3. RPM を用いた呼吸同期放射線治療の実際

6.2. IGRT

RPM を使用した呼吸同期放射線治療のリスクとして,体外に設置された赤外線反射マーカー と体内標的の位置が一致しない可能性が指摘されている(9).したがって,照射前には On-borad imager (OBI, Varian medical systems)とRPMを組み合わせ,呼吸同期下で取得されたkV画像

でmatchingを行い,呼吸波形と標的の位置関係を把握する必要がある.Figure 6aは自由呼吸 下 kV 画像であるが,照射位置より標的位置がズレており照射タイミングと標的位置関係は不明

である.Figure 6bの呼吸同期下kV画像では,照射位置に標的が来ていることが明らかであり ,

照射タイミングが適切であることがわかる .

さらに照射中には可能な限りEPIDを用いて,標的位置を目視によりリアルタイム監視し照射 中の位置ズレが生じないか確認する.これまでの経験から,照射中の標的位置変動は平均0.5mm,

標準偏差0.6 mm程度であり,精度よく照射が行えていると考えている.

(a) (b)

Figure 6 OBIを用いた2D matching (a)自由呼吸下kV画像, (b)RPMを用いた呼吸同期下kV画像.

7. 品質管理

呼吸同期放射線治療では低 MUが繰り返し照射されることが多い.したがって特に低MU照射 時の特性を把握し管理することが重要となる.低 MU の直線性・再現性について,RPM で規定 される照射時間が短いほど大きな線量誤差が生じることが確認されている (Figure 7).Gating

window を狭く設定することにより照射の定位性があがるが ,線量安定性は担保されなくなるた

め,適切なgating windowの設定が望まれる.低MUの平坦度・対称性について,RPMを使用 せず低MUを照射した場合に数%の変化が見られた(Figure 8).これは,Clinac-iX(Varian medical

systems)等で採用されているグリッド電極付き 3 極管電子銃とダイナミック制御の特性である.

呼吸同期放射線治療の 1 つの方法として,RPM で呼吸波形を監視しながら,手動でビームの

ON/OFFを行い照射する方法も考えられるが,上記理由からこのような方法の採用の際には十分

な検討が必要と考えられる.また,動体ファントムを使用し,選択したgating windowでの呼吸 同期下の線量プロファイルが,静止時と同程度であることを確認する必要がある(Figure 9).

呼吸同期放射線治療において,上記の物理的品質管理のみならず,あわせて医学的品質管理を 行うことも重要である.われわれは2007 年 7 月から2011年 3月に肺腫瘍に対し呼吸同期定位 放射線治療を実施した35 症例 / 38 病変について,局所制御率を検討した.経過観察期間は中央 値23 か月(6-57 か月)で,局所再発は35症例中2症例,1年局所再発率は96.7%,2年局所再 発率は 92.3%であった(Figure 10).また,grade 2以上の放射線肺臓炎は10.5%で,grade 4の 放射線肺臓炎は見られなかった.この結果は,過去の報告と同程度であり当院では安全に呼吸同 期放射線治療が行われていることが示唆された.

Figure 7 MU線量直線性.

Figure 8 MU線量プロファイル. Figure 9 呼吸同期下の線量プロファイル

Figure 10 当院における肺腫瘍に対する呼吸同期放射線治療時の局所制御率

8. まとめ

RPM を用いた呼吸同期放射線治療を概説した.この方法は呼吸性移動を伴う腫瘍において,

非同期照射に比べて非侵襲的に PTV を縮小することが可能であり,特に体幹部定位放射線治療

では有効である.しかし,呼吸同期照射では 4D-CT を用いるので,通常の放射線治療計画と異 なる部分があり注意が必要である.また,体表に設置された赤外線反射マーカーと標的の位置関 係は位相ズレ等により一致しない可能性がある ため患者毎に,また照射毎に検討しなければなら ない.RPM を用いた呼吸同期放射線治療の導入にあたっては,各施設において十分に検証する 必要がある.

参考文献

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第 69 回放射線治療分科会(札幌) シンポジウム

「放射線治療における呼吸性移動対策」

ドキュメント内 目次 ( 放射線治療部会誌 Vol. 29 No. 1) 巻頭言 鈍感力と鋭感力 辰己大作 1 第 70 回放射線治療部会開催案内. 2 放射線治療関連プログラム ( 第 71 回日本放射線技術学会総会学術大会 ) 3 放射線治療部会意見交換会案内 7 お知らせ第 41 回放射線治療セミナー ( 日 (Page 34-38)

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