PEN
33 33 17 10 7WPI
16 43 26 11 4CPI
17 38 14 23 7WAGE
13 21 5 53 7IIP
16 25 13 15 31表7.2 モデルA−1(40年1月〜48年9月)
PEN WPI CPI WAGE IIP
PEN
34 51 6 6 2WPI
28 56 8 7 1CPI
26 54 12 6 1WAGE
21 29 9 38 3IIP
32 48 8 5 6表7.3 モデルA−2(48年1月〜57年12月)
PEN WPI CPI WAGE IIP
PEN
30 27 31 7 4WPI
10 28 52 6 3CPI
8 27 47 9 10WAGE
9 16 23 47 4IIP
5 21 39 9 25各数字はパーセントを表わす。
3.3でも述べたように,予測誤差の分解は直交化するときの変数の順序に 依存する。ここで計算したのは
PEN − WPI − CPI − WAGE − IIP
の順であ る。しかし,これらの変数の予測誤差の間の相関がない場合には,もちろん 変数の順序は関係ない。この場合については,PEN
とWPI
の間の相関が 0.36であった他はかなり低いので,この順序はあまり問題とならないであろ う。更に,この数字は何期先の予測かによって変化する。表に載せた48カ月 先にはほとんど変動はなく安定になる。いくつかの期を選んでそれらの動き第8表 分散分解の予測期間による変化(モデルA)
変 数 予測期間
PEN WPI CPI WAGE IIP
1 100 0 0 0 0
2 95 3 0 0 1
3 76 21 0 0 2
4 70 25 1 0 3
8 47 37 7 3 5
12 33 42 12 7 4
24 33 34 16 10 6
PEN
48 33 33 17 10 7
1 13 86 0 0 0
2 11 87 1 0 0
3 9 82 6 2 0
4 7 78 10 3 0
8 3 69 20 7 0
12 6 58 24 9 1
24 16 44 26 11 3
WPI
48 16 43 26 11 4
1 3 10 86 0 0
2 2 20 76 0 0
3 4 36 56 3 0
4 4 43 45 6 0
8 2 55 21 19 2 12 6 53 14 23 4 24 16 40 14 22 7
CPI
48 17 38 14 23 7
1 0 7 0 93 0
2 0 5 0 94 0
3 1 5 0 93 0
4 2 4 1 91 1
8 3 12 1 82 1 12 3 18 1 74 2 24 13 21 4 54 7
WAGE
48 13 21 5 53 7
1 0 0 0 0 99
2 0 1 0 0 98
3 1 3 0 0 94
4 1 3 3 0 92
8 4 2 9 2 82
12 9 4 9 5 71
24 11 26 10 14 37
IIP
48 16 25 13 15 31 各数字はパーセントを表わす。
を見てみよう。第8表にモデルAの場合についての数値がある。エネルギー輸 入価格において,最初の予測期間では,その変動の大部分が自分自身で説明 されているが,48ヵ月先での予測では
PEN
とWPI
の変動による割合は,同じ位になっている。このように1期先,2期先の予測誤差の分散は大きく変動 するけれども24ヵ月〜48ヵ月位ではその大きさはほぼ安定的である。いくつ かの変数については予測期間が長くなると,影響が急速になくなるものがあ る。前と同様石油ショックの前後での比較のためにモデルA−1とA−2につい ての分散分解の結果が,それぞれ表7.2と表7.3にある。気がつくのは各変数 の変動の要因がA−1では
WPI
であったものが,A−2ではCPI
に変っている ことである。WPI
,CPI
そしてIIP
の変動の大きな部分がWPI
からCPI
に なった点に注目すべきであろう。又,モデルAでのWPI
の変動がCPI
の変動 の主な要因であるという関係も石油ショック以後だけを見れば,むしろ逆の 関係が見うけられる。この結果から言えるのは,石油ショック前までは,すべての変数は
WPI
を 一種のコスト要因と見なすとそれが主になって説明されていたのが,石油シ ョックによる大巾な物価の変動によって,今度は,その主な説明要因がCPI
に変化したと考えることもできる。そして,このCPI
は,一種の期待を表わ す変数とも解釈できるかもしれない。4.4 サンプル内での予測誤差の分解
次に,時系列データを趨勢的なベースとなる予測の部分と予測誤差の今期 と過去の値の累積効果の部分へと分解することを考える。この分解は(3.3) の移動平均モデルを次のように分解したものを用いる。
l l l
l l l
− +
∞
− = +
−
+
= Σ
=+ Σ
t jj j t j j
z
t 1ϕ ε ϕ ε
0
ここで,最初の合計は
t + 1
からt + j
期の予測誤差によるz
t+jの部分,次の合計は
t
期に得られる情報に基づいて行われるz
t+jの予測である。今,ε
がn
変数からなるベクトルとすると,この分解はn + 1
の部分に分かれる。それは
t
期での情報に基づいて行うz
t+jの予測の部分とε
のn
個の要素の 各々に対して,その要素の過去の時間経路にもとずく予測を表わす第一項の 部分である。図8.1はPEN
の実績値(直線)と上記のベースの予測の部分(点 線)のプロット及びPEN
の予測誤差を5つの要素に分解して,前式の第一項 を計算したものである。なお,起点は昭和48年の1月からとした。たとえば第8図 モデルAの各変数の予測誤差の要因別分解 図8.1.1 輸入エネルギー価格指数
図8.1.2 (要因別分解)
図8.2.1 総合卸売物価指数
図8.2.2 (要因別分解)
図8.3.1 総合消費者物価指数
図8.3.2 (要因別分解)
図8.4.1 名目賃金指数
図8.4.2 (要因別分解)
図8.5.1 鉱工業生産指数
図8.5.2 (要因別分解)
