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第 3 章 温度サイクル試験による発電特性劣化に関する劣化メカニズムに立脚した

3.3 TC と RTC の比較

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図 3.4. RTCの槽内温度と太陽電池モジュール温度の温度プロファイル (a) 1h / cycle, (b) 2h / cycle

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施した試験では、温度変動幅の違いはほぼなく、1,200 時間でΔPmax は 3%程度の減少であ った。1サイクルを約1.5 時間で実施したRTCは、750 時間で-40 ℃ ⇔ 85 ℃の場合でΔ Pmax が 8%程度、-40 ℃ ⇔ 110 ℃の場合でΔPmax が 5%程度減少していた。さらに 1,500 時間では-40 ℃ ⇔ 85 ℃の場合でΔPmax が13%程度、-40 ℃ ⇔ 110 ℃の場合でΔPmax

10%程度減少した。この結果から、RTC で温度域を上昇させたことによる加速はあまり見

られなかった。また、保持時間も 15 分よりも 30 分保持したほうが、劣化が早く進んでい る結果となった。低温から高温への温度変化する際にはんだ接合部に熱膨張係数差による 応力が加わる。この応力を緩和するために、はんだにはひずみが生じるが、高温での保持 時間が、はんだのひずみの進行に影響を及ぼしたことが考えられる。

図 3.5 . TC, RTC試験後のΔPmaxの経時変化

次に各試験後のEL像を図3.6に示す。1サイクルが約1時間のRTCでは温度変動幅に関 係なく、300 サイクルでセルのフィンガー電極に沿ってバーコード状の変化が現れた。こ れはフィンガー電極がバスバーとの交点で破断したことによって発生する。これ以降で

1,200 サイクルまではフィンガー電極の破断の進行は見られなかった。1サイクルが約1.5

時間のRTCでは500 サイクルで、両条件でバーコード状の変化が見られたが、-40 ℃ ⇔ 85 ℃の方がフィンガー電極の破断が多く見られた。1,000 サイクルでは-40 ℃ ⇔ 85 ℃の 右下のセルに集電のアンバランスが見られた。これは裏面のはんだ接合部の剥がれにより 発生していると考えられる。TCのEL像では400 サイクルでフィンガー電極に沿ってバー コード状の変化が見られた。また、1,800 サイクルでの変化はわずかであった。これらの結

-14.0%

-12.0%

-10.0%

-8.0%

-6.0%

-4.0%

-2.0%

0.0% 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000

ΔPmax(%)

試験時間 (h)

RTC(1.11 h/cycle, -40℃⇔85℃) RTC(1 h/cycle, -40℃⇔110℃) RTC(1.63 h/cycle, -40℃⇔85℃) RTC(1.5 h/cycle, -40℃⇔110℃) TC (4.5 h/cycle)

TC (4.5 h/cycle)

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果から、TC,RTCで発生する劣化は、低サイクルで、バスバーとの交点でフィンガー電極の 破断がみられるが、その後はゆっくりと変化していくことがわかった。これは、材料の熱 膨張係数差により、フィンガー電極に生じた応力を緩和するためで、応力が緩和されて以 降の変化は緩やかになると考えられる。この緩やかな変化はΔPmaxの低下率にも現れている ことがわかった。その後、1.5 h/ cycleでは500サイクルが経過すると、はんだに起因する劣 化が進行していくことがわかった。この結果から、3セルミニモジュールにおいてRTCは TCの劣化メカニズムに立脚しながら試験時間を短縮できることがわかった。

図 3.6. 各試験後のEL像 (a) RTC( 約1 h / cycle), (b) RTC(約1.5 h / cycle), (c) TC (4.5 h / cycle)

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