適 用 さ れな い の か
、そ れは 憲 法 上
、大 統領 の 専 権 が 認め ら れ る のか が 問 題 と なる
。北 大 西 洋条 約 一 一 条は
、 加盟 国 は
「 憲 法 上 の 手 続 に 従 っ て
」 武 力 行 使
( 集 団 的 自 衛 権
) を な す と し て い る。 す で に み た よ う に
、
WPR
八 条 は別 途 立 法 的措 置 が な い 限 り
、条 約 か ら 自 動 的 に 武 力 行 使 が 授 権 さ れ る わ け で は な い と し( a 項
)、
NATO
の 司 令 部の 機 能 の よう な
、
WPR
制定 前 に 確 立 さ れ た 軍 指 揮 系 統 の 司 令 部 へ の ア メ リ カ の 参 加 に さ ら な る 授 権 が 必 要 と は 解さ れ て は なら な い と して い る( b 項
)。 一 九 四 九 年 のこ の 条 約 の批 准 で は
、武 力の 脅 威 の 決定 に「 憲 法 上 の 手続
」 の文 言 が か かる と は 考 えら れ て い な かっ た
。 一 九 九 九 年三 月
、ク リ ン トン が コ ソ ヴォ の
NATO
軍 事 作 戦に 参 加 を 命じ た と き
、戦 争権 限 が 議 論さ れ た
。彼 は
、 研修 生 モ ニ カ・ ル イ ン ス キー と の 不 適切 な 関 係 で弾 劾 の 否 決 さめ や ら ぬ とき で あ り
、 弾劾 手 続 の 直後 に 武 力 行使 を し た 初 め て の 大 統 領 と さ れ る
(
He ndrickson
)。 同 月 二 二 日 に ク リ ン ト ン は
、
WPR
に の っ と っ て こ の 軍 事 行 動 を 議 会に 通 知 し てお り
、 二 三 日に は 上 院 が法 的 拘 束 力の な い
「 議 会の 意 見
(
Sense o f C o n gr ess
)」 と して
、「 わ れわ れ
NATO
諸 国 と 協 力 し て 軍 事 航 空 作 戦 と ミ サ イ ル 攻 撃 を ユ ー ゴ 連 邦 共 和 国 に」 行 う こ と を 認 め る 決 議
(
S.Con. Res.
21
) を 採 択 し て い る
。 他 方 下 院 は
、 こ の ア メ リ カ 軍 参 加 を 制 限 す る 決 議 を 採 択 す る
。四 月 二 八 日
、 立 法 で 特 別 に 授権 さ れ な い限 り
、 陸 上 戦力 を ユ ー ゴで の 戦 争 に 導 入 す る の に 財 源 を 拠 出 し な い と し た
。 一 方
、
WPR
五 条( c) に 依拠 し て 大 統領 は 軍 隊 をこ の 作 戦 か ら撤 退 さ せ るべ し と の 決 議は
、 否 決 され て い る
。 二八 日 に は
、ユ ー ゴ 連 邦政 府 との 間 に 戦 争状 態 が あ る との 宣 言 の 議決 も 二 対 四二 七 で 否 決 され た
。 ユ ー ゴ で の ア メ リ カ 軍 参 加 は 議 会 の 授 権 を 欠 く も の で 違 憲 だ と し て386()
、 下 院 議 員 キ ャ ン ベ ル
(
Campbell
) ら 一 七 人が
、 空 軍 作戦 そ の 他 軍事 行 動 の 前 に大 統 領 は 議会 の 授 権 を 求め る べ き と判 決 を 求 め て出 訴 し た
。五 月 四 日
、マ ケ イン 上 院 議 員は 大 統 領 に 必要 な 軍 事 的手 段 を 含 む手 法 を 授 権 する 合 同 決 議を 提 議 し
、 上院 は 可 決 した け れ ど も( 七
一
〇
〇
八対 二 二
