第 9 章 高速デジタルインタフェースの仕様
7. TS 分割方式の技術的条件
7.1 「TS 分割方式」の概要
TS 分割方式は、デジタル放送信号等の 1 個の TS を複数の搬送波を用いて分割伝送する方式で ある。図 7-1 は本方式の概要を図で例示したものである。この例では、7 個の番組(サービス)を 伝送している 1 個の TS を、2 つのストリーム(搬送波)にサービス単位で分割している。すなわ ち、番組 1 から番組 4 までを一方の搬送波に収容し、番組 5 から番組 7 までを他方の搬送波に収容 して伝送する。 PSI/SI/EMM など、受信している番組にかかわらず共通に必要となる情報について は、両方の搬送波にて送出する。
ネットワークで使用される周波数・変調方式等の物理条件の情報伝送には NIT(Network Information Table)が用いられるが、NIT の記述子 2 の領域に配置される既存の有線分配システ ム記述子では、1 TS を伝送する複数の搬送波の周波数及びその搬送波に含まれる番組の識別がで きない。このため、本方式では新たに有線 TS 分割システム記述子を定義し、複数の搬送波及びそ の搬送波に含まれる番組等の情報を記述する。
39.128Mbps×1
番組1 番組2 番組3 番組4 番組5 番組6 番組7
29.162Mbps×2 番組1 番組2 番組3 番組4
番組5 番組6 番組7
グループ1 グループ2 グループ2
を削除
グループ1 を削除
TS信号のサービス編成 分割されたTS信号のサービス編成
PSI/SI/EMMなど
グループ1 (空き)
グループ2 PSI/SI/EMMなど
図 7-1 有線テレビジョン放送における TS 分割方式の例
分割したストリームの伝送路符号化方式としては、既存のデジタル有線テレビジョン放送方式の 単一 TS 伝送方式あるいは複数 TS 伝送方式を用いる。
7.3 多重化方式
分割したストリームは MPEG-2 Systems(ITU-T H.222.0、ISO/IEC 13818-1)の規定に基づく こととする。多重化方式は、平成 23 年総務省告示第 299 号に示される PES パケット、セクション 形式、TS パケット及び伝送制御信号と識別子の構成に従う。ただし、伝送制御に用いられる NIT(Network Information Table)には、TS 分割方式を使用する場合、既存の有線分配システム記 述子に替えて、追加規定する「有線 TS 分割システム記述子」を配置する。
7.3.1 有線 TS 分割システム記述子のデータ構造
伝送制御、番組配列情報は既存のデジタル有線テレビジョン放送方式に準じるが、 NIT(Network Information Table)の記述子 2 の領域で使用する新しい記述子として、有線 TS 分割システム記述 子(cable_TS_division_system_descriptor)を追加規定する。
有線 TS 分割システム記述子のデータ構成及びデータ構造は、それぞれ図 7-2 及び表 7-1 のとお りとする。周波数、多重フレーム形式番号、FEC(外符号) 、変調、シンボルレート及び FEC(内 符号)の値の割当ては有線分配システム記述子と同じとする。サービス ID にはその周波数にて伝 送される番組の放送番組番号識別を記述する。
記述子 タグ
記述子長 周波数 リザーブ
フレーム 形式番号
FEC 変調 シンボル レート 将来利用 FEC
フラグ
8 8 32 7 1 4 4 8 28 4
サービス 数
8
サービス ID
16
繰り返し
将来利用 データ長 8
将来利用 データ 8×N 将来利用フラグ=1
将来利用フラグ=0 繰り返し
多重
(外符号) (内符号)
図 7-2 有線 TS 分割システム記述子のデータ構成
表 7-1 有線 TS 分割システム記述子のデータ構造
データ構造 ビット
数
ビット列 表記
説明
cable_TS_division_system_descriptor(){
descriptor_tag descriptor_length for(i=0; i<N; i++){
frequency
reserved_future_use future_use_data_flag frame_type
FEC_outer modulation symbol_rate FEC_inner
