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WHEC 2008 (世界水素エネルギー会議)

ドキュメント内 . (ページ 49-65)

調査先 Brisbane Convention and Exhibition Centre 調査日時 2008年6月16日〜19日

主な調査項目 ・WHEC 2008での各国の取り組み内容の調査を行う

・WHEC 2008でJHFCの広報・教育活動の紹介発表を行う

1−1 概要

第17回世界水素エネルギー会議(17th World Hydrogen Energy Conference 2008;

WHEC2008)は,2008年6月15日から19日にかけて,オーストラリア連邦クイーン ズランド州ブリスベンで開催された。

WHECでは国の取り組みを中心に聴講したが,国のエネルギー状況などにより,発表 内容に勢いの差が感じられた。自動車会社を持たず,自然エネルギーも多くないような 国は,水素関連のプログラムを進めることの難しさを感じた。

WHEC 2008において,JHFCにおける広報・教育活動の紹介をした。教育のセッショ ンでは,子供に対する教育や,一般人向けの教育,大学での教育などの発表があり,テー マがやや散漫という印象を受けた。

プログラムは,大会場で行われるプレナリーセッション,およびプレナリーセッショ ン後の個別のセッション(5 セッションが同時開催)により構成されていた。個別セッ ション一覧を表1-1に示す。

表 1-1  個別セッション一覧

‚ International and National Programs

‚ Hydrogen From Fossil Fuels Reforming

‚ Solar Hydrogen From Water

‚ Hydrogen Infrastructure and Refuelling

‚ Hydrogen Distribution and Storage

‚ Hydrogen Production by Electrolysis of Water

‚ Infrastructure, Refuelling and Safety

‚ Fuel Cell Technology Demonstration

‚ Production of Hydrogen From Biomass

‚ Production of Hydrogen From Water

‚ Hydrogen Infrastructure and Refuelling

‚ Vision

‚ Environmental Issues

‚ Fuel Cells 1 (PEM and DMFC)

‚ Hydrogen Islands

‚ Stationary Power

‚ Commercialisation and Investment

‚ Nuclear Hydrogen

‚ Education and Training

‚ Hydrogen-Fuelled Transportation

‚ Transportation

‚ Government Policy and Support WHECのキャッチフレーズが「Supply Energy to a Changing World」ということか ら,水素の製造や,インフラに関わる内容が多く,自動車に関係する発表は少なかった。

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ブラジルの発表でも,国の全体的な取り組みは紹介されたが,昨年度からスタートして いるはずのバスプロジェクトがどのような状況なのかを説明するような発表は見受けら れなかった。

1−2 セッション「 International and National Programs 」の発表概要

ブラジルや,ノルウェーのような水力発電が豊富な国は,報告内容に勢いが感じられ たが,自動車産業を持たず,エネルギー上も大きな特徴を持たない国は,水素関連のプ ログラムを進めるのに苦労している印象を受けた。

(1) RENEWABLE HYDROGEN PRODUCTION AND FUEL CELLS PROGRAMS       IN BRAZIL: AN OVERVIEW

ブラジル:Dachamir Hotza他(Federal University of Santa Catarina)

豊富な自然エネルギー,バイオマスを背景に,ブラジルでは以下の3つのパスが注目 されている。

9 水力,太陽光,風力発電の電力による水電解の水素製造 9 バイオ資源からの水素製造

9 ダイレクトエタノールFC

これを背景とし,ブラジルでの水素・FC関係の研究は,FCVよりもSOFCやPEM

のFC,FC用燃料,触媒に注力している。また将来的には,水素の製造コストは石油や

エタノールに対抗しうるとも考えている。

昨年始まったはずの燃料電池バスプロジェクトに関しては,全く触れられておらず,

実際に始まったかどうかは不明。

(2) HYNOR AND SHHP A SCANDINAVIAN APPROACH FOR

A MULTINATIONAL HYDROGEN HIGHWAY

ノルウェー:Ulf Hafseld (StatoilHydro ASA)

ノルウェーではScandinavian Hydrogen Highway Partnership(SHHP)のプログ ラムを進めている。SHHPのビジョンは,ヨーロッパでいち早く水素を商用で入手・使 用できるようにすること。SHHPにはHYFUTURE(スウェーデン),HYDROGENLINK

