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Segmentedpost-injectiontransmission 法による画質の改善

ドキュメント内 ポジトロンCTの定量性に関する研究 (ページ 32-41)

第 2 章  Post-injectiontransmission 法による吸収補正

2.3  Segmentedpost-injectiontransmission 法による画質の改善

あるが、外部線源の強度に応じた最適の投与量を推定することができた。今回の実験結 果は、18F-FDG等の臨床に応用する場合の投与量を決める場合の目安となるものである。

PITS 法による吸収補正法は、18F-FDG による糖代謝 PET 定性測定などにおいて有用 な方法である[24-28]。しかし、この方法は共にノイズの多い再構成前の transmissio

(TRAN)と emission(EMIS)のデータを差をとるため、再構成された画像は通常の方 法で吸収補正されたものより、画像ノイズが増加することは避けられない。

2.3 Segmentedpost-injectiontransmission 法による画質の改善

2.3.1 本節の目的

RiddellらはTRAN再構成画像をセグメンテーションすることによって、測定時間の短 縮とノイズの軽減を可能にした[36]。われわれは前節のPITSを使ったPET画像のノイズ を減少させる目的で、PITSと画像セグメンテーションを組み合わせた方法(segmented post-injectiontransmissionscan:SPITS)を開発し、従来法と比較・評価した。

2.3.2 方法

PITS で得られた TRAN データから EMIS 成分を取り除いたサイノグラムを filtered backprojection(FBP)法で再構成しトランスミッション画像(吸収マップ)とした。そ の画像をピクセル値のヒストグラムを元に決められた閾値によって複数の領域にセグメ ンテーションし、それぞれの組織タイプに応じた理論値の吸収係数を当てはめる。その 画像を投影しサイノグラムを作成し、EMIS データの吸収補正に使用した。SPITS 法、

PITS 法それぞれによって得られた PET 画像を比較した。

使用した PET カメラは島津製作所社製 HEADTOME-IV(空間分解能 7mm、スライ ス厚 10mm、7 スライス)[21,36]、吸収補正用68Ge 外部線源の放射能は 100 〜 150MBq である。

1)円筒型ファントムによる実験

内部に放射能濃度 5.2kBq/ml の68Ga 溶液を封入し(バックグラウンド)、直径 5cm の骨に見立てたテフロンと放射能濃度 16.5kBq/ml の68Ga 溶液を封入した領域(ホッ ト)、水の領域(コールド)を持つ直径 20cm、長さ 20cm の円筒型ファントム(Fig.

2.3.1(a))を使用した。68Ga 溶液を封入する前に 10 分間 TRAN を行い、これによって得 られた PET 画像を基準画像とした。68Ga 溶液封入後 PITS を 4 分と 8 分行った。PITS で

Fig.2.3.1 Fig.2.3.1 Fig.2.3.1 Fig.2.3.1

Fig.2.3.1 円筒型ファントム(a)は直径 20cm で内部に直径 5cm のホット領域、コー ルド領域及びテフロンの領域を持つ。心臓ファントム(b)は、内部に肺野、脊椎、縦隔、

心筋、左室及び右室の構造を持つ。

得られたTRANのサイノグラムを画像再構成し、ヒストグラムの閾値からテフロン、水、

空気にセグメンテーションしそれぞれに吸収係数の理論値を当てはめた。吸収係数は、テ

フロンμTeflon=0.151cm-1、水μwater=0.095cm-1、空気μair=0.000cm-1とした。PITS

およびSPITSによって得られたTRANサイノグラムを使ってPET画像を再構成し、PET 画像の中心およびテフロン、ホット部位、コールド部位に関心領域(ROI)を設定した。

