1.要素技術開発(電池開発)
(1)事業の目的
要素技術開発(電池開発)は、「次世代自動車用電池の将来に向けた提言」の中における、先進 フェーズに対応している。先進フェーズとは、2015 年を目途に、コミューター型電気自動車(航 続距離 150km 程度、4 人乗り)やプラグインハイブリッド自動車を量産化することを目指すフェ ーズである。電気自動車の用途を業務用からコミューター型の乗用車にまで拡大すると同時に、
ハイブリッド乗用車の充電可能性を確保してそのエネルギー環境性能を格段に引き上げることを 目指すフェーズとも言える。また、これらの自動車との並びで、燃料電池自動車の量産化も射程 に入ってくることが想定される。
図 3-1 に要素技術開発(電池開発)の開発ターゲットを示す。○で囲まれている「Plug-in HV 用・燃料電池自動車用リチウム」の電池システム重量エネルギー密度・出力密度が本項目の開発 目標に対応している(目標の詳細については(4)で記す)。本研究開発項目(電池開発)では、
2015 年を目途に、(4)で記載の目標特性を有するリチウムイオン電池の実用化を目指すための 電池開発を行うことにより、プラグインハイブリッド自動車の実用化に資する高性能リチウムイ オン電池技術を開発することを目的とする。
図 3-1 要素技術開発(電池開発)の開発ターゲット
70 100 200 ≦250
2500
500 1000 1500 2000
700 革新的電池 2030年以降
本格的EV用 電池
3000 4000
電池システム重量エネルギー密度 【Wh/kg】
電池システム重量出力密度【W/kg】
HV用NiMH
コスト 40
1 コスト
40 1
新しいタイプの電池 先進的電池
2015年
500
高性能Plug-in HV用 燃料電池自動車用
リチウム
150 現状
改良型電池 2010年
HV用リチウム Plug-in HV用 燃料電池自動車用
リチウム コスト
7 1 7 1
コスト 10
1 コスト
10 1
:電池メーカー主体
:大学・研究機関主体
コスト 2 1 コスト 2 1
用途限定コミューター EV用リチウム
一般コミューター EV用リチウム
新電池系への挑戦
リチウムイオン電池の 技術開発の方向性 HV用
EV用
低充電時の 高出力必要
リチウムイオン電池 の限界ライン?
コスト 20万円/ kWh
0.5万円/ kWh 2万円/ kWh
3万円/ kWh
10万円/ kWh
新電池系の 研究開発
(2)事業の概要
本事業の前身のプロジェクトである「燃料電池自動車等用リチウム電池技術開発」において開 発目標を達成した、かつ、プラグインハイブリッド自動車用蓄電池について必要な一定の技術を 保有している、パナソニック(株)、(株)ジーエス・ユアサ コーポレーション、(株)日立製作所/
日立ビークルエナジー(株)が参画している。研究テーマとしては、パナソニック(株)は、「高耐久 形高容量・高出力リチウム二次電池の研究開発」、(株)ジーエス・ユアサ コーポレーションは「高 性能リチウムイオン電池(複合システム)の研究開発」、(株)日立製作所/日立ビークルエナジー (株)は「高出力可能な高エネルギー密度型リチウムイオン電池の研究開発」、のテーマで研究開発 を実施している。図 3-2 に次世代自動車用高性能蓄電システム技術開発の実施内容(平成 21 年度)
における本研究開発項目の位置づけを示す。
図3-2 次世代自動車用高性能蓄電システム技術開発の実施内容(平成21年度)
(本研究開発項目の対象テーマは楕円で囲われている)
平成 21 年度(中間目標)までには、NiCo 系、ポリアニオン系、NiMn 系正極材料の開発と黒鉛 系負極材料の改良を行うとともに、10 Ah 級単電池を試作・評価し、性能目標(中間目標)を 達成する。さらに、劣化解析による要因の明確化と開発の方向性の検証を行い、入出力特性の 改良など温度特性や安全性を含めた評価解析を実施する。平成 23 年度(最終目標)までには、最 適な電池システムとしての設計を行い、0.3 kWh 級モジュール電池を試作・評価する。そして、
