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solaniの分類を定義してる菌糸融合群が、系統進化学的な分類、を反映しているかどうかを

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 30-55)

M一7557

R. solaniの分類を定義してる菌糸融合群が、系統進化学的な分類、を反映しているかどうかを

確認するための研究が行われている。 DNNDNAハイブリダイゼーションでは、各AG群はDNA の類似度は30%以下であり、各AGはそれぞれ独立して分化してきたものと推察されている41)。

すなわち、 各菌糸融合 群は遺伝的に独立していると考えられるが、 菌糸融合だけで系統進 化 を論ずることはできないと考えられる。 そこで、 別の指標として、 リボソームDNAの塩基配 列の比較による系統進化的な研究が行われた。 rDNAは保存性が高く、 系統進化的な分類を考 える上では良い指標となるとされている。

VilgalyzI08-111)は、

リボソームDNAの塩基配列の違い によるISGの存在が知られるAG 1、 AG4、 AG 6では、 各AG内のISGは同一の起源から分化し て来ており、それらの類縁関係が明確であるが、AG2のISG間では共通の系統進化的な関係が 見いだされず、したがって、菌糸融合は必ずしもISG聞の系統進化学的な類縁関係を説明する 最もよい分類指標とは考えにくいとしている。

本研究における28S

rDNA領域のPCR-RFLP解析により、 Vilgalyzl08・111)の結果と

ほぼ共通し

-96-結論を得ることができた。 AG 4およびAG

6の各ISGは共通した系統進化学的関係にあった。

また、AG 2に属するそれぞれのISGは共通な位置関係にはなく、AG 2に関してはその菌糸融 合によるISG類別は必ずしも系統進 化学的な類縁関係を反映しているとは限らないことが示 唆された。 一方、 本研究は制限酵素の消化パターンの違い に基づいており、 DNA塩基配列 の 比較によるものではないので、 今後、 28S rDNA領域の 塩基配列の比較に基づ、く系統進化学的 類縁関係を詳細に検討することが必要があるものと思われる。

以上に述べた28S rDNA領域のRFLP解析はRhizoclonia属ならび にR. solaniの系統分類の 指標として、 有効であることを明らかにした。 とくに、 R. solani AG 1は本属菌の中でも系統 進化的には他のAGやISG から独立して分化しており、中でも、AG l-IAは特異的な集団であ ることが考えられる。 脂肪酸分析などの他の指標による研究からも同様な結果が得られてい るので、AG l-IAの種レベルでの再分類、が必要であると思われる。 また、AG2 においては、

各 ISG は系統進化学的な類縁関係を必ずしも反映しておらず、 今後の研究が望まれる。

総 合 考 察

第1節 脂肪酸分析および28S rDNAのPCR-RFLP解析の分類学的有 効性

生物学的にみた植物病原菌類、の最大の特徴は、 細菌や酵母に比べではるかに高度に分化し た構造形態、 すなわち、 有性生殖器官や有性胞子、 様々な形態の無性的な分生子を有する こ とである。 このような 形態構造は進化の過程で最も安定的に保存されてきたので、 菌類の 分 類、では伝統的に生理的諸性質よりも形態的特徴に大きな比重が置かれている。 また、 生殖器 官の形態学的な性状は種族維持と直結するも のであり、 系統分類を考える上で最も基本的 な 分類指標といえる。 と ころが、 自然界で有性 生殖器官を形成しにく い不完全菌類では、 形態 的特徴に基づく系統分類には問題が生じてい る。 糸状菌の分類の基本単位は種であり、 有性 や無性世代の胞子の形 態、 大きさ、 菌糸から分化した特殊器官などの特徴や交配能から区別 されている。 植物病原菌類、ではまた、 宿主植物に対する病原性も重要な基準となる。 しかし、

形質の多様性がみられる場合には種の概念、は複雑になり、 種は単一固定的ではなくある幅の 変異を内包した個体群の集合であることが明らかにされつつある。 したがって、 菌種の特 徴 となる形態上の特徴を正確に把握することには困難を伴うことが多いが、 様々な生化学的 手 法により分類体系の修正が行われつつある。

生化学的手法として 、 核酸、 タンパク質の 生体高分子の情報、 生命の維持に必須の化学成 分あるいは代謝産物に着目して微生物を分類する方法がある。 菌類 の中でも体制が極めて単 純で、 表現形質だけでは系統関係を知ることのできない菌類、において有効な手段となってい る。 DNA塩基組成は、 DNAの性質の中でも分類学上の意義の最初に認められたもので、 塩基 組成の表示にはDNAの全塩基量に対するグアニンとシトシンの合計の占める割合(モル比) を用い、 GC含量(モル%) で示す。 GC含量はDNAの成分分析であり、 大まかな分類学的

