本章では,試作した SiP についてシールドとアンテナを含めた設計について 説明し,その後 SiP の組立工程も示す.その後,アンテナとシールドの測定結 果も示す.
レス鋼(SUS)/ Cu / SUSで構成され,トータル厚さは約3 μmである. SUS 層の厚さは,2.4 GHzにおけるSUSの表皮深さよりはるかに薄く,Cuの酸化 防止等の目的で成膜した.シールド効果はCu層がSUS層よりも厚く,抵抗率 も低いため, Cu層によって確保される.Cu層のシート抵抗は約0.01 Ω/□であ
る.図3.12 に示したシート抵抗とMSEの関係では,シート抵抗が0.01Ω/□と
すると500 MHz以上で42 dB以上のMSEが得られるため,シート抵抗は十分
低い値である.またシールド層は約3 μmと薄いため,金属の切削に適したグリ ーンレーザーマーカーで切削可能である.また,スロットアンテナを形成するた めにシールドにはスロット(溝)を形成するが,チップ直上にはスロットを配置 せず,シールド層を残している.チップからの放射ノイズや,外部からのノイズ を受けた際にチップへの影響を低くするために,チップ直上にシールドを配置 した.
シールド層は,パッケージの側面で,パッケージ基板の側面に配置された GND電位の配線と接触する.GND 電位の配線は図 5.3 に示すように,パッケ ージ基板の外周を囲うように配置され,側面に露出しシールド層と接続する部 分はくし形形状としている.くし形形状にするのは,次節に示すダイシングの工 程において,銅箔が脱落しないようにするためであり,かつある程度のシールド との接触面積を確保し,低抵抗に接続するためである.
スロットアンテナは,図 5.2 に示すようにシールドとパッケージ基板の両方 に配置した.シールド上のスロットアンテナはスロットアンテナ全体の長さの
69%を占め,残りの31%はパッケージ基板上に配置した.したがって,パッケ
ージ基板上のアンテナの面積を小さくできた.図 5.3 に示すパッケージ基板の スロットアンテナの面積は0.95 x 8.55 mm2で,パッケージ基板の面積の17%
となった.パッケージ基板上のスロットアンテナの一部は,図5.2に示すシール
(a) 外観
(b) 上面
Y X Z
Φ
θ
図5.2 試作したBLE SiP の模式図
シールド層上 スロットアンテナ
シールド層
BLE チップ
パッケージ基板 封止樹脂
パッケージ基板上 スロットアンテナ 9.0 mm
1. 0 mm
フラッシュメモリ
BLE chip
コンデンサ群
スロットアンテナの一部 アンテナの
給電線
FlashMemory
GND 8.55 mm
0 .95 mm
シールドのスロットとつながる部分
図5.4 SiP の内部,および周辺回路
パッケージ基板には給電線となる基板パターンも配置している.SiPのパッケ ージ基板の導体層は 2 層で,1 つの絶縁層を挟む構造としている.絶縁体層は FR-4とした.