通常の TRAN、PITS、SPITS によって得られた画像をそれぞれの ROI 内の平均値を用い て比較した。

2)心臓ファントムによる実験

PET カメラで心臓ファントムを測定した。心臓ファントムは心筋に 22.5kBq/ml、左 室に 10kBq/ml、右室に 22kBq/ml、縦隔に 5.0kBq/ml の68Ga 水溶液を満たし、コー ルド領域の肺野(湿ったおが屑)と脊椎骨(テフロン)を有する構造である(Fig.2.3.1 (b))。円筒型ファントムと同様に68Ga 溶液を封入する前に 10 分間 TRAN を行い、これ によって得られた PET 画像を基準画像とした。68Ga 溶液封入後 PITS を 8 分行った。円 筒型ファントムと同様にPITSで得られたTRANのサイノグラムを画像再構成し、ヒスト グラムの閾値からテフロン、水、肺野及び空気にセグメンテーションしそれぞれに吸収

(a) Cylindrical phantom (b) Myocardial phantom

spinal(Teflon) left ventricle mediastinum

lung

right ventricle

20 cm

30 cm

myocardium

5cm

warm hot

cold water Teflon

20cm

2.3 Segmentedpost-injectiontransmission 法による画質の改善

係数の理論値を当てはめた。吸収係数はテフロン、水、空気は円筒型ファントムと同じ で、肺野はμlung=0.035cm-1とした。TRAN、PITS、SPITS によって得られた画像を視 覚的及び画像間相関で比較した。解析および比較は Fig.2.3.1(b)に示した断面のみにつ いて行った。

3)脳 FDG 臨床データ

通常のTRAN測定を4分間行い、18F-FDG を投与し45分後にEMISを測定した。EMIS 測定後に PITS を 4 分間行い、TRAN データを作成した。人の頭蓋骨は薄いため、ポジト ロン核種の放出する 511keV のγ線で得られた TRAN の再構成画像は、軟部組織とのコ ントラストが低くヒストグラムから閾値で分けるのは難しい。従って頭部の吸収係数を 水と等価と考えて水μtissue=0.095cm-1とみなす。ファントム実験と同様に PITS および SPITSによって得られた TRANサイノグラムを使って PET画像を再構成し、視覚的及び 画像相関で比較した。

4)心臓 FDG 臨床データ

脳 FDG 臨床測定と同様に通常の TRAN 測定を 4 分間行い、18F-FDG を投与し 45 分後 にEMISを測定した。EMIS測定後にPITSを4分間行い、TRANデータを作成した。TRAN の再構成画像は、頭部の場合と同じ理由で脊椎骨を分けるのは困難であるため、ヒスト グラムによって軟部組織、肺野、空気及び寝台に分けた。軟部組織と肺野の吸収係数は それぞれμtissue=0.095cm-1lung=0.035cm-1とした。

2.3.3 結果

1)円筒型ファントムによる実験

円筒型ファントム全体のヒストグラム(赤)とテフロン領域のヒストグラム(青)。ヒ ストグラム上に閾値を設定しテフロン、水、空気の3つの領域に分けることができた

(Fig.2.3.2)。4 分および 8 分間測定した PITS の再構成画像をその 3 領域にセグメンテー ションした。また、参考に 8 分間測定の PITS の TRAN 画像を空気と水のみの 2 領域にセ グメンテーションしたものも作成した(Fig.2.3.3中段)。SPITSによって得られたEMIS の画像のノイズは PITS によって得られた EMIS のノイズよりも 10 〜 20% 減少し、通常 のTRANによって得られた画像のノイズと同等であった(Fig.2.3.3下段)。SPITSによっ て得られた放射能画像は、通常のTRANで得られたものよりやや高い値を示した。また、

