現在︑多くの国が
REIT
導入を検討しており︑今後グローバルREIT
投資が増大することに鑑みれば︑
T
をめぐる国際課税問題は重要になることが予想される︒その一っとして︑国外資産からの運用益をREIT
が受け取る場合の二重課税の排除をどうするかという問題がある︒我が国が締結した租税条約には︑それを念頭に置いたも のが若干みられるにすぎない︒国内法では全く救済措置がほどこされていないのが現状である︒
さら
︑に
REIT
に投資する外国人投資家に対するREIT
設定国の課税をどのように確保するかといった問題が ある︒我が国では︑
REIT
から投資家への収益の分配は︑会社型︑侶託型をともに一律配当として性質決定される︒
そのため︑不動産所得から配当所得に所得源泉が転換し︑さらに条約の減免を受けることによって︑非居住者に対し て適正に課税できなくなる可能性がある︒それに対処する日米租税条約の制限規定はあるものの︑我が国の対応は必 ずしも十分なものではない︒新日英租税条約でも︑我が国のペイ・スルー型エンティティから支払われる配当に対す る親子間配当の軽減税率の適用を制限しているが︑
I
T
に投資する非居住者投資家による税収減が問題にあがっているにもかかわらず︑租税条約による対処はできていないばかりか︑日本における制限措置も非居住者からの投資の増大を前提とするならば︑十分とはいえないであろう︒
とり
わけ
︑
G
ーREIT
導入で検討された議論からは︑
最後に︑世界中で多様な
REIT
制度が導人されるなか︑そのバラッキが引き起こす問題を解決するために︑欧州
では
統一
REIT
構想が議論されているが︑目下のところ︑現実味を帯びていない︒今後︑各国の
REIT
競争が激条
匁 ヽ章 む す び に か え て
関 法 第 五 六 巻 ニ
・ 三 号
いくつかの解決策が提示されている︒
四三六
︵ 七
00
)
REIT
配当に対する制限はしていない︒英国では︑
REI
本稿は︑︵財︶土地総合研究所による平成一七年度士地関係研究者育成支援事業研究助成﹁不動産投資信託の比較税制研究
I英独等の新たな動向を中心に﹂に基づく共同研究の成果の一部である︒
( 1 )
天野雅夫﹁金融システム改革関係の税法上の措置︵所得税関係︶について﹂税務弘報Vol.
4 6 N
o .
8
六八 頁(
‑九 九八
︶︒ ( 2 )
田邊昴﹁資産運用の﹁タックス・マネジメント﹂あれこれ﹂月刊資本市場一八七号五0
頁︵ 二
00
1 )
︑田村威﹃改訂投
資信託基礎と実務﹄︱二四及び︱二七頁(‑九九九︶︒
(3)朝長英樹﹁金融システム改革関連の税法上の措置︵法人税関係︶について﹂税務弘報Vol.
46
N o
. 8
八三 頁(
‑九 九八
︶︒ ( 4 )
平成︱二年度の税制改正に関する答申°
(5)︵財︶大蔵財務協会﹃平成︱二年版改正税法のすべて﹄三四0
頁︵ 二
00
0)
0
(6 )二 0 0
一年九月に日本ビルファンド投資法人とジャパンリアルエステイト投資法人の二つのJIREITが東証に上場し
た︒ 二 0
0六年九月現在︑三九件のJIREITが上場している︒
( 7 )
不動産投資法人の制度及び税制については︑不動産証券化協会﹃不動産投資法人(JIREIT)設立と上場の手引き﹄
︵ 二 0
0五︶︑不動産証券化協会﹃不動産証券化ハンドブックニ
0
0六
ーニ 0
0七
﹄︵
二 0
ストラクチャーの税務ー—ークロスボーダー投資と匿名組合/任意組合』(二00五)を参照した。 0六︶︑藤本幸彦・鬼頭朱美﹃投資
(8)契約型に比べて会社型が不利であることを指摘したものとしては︑田邊舜﹃投資ファンドと税制﹄六八頁︵二
0
0二 ︶
︵初出﹁集団投資スキーム﹂フィナンシャル・レビュ︶第五六号八0
頁︵二 0 0
1 ) )
︒
( 9
)
朝長英樹﹁金融システム改革関連の税法上の措置︵法人税関係︶について﹂税務弘報Vol.
46
N o .
