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FTA -

CF 2 OCF 3

(6)成果の普及

平成 21 年度 4 月末時点での外部発表の実績を表 3-12 に示す。

表 3-12 外部発表の実績

研究テーマ名 実施者 特許

出願

論文 発表

講演 発表 ポスト鉄オリビン系高性能リチウム二次電

池の研究開発

三菱重工業 九州大学 九州電力

2 9 29

高容量・低コスト新規酸化物正極材料の研究 開発

産業技術総合研究所

田中化学 4 7 38 多層構造粒子設計による高出力リチウムイ

オン電池用正極活物質の研究開発 戸田工業 1 0 1

高容量電池の研究開発

日産自動車 (再)神奈川大学 (再)東京工業大学

5 1 13

活物質/カーボンナノ複合構造制御による高 出力・大容量Liイオン二次電池の研究開発

長崎大学

産業技術総合研究所 0 4 22 大型リチウム二次電池用高安全性電解質の

研究開発

三菱化学

日本合成化学工業 6 1 14

高出力・高安全性リチウムイオン電池の開発

第一工業製薬 関西大学 (再)エレクセル

1 2 15

高出力リチウムイオン電池用の不燃性ポリ

マーゲル電解質の研究開発 山口大学 0 2 15

リチウム二次電池の安全性に資するイオン

液体電解質の開発 産業技術総合研究所 5 3 22 24 29 169

(7)最終目標達成の見通し

【正極材料】

正極材料としては、フッ化鉄ペロブスカイト系、オリビンマンガン系、フッ素化またはケイ酸 化オリビン類縁系、層状マンガン系、層状 Li2MnO3-LiMO2系、多層正極材料等について研究開発を 実施してきている。フッ化鉄ペロブスカイト系、層状 Li2MnO3-LiMeO2系、多層正極材料を中心に、

250 Ah/kg 以上の容量を示す有望な材料も見いだされており、今後の技術開発の進展により最終 目標を達成できる見通しである。

●フッ化鉄ペロブスカイト系:

LiFeF3正極材料のエネルギー密度は塗布電極を用いたコインセルで 190 Ah/kg(590 Wh/kg)であ り、単電池としては 145 Wh/kg を予想しているが、更に可逆コンバージョン反応(3 電子反応:

Li イオン 3 個移動)を用いることで材料当り理論容量 711 Ah/kg、エネルギー密度 1,400 Wh/kg と大幅な増加が見込めることから、最終目標である正極材料(活物質)当りのエネルギー密度 1,000 Wh/kg 以上が可能となる。また、LiFeF3正極材料の原料は他金属酸化物系正極材料の原料 に比べ低コスト材料であることから、量産化に適した材料合成方法の検討を行うことでコスト目 標である 3000 円/kg 以下を達成できる見込みである。安全性については、これまでに現状鉄オリ ビン系リン酸鉄と同等レベルの熱的安全性を確認しているが、今後難燃性電解液や添加剤の検討 を行うことでより安全性を高め、最終的には単電池レベルでの安全性試験にて破裂、発火がない ことを確認出来ると考えている。

●層状マンガン系、層状 Li2MnO3-LiMO2系:

従来の正極材料の容量を超える 250 Ah/kg 以上の容量が発現することが実証され、最終目標に 対する基本コンセプトは確立できたと考える。一方、更なるサイクル特性と容量性能の向上が必 要なため本材料系の容量発現メカニズムをより詳細に解析し、材料開発にフィードバックする必 要がある。これまで得られている基本組成から、化学組成の最適化、活物質-導電材複合体作製方 法、表面修飾法等を適用することにより改善を行う。さらに、電池設計の観点からの問題点洗い 出しを行い、それを開発にフィードバックして、最終目標を達成する見通しである。

●多層構造正極材料:

多層構造粒子とする際のコア材料の選定の結果、容量から見た場合、Li2MO3-LiMO2の composite ratio には最適値があり、Li2MO3成分を増やしすぎると可逆性が低下してむしろ放電容量が低下 することを見いだした。今後、中間層としては、容量-負荷特性-熱安定性のバランスの中でも 特に負荷特性に優れる Li1+x(NiaCobMnc)1-xO2 を中心に、その組成、膜厚、及び単独評価した際の 比表面積の制御に相当する膜密度を最適化することにより出力密度の目標である 3,000 W/kg の達 成を目指す。更に、表面不活性層としては、コア及び中間層に含まれる Mn の溶出によるサイクル 寿命やカレンダー寿命への影響が懸念されるため、Mn 溶出抑制効果を中心にその組成、膜厚に対 する検討も並行して実施することにより、安全性、サイクル寿命、カレンダー寿命に対しても車 載時の濫用に耐える正極材料として多層構造粒子の開発を行うことで、最終目標の達成を目指す。

【負極材料】

負極材料としては、Si 系、マクロ多孔グラファイト材料等について研究開発を実施してきてい る。600 Ah/kg 程度の容量を示す有望な材料も見いだされており、今後の技術開発の進展により 最終目標の達成を目指す。

●Si 系材料:

これまで問題とされていた Si 系負極の、充放電による膨張収縮を主要因とした劣悪な耐久性を 抑制する方策の基本コンセプトが確立できたきている。一方、サイクル特性は十分ではなく、初 期不可逆容量が大きいという問題点もあり、更なる改善が必要である。今後、Si 粒子の表面コー ティング、合金化、電極構造の最適化に加えて、電池試作、評価技術を活用することにより、負

