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ステップアッテネータ MMIC の設計と評価

第 4 章 75dB 高速電力レベル可変ステップアッテネータ SiP

4.1 ステップアッテネータ SiP の設計と実現性検証

4.1.1 ステップアッテネータ MMIC の設計と評価

可変幅5 dBで総可変量75 dBの機能を有するSiPを実現するため,可変幅5 dBで総可 変量35 dB,並び可変幅40 dBで総可変量40 dBの2種類のMMICを開発した.後述の本 SiPの要求性能から,各MMICの減衰確度の設計目標を1 dB以下とした.35 dBステップ アッテネータの各セルは図4.4(a)~(c)に示した3タイプの構成からそれぞれ最適なものを 選択して設計した.図4.4のM1~M10は信号経路のオン,オフを切り替えるスイッチ HEMTで,0.18 pF・Ωの低RC積に加え,高速電力レベルセトリング性能[4.2], [4.3]を有

するRFテスタ用に特化したデバイスである.図4.4のタイプ1はM1をオフ,M2,M3 をオン動作とすることにより,抵抗R1,R2,R3で形成されるπ形アッテネータ(減衰ス テート)となり,逆動作で通過ステートとなる.タイプ2aでは,M1,M3,M6,M8がオ フ,M2,M4,M5,M7がオン動作にて減衰ステートとなり,逆動作で通過ステートとな る.タイプ2bでは,M1,M3,M6,M8がオフ,M2,M4,M5,M7,M9,M10がオン 動作にて減衰ステートとなり,逆動作で通過ステートとなる.さて図4.3のISO計算値に 基づき,5 dBと10 dBセルでは減衰ステート時の通過経路アイソレーションISOoffは30 dB 程度で良いことから,構成が簡素なタイプ1で設計した.なお図4.3のISO計算値は,減 衰ステート時において減衰経路と通過経路の経路位相差Δθが設計上限周波数で半波長以上 ある場合,すなわち減衰経路信号と不要経路信号の同相,逆相合成の両方が存在する場合 の計算値であり,Δθの小さいタイプ1ではISOoffの必要レベルはこれより小さく,シリー

ズHEMT(M1)1段でのISOoffで所望の減衰確度が見込まれる.一方20 dBセルでは図

4.3より,0.5~1 dBの減衰確度を得るために40 dB以上のISOoffが必要となり,タイプ2a を用いた.さらに40 dBセルでは60 dB以上を必要とし,タイプ2aの通過経路アイソレー ション強化ためM9,M10を追加したタイプ2bを適用した(図4.4(c)).

(a) Type-1 (b) Type-2a (c) Type-2b

図4.4 アッテネータセルの構成法

図4.5に35 dBステップアッテネータMMICの等価回路を示す.前述したように5 dB と10 dBセルをタイプ1で,20 dBセルをタイプ2aで設計した.20 dBセルの設計では,

通過経路において,高いISOoffと通過ステート時の低損失を両立させるため,シリーズ HEMT(M1,M3,M5,M7)にゲート幅320 μmを,シャントHEMT(M2,M4,M6,

M8)に160 μmを用いた.5 dBセルにはシリーズHEMT(M1)にゲート幅320 μm ,

シャントHEMT(M2,M3)に160 μm を,10 dBセルにはシリーズとシャントHEMT

に160 μmを用いた.図4.6に40 dBステップアッテネータMMIC の等価回路を示す.

回路は,減衰抵抗回路が2段のπ形になっていること,通過経路に2つのゲート幅160 μ mのシャントHEMT(M9,M10)が追加されている点を除いて図4.5の20 dB セルと同 じである.20 dBと40 dBセルの減衰確度は,ISOoffの周波数依存性やΔθの作用により右 肩上がりの周波数特性を示すため,図4.5および図4.6の伝送線路(L1~L4)のインダク タンスおよびHEMT(M6,M8)のオフ状態における寄生容量を用いたローパス特性によ り平坦化した.試作した35 dB並び40 dBステップアッテネータMMICのチップ写真を図 4.7,図4.8に示す.チップサイズはそれぞれ1.2 mm × 2.4 mm, 1.2 mm × 1.2 mmであ る.

図4.5 35 dB ステップアッテネータMMICの等価回路

DC1 DC2

RF2 RF1

L1

L2 L3

L4

M6 M8

M5 M7

M1 M3

M2 M4

M9 M10

図4.6 40 dB ステップアッテネータMMICの等価回路

図4.7 35 dB ステップアッテネータMMICのチップ写真

図4.8 40 dB ステップアッテネータMMICのチップ写真

図4.9(a)に35 dBステップアッテネータMMICの減衰特性について,ADSモーメンタム [4.4]を用いたシミュレーション結果と測定結果を示す.シミュレーションにおいて,各 HEMTに関しては,あらかじめ測定値より抽出したオン動作並びオフ動作時の小信号等価

回路を用いた.シミュレーションと実測は良く一致した.減衰確度は実測で10 MHz~12 GHzにおいて0.7 dB以下であった(図4.9(b)).図4.10に40 dBステップアッテネータ MMICの減衰特性と減衰確度のシミュレーション結果と測定結果を示す.実測より帯域10

MHz~12 GHzで0.3 dB以下の減衰確度を得た.なお,測定はオンウェハプローブにて行

った.

-45 -40 -35 -30 -25 -20 -15 -10 -5 0

0 5 10 15

Frequency [GHz]

Attenuation [dB]

0 dB (Through)

10dB 15dB 20dB 25dB 30dB 35dB 5 dB

Solid line : Measurement, Dotted line : Simulation

(a) 減衰特性

(b) 減衰確度

図4.9 35 dB ステップアッテネータMMICの減衰特性評価結果

-1.5 -1 -0.50 0.5 1 1.5

0 5 10 15

Frequency [GHz]

Accuracy [dB] 5dB

10dB 15dB 20dB 25dB 30dB 35dB

(a) 減衰特性

(b) 減衰確度

図4.10 40 dB ステップアッテネータMMICの減衰特性評価結果