(デンマーク),HYNOR(ノルウェー)の国家プログラムがリンクしている。

スカンジナビアでは2007年までに3ヶ所のステーションが開所した。2008年に1ヶ 所,2009年に7ヵ所が計画中で,さらに11ヶ所を検討中である。

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自動車に関しては,世界的に見て水素を燃料とする自動車台数が少ないことから,

HyNORではThink EL/HydrogenおよびQuantumが改造したプリウスハイドロジェ ンが使用されている。プリウスは,すでにノルウェーの認可を得て走っている。Think は 2008 年に 5 台走行する予定。さらに,水素ロータリーエンジン車のマツダ RX8 hydrogenを30台ほど走らせる予定で,最初の車は2008年に導入される。

図 1-1 HyNORの水素ステーション

(3) SCENARIOS FOR THE FUTURE OF HYDROGEN IN PORTUGAL

‒ THE RESULTS OF THE PROJECT HI-PO

ポルトガル:R. Pimenta他 (Departamento de Engenharia)

HIPO は水素をエネルギーキャリアとして開発するための戦略を構築するポルトガル のプロジェクトである。シナリオ(将来予測シナリオではなく,可能性をスタディした もの)の作成と評価を通じ,戦略を検討した。シナリオは,①再生可能エネルギー中心 のもの,②再生可能エネルギーを使用しないオフサイト水素製造,③グリッド電力を利 用したオンサイト水素製造,④天然ガスを利用したオンサイト水素製造,⑤水素を多く 含む液体燃料の利用と少々の水素利用の5つが想定された。

評価の結果としては,どのシナリオも明確な優位性は見られなかった。

水素社会を構築する上での大きな課題はコストと技術開発である。ただしコストは化 石燃料費の高騰や,環境問題の重要性などのタイムスケールを考慮して考えないといけ

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ないという意見もある。

(4) THE CLEAN ENERGY PARTNERSHIP (CEP):

A PUBLIC PRIVATE PARTNERSHIP PREPARING FOR COMMERCIALIZATION ドイツ:Dr. Vera Ingunn Moe他(StatoilHydro ASA)

CEPは水素と運輸部門の実証試験として2002年に計画され,2004年に最初の水素ス テーション(ベルリン)が稼動した。3 種類の水素製造パスの水素(ガス,液体)を,

水素内燃機関車や FCVに供給した。自動車会社 5 社を含む 12社が参加している(図 1-2)。

第 1フェーズ(4年間)では平均 17台の車両の参加であったが,第 2フェーズでは 2010年までに40台に増やす予定。70MPaステーションの導入も現在進めている。2011

〜2016年の第3フェーズでは,さらに台数を増やす予定。ハンブルグで30台,ベルリ ンで50台の水素バスを2016年までに導入する予定である。

図 1-2 CEPのパートナーとその担当分野

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(5) STATE OF THE ART AND PROSPECT

OF HYDROGEN AND FUEL CELLS IN SPAIN

スペイン:Maria del Pilar Argumosa(INTA)

スペインはエネルギーの輸入率が EUで最も高く,82%を輸入が占めている。1次エ ネルギー比率は,再生可能エネルギー5.95%,石油49.3%(全輸入),天然ガス20%,

石炭14.6%,原子力10.3%である。将来的には化石燃料を40%(ただしIGCCでのCO2

フリー発電を目指す),40%を再生可能エネルギー,20%を先進原子力発電でカバーす る。スペインにおける水素と燃料電池の位置づけは,再生可能エネルギーとの組み合わ せで,外国からのエネルギー依存度の低減である。

スペインにおける見通しは以下のとおり。2010年までは,水素需要は少なく,ポータ ブル,定置 FC 実証試験,フリート車両程度。2020〜2030 年ごろは,水素需要は高ま り,水蒸気改質水素製造は,石炭ガス化における水素抽出に置き換わる。運輸部門では,

天然ガスと水素の混合ガスが使用される。2030年以降では,運輸部門の燃料は水素とな り,水素の40%は再生可能エネルギーから製造される。

(6) BENCHMARKING OF EUROPEAN AND U.S. HYDROGEN ROADMAPPING EFFORTS (HYWAYS IPHE): HYDROGEN PATHWAY ANALYSIS

ドイツ・アメリカ・中国:Christoph Stiller他(Ludwig-Bölkow-Systemtechnik)