)、 下 院 は 大 統 領の 軍 事 行 動を 制 限 す る 予 算 措 置 を 一 一 七 対 三
〇 一 で 否 決 し た
。大 統 領 提 案 の 緊 急 事 態 対 処の 追 加 予 算措 置 も 一 掃さ れ て い る
。コ ソ ヴ ォ につ い て は 議 会は 予 算 拒 否で 統 制 の 実を あ げ た と いえ る387()
。 五 月 二 五 日、 ク リ ン ト ン は コ ソ ヴ ォ で の 軍 事 行 動 を 議 会 に 通 知 し た
。 キ ャ ン ベ ル の 訴 訟 で は、 六
〇 日 の 期 間 を 守っ て お ら ず、 議 会 の 授 権も な い か ら、 ク リ ン トン の 命 令 は 違法 で あ り 撤退 す べ き と 訴え た
。 こ れは 原 告 適 格が な いと し て 却 下さ れ て い る
(六 月 八 日
)。 控 訴 審 で も
、 二
〇
〇
〇 年 二 月 一 八 日 に 原 審 と 同 様 な 判 断 が 下 さ れ た。 最 高 裁は 一
〇 月 二日
、 上 告 を 棄却 し た
。 同年 五 月 一 八 日、 二
〇
〇
〇年 度 軍 事 建設 支 出 法 で
、二
〇
〇 一 年七 月 一 日 以 降議 会の 授 権 が ない 限 り
、 陸 上戦 力 の た めの 支 出 を 禁 じる 上 院 の 改正 案 が 否 決さ れ て い る
。 チ ト ー の 時 代
、コ ソ ヴ ォ は 自 治 が 認 め ら れ た が、 そ の 人 口 の 九
〇
%が ア ル バ ニ ア 人 で あ る こ と か ら、 ミ ロ シ ェ ビッ チ が ユ ーゴ の 大 統 領 にな っ て
、 少数 の セ ル ビ ア国 粋 主 義 のあ お り を 受け
、 コ ソ ヴ ォの 幹 部 の 政治 家 や 警 察 がセ ル ビ ア 人 に と っ て 替 え ら れ、 セ ル ビ ア 人 の 軍 事 的 優 位 が 敷 か れ た
。 そ こ に
、 ア ル バ ニ ア 人 保 護 の た め ア メ リ カ と
NATO
が 軍 事 介 入 す る よ う に な っ た の で あ る。 当 時 の 国 防 長 官 コ ー エ ン
(
W illiam C ohe n
) は
、 ア ル バ ニ ア 人 を 守 る た め
NATO
が 武 力 を 行 使 す る の に
UNSC
の 承 認 は 不 要 だ と し
、 国 務 長 官 オ ル ブ ラ イ ト も
、
UNSC
の 承 認 は 望 ま しい が
、法 的 に 必 要で は な く
、ま た 憲 章五 一 条 の 自 衛権 だ か ら
、ア メ リカ は 正 当 に 武力 を 行 使 でき る と し た
。
NATO
は地 域 的 機 関で あ り、 その 加 盟 国 は 国連 の 承 認 なく 行 動 す る 権限 が あ る と解 さ れ て い る。 議 会 も 授権 を す る こと は なか っ た
。 キャ ン ベ ル 下 院議 員 ら は 九八 年 秋
、 ク リ ン ト ン の や り 方 を 批 判 し
、「 憲 章 も 北 大 西 洋 条 約 も
、 ど の 規 定 たり と も
、 憲法 で 設 定 さ れた 合 衆 国 国内 法 の 要 請を 凌 駕 す る こと は で き ない
」 と の 文 書を 送 っ て いる
。 下 院 は武 力 行使 に は 肯 定的 で
、 大 統 領の 軍 事 的 裁量 を 広 く 認め た
。 ク リ ント ン は
、 歴代 大 統 領 と 同様 に 議 会 の承 認 は 不 要と の 立場 に 立 つ が、 九 九 年
、 彼の 弾 劾 手 続が 議 会 で 無事 に 終 了 す ると
、 議 会 に擦 り 寄 る よ うに な る
。 議会 指 導 者 と 会合 ア メ リ カ 議 会 の 戦 争 権 限
