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Universe 構造

ドキュメント内 ii (ページ 86-89)

3.7 粒子の表式

4.7.3 Universe 構造

例題(4)では更に、立方体を球の内側と外側に分けた場合を考えます。

List 4.18

[cell]セクションの例題(4)

1: [ M a t e r i a l ] 2: mat[1] 1H 2 16O 1 3: [ C e l l ]

4: 1 0 -10

5: 2 1 1.0 10 (11 -12 13 -14 15 -16)

6: 3 -1 #1 #2

7: [ S u r f a c e ]

8: 10 SZ 3 5

9: 11 PX -6

10: 12 PX 6

11: 13 PY -6

12: 14 PY 6

13: 15 PZ -6

14: 16 PZ 6

[surface]セクションは例題(3)と同じです。5行目で“立方体の内側でかつ球の外側”の領域を記号⊔(空 白)を用いて記述しており、これをセル番号2と定義しています。また、本例題では[material]セクショ ンで“water”を物質番号1として定義しており、セル番号2の領域には粒子密度が1.0×1024atoms/cm3

“water”が満たされています。図12に結果を示します。ただし、xz平面で切った断面図です。セル番号1は

4行目で定義しており、この球の中はボイドとしています。外部ボイドの定義は6行目で行っており、セル 番号1と2の領域を除いた他の全てが外部となっています。

−10 −5 0 5 10

−10

−5 0 5 10

z [cm]

x [cm]

water void 2

1

図12: 例題(4)の空間をxz平面で切り取った断面図。セル番号1の領域はボイド(真空)とし、セル番号2 の領域には水を満たした。

います。ただし、示した図はxz平面で切った断面図です。図の(b)と(c)が、(a)とは違う内部構造をもつ

universeの1と2で、座標の中心に半径5cm、高さ12cmの円柱を配置しています。これらは、内部構造は

同じですが、各領域を構成する物質が違っています。Universe 1では円柱内部に水が満たされ、その外はボ イド(真空)となっているのに対し、universe 2では円柱内部は鉄で、その外部は水で満たされています。

−10 −5 0 5 10

−10

−5 0 5 10

z [cm]

x [cm]

(a) Main space

void

1 2

−10 −5 0 5 10

−10

−5 0 5 10

z [cm]

x [cm]

(b) Universe 1

void water

102

101

−10 −5 0 5 10

−10

−5 0 5 10

z [cm]

x [cm]

(c) Universe 2

water iron

202

201

図13: (a)立方体をyz平面で分割した2つの直方体。(b)円柱内部に水を満たし、それ以外はボイドとした

universe 1。(c)鉄の円柱の周りを水で満たしたuniverse 2。

(b)のuniverse 1を(a)のセル番号1の領域に入れ、(c)のuniverse 2をセル番号2の領域に入れた仮想空 間を構築する例が以下の例題(5)です。

List 4.19

[cell]セクションの例題(5)

1: [ M a t e r i a l ] 2: mat[1] 1H 2 16O 1 3: mat[2] Fe 1 4: [ C e l l ]

5: 1 0 11 -12 13 -14 15 -17 FILL=1

6: 2 0 11 -12 13 -14 17 -16 FILL=2

7: 101 1 1.0 -10 13 -14 U=1

8: 102 0 #101 U=1

9: 201 2 10.0 -10 13 -14 U=2 10: 202 1 1.0 #201 U=2

11: 9 -1 #1 #2

12: [ S u r f a c e ]

13: 10 CY 5

14: 11 PX -6

15: 12 PX 6

16: 13 PY -6

17: 14 PY 6

18: 15 PZ -6

19: 16 PZ 6

20: 17 PZ 0

7,8行目でuniverse 1を、9,10行目でuniverse 2を定義しています。これらは共に面番号10,13,14を使って 定義した円柱を中心に置いた宇宙となっています。Universe 1では、セル番号101の円柱内部に物質番号1 の水を入れ、その外部をボイドにしてセル番号102の領域と定義しています。Universe 2では、円柱内部 をセル番号201として鉄柱にし、セル番号202の外部には水を満たしています。7∼10行目の最後にある U=1, 2がそのセルがどの宇宙に属するかを指定するパラメータです。5, 6行目で、それぞれ図13(a)のセ ル番号1,2を定義しており、最後のFILL=1, 2によってそのセルをどのuniverseによって満たすか(置き換 えるか)を決定します。この例題の結果を示したのが図14です。xz平面の断面図ですが、セル番号1の領 域がuniverse 1に、セル番号2がuniverse 2に置き換えられているのがわかります。

−10 −5 0 5 10

−10

−5 0 5 10

z [cm]

x [cm]

void water iron

102 202

101 201

図14: 例題(5)の空間をxz平面で切り取った断面図。セル番号1の領域にuniverse 1のセル番号101と102 が、セル番号2の領域にuniverse 2のセル番号201と202が入っている。

Universe構造を利用する際の注意点として、未定義の領域を引用しないことと、座標系が全ての宇宙で一

致していることが挙げられます。例えば前者については、例題(5)の8行目でセル番号102の領域をボイド として定義する必要があり、これがないと5行目で引用した際にセル番号102の部分を適切に設定できま

せん。各universeの全ての領域を定義する必要はありませんが、引用する領域については何らかの物質(か

ボイド)を指定しておかなければなりません。また後者については、座標原点の位置、x,y,z軸の方向、空 間のスケールがどのuniverseでも同じです。これは同じ[surface]セクションで定義した面を利用してい るためです。別の宇宙を引用する場合は、対応する座標を確認してください。例えば、例題(5)の14,15行 目でPXの値を変えると、図15の様に円柱の一部が立方体の中に入らなくなります。

−10 −5 0 5 10

−10

−5 0 5 10

z [cm]

x [cm]

void water iron 102

101 201

202

図15: 例題(5)において、セル番号1と2の範囲をx方向に関してずらした場合。

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