HyWays-IPHEプロジェクトの研究結果について報告があった。米国とECでの水素 製造パスによるコストとCO2排出の推算値について分析した。水素製造方法として,天 然ガスの水蒸気改質,石炭ガス化,バイオマスガス化,電気分解,それらのオンサイト,

オフサイト製造,水素輸送としてはパイプラインと液化水素のトラック輸送に関して分 析が行われた。

米国とEC との前提の違いとして,経済性計算の視点の違いや,パイプラインの仕様

(高圧か中圧か)の違いなどがあることが分かった。

米国とEC とでは,全般的には似たコスト結果となった。違いが出たのは,パイプラ イン輸送コストと,エネルギー料金であった。CO2 排出に関しては,地域の電力 MIX の違いによる影響が大きかった。

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(7) INTEGRATED MODELLING OF THE IMPACT OF FOUR ALTERNATIVE FLEET TECHNOLOGIES ON GREENHOUSE GAS PROFILES IN NEW ZEALAND

ニュージーランド:Kenneth Gillingham他(Stanford University)

いくつかの水素FCVとBEVの普及シナリオを元に,ニュージーランドにおけるGHG 排出量見通しを,内燃機関の延長(対炭素政策あり)の場合と比較した。結果は,単に

水素 FCV,BEV が増えるだけでは,水素や電気を作るのに使用する化石燃料が増える

ため,必ずしもCO2の削減にはならないというものであった。ただし,FCVもBEVも 技術が向上してきており,顧客に対して所有時のコスト改善などが期待できる。

(8) CASE STUDY: HYDROGEN SWEDEN

– A PUBLIC PRIVATE PARTNERSHIP FACILITATING EARLY MARKETS スウェーデン:Sven Wolf他(Hydrogen Sweden)

スウェーデンにおける官民協調組織であるHydrogen Swedenにおけるこれまで活動 した1年間の結果が報告された。基本的な活動は情報交換であり,そのためにニュース レターの配信や,セミナーやワークショップのセット,ロビー活動などである。(図1-3)

図 1-3  Hydrogen Swedenのメンバー

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(9) BENCHMARKING OF EUROPEAN AND U.S. HYDROGEN ROADMAPPING EFFORTS (HYWAYS-IPHE): SOCIOECONOMIC MODELLING

AND STAKEHOLDER INVOLVEMENT

アメリカ:Mark F. Ruth他(NREL)

世界各国で水素のロードマップを作成しているが,欧米のロードマップを比較し,各 国(特にアジア)におけるロードマップの作成のサポートを目指す。エネルギーシステ ム解析モデルは欧米で同じものを使用したが,化石燃料の価格の見込みが米国と欧州と で異なるため,将来予想される水素製造方法の見通しが大きく異なる(欧州が高く見込 んでいる)。また,水素製造のエネルギー源も,米国は2種類程度で考えているのに対 し,欧州は多種多様である。

車のコストに関しては,車格等が異なることから以下のコンポーネントでの比較をし た。FC システム,水素タンク,電動駆動部品,バッテリー,車両部品。前提とする条 件は米欧で異なり,欧州は世界での流通,米国は国内流通分で計算したりしている。結 果としては,欧州・米国の予測値は,比較的近い値となった。

(10) H2MOVES.EU – DEMO PROJECTS ON HYDROGEN TRANSPORT IN EUROPE ベルギー:Volker Blandow他(Ludwig-Bölkow-Systemtechnik GmbH)

欧州の実証プログラムについて紹介された。EC が予算をつけているプログラムは,

HyFLEET: CUTE,ZeroRegio,HyChainである。HyFLEET: CUTEは10地域で,47 台の水素バス,FCバスを運用している。ZeroRegioは2つの地域で,8台のFCVを運 用している。HyChainは,150台の小型車両(スクーター,車椅子,ミニバス等)を4 地域(フランス,ドイツ,イタリア,スペイン)で運用する予定である。一方,ドイツ 政府が一部費用を負担しているのがCEPである。

また,スカンジナビアでの SHHP は,費用のほとんどを個別企業が負担している。

SHHPは,ノルウェーからスウェーデン,デンマークを結ぶ水素ステーションを建設す るというものである。ロンドン市,ハンブルグ市も実証試験の計画を持っている。

H2moves.eu は HyLights プロジェクトの一部である。H2moves.eu はより大きな実 証プログラムにおける密接なコミュニケーションツールを提供することを目指している。

ドキュメント内 . (ページ 49-65)

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