3.1.3 攪 拌 条 件
Fig.3-3 に 摩 擦 攪 拌 改 質 を A-side か ら 見 た 模 式 図 を 示 す . 摩 擦 攪 拌 改 質
(FSP) に は 主 に ツ ー ル 形 状 , ま た は ツ ー ル の 回 転 速 度 お よ び 送 り 速 度 , 傾 き 角 , 押 込 み 量 などが 攪 拌 条 件 に 挙 げら れる. 特 に FSP に よっ て形 成 さ れる 組 織 は , 入 熱 ( 摩 擦 熱 ) の 影 響 に よ る と こ ろ が 大 き い こ と か ら , 回 転 速 度 お よ び 送 り 速 度 が 一 般 的 に 非 常 に 重 要 な 因 子 と な る こ と が 知 ら れ て い る . 過 去 の 研 究 で は , FSP によ っ て Fi g.3-4 に 示 すよ う な塑 性 流 動 組 織 (オニオンリ ング)が生 成[7]さ れ る . 発 生 し た き 裂 が 湾 曲 し た 組 織 に 沿 っ て 進 展 し , き 裂 進 展 速 度 を 速 め る な ど疲 労 強 度 に 悪 影 響 を 与 え る . 一 方 , 低 ひずみ 速 度 下 に おける FSP を 施 すこ とに よ り高 ひずみ速 度 条 件 下 での FSP に比 較 し てオニオンリ ングの生 成 領 域 を 抑 制 す る[7]と 報 告 し て い る . 攪 拌 条 件 に よ っ て オ ニ オ ン リ ン グ 生 成 量 や 粒 径 を 制 御 す る こ と は , 材 料 強 度 向 上 な ど の 目 的 に お い て は 必 要 で あ る が , 攪 拌 条 件 の 影 響 に関 する 研 究 は 少 ないのが 現 状 である.
FSP 中 の 流 動 組 織 は回 転 し た ピンによっ て攪 拌 さ れている .ピ ンの 回 転 速 度 と の ず れ が あ る こ と か ら , その 流 動 速 度 は 遅 く な り う る .FSP 中 の 平 均 材 料 流 動 速 度 Rmを ピンの 回 転 速 度 の 約 半 分 Rpとし ,流 動 中 の 平 均 的 な ひずみ 速 度𝜀̇を 直 線 近 似 することに よっ て 式 3-(1)のよ う に算 出 され る[19].
𝜀̇ =𝑅𝑚・𝐿2𝜋𝑟𝑒
𝑒 ・ ・ ・式 3-(1)
式 中 の re や Le は Fig.3-5 に 示 すそれぞ れ動 的 再 結 晶 領 域 の平 均 半 径 およ び 深 さ で あ る . こ の こ と か ら 送 り 速 度 を 一 定 と す る と 回 転 速 度 が 増 加 す る と ひ ず み速 度 が比 例 し て 増 加 する. また FSP 中 のひずみ速 度 は 回 転 速 度 に 依 存 し て いる.
Fig . 3 -3 C ro ss se c tio n o f ma te ria l d u rin g FSP p ro c e ss.
r
eFig . 3 -5 C ro ss se c tio n o f FSP e d ma te ria l.
Fig . 3 -4 C ro ss se c tio n o f FSP ma te ria l in th e e a rlie r stud y. [7 ]
L
e3.2 供 試 材 および実 験 方 法 3.2.1 供 試 材
供 試 材 は ,Al-Si-Mg 系 鋳 造 Al 合 金 AC4CH-T6 であり鋳 造 金 型 は J IS H 5202 にお け る 金 型 鋳 物 の 試 験 片 採 取 用 供 試 材 製 造 鋳 型 に 準 拠 し た 舟 形 形 状 で 納 入 された . な お T6 処 理 は 808K で 4 時 間 の溶 体 化 処 理 後 , 室 温 水 で 急 冷 ,453K で 3 時 間 の 人 工 時 効 で ある .その化 学 組 成 を Table3-1 に示 す.