実績値 ……予測値
O
……輸入エネルギー価格指数P
……総合卸売物価指数C
……総合消費者物価指数W
……名目賃金指数Y
……鉱工業生産指数WPI
について見てみよう。図8.2.1の直線と点線の差の予測誤差を,それぞ れの要因に分解したものが図8.2.2である。第1次石油ショックの場合は,PEN
とWPI
の予測誤差が主要な原因であったが,第2次の場合はWPI
自身 の予測誤差だけが主要因であった。同じことはCPI
の場合にも言える。IIP
については(図8.5)第1次石油ショックの生産の落ち込みが,やはりエネルギ ー輸入価格であったのに対し,その後の小さな下落は
IIP
自身のためであり,又,第2次石油ショックの場合は,これも又,
WPI
が大きな原因を占めてい た事が分かる。これらの分析結果は,第1次石油ショックの場合はエネルギ ー輸入価格の予期せぬ変動のために,各変数の予測誤差が生じたのに対し,第2次石油ショックの場合は,エネルギー価格の変動は,予想されており,
それとは別の卸売物価の変動によるものであることを示唆している。
5. 先験的情報の導入
3.1の定式化のところで述べたように,多変量自己回帰モデルの難点は次 数が多くなると推定すべきパラメータの数がふえ,それに伴って多重共線性 の問題が生じ,その結果として推定時において大きな標本誤差を生み出すこ とがしばしば起る点にある。この問題は比較的低次の場合にももちろん起り う る こ と で あ る 。 い く つ か の 方 法 が 過 去 に お い て 考 案 さ れ て き た
(Chamberlain and Leamer〔1976〕)。たとえば,リッジ回帰とかスタイン 推定量などである。これらの推定量は,OLS推定値より小さい平均2乗誤 差をもつが,偏りのある推定量になる。これらの方法は,又,次のようなベ イズ的解釈が可能である。prior分布を決めて得られた偏りのある推定量は,
事後平均となる。これらの方法はデータから得られる事実と利用者によって 与えられる情報を組合せるところに特徴がある。これらのリッジ推定量やス タイン推定に対する通常の標本理論はラグ付の従属変数がある場合には適用 されていない。しかし,これらの理論によれば,パラメータの数が多く,し かも,高度の多重共線性が存在するときには,適当な制約を与えることによ って推定値の標本分散をかなり小さくすることができることを示唆している。
そして得られた推定量は事後平均と考えればよいということから,priorには
あまり強い経済的意味を持たせる必要はない。経済学的に考えるよりは,む しろ統計学的な面でこの方法の応用を考えるのである。
今,多変量自己回帰モデルのうち,任意の1本について考える。これを簡 単化のために次のように表わす。(サンプル数を
T
,パラメータの数をP
と する)(5.1)
1 1
1 × × ×
×
= +
P T P T
T
Y X β ε
ここで用いる推定量は,この場合
(5.2)
β
k= ( X ′ X + k R ′ R )
−1( X ′ Y + k R ′ r )
である。この推定量は,誤差項
ε 〜 N ( 0 , σ
2I )
とすると,(5.1)のモデルに よって作られるデータと次の形の式に含まれるprior情報とを組合せたもの である。すなわち,(5.3)
( 0 ,
2)
1 1 1
I N r
R
P P q qq
β ν ν 〜 λ
× ×
× ×
= +
ここで,
k = σ
2/ λ
2。リッジ推定量は,R = I , r = 0 ,
の場合であり,スタイ ン推定量は,R = X
でr = 0
の場合である。この種の推定量としては,分布ラ グモデルで係数間に滑らかさを導入したShillerタイプのものがある。モデル内の全部の方程式に同じ形のprior分布を与えることにする。パラメ ータは互い無相関であり,ラグ分布で遠くに行く程小さい標準偏差をもつよ うにする。これは一般に
P
次の分布ラグにおいてP
次以降のパラメータはゼ ロと仮定するよりははるかにゆるいものである。従って,もっと長いラグの 場合も推定できるようになる。又,従属変数のラグの係数についてのprior分 布は,モデル内の他の変数に対するものより,大きな標準偏差をもつゆるい 分布である。これは,方程式の相互作用に対する定式化である。方程式内で 他の変数の影響をモデル化しようとすれば,通常の方法だと,その変数に関 する制約を置くことによっておこなう。特定の経済理論によって,その変数 が必要なら加えるのである。この選択は,単に入れるか除くかだけであり,その中間は許されない。こういう理由から,先験的な知識を現実的に表わす ことが極めて困難になる。我々のとった方法は,すべての変数のいくつかの ラグについての係数はモデルに含め,それらの係数がゼロに近いかどうかを
表わすpriorを,様々な確度で含めるのである。こうすることによって変数間 のすべての相互作用を認めることになり,同時に,そのような作用が存在す ると考えたい程度に応じてかなり弾力的にモデル化ができるのである。prior 情報は各方程武毎に同じ形で与える。
λ
を従属変数の最初のラグについての 標準偏差とし,ラグ分布のそれ以降の係数の標準偏差は調和型で減少する。自分のラグ
j
についての係数は独立な正規分布で平均は0で標準偏差はλ / j
である。次に,3つの種類のprior分布による結果をモデルAによって示す。
これらは方程式間の相互作用をどれ位と考えるかによって分けたものである。
1番目は自己ウエイトモデルで,従属変数以外の他の変数のラグについての 標準偏差をすべてゼロのまわりにしばったものである。これは,自分のラグ がその変動の大部分を説明するものと考えている場合である。次は等ウエイ トのpriorで,各方程式ですべてのラグの係数に対して標準偏差は同じと考え た場合である(対称ウエイト)。そして3番目にその中間の場合について行っ
第9図 3種類の制約のもとでのインパルス応答関数 図9.1 自己ウエイト