3kWh 級パック電池換算において性能の最終目標を達成する(0. 3kWh 級モジュール電池の性 能値を、3 kWh 級パック電池における性能値への換算にはモックアップを作製して試算)。
さらに、コスト目標、安全性についても達成する。具体的な研究開発内容については表 3-1 に示 す。
次世代自動車(HEV、EV、FCV等)の早期実用化に資するために、高性能かつ低コストの二次電池及びその周辺機器の開発を実施。
燃料貯蔵タンク 燃料電池スタック
モーター 制御装置
蓄電システム 空気圧縮機
燃料電池スタック
モーター 蓄電システム 制御装置
燃料貯蔵タンク燃料貯蔵タンク 燃料電池スタック
モーター 制御装置
蓄電システム 空気圧縮機
燃料電池スタック
モーター 蓄電システム 制御装置
燃料貯蔵タンク
正極 負極 電解質 要素②(電池材料)9件
・戸田工業 [多層構造正極]
・九大/三菱重工/九電 [ポストオリビン正極]
・日産自動車 [正極・負極・電解質の開発]
・産総研/田中化学 [酸化物正極]
・長崎大/産総研 [カーボンナノ正極&負極]
・三菱化学/日本合成化学 [電解質:イオン液体等]
・産総研 [イオン液体電解質]
・第一工業製薬/関西大 [イオン液体]
・山口大 [固体ポリマーゲル電解質]
次世代技術(金属-空気系)3件
・九州大学 [Li-空気電池]
・三重大 [Li-空気系負極]
・京大/産総研 [金属-空気電池]
次世代技術(硫黄系)2件
・物材研 [Li-S系全固体電池]
・東工大 [硫黄系固体電解質]
・大阪府立大/出光興産[Li-S系全固体電池]
・産総研[硫黄複合正極]
次世代技術(リチウム電池系)19件
・東理大/産総研[Li-Mn系酸化物正極]
・関西大学/いわき明星大[Li-Cu系酸化物正極]
・名工大[錯体正極]
・東大[4d遷移金属コンバージョン系正極]
・ダイキン/関西大学[高耐電圧フッ素系電解液]
・日本触媒[高耐電圧イオン性液体]
・古河電工/古河電池[シリサイド複合Si系負極]
・産総研 [酸化物系負極]
・群馬大 [酸化物系負極]
・神戸大/岩手大 [酸化物系負極]
・JFCC[カーボンナノチューブ負極]
・静岡大 [ホウ素化合物系電解質]
・京大/トヨタ/JFCC [固体電解質]
・慶大/東理大 [イオン液体]
・横国大 [イオン液体、金属電極]
・首都大東京 [金属負極]
・産総研 [カーボンナノ正極]
・東北大 [C/Si負極]
・鳥取大 [金属負極]
基盤技術1件
・産総研/電中研/JARI/東北大 [安全性、劣化・寿命予測、基準・標準化]
電池制御モータ
単電池・電池構成材料 要素技術③(電池制御)1件
・FDK [セル間の均等充電制御]
要素技術③(車両駆動用モータ)5件
・東理大/北大 [SRM、三次元PM]
・大阪府大/ダイキン [SynRM]
・名工大/東海大 [界磁モータ、IM]
・徳島大 [センサレス制御]
・三菱電機 [界磁モータ、キャパシタ]
要素技術①(モジュール電池)3件
・パナソニック [正極:Ni系、負極:合金系含む ]
・ジーエス・ユアサ [正極:ポリアニオン系]
・日立VE/日立製作所 [正極:Ni-Mn系]
次世代技術(多価カチオン電池系)2件
・東工大[マグネシウム電池]
・埼玉県産業技術総合センター [ マグネシウム電池]
次世代技術(解析技術)4件
・東北大[分光法による電極材料その場観察]
・東北大[各種評価結果シュミレーション]
・京大 [電極・電解質界面XAFS測定]
・長岡技科大/JAXA [熱特性解析]
充電 電池 モジュール
表 3-1 委託先の研究テーマ、研究開発内容
【電池開発】
開始年度 研究テーマ【委託先企業】 研究開発内容 H19~ 高耐久形高容量・高出力リチウ
ム二次電池の研究開発【パナソ ニック(株)】
