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5.2 MLTAB

5.2.2 STA が 11g を用いる場合

次に,ネットワークトポロジを変えずに,STAが11gを使用し,ボトルネックリンクがAP網の GW付近に発生する場合について評価を行った.図5.7に示すスループット確率分布から,スルー プットの分布はRSSでは約200 2,500 Kb/s,MLTでは約200 2,500 Kb/sと広く分散してい る.加えて,RSSでは2,500 Kb/s以上のスループットを獲得しているSTAも多く存在しているこ とが分かる.このことから,RSSやMLTではAP-STA間の情報しか持たないため,AP網にボトル ネックがある場合,適切なAPを選択できないことが分かる.一方,AP網のボトルネックリンクの 情報を用いるMLTABでは,スループットの分布範囲が約600 Kb/s∼2,000 Kb/sとRSSやMLT と比較して狭くなっていることが分かる.さらに,表5.8のスループット特性より,RSSやMLTを 用いた場合,最大スループットと最小スループットの差はそれぞれ約2,800,1,800 Kb/sと大きい が,MLTABを用いることで約1,500 Kb/sと最も改善できることが分かる.これは,RSSやMLT で一部のSTAが独占的にスループットを獲得していたAPに,MLTABにより他のAPに接続して いたSTAが接続したためである.加えて,最小スループットもRSSやMLTと比較して約450 Kb/s 改善していることが分かる.これらの結果より,ボトルネックリンクの情報を利用した自律分散型 AP選択手法であるMLTABでは,一部のSTAによるAPの独占を抑制し,通信条件の悪いSTA

0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0.12 0.14 0.16 0.18 0.2

0 500 1000 1500 2000 2500

Probability

Throughput[Kb/s]

RSS MLT MLTAB

図5.7: スループット確率分布(AP-11a/STA-11g, AREA1).

表5.8: スループット特性と公平特性(AP-11a/STA-11g, AREA1).

スループット(Kb/s) 公平性

AP選択手法 最小 平均 最大 合計 BI

RSS 185.78 841.68 3024.04 67334.15 0.58 MLT 183.43 836.78 2292.23 66942.69 0.71 MLTAB 645.87 865.88 2157.32 69270.83 0.88

のスループットを改善できることが分かった.また,表5.8よりMLTABの総スループットはRSS やMLTより高く,公平性を示すBIもRSSやMLTより高い.以上から,STAが偏在している環境 (AREA2)では,MLTABはRSSとMLTと比較して平均スループットを向上させつつ,最小スルー プットと最大スループットの差を抑えることで公平性を改善可能であることが分かった.

また,表5.9に示すようにMLTABによって最適なAPを決定するまでに要する時間は平均で4.73 秒であり,最大でも14.19秒であることが分かる.さらに,全STAを配置し終える10秒以内にAP

表5.9: 収束に要する時間(AP-11a/STA-11g, AREA1).

収束までの時間(sec)

AP選択手法 最小 平均 最大

MLTAB 0.00 4.73 14.19

選択が完了している場合もあることが分かる.したがって,ボトルネックがAP網に発生する場合に ついても,MLTABはピンポン効果を抑え高い収束性を持つと言える.

さらに,図4.4に示すように,STAが偏在しているAREA3,AREA4について,図5.8,図5.9に 示すスループット確率分布より,RSSでは他の手法と比較して低いスループットを獲得しているSTA が多く存在していることが分かる.これはRSSが受信電波強度によってAP選択を行った結果,全 STAが受信電波強度の強い近くのAPに接続し,少数のAPによって提供される無線資源を全STA で共有したためである.このように,既存手法であるRSSでは,無線LANメッシュネットワーク においてSTA分布が偏ると,無線資源を有効に利用できない.加えて,MLTでもAP網のボトル ネックリンクを考慮しないため,ボトルネックリンクを経路に持つAPを選択したSTAは比較的低 いスループットを獲得している.一方,図5.8,図5.9からボトルネックリンクの情報を考慮しSTA が自律的にAPを選択するMLTABではSTAの接続が他のAPへ分散し,STAの最小スループッ トはRSSとMLTと比較して向上していることが分かる.さらに,表5.10,表5.11に示すスルー プット特性から,最小,平均,最大スループットともにRSSよりMLTABの方が高い.加えて,総 スループットもRSSやMLTと比較してMLTABの方が大きく改善されていることが分かる.よっ て,STAが偏在している場合,MLTABは他の2つの方式と比較して無線資源をより有効に利用で きると言える.

また,表5.12,表5.13に示すようにMLTABによって最適なAPを決定するまでに要する時間は AREA2,AREA3についてそれぞれ平均6.80,5.12秒であり,最大でも10.15秒,11.04秒であるこ とが分かる.このことから,STAが偏在しているAREA3,AREA4について,配置後10秒間のう ちランダムにAPと接続を開始することを考慮すると,MLTABは比較的短い時間で最適なAPを選 択でき,その収束性は良好であることが分かる.

0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25

0 500 1000 1500 2000 2500

Probability

Throughput[Kb/s]

RSS MLT MLTAB

図5.8: スループット確率分布(AP-11a/STA-11g, AREA2).

0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25

0 500 1000 1500 2000 2500

Probability

Throughput[Kb/s]

RSS MLT MLTAB

図5.9: スループット確率分布(AP-11a/STA-11g, AREA3).

表 5.10: スループット特性と公平特性(AP-11a/STA-11g, AREA2).

スループット(Kb/s) 公平性

AP選択手法 最小 平均 最大 合計 BI

RSS 29.37 493.53 1889.18 39482.48 0.54 MLT 207.74 811.79 2238.99 64943.55 0.70 MLTAB 608.51 835.08 2094.73 66806.52 0.87 表 5.11: スループット特性と公平特性(AP-11a/STA-11g, AREA3).

スループット(Kb/s) 公平性

AP選択手法 最小 平均 最大 合計 BI

RSS 162.65 604.60 1580.92 48367.63 0.72 MLT 180.44 836.57 2262.06 66925.59 0.71 MLTAB 641.07 867.27 2099.88 69381.77 0.88

表 5.12: 収束に要する時間(AP-11a/STA-11g, AREA2).

収束までの時間(sec)

AP選択手法 最小 平均 最大

MLTAB 2.57 6.80 10.15

表 5.13: 収束に要する時間(AP-11a/STA-11g, AREA3).

収束までの時間(sec)

AP選択手法 最小 平均 最大

MLTAB 0.54 5.12 11.04

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