「強再帰的 グラフ」に対応するものである。
RCA0上以下が同値
1 WKL0
2 局所k 彩色可能な有界グラフは 2k − 2 彩色可能である (k ≥ 2) [1 → 2] k ≥ 2 に対して k 彩色は 2k − 2 彩色でもあるので明らか。 [2 → 1] 発想は「2− 社会は対称解をもつ →WKL0」の証明と同
じ。偶数と奇数の互換性を用いる!
局所k 彩色可能な有界グラフを以下の手順で再帰的に構成する。 k × k 個の頂点からなる N × N 個のブロック Bn,nと N 個のブ ロックBnを用意する。
ブロック同士は2k − 2 彩色による組合せ的性質 P, Q が交互 に現れるように結ぶ。
Bi, jとBi, j+1, BiとBi+1(i, j ∈ N) を結んでおく。
f (m) = n のとき Bn,mとB2mを結び、g(m) = n のとき Bn,mと
B2m+1を結ぶ。
ブロックBn,0(n ∈ N) の情報から f , g の分離集合 S が得られる。
(東北大学ロジックセミナー) グラフ理論と逆数学 18 / 21
今後の展望
幾何学的グラフ理論 ( 特にグラフの平面性判定 ) の
逆数学
グラフ彩色と逆数学
参考文献
1 J.Hirst,Combinatorics in subsystems of second order arithmetic, Ph.D.Thesis,The Pennsylvania State University, 1987.
2 W.Gasarch and J.Hirst, Reverse mathematics and recursive graph theory, Mathematical Logic Quarterly,vol.44, 1998.
3 D.R.Bean, Effective Coloration, J.Symb.Logic41, 1976.
4 J.Schmerl, Recursive colorings of graphs, Can.J.Math.32, 1980.
5 J.Schmerl, Graph coloring and reverse mathematics, Mathematical Logic Quarterly,vol.46, 2000.
(東北大学ロジックセミナー) グラフ理論と逆数学 20 / 21