( 四
)
(都 法 五 十 二
―
二
) 一
〇 一
を持 つ よ う にな り
、 議 会が こ と さ ら 戦争 権 限 の 問題 を 蒸 し 返 すこ と は な かっ た388()
。
︵ 5 ︶ ク リ ン ト ン と 戦 争 権 限
ク リ ン ト ンは 国 連 の 集団 安 全 保 障 を重 視 し
、 この 枠 組 で ア メリ カ 軍 を 使用 す る 権 限 は大 統 領 に ある と
、 こ れま で の大 統 領 よ りも 強 い 信 念 をも っ て い たと 評 さ れ てい る389()
。 一 九 九五 年 一 二 月、 ク リ ン ト ン大 統 領 は
、議 会 が 戦 術に 関 する 行 動 を 規制 し た の は
CINC
の 権 限 の侵 犯 だ と し て、 ボ ス ニ ア・ ヘ ル ツ ェゴ ビ ナ へ の 軍事 歳 出 法 に 拒 否 権 を 行 使 した
。 下 院 で三 分 の 二 の多 数 で 再 可 決さ れ る こ とに な る が
、 その と き 政 権( デ リ ン ジ ャー
(
W a lte r De ling e r
)法 務 長 官 補 佐 官
) は、 こ う し た 議 会 の 行 動 は 大 統 領 権 限 を 制 限 す る も の だ と し て 次 の よ う に 述 べ
、 そ の 違 憲 を 主 張 し た
( 390
。)
「 ア メ リ カ 軍 の 作 戦 上 の 戦 術 的 な 統 制 機 能 を 行 使 す る こ と が で き る 特 定 の 人 間 を 選 択 す る の は、
CINC
た る 大 統領 た だ 一 人で あ る
。
…本 件 の 場 合
、大 統 領 は アメ リ カ 軍 が 参加 す る 国 連の 特 定 の 活 動の 目 的 が
、か か る 軍 隊が 外 国人 で あ る
(も し く は 現 場の 任 務 に つい て い な い軍 将 校 で あ るア メ リ カ 人) 上 級 軍 司 令官 の 下 で はも ち ろ ん
、国 連 の機 関 の 作 戦上 あ る い は 戦術 上 の 統 制下 に 置 か れる な ら
、 最 も良 く 資 す るの を 決 定 す るこ と が で きる
。 議 会 は、 任 務遂 行 す る アメ リ カ 軍 が 仕え る 司 令 官の 選 択 に 関す る よ う な 軍事 的 判 断 に大 統 領 が と りか か る の を妨 げ る こ と はで きな い
」。 ク リン ト ン は
、自 信 の な さか ら か
、 議 会 と の 連 携 は こ れ ま で の 大 統 領 よ り は 密 で あ り
、 戦 争 権 限 の 解 釈 にも や や 議 会委 譲 の 原 理 が垣 間 み ら れる と も 指 摘さ れ て い る391()
。 彼 は
、就 任 間 も な いと き で の ソマ リ ア
PKO
に は
、ブ ッ シ ュ 前大 統 領 の 戦争 権 限 の 解 釈を 踏 襲 す る態 度 を み せた
。 そ の 後
、国 内 の 政 治 状 況
、議 会 で の 民 主 党 の 衰 退 や 自 身 の ス キ ャ ン ダ ル な ど か ら
、 議 会 の 意 思 を 尊 重 す る よ う に なっ て い っ た。 こ れ は 冷 戦時 代 で の 大統 領 先 行
=
議 会 忍 従 と は異 な る パ ラダ イ ム と い える。 こ れ が大 統 領 と 議会 の
一
〇 二
協 働 を 核 と す る こ と か ら
、 契 約 モ デ ル で あ
り
ProCon
を 踏 襲 し て い る と み る 者
(
Stromseth
) も あ る
。 大 統 領 と 議 会を
