第 3 章 OS 別の情報システム導入状況と今後の方向性
3.1 OS 別の情報システム導入パターンの整理
3.1.1 地方自治体の情報システムの分類
地方自治体においては、各分野の事業部門や情報システム部門において、さまざまな情報システムが 導入、活用されているが、今回調査では、以下の2つの軸により、これらを分類整理することとする。
1) クリティカル−ノンクリティカル軸
対象業務及び関連情報システムが、24 時間 365 日安定稼動が必要など、高い信頼性、安定性、耐障 害性等を要するもの(ミッションクリティカル)か、信頼性、安定性、耐障害性への要求がそれほど高くないも の(ノンクリティカル)か、という視点での軸を設定する。
2)基盤−個別軸
対象業務および関連情報システムが、庁内全体の他の業務やシステムの基盤となるものか、他の業務 やシステムとは関係の薄い個別のものか、という視点での軸を設定する。
上記 2 つの軸を上下左右にとると、次のように、4 つのエリアが設定される。今回調査では、さまざまな情 報システムをこのエリアにプロットして整理する。
Ⅰ ノンクリティカル×個別 住民サービス系システム (ホームページ、地域 SNS、Web-GIS 等)
Ⅱ ノンクリティカル×基盤 職員サービス系システム (デスクトップ、グループウェア等)
Ⅲ クリティカル×個別 基幹系業務システム (住民、税務)、個別系業務システム(福祉等)
Ⅳ クリティカル×基盤 基盤システム (データ連携基盤、アプリケーション連携基盤等)
図 3.1 地方自治体における情報システムの広がりとオープン化の傾向
Ⅰ ノンクリティカル×個別 【住民サービス系システム】
このエリアには、住民・企業への情報発信サービス等があてはまると考えられる。住民サービスという意 味で情報システムの位置づけ、重要性は高いものの、従来の行政業務にはなかった分野でもあり、一定期 間の停止等は許されるものと考えられる。具体的には、ホームページ、地域 SNS、Web-GIS 等が主にあて はまると考えられる。このエリアでもクリティカル度が高いものとして、施設予約システムや電子申請システ ム等があてはまる。
Ⅱ ノンクリティカル×基盤 【職員サービス系システム】
このエリアには、行政職員への情報サービス等があてはまると考えられる。行政職員の業務・活動の基 盤となるシステムである。具体的にはグループウェア、庶務事務システム、文書管理システム等があてはま ると考えられる。
Ⅲ クリティカル×個別 【個別業務系】 【基幹業務系】
このエリアは、各事業部門の業務に活用されるシステムがあてはまると考えられる。この中でも個別 /基 盤の度合いにより大きく二つに分かれると考えられ、教育、統計、土木、建築、商工など、各専門分野の業務
3.1 OS 別の情報システム導入パターンの整理 については「個別業務系」、住民、税務や財務、人事・給与等、他の個別業務の基盤となるものを「基幹業 務系」として整理する。
Ⅳ クリティカル×基盤 【基盤系】
このエリアは、庁内外の各種システムのデータやアプリケーションの連携基盤となるものがあてはまると 考えられる。従来の地方自治体の情報システムでは十分に整備されていなかったが、近年では共通基盤を 構築する動きが出てきており、このようなシステムを想定する。
3.1.2 システム形態の整理
次に情報システムの形態について整理する。
地方自治体では、電子化初期段階に導入されたメインフレームをはじめ、さまざまな形態の情報システム が段階的に導入されてきたと考えられるが、今回調査においては、大きく以下の5種類に整理する。
表 3.1 本調査におけるシステム形態の分類
システム形態 概要
メインフレーム型 大型汎用機(メインフレーム)を利用し、独自仕様のハードウェアとソフトウェアが一 体となって稼動するシステム
クライアント・サーバ型 データベース等を集中管理するサーバと、ネットワークによりこれを利用する端末
(クライアント)により構成されるシステム
ウェブアプリケーション型 ウェブ技術を活用し、アプリケーションをイントラネット経由で利用するシステム スタンドアローン型 単体の端末のみで利用するシステム
ASP 型 庁外の事業者等の提供するアプリケーションを、インターネット等を通じて利用 するシステム
3.1.3 OSS導入パターンの整理
地方自治体の情報システムへの OSS の導入パターンについては、さまざまなものが考えられるが、ここ では、システムセグメントごとに、どの部分に OSS が採用されるか、という視点で整理する。具体的には、以 下の 5 つのセグメントで整理を行う。
表 3.2 本調査における OSS 導入対象のシステムセグメントの分類
システム形態 概要と具体的なソフトウェア
OS システム全体の基本となるソフトウェア(Linux 等)
サーバ ウェブサーバ(Apache 等)、メールサーバ(sendmail 等)、DNS サーバ(bind 等)、ファイルサー バ(Samba 等)、コンテンツ管理システム(Zope、XOOPS 等)など。
データベース データベース管理システム(MySQL、PostgreSQL 等)。
開発言語・環境 アプリケーション開発用ミドルウェアライブラリ(Tomcat 等)、プログラム言語
(Perl、PHP、Ruby等)、開発環境(Eclipse、gcc/g++等)。
デスクトップ 職員が利用する端末上の環境(Firefox、Thunderbird、OpenOffice.org 等)。
地方自治体の情報システムでは、5 つのセグメントすべてにおいて OSS を導入しているケースはほとん どなく、OS やサーバ等、一部に OSS を利用し、一部に商用ソフトウェアを利用しているというケースが多い と考えられる。
図 3.2 OSS 導入パターンの例 (地域ポータルサイトの場合)