本研究開発は、高エネルギー密度・高出力でありな がら、耐久性とコストを両立させるリチウム二次電 池を開発し、次世代自動車用高性能蓄電システムと して提供することを目的に、①電池構成材料の調 査・選定、②正極の開発、③負極の開発、④電池の 開発を行う。
H19~ 高性能リチウムイオン電池(複 合システム)の研究開発【(株) ジーエス・ユアサ コーポレーシ ョン】
本研究開発は、これまでの開発成果である正極・負 極活物質性能改善および新規電解質・添加剤開発に よる電池の高出力・高エネルギー密度化と低コスト 化をはかり、次世代自動車用高性能蓄電システム(複 合システム)を開発する。
H19~ 高出力可能な高エネルギー密度 型リチウムイオン電池の研究開 発【(株)日立製作所/日立ビー クルエナジー(株)】
本研究開発は、Ni-Mn 系正極材および黒鉛系負極材を 主要な検討対象として、高エネルギー密度と高出力 密度の両立を図ると共に、それらの電池系に最適な 機能性電解液等を開発し、軽量・コンパクトな電池 モジュールの設計・試作を実施する。
表 3-1 で示した研究開発内容について、電池構成部材(正極材料、負極材料、電解質材料)の 観点からまとめたものを図 3-3 に示す。
図 3-3 要素技術開発(電池開発)の開発ターゲット
(3)研究開発の実施スケジュールと予算
平成19年に3件のテーマを採択した。また、採択テーマについては平成21年度に、延長審査を実 施して後年度の研究延長の可否を判定する。図3-4にプロジェクトの年度計画(要素技術開発:電 池開発)を示す。
負極 電解質
正極
電池開発
負極 電解質
正極
電池開発 ジーエスユアサコーポレーション
・複合系ポリアニオン材料(LiFe(Mn)PO4) ・黒鉛材
パナソニック
・Li(NiCoAl)O2 有機電解液 ・黒鉛材+Si材料
有機電解液
日立製作所/ 日立ビークルエナジー
・NiリッチNi-Mn系 有機電解液 ・黒鉛材
図 3-4 プロジェクトの年度計画(要素技術開発:電池開発)
要素技術開発(電池開発)は、0.3kWh級のモジュール電池の試作や試験等に多くの費用が必要 となるため、それらが円滑に実施できるよう、他テーマに比べて特に多くの予算を配分した。表 3-2に委託先の研究予算一覧表(要素技術開発:電池開発)を示す。
表 3-2 委託先の研究予算一覧表(要素技術開発:電池開発)
研究予算(百万円)
委託先 H19fy H20fy H21fy 総額
パナソニック(株) 186.1 197.1 197.5 580.7 (株)ジーエス・ユアサ コーポレーション 135.1 128.2 127.1 390.4 (株)日立製作所/日立ビークルエナジー(株) 198.9 198.9 198.9 596.7 520.1 524.2 523.5 1567.8
(4)研究開発目標と中間目標達成度
<開発目標>
0.3kWh 級モジュールを作製し、以下の目標(性能目標は 3kWh 級パック電池の換算値)を満足 すること。
・重量エネルギー密度:100 Wh/kg
・重量出力密度:2,000 W/kg
・体積エネルギー密度:120 Wh/L
・体積出力密度:2,400 W/L
・寿命:10 年以上
・充放電効率:95 %以上
・コスト:4 万円/kWhの見通しを示すこと(100 万パック/年生産時)
・安全性:車載時の濫用に耐えること
<各委託先の達成目標>
上記開発目標値を基本とするが、各委託研究の目標(中間目標及び最終目標)は、提案者が公 募時に研究開発テーマとともに提案し、採択決定後に NEDO 技術開発機構と協議のうえ個別に実施 計画に定める。但し、測定方法・測定条件は、基盤技術開発担当法人から提案される「標準試験
①要素技術開発
(電池開発)
平成23年度 平成22年度
平成21年度
(中間評価)
平成20年度 平成19年度
①要素技術開発
(電池開発)
平成23年度 平成22年度
平成21年度
(中間評価)
平成20年度 平成19年度
公募 公募
(0) (0)
(3) (3) (3)
延長審査 延長審査