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資料置場 原子核物理学

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Academic year: 2018

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(1)

原子核模型

(2)

原子核模型とは?

原子核の基本的な性質: 大きさ、密度、スピン、アイソスピン

陽子・中性子がどのようなルールにしたがって原子核を構成するのか? そして、現実に現れる原子核の基本的な性質を説明するため

に考え出されたもの。

液滴模型 Liquid drop model フェルミガス模型 Fermi gas model 殻模型 Shell model

集団運動模型 Collective model

(3)

液滴模型 (Liquid Drop Model)

非圧縮性流体

圧力による密度差がきわめて小さい流体(液体)

原子核の性質

ほぼ一定の核子当たり束縛エネルギー ~ 8 MeV 核子密度が一定

はっきりした原子核表面が存在する

半径は質量数の1/3乗に比例 R = 1.21 A1/3 fm 表面張力 → 半径 R の球体

粒子密度 → 一定 n 質量を A とすると

A

n =

4 

3 R

3

液体中の1分子に対するポテンシャル

遠距離 ~ 0

分子の大きさ程度 弱い引力

より近距離 強い斥力

R ∝ A

1/3

(4)

質量 A 、電荷 Ze の非圧縮性流体球

分子間の弱い引力

流体分子の数密度に比例 (数密度は一定) 1分子当たりの束縛エネルギーは一定

体積項 B(A,Z) = avA

表面張力

流体全体のエネルギーを上げる

→ 負の束縛エネルギー 表面積 4πR2 ∝ A2/3

表面項 B(A,Z) = - aSA2/3

B  A , Z = a V A −a S A 2 /3 −a C Z 2 A −1/ 3

束縛エネルギー:

陽子間でのクーロン相互作用

流体中に全体で Ze の電荷が一様に分布 クーロンポテンシャル

3

5

Z

2

 ℏ c

R

B  A , Z 

A = a V −a S A

−1 /3

−a C Z 2 A −4/ 3

質量数 A の小さい領域 質量数 A の大きい領域

(5)

液滴模型に対する補正

B  A , Z 

A =a V −a S A

−1 /3

−a C Z 2 A −4 /3

陽子数 Z = 0 で最大

安定な原子核はすべて 中性子のみで出来ている? 陽子・中性子はフェルミ粒子

陽子・中性子の対の間の相互作用の性質

2核子づつがスピン0となるように対を構成

対称項

対エネルギー項

(6)

核模型による補正①: 対称項

陽子 中性子

陽子・中性子はエネルギー準位を 下から順に

一つの準位には上下のスピンをもつ2個の核子

が入る。 フェルミ粒子は一つの準位を同じ粒子で埋められない

全系のエネルギーが最小になる時 Z = N = A/2

陽子 中性子 Δ

n個の陽子を中性子に置き換える

n = N −Z /2

n 2

エネルギーは

n × n

2 =

N −Z

2

8

束縛エネルギーは減少する増加する

平均ポテンシャルの深さは中重核以上では一定:

A  : 一定  ∝ 1

A

対称項 a

A

A −2 Z

2

A

(7)

核模型による補正②: 対エネルギー項

陽子と中間子の分離エネルギー

陽子と中間子の数の偶奇によって 大きさが規則的に変化する

奇数の核 < 偶数の核

“pairing interaction”

セリウムからの中性子分離エネルギー

Subatomic Physicsより抜粋

偶数 奇数 対エネルギー補正項

(陽子-中性子) (偶-偶)

0 (偶-奇)(奇-偶) (奇-奇)

= a

P

A

1/ 2

(8)

束縛エネルギー: まとめ

B  A , Z =a

V

A−a

S

A

2/ 3

−a

C

Z

2

A

−1/ 3

a

A

A−2 Z

2

A {



0

− }

ベーテ - ワイツェッカーの式

実験データより 体積項

a

V

=15.85 MeV

表面項

a

S

=18.34 MeV

クーロン項

a

C

=0.71 MeV

対称項

a

A

=23.21 MeV

対エネルギー項

a

P

=12 MeV

= a

P

A

1/ 2

特に重い核について、非常によく実験値を再現する

(9)