極材料に最適な正極材料・電解質材料を選定することで目標の達成を目指す。

●マクロ多孔グラファイト材料:

高出力・大容量化に必要な性能を有するグラファイト系多孔体材料を開発してきており、既に 最終目標に見合う特性を有する材料も得られている。ナノサイズ活物質とカーボンの複合構造の 最適化により、負極両材料のさらなる高出力・大容量化を図るとともに、サイクル安定性を含め た特性向上を図る。例えば、多孔カーボン上にナノ活物質を担持する、あるいは共存化での合成 により、ナノ活物質の高性能を活かした材料開発が期待できる。また、低コスト化のために、材 料合成技術の簡便化や大量合成への展開、また電極体の作製方法の最適化を検討する。さらに最 適な材料、方法の組み合わせで小型セルを作製し、性能評価をするとともに、以上の指針で研究 開発することにより、最終目標の達成を目指す。

【電解質材料】

有機電解液系としてはヘテロ元素含有溶媒、イオン液体としては FTA アニオン系、FSI アニオ ン系、シアノホスフェイトアニオン系やシアノスルホニルアミドアニオン系等、ゲル電解質とし てはイオンゲルおよびリン酸エステル含有の種々の電解質系についての研究開発を実施してきて いる。5V 級の電位窓が期待できる機能性イオン液体や長期サイクルが可能な FTA アニオンを用い たイオン液体等が見いだされてきており、今後の研究開発の進展による特性改良が進めることで 最終目標を達成する見通しである。ただ、コスト目標の達成はかなり難易度が高いものと予想さ れる。

●ヘテロ元素含有溶媒並びに機能性イオン液体:

①電池の電気化学検討および安全性予測、および高安全性電解質材料を用いた電池の特性試験と 安全性試験:

釘刺し試験を想定した安全性シミュレーションで釘刺し後 30 秒以内に熱暴走を示さないこと、

20 mAh 級小型ラミネート電池において正極活物質基準で 10 W/g の出力に到達でする電解液組成 の開発に成功している。今後は、これまで中心に行ってきた Li(Ni1/3Mn1/3Co1/3)O2/グラファイト以 外の電極を用いた電池についても 18650 円筒型電池での充放電評価と安全性試験を行い、各電極 系にて最も充放電性能と安全性が高い電解質を用いた電池で重量出力密度 vs 重量エネルギー密 度の相関図上の予想最高到達点をシミュレートすることで、最終目標値の達成を目指す。

②機能性イオン液体の創製:

中間成果と計算科学による特性予測から、課題であるイオン伝導度と安全性の改良には、シア ノホスフェイト系アニオンやシアノスルホニルアミド系アニオンを有するイオン液体が有望であ ることが明らかになった。合成及び性能の確認を実施することで、最終目標値の達成を目指す。

●FSA アニオン系イオン液体:

負極および正極への Li のインターカレーションを中心とした解析を行い、FSA 系イオン液体を 用いた電解液を使用することで、ラミネートタイプの Li 二次電池を基本的に動作させることがで きた。今後、①電極とイオン液体電解液挙動の学術的解析をさらに進めることによりイオン液体 電解に影響を及ぼす電池構成材料(負極、正極、セパレーターなどの)のさらなる最適化を行う こと、②添加剤・ゲル化技術も併せて検討をすすめることによりさらなる安全性の向上を図るこ

と、③実用レベルに近い構造である多層セルにて評価を進めることにより、安全性・寿命・エネ ルギー密度・出力密度を達成することが可能である。

●FTA アニオン系イオン液体:

FTA アニオンからなるイオン液体について詳細に検討した結果から、FSO2基を少なくとも一つ 有するアミドアニオンからなるイオン液体が有効である事が分かった。Li 金属、LiCoO2薄膜正極 からなるセルでは従来の有機溶媒電解液に匹敵するレート特性を示すイオン液体を見いだす事が できている。この結果はイオン液体の基本特性が従来系に比べて大きく改良された事と、イオン 液体の含浸性にすぐれたセパレーターが見いだされた事が大きい。また近年新しい高容量の正極 や負極材料が登場しており、それらがイオン液体系においても活用できれば、現在の LiCoO2正極 の結果を上回る容量と出力特性を見通す事は現時点で十分に可能である。

●不燃性ゲル電解質:

現状ではゲル電解質そのものの特性は中間目標にほぼ到達しており、最終目標値に到達してい る特性もある。ゲル電解質電池の実現には、最適な電極系の探索および電極/電解質界面の構築 が必要不可欠である。電池のエネルギー密度は選択した電極系に、また出力密度は電極/電解質 界面の状況に大きく依存する。現状ではイオンゲル電解質については最適な正極を提案できる状 況にあり、また電解質側では黒鉛系負極の充放電に耐えうる性能を有することを確認したところ である。またリン酸エステル含有ゲル電解質については、最適設計を施した添加剤の使用により LiMn2O4正極および黒鉛負極の充放電可逆性を確認している。これを踏まえた今後の課題は以下の 通りである。イオン液体電解質においては、まず最適な正極・負極活物質の選定が重要である。

またイオンゲルおよびリン酸エステル含有いずれの電解質系においても、大型電池への適用を見 越した電極/電解質界面の最適設計が今後の検討課題となる。この点については、現在模擬的な 電池系を用いて問題点の洗い出しを行っている状況であり、技術的課題の整理およびそれに対す る適切な対策を施すことにより最終目標の達成は可能であると判断している。

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