8八
三頁 (‑ 九九 八︶
︒
(10)森島義博•小林亨『JIREIT投資のすべて』―ニ―頁(二00四)、加藤久子「投資法人ー税務ー米国REITに係わ *
化することが予想されるが︑我が国のREITが安定的な成長を遂げ︑生き残っていくためには︑
内法を含め︑
フ ァ ン ド が 租 税 条 約 の 便 益 を 享 受 す る こ と を 認 め つ つ
︑ 租 税 条 約 不 正 利 用 に 対 し て 国 一定の制限規定を導入していくことで︑非居住者に対して適正な課税を確保することが必要だと思われ
国境を越えるREITと課税
る︒より魅力的で柔軟なREIT税制の構築が望まれる︒ 念頭に置くことが重要である︒
四三 七
グローバル投資を
︵ 七
O‑
︶
る﹁ 宥恕 規定
﹂﹂ A R E s
一七号四三頁︵二
0
五 ︶ 0
︒
(11)(財)大蔵財務協会『平成―二年版改正税法のすべて」•前掲注(5)三四―頁。
( 1 2 )
二0
0100八年四月から二
年三月末までは︑
0 ・
八%の軽減税率が適用される︒
( 1 3 )
二0
1
︱年︱︱一月末まで︑土地の課税標準額の一/二の特例と︑住宅及び住宅用地並びに商業地等の住宅用地以外の土地に
対して三%の軽減税率の適用が延長されている︒住宅以外の家屋に対しては二
010
年三月末まで三・五%の軽減税率が適
用さ れる
︒
(14)田村威•前掲注(2)三一五頁。(15)天野雅夫•前掲注(1)八六頁。
( 1 6 )
︵財︶大蔵財務協会﹃平成一七年度版改正税法のすべて﹄二八八頁以下︵二
0
0五 ︶
︒ 7 ) ( 1
例え
ば︑
A R E Sの H
Pによると︑プロスペクト・レジデンシャル投資法人のように︑平成一八年七月決算期の全投資口
数のうち外国法人及び個人の投資口数の占める割合が五ニ・一七%のものもある︒
( 1 8 )
現在上場している
R E I
Tについては︑東証の上場基準により︑事実上海外不動産の投資は制限されている︒日経不動産
マーケット情報二
0
0六年五月号三六頁︵二
0
0六 ︶
︒ 9 ) ( 1
レス・ロフマン&ダイアン・アンバーガー﹁世界で拡大し続ける
R E I Tモ
デル
﹂ A R E s
一七
号一
0二頁︵二
0
0五 ︶
︒
( 2 0 )
EP RA , G RO BA L R EI T S UR EV Y, A c o m p a r i s o n f o t h e m a j o r E R IT r e g i m e s n i t h e w o r l d ,
20 04 .
( 2 1 )
増井良啓﹁証券投資ファンド税制の比較﹂日税研論集四一号ニ︱六頁︒
( 2 2 )
景山智全﹁集団投資スキームにおける課税上の問題点﹂税務大学校論叢四0号二九0頁︵二
0
0二 ︶
︒
(23)増井良啓•前掲注(21)ニ―七頁。
( 2 4 )
Ly nn e
J .
Ed an d D r . P a u l
J .
M .
B o n g a a r t s , I F A , T he Ta x a t i o n f o I n v e s t m e n t F u n d s , a C h i e r s d e d r o i t f i s c a l i n t e r n a t i o n a l , V o l . L X X X I l b , a t
52 , 19 97 .
(2 5) Ib a[ at
43 .
( 2 6 )
この議論については︑植松守雄﹁講座所得税法の諸問題第一三七回﹂税経通信五三巻二号四二頁(‑九九八︶︑増井良啓•前掲注(21)ニ―九頁、宮本十至子「投資ファンド課税の国際的側面について」関西大学法学論集五0巻六号三一0頁
関 法 第 五 六 巻 ニ
・ 三 号
四三八
︵ 七
0
二 ︶
国境を越える
REIT
と課税
かつ
︑
︵ 二
00
I )
︒なお︑パートナーシップのようなパス・スルー・エンティティも同様の議論が行われてきた︒その議論につい
ては
︑ OE CD T, he Ap p l i c a t i o n
f o t h
e OECD
Mo de l T ax Co n v e n t i o n t o P a r t n e r s h i p s , 1 99 9.
(27)
筒井順二『日英•日伊•日独・日洪•日波・日比租税条約の解説』―二頁(-九八一)。
(28)筒井•前掲注(27)―二頁。
( 2 9 )
フラ ンス S I C A
Vの法制の紹介として︑早川箕一郎﹁フランス法制﹂落合誠一編﹃比較投資信託法制研究﹄一〇六ー一
三六 頁(
‑九 九六
︶︒
( 3 0 )
Ly nn e J .
Ed an d D r . P a u l J .M . B o n g a a r t s , s u p r a o n t e 2 4, a t
4
3.
