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horocycle flow に関する non wandering 集合

ドキュメント内 双曲曲面に関する (ページ 31-36)

この節ではhorocycle flowに関するnon wandering集合について説明する.

点(w, ⃗v)∈T1Sに関し,(w, ⃗v)の任意の近傍V に対して,非有界な実数列(tn)n0htn(V)∩V ̸=

を満たすものが存在するとき,horocycle flowに関してnon wanderingと呼ぶ.horocycle flow に関しnon wanderingな点の集合をh(T1S)と表す.

non wandering集合h(T1S)と極限集合の関係を調べたい.まず,E上で次のような集合を考 える.

E(Γ) :={Φ((z, ⃗u))|(z, ⃗u)∈T1H, u(+∞)∈L(Γ)}

E(Γ)MΓの作用で不変な閉集合である.L(Γ) =H(∞)のとき,特にΓ =P SL(2,Z)のとき,

E(Γ) =Eが成り立つ.

命題 3.3. ([V, Proposition 2.6.])

Γを非初等的なフックス群とする.このとき,±w∈E(Γ)MΓ(w) =E(Γ)を満たすものが存 在する.

この命題を示すために,ベクトル空間R2を考える.SL(2,R)からP SL(2,R)への標準写像に よるMΓ⊂P SL(2,R)の逆像をMˆΓ⊂SL(2,R)とする.この群は,R2− {(0,0)}からEへの写 像によるE(Γ)の逆像E(Γ)ˆ R2− {(0,0)}に作用する.ここで補題を1つ紹介する.

補題 3.4. ([V, lemma 2.7.])

開円板B1, B2R2− {(0,0)}を,E(Γ)ˆ ∩Bi ̸=∅ (i= 1,2)をみたすものとする.このとき,

M ⊂MˆΓ

M(B1)∩B2̸= を満たすものがとれる.

この補題の証明は省略する.この補題を用いて,命題3.3を証明する.

Proof.V, Proposition 2.6.]の証明に基づいて証明を行う.

x∈R2−{(0,0)}MˆΓ = ˆE(Γ)を満たすものがとれることを示す.(Bn)n1をR−{0,0}内の 開円板の列でBn∩E(Γ)ˆ ̸=を満たし,R2− {0,0}内のE(Γ)ˆ と交わる任意の開集合が(Bn)n1

の元を含んでいるものとする.R2− {0,0}内のE(Γ)ˆ と交わる任意の開集合で,(Bn)n1の元を 含んでいるものを1つとりOと固定する.

先の補題より,M1∈MˆΓ

M1(O)∩B1̸=

を満たすものがとれる.K1⊂OE(Γ)ˆ と交わるプレコンパクトな開集合とするとき M1(K1)⊂B1

が成り立つ.

OK1に,B1B2に置き換えることでM2∈MˆΓと,K2⊂K1E(Γ)ˆ と交わるプレコン パクトな開集合がとれて,

M2(K2)⊂B2

が成り立つ.

この議論から,列(Mn)n1⊂MˆΓと,プレコンパクトで入れ子型の開集合列(Kn)n1E(Γ)ˆ と交わるものがとれて,

Mn(Kn)⊂Bn

が成り立つ.

x∈

+ n=1

Kn∩E(Γ)ˆ をとる.このとき任意のn≥1に対し,Mn(x)∈Bnが成り立つ.

任意のx∈E(Γ)ˆ と,xを中心として半径が0に収束する円板列(Dn)n1をとる.各Dnに含 まれる(Bn)n1の元をBin とすると,Min(x)⊂Bin ⊂Dnが成り立つ.これより,

nlim+Dn = lim

n+Min(x) =x

が成り立つので,x∈MˆΓ(x)がわかる.よって,MˆΓ(x)E(Γ)ˆ で稠密.

E(Γ)Φによる引き戻しを考える.この集合は

F(Γ) :=˜ {(x, ⃗u)∈T1H|u(+∞)∈L(Γ)}

と書くことができる.F˜(Γ) Γ ˜hR に関して不変な閉集合である.F˜(Γ) π1による像を F(Γ)とすると,F(Γ)hRに関して不変な閉集合である.このF(Γ)に関して,命題3.2と命題 3.3より次の性質が成り立つ.

命題 3.5. ([V, Proposition 2.10.]) (w, ⃗v)∈T1Sで,

hR((w, ⃗v)) =F(Γ) を満たすものが存在する.

このF(Γ)horocycle flowに関するnon wandering集合と一致することを示す.

命題 3.6. ([V, Proposition 2.11.]) F(Γ) = Ωh(T1S)が成り立つ.

Proof.V, Proposition 2.11.]の証明に基づいて証明を行う.

(⊃)を示す.(w, ⃗v) =π1((z, ⃗u))∈T1Snon wanderingと仮定する.(w, ⃗v)の入れ子型な近 傍の列(Vn)n1と正の実数列(tn)n1

nlim+tn = +かつhtn(Vn)∩Vn̸= を満たすものがとれる.

列((zn, ⃗un))n1⊂T1H(wn, ⃗vn) =π1((zn, ⃗un))∈T1Sとするとき,以下を満たすものを考 える.

(wn, ⃗vn)∈Vn

lim

n+(wn, ⃗vn) = (w, ⃗v)

lim

n+(zn, ⃗un) = (z, ⃗u)

lim

n+htn((wn, ⃗vn)) = (w, ⃗v)

nlim+(wn, ⃗vn) = (w, ⃗v)より,n)n1Γ

nlim+˜htnγn((zn, ⃗un)) = (z, ⃗u)

を満たすものがとれる.˜htn((zn, ⃗un)) = (zn, ⃗un)とする.このとき,点zn に関して

nlim+zn= lim

n+h˜tn(zn)

=u(+∞) が成り立つ.

