•
政府とは中央政府のことか・・・という設問は、Et
に 地方政府や政府関係機関のものをどこまでどのように 含めるかという視点から見ると、p
にも深くかかわる。もちろん、これも政府の行動に関する投資家の判断・
予想である。
•
さらに、S t
としてflow
変数として取り扱っているが、政府の保有資産等を
cash flow
にして投資家への支払い の充てることが予想されれば(物理的に可能であって も、そうはしないと投資家が予想しなければダメ)、これも
S t
に含まれる。•
国債発行によって調達した資金は無駄に浪費されたわけで はなく道路建設等に有効に使用された・・・とし、道路等 に有形固定資産が豊富に存在することを強調する主張があ る。•
ここでの論点は、政府資金が「有効」に活用されたか否か ではない。•
たとえば、道路や国会議事堂を売却して、それによって調 達した資金を債務返済に使えるか、使うか・・・が論点で ある。投資家が政府の行動をそのようなものと考え予想し なければ、p
の決定には影響しない。•
日本の外貨準備や海外保有資産の面で、日本は大幅な資産超 過だから・・・・という主張についても同様である。ほと んどは国の所有ではないし、国が処分して債務返済にあて る・・・とは投資家は考えない。[7]. Concluding Remarks
• [6]
のDiscussion 1
の内容を考慮して、試算例に示した発生インフレ率の予想を上方に修正する必要があるかもしれない。
•
しかし、それ以外の点を考慮しても、最初に示した表に関連し て記した内容を大きく修正する必要はなさそう・・・?•
棚上げした、「不可解」な投資家の行動の解明は、まことに興 味深いことになる。•
冒頭に記した如く、t=0
は2015
年と想定して読むか、その10
年前として読むかは読者の選択による。後者のように考えれ ば、不思議な投資家が少なくとも10
年以上にわたって支配的 であったことになる。もちろん、この状況が、今後も継続す ると考えてよいとする根拠はない。• Sims
の主張の如く、FTPL (fiscal theory of the price level) is r elevant to the most prominent current macro-policy issues, and it provides intuitively useful insights
である(前掲sheet 10)
• FTPL
に基づく共通の基盤・土俵の上で、試算例として示 した予想される諸事態・状況の多様なメニュー(および、読者自らがさらに拡張したもの)、その読み方として
の
scenarios
(および、読者自らが内容をさらに具体化したもの)を参照しながらの、具体的内容を伴った「財政 再建」論議の論拠を明示した展開が望まれる。本研究が そのための素材・触媒となることが筆者の希望である。
•
これまでの「財政再建」論議は、長期均衡モデルを用い、「財政破綻」回避を最優先目標とすることにより、物 価水準や「インフレを通じる『調整』」の検討を実質的 に棚上げ・無視してきた。
[8]. 付論:関連する 4 つの論点
(1). 「調整」後の状況
•
この研究は、(
少なくともpotential
には不安定な)現状からの脱出 に必要なインフレを通じる「調整」(「ガス抜き」?)の規模(幅)に検討の焦点を合わせている。とはいえ、「調整」後の状況 についてもう少し解説が必要で有用かもしれない。
•
「調整」はt=0
で完了する。調整後の平穏な状況下で、経済は順調 に推移する(と投資家は考えるはずである)。• s t
はy 0
に対する比率として想定されている。「調整」後のGDP
名目 値y t
に対する比率は、「調整」幅が大きければ小さくなる。このことは
primary balance
がN+1
年目からプラスに転じるとして、その前後で同様にあてはまる。
y 0
に対する比率(s)
が0.1
だとしても、調整 後の物価水準が3
倍になれば、y t
に対する比率は0.1/3
になる。とは いえ、この比率がマイナスになることはない。•
「調整」後は平穏だから、N+1
年目の前後を問わず、割引率(ρ
)•
一定の条件を満たせばt=0
でいかなるインフレによる「調整」も現実化することなく平穏無事な状況が今後 も維持されると期待できる。
•
年金受給年齢に達している筆者の世代にかぎらず、多くの読者の関心が、そのようなケースが現実の日 本経済に妥当するか否かという
relevance
の検討に向 かうはずである。(2). 「投資家」とは誰のことか?
•
「投資家」とは誰のことか、誰の割引率が重要であり、割引 率として何を用いるべきか、s
やN
に関する予想として誰の ものが重要かなどの設問に関する周到な検討が必要なはずで ある。この点の検討も読者に任せよう。•
特殊なタイプの資産運用機関の特異なタイプの運用担当者が 現状の維持に支配的影響を与えている・・・というようなこ とがあるとしても、その資産運用行動が国民・投票者・消費 者の意向に沿わなければ、早晩市場から淘汰されるはずであ る。•
もちろん、一部の官僚・政治家・メディア関係者・識者の意 向・動向についても同様だろう。より不安定かつ流動的であ り、実質的影響はさらに小さいかもしれない。•
棚上げしている、「不可解」な「投資家」の行動の解明は、まことに興味深い。
(3). 割引率 ρ は・・・?
•
検討内容に照らしても、ρ
として何を用いるべきか、投資家が
ρ
として何を用いているか・・・という点に 多くの読者の関心が集中するだろう。しかし・・・。• Asset prices should equal expected discounted cashflows. Fort y years ago, Eugene Fama (1970) argued that the expected pa rt, “testing market efficiency,” provided the framework for org anizing asset-pricing research in that area. I argue that the “dis counted” part better organizes our research today.
• John Cochrane “Presidential Address: Discount Rates”, Journal
of Finance, August 2011
の冒頭の文章である(p.1047)
。•
次頁の引用は、同じ論文のConclusion
の直前部分(p.109 0)
より。•
引用の最後の部分は、先のリーマンショック時の政府 短期証券への人気の高まりを念頭に置く。しかし、こ こで引用者が念頭に置くのは「財政破綻」懸念の増大に 伴う国債人気の低下である。政府(国債)への信頼の低 下はdiscount rate
を高め、price level
を上昇させるだろ う。• p.17
の(1
)式では、 将来のサープラスの現在価値(
右辺)
が、 確率過程で表されるサープラスと確率割引 要素を用いて表現されているが、試算では、 期待値で 表されるサープラスを、 リスク・プレミアムを考慮し た割引率(ρ)
で割り引いて現在価値を計算している
ドキュメント内
第23回会合資料pptx
(ページ 67-77)