第 6 章 まとめと展望 33
B.3 軸対称なテンソルネットワーク (P 変換可能なテンソルネットワーク) 46
B.3.2 XY 模型
XY模型の場合はテンソルAがP変換したテンソルA˜と同じではない。そのため、
Ising模型と同じように単純にテンソルAと入れ替えることはできない。
Apijkl ̸=Apilkj (B.45)
今回は分配関数からの計算を工夫し、テンソルネットワークが軸対称になるテン ソルネットワークを導く。
Z = 1
(2π)V
∫ π
−π
∏
p
dθp∏
⟨i,j⟩
eβcos(θi−θj) (B.46)
= 1
(2π)V
∑
{n}
∏
p1
∫ π
−π
dθp1(Ip1i(β)Ip1j(β)Ip1k(β)Ip1l(β))12 eiθp1(np1i−np1j−np1k+np1l)
×∏
p2
∫ π
−π
dθp2(Ip2i(β)Ip2j(β)Ip2k(β)Ip2l(β))12 eiθp2(−np2i−np2j+np2k+np2l) (B.47)
= 1
(2π)V2
∑
{n}
∏
p1
Apijkl1 ×∏
p2
∫ π
−π
d(−θp2) (Ip2i(β)Ip2j(β)Ip2k(β)Ip2l(β))12
ei(−θp2)(−np2i−np2j+np2k+np2l) (B.48)
= 1
(2π)V2
∑
{n}
∏
p1
Apijkl1 (B.49)
×∏
p2
∫ π
−π
dθp2(Ip2i(β)Ip2j(β)Ip2k(β)Ip2l(β))12 eiθp2(np2i+np2j−np2k−np2l) (B.50)
= ∑
{n}
∏
p1
Apijkl1 (B.51)
×∏
p2
(Ip2i(β)Ip2j(β)Ip2k(β)Ip2l(β))12 δnp
2i+np2j−np2k−np2l,0 (B.52)
= ∑
{n}
∏
p1
Apijkl1 ∏
p2
A˜pijkl2 (B.53)
Apijkl = ˜Apilkj (B.54)
図 B.1: TNRのくりこみ過程
図 B.2: TNRのテンソルB, Cの生成
図 B.3: TNRの最適化時に用いるtruncation errorの図
付 録 C 平均場理論による相関関数
5章で用いた相関関数のフィット関数をLandau理論を用いて、導出する。まず、
Landau理論の理解のために臨界指数β, α, δ, γを磁化の対称性から得た自由エネル
ギーから求める。次に磁化に空間依存性を持つとしてLandau理論を拡張した理論 を用いて、相関関数を導出する。[19]
C.1 Landau 理論
Landau理論は平均場理論の一種である。磁化の対称性だけを用いて、自由エネル
ギーを磁化の関数として定義し、その最小値が熱平衡状態を実現するという条件を 用いて、臨界現象を解析する。
すべてのスピン変数siの符号を反転すると磁化mの符号が変わる。しかし、ハミ ルトニアン(A.2)は外部磁場hがゼロである場合、すべてのスピン変数siの符号を 反転しても符号は変えない。従って、自由エネルギーもスピン変数の反転に対して 不変だと考えることができる。これを大局的な反転対称性という。これは磁化mの 関数としての単位体積あたりの自由エネルギーf(m)は偶関数であることを意味し ている。
臨界温度付近では磁化mは十分小さいと考えるべきであり、自由エネルギーは m= 0のまわりは偶数べきで展開できる。この展開をLandau展開という。
f =f0+am2+bm4 +O(m6) (C.1)
a, b, f0は定数である。しかし、温度依存性を持つ。また、6次以上の高次の項を無
視する。自由度エネルギーfの最小値の時に熱平衡状態が実現する。そのためには b >0である必要がある。また、a <0である場合、最小値がm= 0からずれたとこ ろに現れる。この時にすべてのスピン変数の反転すると自由エネルギーの符号は変 わらないが、磁化m ̸= 0の符号が異なるどちらかの状態が実現される。これを自発 的対称性の破れという。
a = 0を境にして自由エネルギーf(m)の最小値を取る磁化mの場所がゼロか らノンゼロに変化するので、a = 0が臨界点T = Tcに相当する。そのため、a = k(T −Tc)/Tc=kt, t= (T −Tc)/Tcとする。つまり、a <0は低温、a >0は高温に 相当する。
では、このLandau理論を用いて、臨界指数β, α, δ, γを求める。まずは、臨界指 数βを求めるために、実現する磁化m0を求める。そのためには、低温a < 0の自
由エネルギーを磁化mで微分し、ゼロになる磁化mが実現する磁化m0であると考 える。
df
dm = 2am+ 4bm3 (C.2)
= 4bm (
m+i
√ a 2b
) ( m−i
√a 2b
)
= 0 (C.3)
m = 0,±i
√a
2b (C.4)
m0 =
√T −Tc
2bTc (C.5)
∝
T −Tc Tc
β=
1 2
(C.6) よって、β = 1/2である。
次に、臨界指数αを求めるために、自由エネルギーfの最小値を温度で二階微分 して比熱Cを求める必要がある。そこで臨界温度の時(m0 =k(T −Tc)/Tc)の自由 エネルギーfは次のように求まる。
f = f0+am20+bm40 =f0 −k2(T −Tc)2
4bTc2 (C.7)
C ∝ d2
dTf = Constant (C.8)
∝ |t|α=0 (C.9)
この自由エネルギーを温度で二階微分することで定数が得られる。つまり、比熱は 定数になる。これにより、α= 0である。
さらに、臨界指数δを求めるために、自由エネルギーに外部磁場hの項−hmを 加え、磁化で一階微分する。
df
dm = 2am+ 4bm3−hm = 0 (C.10)
h ∝ mδ=3 (T =Tc) (C.11) T =Tcの時にa= 0である。これにより、臨界指数δ = 3である。
最後に臨界指数γを求めるために、式(C.11)を用いて、χ= dmdh を求める。
χ= dm
dh = 1dh
dm = 1
2a+ 12bm2 (C.12)
これにより、T > Tc (a >0), m= 0ではχは次のようになる。
χ= 1
2a = Tc
2k(T −Tc) ∝
( Tc T −Tc
)γ=1
(C.13)
また、T < Tc (a <0), m=
√k(Tc−T)
2bTc ではχは次のようになる。
χ= 1
2a+ 12bm2 = Tc
4k(Tc−T) ∝
( Tc
T −Tc )γ′=1
(C.14) 以上により、γ, γ′ = 1である。なお、Landau理論は空間次元やスピンの成分数を考 慮していないため、この臨界指数は一般的には正しいものではない。