また,(zn, ⃗un)に関して

nlim+h˜tnγn((zn, ⃗un)) = lim

n+γn˜htn((zn, ⃗un))

= lim

n+γn((zn, ⃗un))

= (z, ⃗u) が成り立つ.これより,

nlim+d(γn(zn), z) = lim

n+d(zn, γn1(z))

= 0 が成り立つ.よって, lim

n+γn1(z) =u(+∞)より,u(+∞)∈L(Γ)を得る.

(⊂)を示す.命題3.5より,(w, ⃗v)∈F(Γ)(w, ⃗v)の軌道がF(Γ)で稠密となるものがとれる.

この(w, ⃗v)horocycle flowに関してnon wandering,また,non wandering集合はhorocycle flowで不変な閉集合なのでF(Γ)⊂h(T1S)が成り立つ.

ここからは,non wandering集合h(T1S)内の軌道hR((w, ⃗v))を,端点によって特徴付けるこ とを考えていく.特に定理3.7と系3.10が,non wandering集合内の軌道を考える際に重要なポ イントである.

定理 3.7. ([V, Theorem 3.1.])

(z, ⃗u)∈T1Hに対して(w, ⃗v) =π1((z, ⃗u))∈T1Sとする.このとき以下は同値.

(i) u(+∞)∈Lh(Γ)

(ii) hR((w, ⃗v))h(T1S)内で稠密.

この定理を示すために,horocyclicな点とMΓの関係性についての補題を紹介する.

補題 3.8. ([V, Lemma 3.2.])

(z, ⃗u)∈T1Hに関して,以下は同値.

(i) u(+∞)∈Lh(Γ)

(ii) (Mgn)n1⊂MΓで lim

n+||Mgn(Φ((z, ⃗u)))||= 0を満たすものが存在する.

Proof. 命題1.5によるhorocyclicな点の性質と,命題3.1の証明よりわかる.

この補題3.8を用いて,定理3.7を証明する.

Proof.V, Theorem 3.1.]の証明に基づいて証明を行う.

定理3.7を示すには次の2つが同値であることを示せば良い.

(i)’ u(+∞)∈Lh(Γ)

(ii)’ MΓΦ((z, ⃗u)) =E(Γ)が成り立つ.

(ii)’(i)’は,仮定からE(Γ)から(i)’を満たすような(Mn)n1がとれることが直ちにわかる.

(i)’(ii)’を示す.Lh(Γ)の点に関して場合分けを考える.

(case 1) u(+∞)hyperbolicな等長変換の不動点の時を考える.M MΓγ に関する作 用とする.補題3.8より,E上の作用について必要ならばγγ1に取り替えることで

M(Φ((z, ⃗u))) =±λΦ((z, ⃗u)) (0< λ <1)

と表せるとしてよい.この場合,Mn((Φ(z, ⃗u)))→0より,(i)’の特殊な場合であることに注意す る.命題3.3より,(z, ⃗u)∈T1H

MΓΦ((z, ⃗u)) =E(Γ)

を満たすものがとれるので,MΓΦ((z, ⃗u))±RΦ((z, ⃗u))を含むことを示せば良い.(z, ⃗u) 取り方から,u(+)∈L(Γ)が成り立つ.このとき,(γn)n1Γ

nlim+γn(u(+)) =u(+) を満たすものがとれる.

Mn∈MΓと(pn)n1Zを上手くとることで,λpn||Mn(Φ((z, ⃗u)))||0以外の実数αに収束 する.これより,

nlim+MnMpnΦ((z, ⃗u)) = lim

n+±λpnMpnΦ((z, ⃗u)) が成り立つ.

u(+∞)γ の不動点より,

γnγpnu(+∞) =γn(u(+))

が成り立つことから,MpnΦ((z, ⃗u))E上での向きはΦ((z, ⃗u))と同じ向きになることがわかる.

これより,

nlim+±λpnMpnΦ((z, ⃗u)) =±α Φ((z, ⃗u))

||Φ((z, ⃗u))||

が成り立つ.よって,MΓΦ((z, ⃗u))∋ ±RΦ((z, ⃗u))がわかる.

(case 2)u(+∞)horocyclicで,Γの任意のhyperbolicな等長変換で固定されない時を考え る.MΓΦ((z, ⃗u))Γのあるhyperbolicな等長変換Γから誘導されるMΓの固有ベクトル(mod

±1)を含むことを示せば(case 1)に帰着できる.

γ Γhyperbolicな等長変換,M γに関する作用とする.このとき,(γnu(+∞))n1γに収束する.補題3.8より,(Mn)n1⊂MΓ

nlim+||Mn(Φ((z, ⃗u)))||= 0

を満たすものがとれる.w∈R2− {(0,0)}Φ((z, ⃗u))に射影するベクトル,M ,ˆ Mˆn ∈SL(2,R) をそれぞれM, Mnに射影するものととる.w+, wMˆ の固有ベクトルで(|λ|>1)として

M wˆ + =λw+, M wˆ = 1 λw を満たすものとする.

Mˆn(w) =anw++bnwとする.このとき,

nlim+(a2n+b2n) = 0 が成り立つ.さらに,

MˆnMˆn(w) = ˆMn(anw+) +Mn(bnw)

= an

λnw++bnλnw

が成り立つ.さらに部分列をとることで,( ˆMnMn(w))n1βw̸= 0)に収束する.これよ り,(MnMn(Φ((z, ⃗u))))n1がΓhyperbolicな等長変換から誘導される変換の固有ベクトル (mod±1)に収束することがわかる.

ドキュメント内 双曲曲面に関する (ページ 31-36)

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