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第 69 回放射線治療分科会(札幌) シンポジウム

「放射線治療における呼吸性移動対策」

瘍と金マーカの移動の一致性,金マーカを用いない場合は腫瘍の認識精度がある .Fig.2 に腫瘍 と金マーカの動きに大きな差が生じた例を示す (移動方向は頭尾方向のみ示している).腫瘍位 置は下葉で,腫瘍と 2 cm以内の距離に3つの金マーカが留置されていた.金マーカ 1, 2は腫瘍 の動きとまずまずの一致性を示しているが,金マーカ3では腫瘍との動きに最大で 10 mm近い 差が観察された.このような金マーカを用いて治療した場合には照射位置誤差が 大きくなってし まうので,治療前に両者の動きの一致性を確認し,このように動きの一致性の悪い金マーカは認 識での使用を控えるようにしなければならない .

Fig.2 上段:金マーカ1,中段:金マーカ2,下段:金マーカ3:横軸は呼吸位相を表し,縦軸は位

置 (mm)を表す.治療計画用の CT を終末呼気で撮影するため,終末呼気で正規化している.実線

が腫瘍の動き,破線が金マーカの動き,三角が両者の差を示していて,金マーカ3では最大で 10 mm 近くの差が観察された

金マーカを用いない場合は腫瘍の認識精度に関して ,治療前に実際に患者をセットアップし幾 つかの呼吸位相で画像を取得し,装置によって位置認識が正しく行われるかを確認しておくこと が望ましい.この時に腫瘍が認識できない,あるいは誤差をもった認識をしてしまう場合には , 金マーカの留置などを考慮する必要がある .

また,CyberKnife の動体追尾照射では,相関モデルを用いた予測照射を行うため,不規則な 呼吸の患者,体表と腫瘍の動きに時間差があるような患者では照射誤差が大きくなる場合がある.

我々が行った 23 例の検討において,95%以上の確率で腫瘍を追尾できる動体追尾照射の精度の

中央値は1.5 mmであったが,呼吸の振幅が不規則なことに加え無呼吸状態になることもある 患

者の精度は3.5 mmとなり,患者の呼吸状態によって精度が影響を受けることが示唆されている (4).

CyberKnifeのSynchronyを用いた動体追尾照射では,腫瘍の動きを追尾しながら連続的に照

射を行う.そのため,患者は治療中に呼吸停止する必要はなく通常の呼吸をしたまま治療を行え ると同時に,呼吸などによる臨床標的体積(CTV; Clinical Target Volume)の動きをカバーする為 のインターナルマージン(IM; Internal Margin)を小さくすることが出来る.これにより,従来の 照射方法と比較し周辺臓器への線量を抑えられ ,結果的に副作用の減少が期待できる.一方で,

安全に治療するためには,上記のように腫瘍と金マーカの移動の一致性,金マーカを用いない場 合は腫瘍の認識精度などを治療前に確認を慎重に行う必要がある.さらに可能であれば治療前に 患者ごとの精度検証を行い,適切なマージンを検討することが望ましいと考える .

参考文献

1. van der Voort van Zyp, N. C., Prevost, J. B., Hoogeman, M. S., Praag, J., van der Holt, B., Levendag, P. C., van Klaveren, R. J., Pattynama, P., and Nuyttens, J. J. (2009), Stereotactic radiotherapy with real-time tumor tracking for non-small cell lung cancer: clinical outcome, Radiother Oncol, 91(3), 296-300.

2. Hoogeman, M., Prevost, J. B., Nuyttens, J., Poll, J., Levendag, P., and Heijmen, B. (2009), Clinical accuracy of the respiratory tumor tracking system of the cyberknife: assessment by analysis of log files, Int J Radiat Oncol Biol Phys, 74(1), 297-303.

3. Pepin, E. W., Wu, H., Zhang, Y., and Lord, B. (2011), Correlation and prediction uncertainties in the cyberknife synchrony respiratory tracking system, Med Phys, 38(7), 4036-4044.

4. Inoue M, Shiomi H, Iwata H, et al. Development of system using beam’s eye view images to measure respiratory motion tracking errors in image -guided robotic radiosurgery system. J Appl Clin Med Phys. In press.

第 69 回放射線治療分科会(札幌) シンポジウム

「放射線治療における呼吸性移動対策」

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