第 4 章 TGC システムの読み出し
4.3 エレクトロニクスの詳細
4.3.3 SLB ASIC
SLB ASICのブロック図を図4.13に載せる。SLB ASICは大きくわけて、トリガー部とリー ドアウト部からなる。以下、それぞれ分けて説明する。
JTAG
Instruction Data Registers Tap
BSC160ch Mask1
Delay Test Pulse Pattern Mask2 DEMUX MUX
matrix WD matrix SD matrix WT matrix ST matrix EI/FI
BSC40
Test P ulse Delay
BSC
4
Event Counter
BCID Counter
L1B (BCID)
Level 1 Buffer (Input Data, 160ch)
BSC 4
L1B (Trigger)
Derandomizer 126bit
PSC (NXT-BC) [EVID(4) BCID(12) InputData(160) T rigger(40)]
PSC (CUR-BC) [EVID(4) BCID(12) InputData(160) T rigger(40)]
PSC (PRV-BC) [EVID(4) BCID(12) InputData(160) T rigger(40)]
PSC (Status) [SLBID(5) MTYPE(3) OVFLW (8) SE U(1) 199’ b0]
Control P art
Input P art Trigger P art
Read O ut P art
ABCDTTC
Module T ype TPG Trig
L1A ECR
BCR
CLK
Input Data
Trigger Output Data
4bit
12bit
160bit 40bit
Start bit Stop bit
Delay Selector
図4.13: SLB AISCのブロック図
PPからのインプットを受け取り、トリガーに渡す部分とリードアウト(デランダマイザ)に渡す部分に分かれて いる。
トリガー部
ワイヤかストリップ、DoubletかTripletなどによって5種類のコインシデンスマトリックス
(ワイヤDoublet、ストリップDoublet、ワイヤTriplet、ストリップTriplet、EI/FI)を切替えて 使用する。コインシデンスウィンドウは、ワイヤが±7、ストリップが±3channelである(図 4.14)。Triplet、Doubletにはそれぞれ、2/3(Stripは1/2)、3/4のコインシデンス条件が課され る。また、PP ASICからの信号に1/2clock単位でディレイをかける機能や、各チャンネルをマ スクする機能、連続したチャンネルにヒットがあった時にその中の一つのチャンネルだけから 信号を出力させる機能(デクラスタリング:図4.15参照)、さらにSLB ASIC以降のエレクトロ ニクスの診断やタイミング調整を行うためのテストパルスを出力する機能も持っている。設定 はJTAGで行われる。
0 A B
C D
X Y
X = Y = A & C + A & D + B & D
12x2 (middle doublet) inputs
4x2 (pivot doublet) inputs
R
8 outputs to encoder section
b C = a & b & c + a & b & c a
c
-1 -2 -3 -4 -5 -6
-7 1 2 3 4 5 6 7
OR’ed Y
OR’ed X C
Coincidence Window(-7-+7)
図4.14: Wire Doubletの場合のコインシデンスマトリックス
ワイヤのコインシデンスウィンドウは±7から構成されている。[6]
図4.15:デクラスタリング
多くの連続したヒットがあった場合、その中の1つのチャンネルからのみ信号を取り出す。[6]
リードアウト部
リードアウト部は、LVL1トリガーの判定を受けたデータの読み出しを行う部分である。主 にLVL1バッファとデランダマイザにより構成される。データはLVL1バッファと呼ばれる、
幅212bit、深さ128段のシフトレジスタに蓄えられる。212bitの内訳は入力データ160bit、ト リガーパートの出力40bit、バンチ・カウンタ値12bitとなっている。このデータはCTPからの L1Aが与えられるまでの時間保持され、L1Aが与えられると該当するデータとその前後1バン チずつの、計3バンチ分のデータにそれぞれ、イベントカウンタの値(4bit)が付加されデラ ンダマイザにコピーされる。デランダマイザにコピーされるとすぐに、3バンチ分のデータは 別々にシリアルに変換しSSWに送られる。
4.3.4 JRC
JRCは2系統の入力ポートと7系統の出力ポート、それらをコントロールするための2系統の JTAGポートを持つスイッチングルータである。それぞれのラインは、TRST、TCK、TMS、TDI、 TDOの5つの信号から成る。2系統の入力ポートはSSWとeLMBからのもので、図4.16のよ うにCA JTAG(またはCB JTAG)がJRC内のスイッチをコントロールすることで、Q1∼Q7の ポートのうち1つを選択してDA JTAG(またはDB JTAG)の信号をそのまま出力する。JRC は、PP ASIC/SLB ASICにアクセスするためのインターフェイスであり、PP ASIC/SLB ASIC の設定はJRCを中継して行われる。7系統の出力ポートは、4つがPP ASICへのもので、3つ がSLB ASICへのものである。
JRCはAntifuse FPGAを使っている。
/DA_TRST DA_TCK DA_TMS DA_TDI
DA_TDO
Q2_TDO Q2_TDI Q2_TMS Q2_TCK /Q2_TRST
Q1
Q3 Q4 Q5
Q6 Q7 CA_JTAG
DB_JTAG
CB_JTAG
図4.16: JRC内部の模式図
2系統の入力と、7系統の出力から成り立っている。そのルートを2つのコントロールラインから行う。[13]
4.3.5 DCS
DCSはeLMBと呼ばれるサブモジュールを使用し、ADC(Analog-DigitalConverter)やDAC
(Digital-Analog Converter)が搭載され、センサーからの信号をデジタル化してモニタし、制御 用のアナログ信号を作り出せる。具体的には、温度モニタ、エレクトロニクスの電圧・電流モ ニタ、チェンバー位置モニタ、TGCのアノードに印加するHV(High Voltage)電源電圧のモニ タとコントロール、ASDの閾値電圧の設定などを行う。eLMBはCANバス§を通じてデータの 読み書きが行われる。図4.17にDCSの写真を載せる。
§CAN(Controller Area Network)はマルチマスターのシリアルバスシステムで、アドレスの概念がなく、送信側 は識別子を付けてメッセージを配信し、受信側はその識別子を見てメッセージを受信するかを決めるプロトコル。
図4.17: DCS