残りのベースはOPEN
エミッタから見たコレクタの電位
電子回路シミュレータを用いたトランジスタ回路設計
小信号用NPN形トランジスタ2SC1815の最大コレクタ損失はデータシートより周囲温 度Ta=25℃のときPc=400mWです。
これは周囲温度Taが25℃、Pcが400mWのときトランジスタの接合温度Tjが定格値の 125℃になることを表しています。
電力増幅用PNP形トランジスタ2SA940Aのコレクタ損失は周囲温度Ta を25℃とした
場合Pc=2.0W、トランジスタ自体のケースの温度 TCを25℃とした場合Pc=25Wと2つ
の値が記載されています。
このケースの温度 TCを25℃とした場合のコレクタ損失Pcは周囲温度Taを25℃とし、
無限に大きな放熱板(ヒートシンク)を付けた場合の値です。
よって、放熱板を付けない場合はTa を 25℃とした場合のコレクタ損失Pc=2.0Wとな ります。
これらの定格は周囲温度Taを25℃とした場合なので、この温度が高い場合は定格を小さ く見積もる(ディレーティング)必要があります。
2SC1815の最大定格(Ta=25℃:Ambient Temperature)
項 目 記 号 定 格 単 位 コレクタ・ベース間電圧 VCBO 60 V コレクタ・エミッタ間電圧 VCEO 50 V エミッタ・ベース間電圧 VEBO 5 V
コレクタ電流 IC 150 mA
ベース電流 IB 50 mA
コレクタ損失 PC 400 mW
接合温度 Tj 125 ℃
保存温度 Tstg -55~125 ℃
表9-1
2SA940Aの最大定格(Ta=25℃)
項 目 記 号 定 格 単 位 コレクタ・ベース間電圧 VCBO -150 V コレクタ・エミッタ間電圧 VCEO -150 V エミッタ・ベース間電圧 VEBO -5 V
コレクタ電流 IC -1.5 A
ベース電流 IB -0.5 A
コレクタ損失 Ta=25℃
PC 2.0 TC=25℃ 25 W
接合温度 Tj 150 ℃
保存温度 Tstg -55~150 ℃
表9-2
※ 表9-1、表9-2は東芝データブック高周波小信号トランジスタ・ダイオードより抜 粋したものであり、あくまでも参考値です。
< メモ >
電子回路シミュレータを用いたトランジスタ回路設計
9-2 安全動作領域(SOA:Safe Operating Area)とディレーティング
トランジスタを高い信頼度で使用するためには単に定格を満足するだけでは不十分で、
安全動作領域(SOA)と周囲温度によるコレクタ損失PCのディレーティングを考慮する 必要があります。
(1)安全動作領域(SOA)
図9-1は2SA940Aの安全動作領域を示します。このグラフからパルス幅100mS程度 の単発パルスであれば、定格電流IC:1.5Aの2倍の3Aまで流せることが分ります。ここ で一番注目するのはコレクタ電流IC、コレクタ・エミッタ間電圧VCE、コレクタ損失PCに 加えて2次降伏現象(S/B:Secondary Breakdown)による制限が加わることです。これ はコレクタ電流またはコレクタ・エミッタ間電圧を増加させて行くと何らかの原因で電流 の局部集中よる高温度領域(Hot Spot)が発生します。さらにこれが局部的な熱暴走へと 発展しトランジスタを破損に至る現象です。
.
図9-1 2SA940Aの安全動作領域
< メモ > 目 次
1. OPアンプの特徴と基本回路
1-1 OPアンプ特徴………
………・ 1
1-2 基本動作………
………・ 1
1-3 基本OPアンプ回路の動作…………
……… 3
(1) 反転増幅回路………
………・…・ 3
(2) 非反転増幅回路…………
……… 5
(3) 差動増幅回路………
PcMAX
S/B
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(2)ディレーティング(Derating:逓減)
実際の回路設計においては周囲温度と劣化と寿命などの信頼性を考えて定格値をディレ ーティングして用います。
図9-2、図9-3に2SC1815、2SA940AのPc-Ta特性を示します。これは周囲温度 Taにより許容コレクタ損失が減っていく様子を表しています。
たとえば、図9-2において周囲温度Ta:75℃では許容コレクタ損失Pcは200mWと周 囲温度Ta:25℃の半分になってしまいます。
見方を変えると回路の中で 200mW のコレクタ損失を生ずるトランジスタは周囲温度 Ta:75℃までの環境下で使用できることを表しています。
一般的に推奨されているディレーティングを以下に示します。
①電圧(特にVCEO): 最大定格電圧の80%以下
②電流(特にIC) : 最大定格電圧の80%以下
③コレクタ損失PC : 最大周囲温度におけるディレーティングされた許容コレクタ 損失の50%以下
④接合部温度Tj : 最大定格Tjの70から80%以下
図9-2 2SC1815のPC-Ta 特性 図9-3 2SA940AのPC-Ta特 性
図9-2 図9-3
※ 図9-1、図9-2、図9-3は東芝データブック高周波小信号トランジスタ・ダイオ ードより抜粋したものであり、あくまでも参考値です。
電子回路シミュレータを用いたトランジスタ回路設計
9-3 基本電力増幅回路
電力増幅回路を区分すると、トランジスタの入力特性における動作点がカットオフを基 準にどの位置にあるかによって、A級、AB級、B級、C級と分けることができます。この 章ではA級、B(AB)級の電力増幅回路について取り扱います。
図9-4
電力増幅回路では電源から供給された電力がどの程度負荷で有効に利用されたかを表す 電源効率ηとトランジスタでの損失の最大値 PCMがどのくらいになるかを把握して回路設 計する必要があります。電源から供給される電力をPDC、負荷に供給する電力をPoとする と、電源効率ηは、
%
100
DC O
P
P
と定義され、また、増幅回路で消費される電力をPAとするとこの3つの電力には、
W P P P
DC
A
Oの関係があります。
増幅回路での損失 PAはほとんどがコレクタ電流によるもので、この電流が流れる抵抗、
トランジスタにて消費され、熱となり周辺に放出されます。トランジスタでの損失はベー ス電流(ベース・エミッタ間)によるものとコレクタ電流(コレクタ・エミッタ間)の二 つが考えられますが、コレクタ電流に対してベース電流は非常に小さいのでコレクタ電流 によるコレクタ・エミッタ間の損失、コレクタ損失PCをトランジスタの損失としてとらえ ます。