-98-位置を知る目的には有用な指標である。 また、 DNA塩基配列の相向性は、 個々の遺伝子の一 つ一つを考慮せずに、 巨視的に2つの生物閣のヌクレオチド配列の関係を知る方法であり、

近年、 DNA相向性は植物病原菌の分類、に応用され、 種の概念を知る上で最も信頼できる指標 であると考えられている41)。 さらに、 菌体成分分析による分類として、 タンパク質電気泳動 玖63,7り、 アイソザイム解析17,51・52,53-54,59-肌66)やユビキノンの研究などが知られ、 菌類、の分類・

同定の研究に広く応用され、 種の区別に有効であるとされている。

R.

solaniでは菌糸融合の有無に基づいて種以下に区分された多くの系統が存在し、これらの 菌群は上述の様々な生化学的性質と極めて相関性が高いとされている。 しかしながら、 本菌 は種内においてさらに分化した多くの菌群を含むため、 複合種として分類学的な混乱を引き 起こしている。 そこで、 本菌の分類を再検討し 明確な分類、体系を確立するために生化学的 手法による本 属菌の類別について研究した。 本論文では、 近年植物病原細菌の分類に極めて 有効とされている菌体脂肪酸分析による菌体 成分情報と形態的特徴に基づく類別との比較を 行い、 さらに、 系統分類学的立場からリボソーム遺伝子に着目した28S rDNA領域のPCR­

RFLP解析による本属菌の系統分類学的な類、縁関係について検討した。

中でも、R. solaniの一 系統で あるイネ紋枯病菌(R. solani AG l-IA)の 分類学的位置づけを再検討するために、

Rhizoctonia属菌の分類、体系の明確化を行った。

近年、 菌体の構成成分に着目した分類法は高度な飛躍をもたらした。 菌体の成分は遺伝的 に安定しており、菌体を構成する脂肪酸組成比の違いによってRhizoctoniasolani菌群を区別で きることが明らかになっている99・102)。 細胞構成成分の一種である脂肪酸は実験操作の容易性 と分析結果の安定性か ら多くの生物種の分類や同定の指標として広く用いられている。 本論 文においてはRhizoctonia属菌を対象として、 培養条件を一定にして得られた菌体から脂肪酸 を抽出しその構成比を比較することによって、 菌体レベルにおける脂肪酸組成比と形態学に 準じた分類群との関係 を調べた。 その結果、 同一種の菌株間における脂肪酸組成比は一定し

ておりかつ遺伝的に安定していることから、 脂肪酸組成比が種を特徴づける形質になること を示唆した。Rhizoctonia属 各種聞における脂肪酸組成比の傾向として、 ステアリン酸、 オレ イン酸、 パルミチン酸 およびリノール酸が菌株に共通して高い組成比を示したが、 最も高い 組成比を示した脂肪酸は種によってまちまちであった。 また、 R. solaniの種内群、 AG1,AG 2 とAG 4においては脂肪酸組成比の違いによるISGが存在した。 これらのおG 内の菌株間で は脂肪酸組成比に大きな差異がみられなかったが、 異なるISG間では組成比に違いがみられ た。 また、 脂肪酸組成比の情報は形態学に基づく類別を補助する上で有効な手法であること が示唆された。 中でも、 イネに病原性を示すR. solaniAG l-IAとAG2-2 IIIBはそれぞれよく 類似した脂肪酸組成比を示した。 また、 これらのグループは他のAGやISGからは独自に分 化しているものと思われる。 脂肪酸組成比は菌体の遺伝情報を反映しており、 種内の菌株間 では近縁な関係にあるが、 種間では明らかに種特異性のあることがわかった。 RhizoclonÎa属 以外の植物病原菌についてはFusarium属や乃ricularia属菌に関して脂肪酸分析がなされてお り、 脂肪酸組成比は種間では大きな違いが認められず、 Rhizoclonia属と比較して脂肪酸組成 比に明確な特異性が見られないと報告されている。

一方、 リボソームRNAに着目した系統分類学的研究が行われている。 リボソームは全ての 生物種の細胞中にみられ、 タンパク質合成という共通の働きをもっ器官として知られている。

リボソームは進化学上最も変異していない器官であり、 リボソーム にみられる変異は系統進 化学的な関係を反映しているものと考えられることから近年系統分類、の指標として注目され ている。 本論文においてもこの推論に基づいてRh izoclonia属菌における系統分類を試みた。

まずRhizoctonia属の代表的な5種についてその系統分類学的な位置関係を検討した結果、

R.

0りJzaeは早い段階で系統分化しており、R. solaniと2核Rhizoctonia属種がさらに分化した可能 性が示唆された。続いてリボソームRNA遺伝子の制限酵素切断部位の違いと切断片長の違い に従ってR. solaniの系統分類、を行った結果、

R.

sol,ω1lは基木的にはAG毎に分化しているが、

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