( 3 1 )
日米租税条約一0条
21の配当に対しては︑これを支払う法人が居住者とされる締約国においても︑当該締約国の法令に従って租税を課する ことができる︒その租税の額は︑当該配当の受益者が他方の締約国の居住者である場合には︑4及び5に定める場合を除 くほか︑次の額を超えないものとする︒
囚当該配当の受益者が︑当該配当の支払を受ける者が特定される日に︑当該配当を支払う法人の議決権のある株式の十 パーセント以上を直接又は間接に所有する法人である場合には︑当該配当の額の五パーセント 印その他のすべての場合には︑当該配当の額の十パーセント この2つの規定は︑当該配当を支払う法人のその配当に充てられる利得に対する課税に影響を及ぼすものではない︒
⁝⁝省略⁝⁝
4 2 い 及 び
3いの規定は︑合衆国の規制投資会社︵以下この4において﹁規制投資会社﹂という︒︶又は合衆国の不動産
投資信託︵以下この4において﹁不動産投資信託﹂という︒︶によって支払われる配当については︑適用しない︒規制投 資会社によって支払われる配当については︑2閲及び②間の規定を適用する︒不動産投資信託によって支払われる配当に ついては︑次のいずれかの場合に該当するときに限り︑2閲及び3間に規定を適用する︒
国当該配当の受益者が︑当該不動産投資信託の十パーセント以下の持分を保有する個人又は当該不動産投資信託の十 パーセント以下の持分を保有する年金基金である場合 閲当該配当が当該不動産投資信託の一般に取引される種類の持分に関して支払われ︑
四三九
当該配当の受益者が当該不
︵ 七
0三 ︶
( 3 6 )
( 3 7 )
( 3 8 )
( 3 5 )
( 3 2 )
( 3 3 )
( 3 4 )
Ib
id
.
動産投資信託のいずれの種類の持分についてもその五パーセント以下の持分を保有する者である場合
□当該配当の受益者が当該不動産投資信託の十パーセント以下の持分を保有する者であり︑かつ︑当該不動産投資信託
が分散投資している場合
2田及び3
いの規定は︑日本国における課税所得の計算上受益者に対して支払う配当を控除することができる法人に よって支払われる配当については︑適用しない︒当該法人の有する資産のうち日本国内に存在する不動産により直接又は 間接に構成される部分の割合が五十パーセント以下である場合は︑当該法人によって支払われる配当については︑2閲及 び3山の規定を適用する︒当該法人に係る当該割合が五十パーセントを超える場合は︑当該法人によって支払われる配当 については︑次のいずれかの場合に該当するときに限り︑2閲および3田に規定を適用する︒
い当該配当の受益者が︑当該法人の一般に取引される種類の持分に関して支払われ︑かつ︑当該配当の受益者が当該法 人のいずれの種類の持分についてもその五パーセント以下の持分を保有する者である場合 閲当該配当の受益者が当該配当の一般に取引される種類の持分に関して支払われ︑かつ︑当該配当の受益者が当該法人 のいずれかの種類の持分についてもその五パーセント以下の持分を保有する者である場合 当該配当の受益者が当該法人の十パーセント以下の持分を保有する者であり︑かつ︑当該法人が分散投資している場
Un it ed St a t e s
, B
el gi um r P o t o c o l , 1 9 8 7 A r , t . l .
合衆国における当該制限規定導入の背景については︑宮本十至子・前掲注
( 2 6 )
三 一
0頁 ︒
Te st im on y: T re as ur y St at em en t on 1 98 7 P r o t o c o l t o
19 70 B el gi um I nc om e Ta x T re at y an d 19 88 P ro t
゜
c o l t o 19 67 Fr an ce In co me Ta x Tr e a t y ,
‑ B 15 10 [h e r e i n a f t e c i r t e d a s
r T ea su ry t S at em en
t o
n 1 98 7 P r o t o c o l ] . JC T E xp la na ti on : 19 87 Pr o t o c o l t o 1 9 70 Be lg iu m I nc om e T ax TJr e a t y ,
CS
‑1 3‑ 88 [ h e r e i n a f t e r c i t e d a s 19 87 Be lg iu m P r o t o c o l E x p l a n a t i o n ] .
5
Tr ea su ry t S at e me nt
on
9 1 87 Pr o t o c o l ,
s u p r a o n te 4 . 3 19
87 Be lg iu m P r o t o c o l E x p l a n a t i o n ,
s u pr a n o t e 3 5 .
ヽ~Jc
'~,'~'
合
関 法 第 五 六 巻 ニ
・ 三 号
四四〇
︵ 七
0
四 ︶