、 対 峙 させ る の で はな く 並 列 さ せて
、 議 会 が責 任 を と る べ き と 論 じ る 戦 争 権 限 の 相 互 作 用
(
inte raction
) の 新 しい パ ラ ダ イム と す る 見方 も あ る392()
。 大統 領 は 自 分の 軍 事 行 動 の承 認 を 議 会に 事 前 に 要 請す る の で ある
。 議 会 は、 宣 戦を す る こ とは な い が
、 議会 の 意 見 とい う 法 的 拘束 力 の な い 形で 存 在 感 を示 し た り
、 権限 や 予 算 をつ け た り
(制 限 した り
) す るの で あ っ て
、機 能 的 に は大 統 領 と 議会 で 共 有 さ れた と す る 戦争 権 限 の コ ンテ キ ス ト の中 で
、 形 式的 に は(
fo malistic
) 部 分 的 な議 会 の 行 為(
partial c ongressional actions
) と 認 識 でき る と す る。 議 会 と 大 統領 の 協 働 ある い は 共 有 責任 論 は
、 安全 保 障 あ る いは 人 権 と いっ た 高 次 の 国家 利 益 の 困難 な 判 断 を単 一 の部 門 で 行 うの で は な く
、連 邦 政 府 の公 選 職 に 託さ れ た 者 全 員に よ っ て なさ れ る と す るも の で
、 共有 さ れ た 権限 や 責 任 が 民 主 的 ア カ ウ ン タ ビ リ テ ィ を 構 築 し
、 安 全 と 自 由 の バ ラ ン ス が 慎 重 に 衡 量 さ れ る の を 確 保 さ せ る 利 点 が あ る
( 393
。)
ケ ネ デ ィ最 高 裁 判 事は
、 二
〇
〇 六年 の 判 例 で こ の モ デ ル を 示 唆 す る
。 い わ く394()
、「 制 定 法 が 政 府 権 限 の 行 使 の 条 件を 規 定 し てい る 場 合
、 その 要 件 は 両方 の 政 治 部門 に か か わ る討 議 と 省 察の プ ロ セ ス の果 実 で あ る。 執 行 府 と立 法 府の 慣 例 的 運用 か ら 導 か れる 法 に 対 する 尊 重 は
、危 機 の と き 安定 に い く ばく か の 保 障 を与 え る
」。 戦 争 権 限 にお け る 議 会 と大 統 領 の 協働 の 理 念 型は
、「 合 同 決議 モ デ ル
(
joint re solution m ode l
)」 と さ れ る395()
。こ れ は、
WPR
等 戦 争権 限 の 解 釈が 議 会 と 大 統 領 の 固 有 権 を 定 義 し
、そ こ は 不 可 侵 と す る 憲 法 学 の 一 般 的 な 議 論 の 非 生 産性 や 非 現 実性
( 憲 法 上 の行 き 詰 ま り(
constitutional impasse
) と 形 容 し て い る
) を 反 省 し
、 憲 法 条 文 も 歴 史 も 実 は協 働 で 展 開し て き た の だ と い う
。こ の モ デ ル は
、
WPR
に 替 わ っ て 大 統 領 と 議 会 が 同 意 す る 新 立 法 を 目 論 む の で ある が
、 戦 争権 限 は 立 法に 服 す る こ とを 大 前 提 とし て い る396()
。
UNSC
の授 権 決 議 で アメ リ カ が 軍 を 出 す の は 差 し 迫 っ た脅 威 か ら 民主 主 義 国 家 を防 護 す る こと だ か ら
、大 統 領 の 権 限で あ る
。 しか し
、 こ れ を展 開 さ せ 授権 を 実 り ある も ア メ リ カ 議 会 の 戦 争 権 限
( 四
)
(都 法 五 十 二
―
二
) 一
〇 三