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第 4 章 Bending Cyclic Load Test による物理的な荷重負荷に関する劣化メカニズムの

4.4 BCL による劣化モードの基礎検討

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図 4.17. 変位測定結果

4.4.2 BCLの試験結果

図4.18にBCL試験後のEL像を示す。荷重はガラス側から負荷した場合と、BS側から負 荷した場合で整理し、温度の違いで比較した。-20 ℃の場合、荷重面に関係なくセルクラッ クが発生しており、全てのセルにクラックが発生していた。25 ℃の場合、ガラス側から荷 重を負荷した場合は、荷重付近にセルクラックが発生していた。BS側から荷重を負荷した 場合はセルクラックの発生はなく、EL発光での輝度のアンバランスがみられた。80 ℃の場 合、ガラス側から荷重を負荷した場合は、セルクラックもEL発光での輝度のアンバランス もみられなかった。BS側から荷重を負荷した場合はセルクラックの発生はなく、EL発光で の輝度のアンバランスが2枚のセルでみられた。EL発光での輝度のアンバランスの原因を 調査するために、BCL を実施した試験後のモジュールのインターコネクタ部に荷重を負荷 した状態と負荷していない状態でマイクロスコープ観察を実施した結果を図 4.19 に示す。

BS側から荷重を負荷した場合と無荷重の場合の比較では、荷重時にインターコネクタ部の 破断が確認できた。さらに、透明なBSを使用してモジュールを作製し、BCL試験をBS側 から荷重を負荷し、試験温度25 ℃で10,000 サイクルの試験条件で実施した。試験後のEL 像とインターコネクタ部のマイクロスコープ観察結果を図4.20に示す。EL発光での輝度の アンバランスが発生していた箇所のインターコネクタ部を観察した結果、ガラス側にみら れたインターコネクタの破断痕がBS側でも観察された。これらのことより、BCL試験で発 生するEL発光での輝度のアンバランスはインターコネクタ部の破断によって引き起こされ ていることがわかった。

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図 4.18. BCL試験後のEL像比較

図 4.19. BCL試験後のインターコネクタ観察 (a)荷重, (b) 無荷重

図 4.20. 透明BSを使用したBCL試験後のインターコネクタ部マイクロスコープ観察 (a) ガラス側, (b) BS側

61 4.4.3 BCLの断面解析

図4.21にBS側から荷重を負荷したBCL試験後のEL像とマイクロスコープ像、断面観 察結果を示す。マイクロスコープ観察では、モジュールの表面からガラスを通して、イン ターコネクタの上面の破断痕の観察を行うため、インターコネクタの破断痕は確認できな かった。一方、断面観察では、セル裏面を含む、モジュールの断面方向で観察を行えるた め、インターコネクタの破断を確認できた。

図 4.21. セル間隔 1 mmのモジュールでのBCL試験後の各観察結果

表4.4にBCL劣化モードをまとめた。セルクラックは低温域と25 ℃のガラス側からの荷 重負荷時に発生していた。セルクラック時のΔPmaxは3%程度と小さいことがわかった。イ ンターコネクタの破断は25 ℃と80 ℃のBS側から荷重を負荷した場合に発生していた。

インターコネクタの破断時のΔPmaxは25 ℃で11%、80 ℃で42%低下しており、高温ほど ΔPmaxの低下率が大きいことがわかった。これは、温度と変位量の関係を調べた図から、温 度が上昇することでモジュールの変位量が大きくなるため、インターコネクタへの負荷量 が大きかったと考えられる。この結果より、BCLは荷重面と温度によって再現できる劣化 モードが異なることが示された。

表 4.4. BCL劣化モードのまとめ

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