フェルミガス模型 (Fermi gas model)

陽子 中性子

Δ

原子核を温度 T = 0 の極限にある縮退したフェルミガスとみなす 原子核のフェルミガス模型

空間的 体積 V の中に閉じ込められる

運動量空間 最大運動量 pF までの準位を占める pFフェルミ運動量

pF のエネルギー準位: フェルミ準位

0

f 

T =0

T ≠0

フェルミ準位は 運動量空間で

半径がフェルミ運動量の 球面を作る

0 P

F

(10)

フェルミガス模型: フェルミ運動量

0 p

F

n =

0PF

2 V

2 ℏ

3

d

3

p = V p

F

3

3 

2

3

dn=2

L 2

3

d3k

長さ L の立方体の中に存在 → 波数

k

i

= 2

L n

i

dn = 2V

2  ℏ

3

d

3

p

V =L3 p=ℏ k

スピンの自由度

d3 p= p2dp dp

p

F

=ℏ 3 

2

n

V

1/3

= ℏ r

0

9  n

4 A

V = 4

3  r

0

3

A

核子数

(11)

フェルミガス模型: フェルミ運動量

p

F

=

r

0

9  n

4 A

N = Z = A/2 の場合

np=Z =A/2, nn=N =A/2 pFp= pnF= ℏ

r0

9

8

1/3

~300

r0 MeV/c

r0

9 8

1/3

=ℏ c/c r0

9 8

1/3

ℏ c=197.326 MeV fm

=197 MeV/c fm

r0

9 8

1/3

を使うと

r0=1.2 fm pF=250 MeV/c

例えば EF= pF

2

2 m~33 MeV (フェルミエネルギー) 核子あたりの平均束縛エネルギー: B = 8 MeV

U 0 =BE F =41 MeV

原子核の平均ポテンシャルの深さ

(12)

裳華房テキストシリーズ-物理学 「原子核物理学」より抜粋

フェルミガス模型: まとめ

U 0 =BE F =41 MeV

E

F

= p

F

2

2 m ~33 MeV

B =8 MeV

平均運動エネルギーの大きさ

〈 E 〉=

0

pF

E d

3

p

0pF

d

3

p =

3

5

p

F2

2 m =

3

5 E

F

~20 MeV

原子核ポテンシャル中での 核子の零点エネルギー

(13)

Fermi-Dirac 分布

=−

kT , = 1

f = 1

kT

e



1

(14)

原子の殻模型

原子の魔法数 (Magic Number) 2, 10, 18, 36, 54, 80, 86....

各電子軌道が

ちょうど満杯になる場合に対応 +

Subatomic physics より抜粋

原子の殻模型

(15)

裳華房 原子核物理入門から抜粋

原子核の魔法数

中性子の分離エネルギーの 実験値と質量公式に基づく計算値との差: ΔEn

(16)

二重魔法核

二重魔法核

Z, N がともに魔法数をとる核

→ 例外的な安定性

4Heから核子一つをたたき出すのに必要なエネルギー 20 MeV 以上

平均的な結合エネルギー 8 MeV

A 200 の核でのアルファ崩壊(4He核の自然放出)

(17)

元素の存在比

Abundance Subatomic physics より抜粋 偶-偶核の存在比

原子核の魔法数:

2, 8, 20, 28, 50, 82, 126, 184

陽子数 Z, 中性子数 N が魔法数を取る原子核

(特に二重魔法核)の存在比が多い

(18)

原子核の魔法数

原子核の平均ポテンシャルの形状

~ 核子密度分布 (軽い核:ガウス型、重い核:ウッズ-サクソン型) まずは3次元調和振動子で近似する(ポテンシャルは半径の大きさに依存)

[ 2 m

2

U r  ] r =E r

r =Rr Y

lm

 ,

[ sin 1 ∂  sin  ∂ ∂  sin 1

2

∂ 

22

] Y

lm

 ,=l l1Y

lm

 , 

[ dr d

22

2 r dr d 2 m

2

E −U  r  ] R r = l l1 r

2

R r 

球面調和関数

l: 軌道角運動量の量子数 m: 磁気量子数 (-l, ..., 0, ..., l)

