モータを使った製品(ポンプ,工作機械,ロボット)の製造業で,どんなサービスが生まれるか,
また,その時どんな要件が必要になるか議論してきた。図49は,EC運用,SC運用,生産運用の観 点でそのサービスを分類したものである。製造業の全体プロセスでサービス化が重要になってく るのが解る。
FBM 基盤
エコシステム 経営
エンジニアリング チェーン運用
生産運用 サプライ
チェーン運用
・設備群
・人
サービス化
・加工方法
・設備設計
・運用管理 サービス化
生産運用から 製品設計への フィードバック
サービス化 ユーザ経験 価値をメーカ と共有 WG3:製造業のサービス化
WG2:制御盤2030 WG1:FBMアーキテクチャ
生産財
製品
<具体例>
ポンプ:自動発注
工作機械:使用状況モニタ ロボット: クラウドデータ管理
<具体例>
ポンプ:省エネ 工作機械:工程最適化 ロボット: 多品種生産
<具体例>
工作機械:設備シミュレータ ロボット: 最適設備選択
図49 モータシステム(ポンプ,工作機械,ロボット)製造業のサービス化
図50で,モータシステム(ポンプ,工作機械,ロボット)製造業のサービス化から共通要件を抽 出した。その共通な要件を次にまとめる。
a) データ収集,解析
製品を使っている状態を知ることが最大の要件となる。既にIoT,AIなど,技術的には確実 に発展している。しかし,それを使う仕組みとして,データの所有権やセキュリティなどの 課題の克服が必要となる。
b) CPS(Cyber Physical System)の実現
コンピュータとa)で述べたデータ収集力,各種のシミュレーション技術の発達を捉えて,
デジタルツインと呼ばれるCPSの実現が必要になる。
c) 場(プラットフォーム)の創設
4.3では,それぞれのモータシステムの製造業で次が必要であることを述べた。
ポンプ:コンソーシアム
工作機械:標準化のためのモデル化とI/Fの共通化 ロボット:グローバル製造連盟
それらは,プラットフォームと言えるものであり,その上で最適な組み合わせができ,ビ ジネスモデルも変化し易いビジネス基盤となることが必要となる。特に,そこに参加する構 成員である個社が自由に繋ぎ換えできる仕組みを持つことが必要である。ここでいうプラッ トフォームは,2015年度版 製造業2030で提案したFBMの基盤の中に含まれるべきものであ る。
・止まらない(エンジニアリング)
・アプリケーション追加・更新
・金融最適化(レンタル,リース等)
工作機械製造業
ロボット製造業 ポンプ製造業
・製造ラインのフレキシブルな改造
・リアルタイム保守サービス(無駄のない保守,自動発注)
(IoT化,ビッグデータ収集,寿命予測)
・次回開発への利用データ反映(IoT,蓄積データ解析)
・ワンストップ(企業間コンソ,スムーズなデータやりとり)
・省エネ・リニューアルサービス(各階層での情報共有)
・従量課金(リマニュファクチャリング(循環型製造業))
・故障を減らす保守サービス
(稼動データ蓄積・分析,故障予知,セキュリティ)
・継続的な運用サービス
(ソフト更新により最新機能に対応)
・全社的連携による品質向上,トレーサビリティ
(生産データの全社的な運用)
・専用ロボットの製造
(設計手法高度化,生産シミュレーション)
・ロボット運用サービス
(マスカスタマイゼーション,グローバル製造同盟)
・経験価値の提供・共創(データ収集による運用経験蓄積)
・ワンストップソリューションの提供
・製品利用情報蓄積(企画設計)
共 通 化
アプリ エンジニアリング
(設置,保守)
機 械
FBM基盤
企画・設計
サービスを実現する要件
・場(プラットフォーム)(I3.0⇒I4.0)
・データの収集・蓄積・共有・解析・利用 今後のサービス
モータシステム製造業のサービス化
(IoT,AI,セキュリティ)
・CPSの実現
()内は要件を示す。
図50 モータシステム(ポンプ,工作機械,ロボット)製造業のサービス化の共通要件
これらができるような技術的,制度的な要件と,そのような製造業のサービス化が進展したと きに,電機業界は何をすべきかの提言を表4にまとめた。
表4 モータシステム製造業のサービスとそれを実現する要件及び電機業界への提言 サービスの種類 技術的,制度的な要件 JE M A 会員は何をすべきか。
①モータシステムの使い方(アプリ)提供 ・各アプリ技術
・自動設計
・得意分野アプリの強化
・コア技術(得意分野)のクローズド化
②故障予知・診断等(エンジニアリング) ・IoT ,分析(A I等) ・得意分野のデータ収集
・解析技術は他社と連携
③ニーズの吸い上げ(共創) ・IoT ,セキュリティ,標準化
・データの所有権,知財
・製品のIoT 化
・標準化主導
④最適支払い(課金) ・課金技術
(フィンテック利用等) ・金融機関又は他のパートナーとの連携
⑤場(プラットフォーム)の提供 ・標準インタフェース ・プラットフォームの提供
・他社標準化インタフェースの自社適用
⑥最適なプレーヤの選定 ・企業間連携の容易化の仕組
・連携可能な企業のカタログ化
・自社得意分野の明確化
・連携し易い体制整備
⑦基本制御モジュールの提供 ・機能のモジュール化
・共通評価基準
・アプリ開発ソフト提供
・コア部分ハード・ソフト提供
表4の中では,次の4点が特に重要と考える。
1) 得意分野の見極め
2) 場(プラットフォーム)の提供者になるか,そこに参画するかの判断 3) 標準化を主導するかの判断
4) 他業種との迅速且つフレキシブルな連携体制の整備
これまで見てきたように,2030年に向け製造業において,サービス化への大きな変化が起ころ
うとしている。その中で各社が進むべき路を判断し,確実に実行のフェーズに移すことが重要と なろう。
5 まとめ