Fi g.3-6 に示 すよ う に 舟 形 鋳 物 か ら フラ イ ス加 工 によ り 直 方 体 に 削 り,ワイ ヤ ー 放 電 加 工 に よっ て厚 さ 5mm の平 板 を 切 り出 し た 後 , 試 験 片 を 形 状 に 加 工 し , 試 験 片 を 作 製 し た .以 後 AC4CH-T6材 を BM(Base metal 材 )と 呼 ぶことに す る.
Al Si Mg Fe Cu Mn Ni Ti Cr Zn
6.20 6.66 0.383 0.153 0.011 0.011 0.009 0.129 0.002 0.005 Table 3-1 Chemical compositions (mass %).
Fig.3-6 Boat-shaped mold from which specimen blanks were sampled.
3.2.2 攪 拌 条 件 および熱 処 理 条 件
FSP改 質 に 用 いた ツ ールの 形 状 の 詳 細 をFig.3-7 に 示 す.この ツ ールは熱 間 工 具 鋼 SKD61 を 材 料 とし ており,ショ ル ダー部 とプ ロ ーブ 部 から 成 っ ている. そ れぞれショ ルダー径 φ14mm,プ ロ ーブ 形 状 M6, 長 さ 4.7mm でプロ ーブ には逆 ネ ジが 施 し て い る .ツ ール は 時 計 回 り に 回 転 す る .Fig.3-8 に 示 すよ う に 試 験 片 長 手 方 向 ( 荷 重 方 向 に 対 し て 平 行 ) へ ツ ー ル を 移 動 さ せ , 試 験 片 全 体 が 改 質 組 織 となるよ う 配 慮 し た .
欠 陥 を 有 し な い 健 全 な 改 質 を 行 お う と す る 際 , 適 正 改 質 条 件 は 一 般 的 に ツ ー ル と 材 料 間 に 発 生 す る 摩 擦 熱 ( 入 熱 ) や 塑 性 流 動 , 位 置 一 定 制 御 あ る い は 荷 重 一 定 制 御 な ど に よ り 変 化 す る[12]. また ,3.1.3 節 で 述 べた よ う に ツ ール 回 転 数 や 送 り 速 度 な ど の 改 質 条 件 が 非 常 に 重 要 な 因 子 と な る こ とが 知 ら れ て い る [12]. 本 研 究 では 過 去 の 研 究[7]を 参 考 に送 り 速 度 を 一 定 と し て回 転 速 度 を 変 化 さ せ , 攪 拌 中 の ひ ずみ 速 度 が 比 較 的 小 さ な 条 件 お よ び 大 き い 条 件 の 二 つ の 攪 拌 条 件 で 行 っ た . 回 転 速 度 の 遅 い 条 件 およ び 速 い 条 件 で FSP を 施 し た 材 料 を それぞれ L(Lower-strain-rate FSP)材 ,H(Hi gher-strai n-rate FSP)材 と 以 後 呼 称 する.Tabl e 3-2 に攪 拌 条 件 の 詳 細 を 示 す.
これまでに, 析 出 硬 化 型 Al-Si-M g 合 金 FSW 継 手 の研 究 に おいて,S Z や TMAZ で は 攪 拌 の 入 熱 に よ っ て 強 化 析 出 相 が 再 固 溶 す る こ と に よ っ て 硬 さ が 低 下 するこ とが 報 告 されている[20].本 研 究 で 用 いる AC4CH 材 も 析 出 硬 化 型 合 金 で あ るた め , 硬 さの 低 下 が 懸 念 さ れ る .そ こ で ,FSP を 施 し た 材 料 の 硬 さを 向 上 させる 目 的 で 改 質 後 , 後 熱 処 理 (808K で 12 時 間 溶 体 化 処 理 後 ,428K で 4 時 間 の 人 工 時 効 )を 施 し た . 以 後 ,L 材 ,H 材 に 後 熱 処 理 を 施 し た も のを それぞれ 単 に LT6 材 ,HT6 材 と呼 ぶ ことに する.
Notation Rotational speed [rpm]
Traveling Speed [mm/ min]
Tilt angle [°]
Tool plunge
depth [mm]
Subsequent heat treatment BM
L 500 150 3 5
H 1000 150 3 5
Table 3-2 FSP condition.
Fig.3-7 Confi gurati on of FSP tool.