if(future_use_data_flag == 0){
future_use_data_length
for(j=0; j<future_use_data_length; j++){
future_use_data }
}
number_of_services
for(j=0; j<number_of_services; j++){
service_id }
}
}
8 8 32
7 1 4 4 8 28 4 8 8
8 16
uimsbf uimsbf bslbf bslbf bslbf uimsbf bslbf bslbf bslbf bslbf uimsbf uimsbf
uimsbf uimsbf
記述子タグ 記述子長 周波数 リザーブ 将来利用フラグ 多重フレーム形式番号 FEC(外符号)
変調
シンボルレート FEC(内符号)
将来利用データ長 将来利用データ
サービス数 サービス ID
有線 TS 分割システム記述子内の各項目の意味:
descriptor_tag (記述子タグ) :記述子タグは 8 ビットのフィールドで、各記述子を識別する。記述 子のタグ値は有線 TS 分割システム記述子を示す 0xF9 とする。
descriptor_length(記述子長) :記述子長は 8 ビットのフィールドで、このフィールドの直後に続 く記述子のデータ部分の全バイト長を規定する。
frequency (周波数) :これは 32 ビットのフィールドで、 4 ビット BCD コード 8 桁で周波数を表す。
有線 TS 分割システム記述子では、周波数は上位桁より 4 桁後が小数点以下となる MHz 単位で 符号化される。
例:0733.0000MHz → 0x07330000
future_use_data_flag (将来利用フラグ) :これは 1 ビットのフィールドで、 '1'の場合は将来利用デ ータのフィールドがないことを示し、 '0'の場合は将来利用データのフィールドがあることを示す。
frame_type(多重フレーム形式番号) :これは 4 ビットのフィールドで、多重フレーム形式の種別
を表す。0x1 が多重フレームを使用した場合、0xF が多重フレームを使用しない場合である。
FEC_outer(FEC(外符号) ) :これは 4 ビットのフィールドで、'0010'で RS(204,188)の外符号を 表す。
modulation(変調) :これは 8 ビットのフィールドで、0x03 が 64QAM、0x05 が 256QAM の変調 方式を示す。
symbol_rate (シンボルレート) :これは 28 ビットフィールドで、 4 ビット BCD コード 7 桁で、上
例:5.274Msymbol/s → 0x0052740
FEC_inner(FEC(内符号) ) :これは 4 ビットのフィールドで、内符号を表すが、デジタル有線テ
レビジョン放送方式では用いられないため、内符号なしの '1111' を用いる。
future_use_data_length(将来利用データ長) :これは 8 ビットのフィールドで、後続の将来利用 データのバイト長を記述する。
future_use_data(将来利用データ) :これは 8×Nビットのフィールドである。将来利用のための
リザーブデータ領域である。
number_of_services (サービス数) :この 8 ビットのフィールドは、後続のサービス ID の個数を記 述する。
service_id(サービス ID) :これは 16 ビットのフィールドで、frequency(周波数)フィールドで
示す周波数で伝送されるストリーム内の情報サービス
8 .受信装置のビット誤り率
8.1 CN比とビット誤り率
64QAM 受信装置の CN 比とビット誤り率の測定例を図 8-1 に示す。測定対象となった受信装置
(STB)は A、 B、 C の 3 種であり、 BER(ビット誤り率)1×10
-4に相当する CN 比(Crms / Nrms)は、
約 25dB から 28dB にある。
表 14-1「受信装置各部の望ましい性能」では,CN 比:31dB(4MHz 帯域の NTSC 換算値/
5.274MHz 帯域の平均値で表す Crms Nrms 比では 26dB 相当) において受信劣化が検知されない。
と示されている。
