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RF シンセサイザ SiP の構造と性能

第 5 章 RF シンセサイザ SiP

5.3 RF シンセサイザ SiP の構造と性能

5.3.1 RF シンセサイザ SiP の構造

PLL-LSIのチップ写真を図5.24に示す.チップ面積は40 mm2である.RFシンセサイ ザSiPは,PLL-LSI,ループフィルタおよびチップコンデンサーからなる.図5.25にRF シンセサイザSiP,およびディスクリートVCOとダブルループ PLL 構成を用いた従来の RFシンセサイザを示す.同等の機能を有する従来のRFシンセサイザに対し,本RFシン セサイザSiPは1/20以下のサイズである.

図5.24 PLL-LSIのチップ写真

(a) 従来RFシンセサイザ (b) RFシンセサイザSiP 図5.25 RFシンセサイザSiPと従来構造RFシンセサイザの外観

図5.26に,PLL-LSIの差動タイプ・チャージ・ポンプに後続する,ループフィルタの等

価回路を示す. ループ利得は13 バンドVCOの各VCOの周波数リニアリティを補償す るよう調節される.また,およそPLL雑音フロアとVCOの位相雑音が等しくなる周波数

(コーナー周波数)に合わせて設計されるループフィルタの遮断周波数に関しても,各バ ンドで最良の位相雑音性能が達成されるよう調節される.上記両者の調節は可変抵抗器Rv1 およびRv2により行なう.ループフィルタの遮断周波数は,周波数セトリング時間が150 μ s以下となる条件で,300 kHzから600 kHzの範囲で可変した.例えば,発振周波数13.4 GHzではおよそ300 kHz ,6.5 GHzでは約600 kHzである.チャージ・ポンプの電流値 は4 mA(2 mA x 2)で,総消費電力は2.4 Wである.

図5.26 ループフィルタ等価回路

5.3.2 評価結果

13 バンドVCOの測定結果を図5.27に示す.13バンドの各VCOに-3.5~-0.3Vのチュ ーニング電圧を加えることにより,5.8~14.0 GHzの発振帯域をカバーすることがわかる.

5.8~14.0 GHzの周波数帯域において,1 MHzキャリアオフセットでの位相雑音は-110 dBc 以下であった.VCOゲイン(Kvco)は,全帯域内で76 mHz/Vから530 mHz/Vで,帯域内 周波数リニアリティは1:7となり,オクターブを超える広帯域のVCO-LSIとしては良好 な周波数リニアリティが得られた(図5.28).

5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45

Frequency [GHz]

Summation of Tuning Voltage for 13-band VCOs [V]

(a) 発振周波数特性

-125 -120 -115 -110 -105 -100

5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15

Frequnecy [GHz]

Phase Noise [dBc/Hz]

(b) 位相雑音特性 @1MHz キャリアオフセット 図5.27 13バンドVCOの測定結果

0 100 200 300 400 500 600

5 7 9 11 13 15

Frequency [GHz]

VCO Gain [MHz/V]

図5.28 VCOゲインの測定結果

図5.29に,最大発振周波数13.4 GHzでのシンセサイザSiPの位相雑音特性の測定値と シミュレーション値のグラフを示す.グラフにはフリーランVCOの位相雑音測定値も示し た.評価時のループフィルタの遮断周波数は300 kHzである.位相雑音は,それぞれ100 kHzおよび1 MHzキャリアオフセットにおいておよそ-97 dBc/Hz,-109 dBc/Hzであった.

設計帯域100 MHz~13.4 GHzでの位相雑音測定値を図5.30に示す.

-160 -150 -140 -130 -120 -110 -100 -90 -80 -70 -60

1.0E+04 1.0E+05 1.0E+06 1.0E+07 1.0E+08

Offset Frequency [Hz]

Phase Noise [dBc/Hz]

PLL Simulation (Proposed MASH) PLL Mesurement (Proposed MASH) VCO Free-run Measurement VCO Free-run simulation

PLL Simulation (Conventional MASH)

図5.29 最高発振周波数時(13.4 GHz)のRFシンセサイザSiPの位相雑音特性

-160 -150 -140 -130 -120 -110 -100 -90 -80 -70 -60

1.0E+03 1.0E+04 1.0E+05 1.0E+06 1.0E+07 1.0E+08 Offset Frequency [Hz]

Phase Noise [dBc/Hz]

13.4 GHz 10 GHz 5.6 GHz 2.5 GHz 1 GHz 400 MHz 100 MHz

13.4 GHz (Conventional)

図5.30 RFシンセサイザSiPの全バンド内位相雑音特性の測定結果

表5.3には既発表の4次オーダーΔΣフラクショナルN周波数シンセサイザとのIn-band 位相雑音比較を示した.In-band位相雑音の発表データについては,各論文で規定の仕方が 統一されていないため厳格な比較は難しいが,本研究結果は他論文と比較しておおむね 7 dB以上良い結果である.なお周波数セトリング特性については,6章で述べる.

表5.3 既発表4次オーダーΔΣフラクショナルN周波数シンセサイザとのIn-band位相

雑音比較