8 分間測定の SPITS で得られた TRAN 画像を水と空気の 2 領域にセグメンテーションし

Fig.2.3.2 Fig.2.3.2Fig.2.3.2 Fig.2.3.2

Fig.2.3.2 円筒型ファントム全 体のヒストグラム(赤)とテフロン 領域のヒストグラム(青)。ヒスト グラム上に閾値を設定しテフロン、

水、空気の3つの領域にセグメン テーションした。

pre-injection

4 min scan 8 min scan

emission segmentation trans-mission

10 min scan

post-injection

F i g . 2 . 3 . 3 F i g . 2 . 3 . 3 F i g . 2 . 3 . 3 F i g . 2 . 3 . 3

F i g . 2 . 3 . 3 SPITS によって得られた EMIS の画像ノイズは PITS によって得られた EMIS のそれよりも 10 〜 20% 減少し、通常の TRAN によって得られた画像のノイズと同 等であった。SPITS によって得られた放射能画像は、通常の TRAN で得られたものより 高い値を示した。また、8 分間測定の SPITS で得られた TRAN 画像を水と空気の 2 領域 にセグメンテーションした場合、テフロンの領域(コールド)は過小評価され負の値に なった。

2.3 Segmentedpost-injectiontransmission 法による画質の改善

た場合、テフロンの領域(コールド)は過小評価され負の値になった(Fig.2.3.4)。

2)心臓ファントムによる実験

Fig.2.3.5 に対象スライスでの心臓ファントム全体(赤)、脊椎骨(ピンク)、軟部組織

(橙)および肺野(青)のヒストグラムを示す。このヒストグラムから閾値を決定し、そ れぞれの領域にセグメンテーションした(Fig.2.3.6 上段右)。SPITS で得られた EMIS

Center Hot

Cold Teflon

-500 0 500 1000 1500 2000

Center Hot Cold Teflon

pre-injection post. 4min

post. 4min 3segment post. 8min

post. 8min 2segment post. 8min 3segment

ROI Fig.2.3.4

Fig.2.3.4 Fig.2.3.4 Fig.2.3.4

Fig.2.3.4 円筒型ファントムの ROI 値。SPITS によって得られた放射能画像は、通常 の TRAN で得られたものよりやや高い値を示した。また、8 分間測定の SPITS で得られ たTRAN画像を水と空気の2領域にセグメンテーションした場合、テフロンの領域(コー ルド)は過小評価され負の値になった。

PETvalue(MBq/ml)

軟部組織 脊椎骨 空気 肺野

Fig.2.3.5 Fig.2.3.5Fig.2.3.5 Fig.2.3.5

Fig.2.3.5 心臓ファントムのヒ ストグラム。全体(赤)、脊椎骨(ピ ンク)、軟部組織(橙)および肺野

(青)のヒストグラムから閾値を決 定し、それぞれの領域にセグメン テーションした。

post-injection (MBq/ml)

Fig. 2.3.6 Fig. 2.3.6 Fig. 2.3.6 Fig. 2.3.6

Fig. 2.3.6 Pre-injection 法、PITS 法、SPITS 法による心臓ファントム画像の比較。

ヒストグラムから閾値を決定し、それぞれの領域にセグメンテーションした(上段右)。 SPITS で得られた EMIS の再構成画像のノイズは、PITS によって得られたそれよりも減 少し、通常の TRAN で得られた EMIS 画像との画像相関も改善された(中・下段)。しか し、画像相関の傾きは 1 より大きくなった。即ち通常の TRAN と比較して画素値は大き くなり定量性が保たれなかった。

+ segmentation post-injection pre-injection

transmission

emission

correlation

pre-injection (MBq/ml) R=0.952

post-injection

R=0.982

pre-injection (MBq/ml)

の再構成画像のノイズは、PITS によって得られたそれよりも減少し、通常の TRAN で 得られた EMIS 画像との画像相関も改善された(Fig.2.3.6 中下段)。しかし、画像相関 の傾きは1より大きくなった。即ち通常のTRANと比較して画素値は大きくなり定量性 が保たれなかった。

3)脳 FDG 臨床データ

TRAN データは PITS のヒストグラムによって脳組織と空気の2領域にセグメンテー ションした(Fig.2.3.7 上段右)。すなわち脳内のγ線の吸収は均一と見なした。SPITS 法によって得られた18F-FDG の脳画像は、PITS 法で得られた画像よりもノイズが大幅

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