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PD 制御による動作生成

ドキュメント内 修 士 学 位 論 文 (ページ 30-33)

3.2.1 PD制御

PD 制御とはプロセス制御系を中心に現場で最も多く使われているフィード バック制御の方式のPID制御の比例制御(P制御)と微分制御(D 制御)を用 いた制御方法である.P制御とD制御について以下に記述する.(25)

 比例動作(P 制御):制御量 y(t)とその目標値 r(t)との偏差 e(t):=r(t)-y(t)が大 きくなれば操作量u(t)を大きくし,偏差e(t)が小さくなれば操作量u(t)を小 さくする(偏差e(t)の現在の情報を反映).

 微分動作(D制御):偏差e(t)の変化量(微分値)を反映(偏差e(t)の動向を予見) するような制御を行い,安定性を改善する.

本研究では式(3-1)の偏差e(t)を各関節角度として,以下の式(3-7)のようなPD 制御による式で各関節駆動トルクを算出した.

τ = 𝐾(𝜃𝑟− 𝜃) + 𝐷(𝜃̇𝑟− 𝜃̇)

ここでτは関節駆動トルク,𝜃𝑟は基準関節角度[rad],𝜃̇𝑟は基準関節角速度 [rad/s],𝜃はシミュレーション上の関節角度[rad],𝜃̇はシミュレーション上の関 節角速度[rad/s],𝐾, 𝐷;それぞれのゲイン[-]を表している.

各関節に式(3-1)に示した関節駆動トルクを入力することで,基準関節角度,

角速度に追従するように各関節に駆動力を発生させることができる.基準関節 角度については3.2.2で記述する.また,上肢の関節トルクは2.5 で記述した初 期姿勢を維持するように関節トルクを与えるため式(3-1)の基準関節角度が 0 と なり式(3-2)のようになる.

τ = 𝐾(−𝜃) + 𝐷(−𝜃̇)

3.2.2 基準関節角度

基準関節角度とは PD 制御により追従するための関節角度波形でいくつかの ノード点をスプライン補間によりなめらかにつなぐことで生成している.本研 究では左右の股関節,膝関節,足関節に 1 周期あたり 6 つのノード点をつくり 基準関節角度波形を作成した.ノード点から基準関節角度の時間波形を作成し

(3-1)

(3-2)

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た例を Fig. 3-2 に示す.なお,基準関節角速度波形は基準関節角度波形を時間

微分することで作成した.

3.2.3 推進力の生成

自転車の研究では主にエルゴメータを用いた実験がほとんどである.これは エルゴメータにおける実験の方が自転車にかかる負荷やカメラによる関節角度 の測定がしやすいためであると考えられる.しかし,エルゴメータでのペダリン グ動作と実走では同じ条件下でも発揮するパワーが違ったり,使われる筋肉が 違ったりした文献も存在している(26)(27).そのため本研究では実走を想定し,ペ ダルの回転数に応じた推進力を与え実走と同様な条件とした.タイヤと地面の 接地点には 2.3.3 に先述したように進行方向の並進自由度と回転自由度を与え た.タイヤ半径とギア比を仮定し,時々刻々のクランクの角度,角速度を出力デ ータから車体の進んだ距離と速度を算出した.算出した値を時々刻々の目標値 とし車体の移動距離と速度との差をとり PD 制御の式に代入し推進力として後 輪の中心に与えた.与えた式を式(3-3)に示す

𝐹𝑓 = 𝑘(𝑟𝑡∙ 𝑔 ∙ 𝜃𝑐− 𝐿) + 𝑑(𝑟𝑡∙ 𝑔 ∙ 𝑤𝑐− 𝑉)

式中の𝐹𝑓は推進力[N],𝑟𝑡はタイヤ半径[m],𝑔はギア比[-],𝜃𝑐はクランク角度[rad],

𝑤𝑐はクランク角速度[rad/s],𝐿はシミュレーション上の車体の移動距離[m],𝑉は シミュレーション上の車体の移動速度[m/s],𝑘, 𝑑はゲイン[-]を示している.

-1.5 -1 -0.5 0 0.5 1

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7

関節角度[rad]

時間[s]

Fig. 3-2 スプライン補間の例

(3-3)

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3.2.4 ペダリング動作中の左右の揺れ

実際のペダリング動作ではハンドリングによる特有の左右の揺れが生じる.

実走ではこの左右の揺れに合わせて踏み込むことで効率よくペダリング動作を 行っている.本研究ではこの左右の揺れをクランク角度に合わせて強制的に発 生させることで疑似的に再現した.左右の揺れを行わせるために,タイヤ部分と 地面との接地点に PD 制御によりモーメントを発生させた.発生させたモーメ ント式を式(3-4)に示す.

τ𝑡𝑖𝑟𝑒 = 𝐾 (3𝜋

180sin(3𝜋𝑡) − 𝜃𝑡𝑖𝑟𝑒) + 𝐷 (9𝜋2

180cos(3𝜋𝑡) − 𝜃̇𝑡𝑖𝑟𝑒)

ここでτ𝑡𝑖𝑟𝑒はタイヤにかかるモーメント[N・m],𝜃𝑡𝑖𝑟𝑒はタイヤと鉛直軸がなす 角度[rad],𝜃̇𝑡𝑖𝑟𝑒はタイヤ部分の左右の揺れに対する角速度[rad/s],𝑡 はシミュレ ーション時間[s],𝐾, 𝐷はゲイン[-]を示している.ペダリング動作の 1 周期は速 度を変化させたシミュレーション以外は 2/3 s なので上式のようになった.PD 制御の追従する目標値は正弦波を用い,正弦波の周期をペダリングの周期に合 わせ,ペダルを踏み込むクランク角度90°付近で逆側に最大値まで倒れている 状態(その脚を踏み込むことで車体を踏み込んだ脚側に持ってくることが出来 る)とした.倒れる最大角度は定性的に3°とした.

(3-4)

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