ここで言う「VOA クイズ」とは,会話主体のメイン教材として選んだ VOALet’s LearnEnglish の Level1 を使った自動採点フィードバックつきのクイズである(13)。学期 開始前に,授業用に毎回の会話練習のテーマと結びつけた VOA クイズを 10 回分,そし て中間・期末の復習用クイズを用意した(14)。
図 3 は第 7 回目の VOA クイズである。テーマを “Plans&Suggestions” とし(15),
(12)例えば,通常の対面授業なら手軽に板書も使うが,設備面で板書を映すカメラがあったとしても,板書映像 とパソコン画面の切り替えがややこしければ,ハイフレックスではその切り替えはやらない方向で考えた方 がいいように思う。通常の対面授業なら自然に行える教室全体でのインタラクションも,ハイフレックスで 再現しようとすれば相当の設備や切り替え作業が必要になる。
(13)春学期は,メインテ教材として市販の会話練習本を選んだが,オンライン教材に利用するのが難しいため,
秋学期から VOA をメインとすることにした。
(14)VOA クイズは,Level1 については,52 レッスン中 45 レッスンほど作成しており,Level2 は 30 レッスンの全 てについてクイズができている。既存の Forms を下敷きとして,この授業用にアレンジしたクイズを作成した。
Lesson17 と Lesson21 を利用した。GoogleForms を利用し,VOA のレッスン動画,動 画内容に関する問題,語彙文法問題,そして語法・文法の解説を入れてある。図 4 はクイ ズの一部を抜粋したものである(16)。また「振り返り」を促し,次の授業の会話練習で使 うことを意識させるための質問を最後に置いている(図 5)(17)。
なお,GoogleForms のクイズ(18)では,提出(送信)後に表示される「フィードバック」
を入力しておける(図 6)。学生は,動画を見て,文法説明も確認しながら,設問に答える。
提出後すぐ自分の解答と,採点結果,フィードバックが確認できる。「テスト」ではなく,
基礎「練習」,そして次の授業での会話の「準備」という位置付けなので,動画は何度見 図 5 クイズ末尾の振り返りを促す質問
図 4 自動採点式 VOA クイズ #7(L17 と L21 を利用)
(15)このテーマに沿って,ここで出てきた表現も使って授業時の会話練習が行われる。
(16)MicrosoftForms も試用したが,フォルダで整理できないず,問題タイプも少ないことから,GoolgeForms を選んだ。
(17)「振り返り」については後述(5 節)。
(18)「テスト」モードを選ぶことで自動採点式のクイズが作れる。
千葉商大紀要 第 58 巻 第 3 号(2021 年 3 月)
ても良く,再提出も可能である。
VOA クイズは授業前日を締切としており,教員は,全体の結果と個々の質問の正答率 や間違い方(19)と合わせて個人ごとの「振り返り」を確認することができる。それに基づ いて次の授業時に行うフィードバックを用意し,会話練習の調整を行う。
例えばこの第 7 回のクイズで言うと,語法文法に触れたものの中では,以下のように will と begoingto に触れた学生が多く(8/17 件),若干名が不安を表明している((5),(6),
(7))(20)。フォームの回答分析で will と begoingto に関する設問(複数)をざっくり確 認すると,確かに誤答率が高め(15~16%)だったため,will と begoingtoと含む復習 クイズ(同じく GoogleForms 利用)を行うことにした(4.4)(21)。また,事前に計画して いた「誘ったり断ったり」する会話はやめて,予定を聞き合うシンプルな会話とした。な お,それ以外の質問には,Teams の全体向けの投稿で対応している(6 節)。
(1) 未来の事を表すときに going が事前に決まっていたことで,will がその場で決 定したことという決まりを,もう一度復習することができ,良かった。
(2) 未来についての動詞の使い分けが振り返れたので,次回からできそうです。も う予定が決まっていて準備をしているときは Being 形を使うのがそういえば そうだったなあと印象に強く残りました。
(3) 今まで Will と Begoingto は一緒だと思っていたが,Will が今決めたことで 図 6 Google Forms クイズ編集画面
(19)結果はスプレッドシートに出力される。また元のフォームを開ければ,個々の回答の分析結果をグラフで確 認できる。
(20)ストーリーについてのコメント 5 件は除外している。
(21)新しく作る場合もあるが,この時は既存のものが使えそうだったのでそれを複製・編集した。
begoingto が既に決めていたこと,だと知れてよかった。
(4) will と begoingto の違いがあまりよくわかってなかったのでためになった。
(5) 意味を理解した上でテストに答えることは出来ましたが,実際に英語を話す時 に will と begoingto,can と haveto の使い分けが曖昧になってしまうので,
どちらを使うべきかをしっかり理解したい。
(6) will と begoingto の使い分けが曖昧だと感じた。
(7) 今回は少し難しいと思いました。will と begoingto の使い分けもまだ不安です。
(8) 本当に些細な疑問なのですが,goingto を略すとなぜ gonna になるのかなと 思いました。
(9) 個人的に難しく感じたのでここの表現が自分は苦手なんだなという事に気づく ことができました。
(10)一気に難易度があがってついていけなかったです…
(11)Ido? これは文法としてあっているのでしょうか?
(12)動画はやはり,何回か止めながら見ないと理解できないので,もっと英語に触 れて英語に慣れていこうと思います。
(13)Can にはいろいろな使い方があるのだと知った。
(14)jog という表現は,jogging という形が普通だと思っていました。ing をつける と動名詞になるので,動詞として使う時は ing を外すって感じですか?
(15)May と Can の違いも気になりました!
(16)使いわけをゆっくり,繰り返し聞けばわかりそう。
(17)意外と忘れている部分だったので思い出せてよかった
以上のように,この授業用 VOA クイズは,動画を繰り返し見て内容理解,クイズ内の 説明も見ながら解答,自動採点と自動フィードバックで確認,クイズの振り返り,クイズ で学習/準備したことを会話練習で使用,という流れの中で,会話の中で使える語彙文法 を音とともにインプットを助ける自習教材になっており,クイズの結果や振り返りを踏ま えた教員からのフィードバック(説明や追加の練習問題)を通じて,さらに理解を深めら れるようになっている。