(19)

[ sin 1 ∂  sin  ∂ ∂  sin 1

2

∂ 

22

] Y

lm

 ,=l l1Y

lm

 , 

[ dr d

22

2 r dr d 2 m

2

E −U  r  ] R r = l l1 r

2

R r 

球面調和関数

l: 軌道角運動量の量子数 m: 磁気量子数 (-l, ..., 0, ..., l)

U r = M

2

r

2

2

E

nl

= 2 n l− 1

2 ℏ 

裳華房テキストシリーズ-物理学 「原子核物理学」より抜粋

原子核の魔法数:

2, 8, 20, 28, 50, 82, 126, 184

再現しない

(20)

スピン軌道相互作用の導入

二核子間の軌道角運動量 全スピン角運動量

L

S スピン軌道相互作用

VLSr 

L⋅S

古典的解釈

軌道角運動量 → 磁場が発生

スピン(磁気能率)との相互作用が生じる

裳華房 原子核物理学入門より

原子中でのスピン軌道相互作用

電子スピンと原子核のクーロン場との磁気相互作用による 原子構造の微細構造を説明

(21)

スピン軌道相互作用の導入

U r  U r V

LS

  L ⋅ S L ⋅ S = 1

2 [ J  J 1−L L1−S  S 1 ] ℏ

2

核子の全スピン

J =L S

J

2

= L

2

2 L⋅ S S

2

J

2

= J  J 1 ℏ

2

核子のスピン ½ 全スピンの大きさ

J = L + ½, J = L - ½

同じ軌道 L の準位は核子のスピンの向きにしたがって

1 2 L

2VLS

J=L1

2

1

2 L1ℏ

2VLS

J=L−1 2

J =L1

2 L⋅S=

1

2

[

L 1

2

 L 3

2− L L1−1 2

3 2

]

2=1 2 L

2

J =L−1

2 L⋅S=

1

2

[

L 1

2

 L 1

2− L L1−

1 2



3 2

]

2=−1

2 L1ℏ

2

エネルギー準位の間隔は 1

2

2 L1

2V LS

(22)

スピン軌道相互作用の導入: まとめ

U r  U r V

LS

  L ⋅ S

1 2 L

2VLS

J =L1

2

1

2 L1ℏ

2VLS

J =L−1 2

裳華房テキストシリーズ-物理学 「原子核物理学」より抜粋

原子核の魔法数:

2, 8, 20, 28, 50, 82, 126, 184

実際には J = L + ½ の準位の方が より低くなっている → V

LS < 0

L

L , J=L−1 2

L , J=L1 2

(23)

原子核の殻模型: まとめ

U r V

LS

 L⋅ S

調和振動子 スピン軌道相互作用

魔法数の再現

特に、二重魔法核の基底状態(スピン0、偶パリティ) を完全に再現

エネルギー準位の構造を実験によくあうように U、VLSの比を調節

J、Lの等しい同種粒子がある場合

偶数個 全体が全角運動量=0、偶パリティ

奇数個 最後の一個をのぞいて、全角運動量=0、偶パリティ となるように、準位をつめていく。

魔法数±1の核の性質

魔法数から1ずれた核のスピンパリティは、

あまった核子もしくは閉殻にできた空孔に等しい。 実験結果をよく再現。

(Z,Nが71~81の場合は対エネルギー項を必要とする)

偶-偶核のスピンパリティ

JP=0+となるはず。実験事実をよく再現。

原子核の磁気モーメント

偶-偶核の磁気モーメントは 0。OK

(24)

原子核の磁気モーメント: 殻模型の限界

偶-奇核の核磁気モーメント 殻模型

余っている陽子の全角運動量 J が L + ½ 上部シュミット線

L - ½ 下部シュミット線

中性子の場合はその逆

実際にはその中間にあらわれる。

殻模型: 核子の一体的運動のみを考慮 閉殻とその外側にある核子の間の相互作用

裳華房 「原子核物理入門」より抜粋

(25)

集団運動模型 (Collective model)

原子核の電荷分布 球形?

