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SQUID による磁化特性評価

ドキュメント内 修 士 学 位 論 文 (ページ 91-98)

第 5 章 FeTe 0.6 Se 0.4 単結晶体の超伝導特性評価による新たなピン止め点の推察

5.3 SQUID による磁化特性評価

5.3.1 磁化の磁場依存性

10 Oeの磁場をc軸平行にかけた時の磁化の温度依存性を図 5.4に示す.

図 5.4(a)よりTc ~ 14 Kと非常に高い.転移からの落ち方もシャープに落ちているので,

バルクな超伝導だと言える.一方,図 5.4(b)よりZFCの5 – 8 Kにおいて転移のようなもの が観測されている.これは,不純物を含んでいる可能性を示唆する.しかし,XRD パター ンでは不純物のピークは観測されなかった.このことから,ピークには現れないくらい小 さい,またはピークが重なっていて観測できない物質が生成されていると考えられる.

-5 10-5 0 5 10-5 0.0001 0.00015 0.0002

0 500 1000 1500 2000 2500 3000 Hm (Oe)

図 5.4 10 Oeの磁場をc軸平行にかけた時の磁化の温度依存性.(a) 超伝導転移部分の拡 大図.(b) ZFCの4-9 K拡大図.

次に,10 Oeの磁場をc軸平行にかけた時の磁化の磁場依存性を温度別に図 5.5に示す.

図 5.5 c軸平行に磁場をかけた時の磁化の磁場依存性.

図 5.5 より低温ではフィッシュテイル効果が確認できる.これは,強いピンニング特性

を有する時に現れるものである.温度を上昇させるほど磁化は減少し,フィッシュテイル 効果のピークの位置も低磁場側へシフトしていく.

5.3.2 ビーンモデルによる J

c

の磁場依存性の見積もり

図 5.5の磁化幅 (ΔM)を利用してビーンモデルによるJcの見積もり行った結果を図 5.6に 示す.

図 5.6 ビーンモデルを用いて見積もったJcの磁場依存性.

図 5.6より低温ではフィッシュテイル効果により,高磁場でも値が落ちていない.1.52 ×

105 A/cm2 (自己磁場,4.2 K) を記録している.さらに高磁場側でも実用化ラインとされてい

る104 A/cm2を超える値を出している.非常に高性能な試料であると言える.

5.3.3 J

c

を用いたピン力密度の磁場依存性の見積もり

このJcの値を使ってピン力密度の磁場依存性を求めた結果を図 5.7に示す.

100 1000 104 105

0 1 2 3 4 5 6 7

4.2K 5K 6K 7K 8K 8.5K 9K 9.5K 10K 10.5K 11K

Magnetic Field (T) M a gnet ic J

c

( A /cm

2

)

実用化ライン

図 5.7 Jcから見積もったピン力密度の磁場依存性.

図 5.7より4.2 Kにおけるピン力のピーク磁場はまだ現れておらず,磁場に強いピンンニ グ特性を持っていることを示す.

また温度スケーリング則を出すために不可逆磁場を求める.磁化曲線が閉じているとこ ろを不可逆磁場と言うが8.5 K以上では閉じているところを観測できなかった.

5.3.4 磁化曲線による不可逆磁場の見積もり

そこで,フィッシュテイル効果のピーク磁場で規格化する.これにより,温度ごとの磁 化曲線が重なる.この時の規格化磁場が不可逆磁場になる.以下の図にその様子を表す.

図 5.8 規格化された磁場の磁場依存性 ( 磁化はフィッシュテイル効果のピーク,磁場は 磁化曲線が重なるように決定した不可逆磁場 ).

5.3.5 不可逆磁場を用いたピン力密度のスケーリング則

こうして求めた不可逆磁場を使ってピン力の温度スケーリング則を求めた結果を図 5.9 に示す.

図 5.9 規格化されたピン力密度のスケーリング則.

図 5.9 よりピン力密度は温度スケーリングしていることが分かる.高磁場ではテールを 引いている.これは高磁場でのピン力が弱いことを表す.低磁場中では高いピン力を持つ が,高磁場中ではピン力が弱く磁束フローが起こってしまう.低温でのピン力は強かった ことから要素的ピン力は高いが,高温・高磁場では弱い超伝導ピンが常伝導転移を起こし て高いピン特性が失われることに由来すると考えられる.

5.3.6 不可逆磁場の温度依存性

低温と高温でピン力が異なることを確かめるために不可逆磁場 Birrの温度依存性を図 5.10に示す.

𝐵𝑖𝑟𝑟∝ [1 − (𝑇 𝑇c

)

2

]

𝑛𝑖

図 5.10 不可逆磁場の温度依存性 (両対数).

図 5.10より6 ~ 7 Kで不可逆磁場の温度特性が変化している.これは磁化の温度依存性 で現れていた転移の温度と一致する.このことからピン力にも関わる不可逆磁場の温度依 存性は弱い超伝導ピンによると示唆される.また,一定の磁場中における Jcの温度依存性 を図 5.11に示す.

𝐽c∝ [1 − (𝑇 𝑇c

)

2

]

𝑚𝑖

図 5.11より0.2 Tと0.5 Tの磁場中では6 ~ 7 Kで一度温度依存性が緩和され,10.5 ~ 11 K で再び温度依存性が大きくなる.一方,1 Tと2 Tの磁場中では9.5 ~ 10 Kで温度依存性が 大きくなるだけである.この違いは,低磁場中においてピン止めが十分にされていないと 考えられる.

図 5.11 一定の磁場中におけるJcの温度依存性 (両対数).

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