また、受信劣化が検知されない状態は、誤り訂正後のビット誤り率(BER)の設計目標値で約 1×
10
-11以下と考えられ、誤り訂正前のビット誤り率では 1×10
-4以下に相当する。有線一般放送の 品質に関する技術基準を定める省令(平成二十三年六月二十九日総務省令第九十五号)では 64QAM のレベルが 49~81dB で C/N=26dB 以下と記載されている。近年の受信機は性能が向上し、受信機 A 相当もしくはそれ以上の性能が確保できている。
1.E-09 1.E-08 1.E-07 1.E-06 1.E-05 1.E-04 1.E-03 1.E-02
20 22 24 26 28 30 32 34
CN比 (dB) (C rms / N rms)
BER
STB A STB B STB C theory
図 8-1 CN 比とビット誤り率
8.2 妨害排除能力
64QAM 受信装置の妨害排除能力の測定例を図 8-2 に示す。測定の対象となった受信装置(STB)
は A、B、C の 3 種であり、誤り訂正前のビット誤り率(BER)が 1×10
-4となる妨害信号(単一周波 数の連続信号)との UD 比の測定結果であり、同一チャンネルで UD 比が-24dB から-27dB、隣 接チャンネルで UD 比が 20dB から 45dB 程度にある。
表 14-1「受信装置各部の望ましい性能」において、64QAM の場合には、「同一チャンネルでは
UD 比-26dB で受信劣化が検知されない。隣接チャンネルでは UD 比+24dB で受信劣化が検知さ
れない。」と示されている。
-40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50
-10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 10 Δf (MHz)
UD比 (dB)
STB A STB B STB C
図 8-2 隣接チャンネル妨害除去能力
また、受信劣化が検知されない状態は、誤り訂正後のビット誤り率の設計目標値で、約 1×10
-11
以下と考えられる。そして、この値は誤り訂正前のビット誤り率 1×10
-4以下に相当するので、
誤り訂正前のビット誤り率が 1×10
-4になるUD 比の測定結果が望ましい性能の値より大きくなっ ていれば、これらの各受信装置(STB)は望ましい性能を満足していると考えられる。
8.3 自己診断機能
第 14 章の表 14-1 に受信装置各部の望ましい性能が記述され、その欄外に「ビット誤り率」が記 述されている。
受信装置の性能確認のための検査は、設計や生産工程で行われる。その主な理由は、測定機能を 受信装置に内蔵したり、測定のための出力端子を設けることは受信装置のコスト上昇を招くためで ある。
ケーブルテレビ伝送路の性能確認検査では、ヘッドエンドからビット誤り率測定用の擬似ランダ ムデータに訂正符号等を付加し、64QAMで変調して信号を送出する。各測定点では、測定のため の出力端子を設けた受信装置や標準64QAM復調器にビット誤り率測定器を接続して測定している。
しかし、サービスを開始したCATV局で運用中のサービスを停止せずに、ビット誤り率を測定する 必要が生じる場合もある。この時は、MPEG-2の画像などの信号が伝送されている64QAM変調さ れた信号を受信し、その受信信号よりビット誤り率を測定する必要があり、その機能を有した標準 復調器や受信装置があると有効である。
そのためには、上記MPEG-2の画像などをサービスしている64QAM信号を受信し、 64QAM復調 後、誤り訂正処理部分での誤り訂正したビット数とそのビット数の積算時間との比を算出すること でビット誤り率を算出(*1)し、活用することも可能である。誤り訂正処理は64QAM復調に必須で受 信装置に内蔵された機能であるので、上記算出した誤り率を受信装置前面パネルや、 OSDによりテ レビ画面上へ表示するよう、受信装置の制御ソフトに機能追加することで、受信装置コストの上昇 を抑えて実現可能と考える。
なお、上記のビット誤り率1×10
-11以下の記述は誤り訂正処理された後のビット誤り率であり、
ドキュメント内
<4D F736F F D D D352E E838B B B C EF3904D BB967B89BB66696E616C>
(ページ 47-57)