Q = 3 z 2 −r 2 r d r

原子核の四重極モーメント

b

a Q = 2

5 Z e a

2

−b

2

= 4

5 Z e 〈 R〉

2

=  R

〈 R 〉 =

a −b

ab

2

1/3

変型パラメータ

(26)

変型した原子核の性質

偶-偶核、基底状態のスピン0 古典的なコマとの類推

回転エネルギー

E = I

2

2 ℑ

角運動量

慣性モーメント

E

J

= J  J 1 ℏ

2

2 ℑ  J =0,2,4,6,. ..

量子論的には

1励起回転モード2+状態(<100keV) < 核子対を壊して出来る2+励起状態(1~2 MeV) 回転モードの励起準位測定から慣性モーメントを決定する

180Hfの回転バンド

裳華房 「原子核物理入門」より抜粋

電気四重極遷移: E2遷移

回転モードの準位間での非常に速い遷移

換算遷移確率 B(E2)  (1核子遷移確率を単位として)

→ 50以上 (A=140~210, A>220)

→ 集団的な励起による遷移

E2

(27)

原子核の構造

慣性モーメントと変形の大きさとの関係

rigid

= 2

5 MR

0

2

irrot

= 45

2

16 

rigid

完全剛体

非圧縮性渦なし流体

(超流動4He)

irrot

ℑ

exp

ℑ

rigid

原子核の慣性モーメント測定値は

0+状態の2核子対

→ ”クーパー対”

対を形成しない外側の核子

→ 原子核の変形に寄与

(28)

巨大共鳴

裳華房 「原子核物理入門」より抜粋 S/N 50~100

Aの極く小さい核をのぞいて現れる

→ 核子の多体系の示す性質 励起エネルギーは 10 ~ 30 MeV

(1核子の平均結合エネルギー 8 MeV) 共鳴幅は 3~10 MeV

(29)

付録

(30)

電荷の多重極能率

J≠0

の原子核を考える。量子化軸を z 軸にとる場合、 原子核を z 軸周りの回転楕円体と考える

z

x y

r

J

 r ,=

n=0

a

n

r

n1

P

n

cos 

ルジャンドル関数 Pn(cosθ)

=0 cos =1

P

n

1=1

の場合

r =z

 z , 0= 1

z

n=0

a

n

z

n

(31)

d  r , r ' = r ' d r '

∣r−r '∣

核内の微少体積のもつ電荷により誘起される電位

=0

r =z ∣r−r '∣= z

2

−2 z r ' cos ' r '

2

1/ 2

=z [ 1 − 2 r '

z cos '

r '

z

2

]

1/2

x=2 r '

z cos  '−

r '

z

2

∣r−r '∣

−1

= 1

z 1 −x

−1 /2

1

z 1

1

2 x

3

8 x

2

...

z ≫r ' ∣r−r '∣

−1

1

z [ 1

r '

z cos ' −

1

2

r '

z

2

3

2

r '

z

2

cos

2

'... ]

r  z= d  r  z ≃ 1

z [ 1

r '

z cos  '−

1

2

r '

z

2

3

2

r '

z

2

cos

2

' ... ] r '  d r '

(32)

r  z= d  r  z ≃ 1

z [ 1

r '

z cos  '−

1

2

r '

z

2

3

2

r '

z

2

cos

2

' ... ] r '  d r '

 z , 0= 1

z

n=0

a

n

z

n

a 0 = r '  d r '

a 1 =  r '  r ' cos ' d r '=0

a 2 = r ' 3

2 r '

2 cos 2 ' − 1

2 r '

2  d r ' =Q e

全電荷

電気四重極能率

(33)

a

2

= r ' 3

2 r '

2

cos

2

' − 1

2 r '

2

d r ' =Q e

四重極能率

 r' 

Q =0 Q 0

Q 0

みかん型

球形 フットボール型

参照

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