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演習問題

1.Bloch方程式

緩和のない時のBloch方程式は dM

dt d dt

M t M t M t

M B

B B

B B

B B

M t M t M t

x y z

z y

z x

y x

x y z

=

L

( c ) 均 一 な 磁 場 B の も と で こ の 球 に 働 く ロ ー レ ン ツ 力 は

( ) (

3 4 3

) ( )

F r = q πR v r ×Bである。球に働く全トルクをN =

dV r

{

×F r

( ) }

を使

って計算せよ。Newtonの運動方程式はdL dt=N で与えられる。この両辺をM で 表せばBloch方程式dM dtM×Bが得られる。定数γ はどの様になるか?

(d)プロトン(1H)は質量1.67 10× 27kg 電荷1.60 10× 19Asを持っている。これ らの値を使ってγ を計算せよ。実測値γ

( )

1H =26.75 10 T s× 7 − −1 1と比較せよ。ただ し T(テスラ)は磁場の単位でkgs A2 1である。この比較から 1H 核を一様に帯 電した球と仮定したことの妥当性を議論せよ。

4.磁気モーメント

電磁気学では電荷や電流は基本的存在でそれぞれスカラー・ポテンシャ ル及びベクトル・ポテンシャルの源泉となっている。異なる符合の電荷が非常 に小さな体積中に存在するとき、遠方のスカラー・ポテンシャルは電気双極子 モーメントによる場で表わされる。それと同様に定常電流のループが小さな体 積中に局在している時、遠方のベクトル・ポテンシャルは磁気双極子による場 で近似できる。

(a)次式の積分の中のR1 = −r r1r′についてテーラー展開し第1項を求め よ。

( )

0

( )

4 V A r dV J r

R μ

π

′ ′

=

(40)

(b)問題3の一様に帯電した球のモデルを使いr′についての積分を行い、次 式が成り立つことを示せ。

( )

0 3 0

1

4 4

M r

A r M

r r

μ μ

π π

× ⎛ ⎞

= = − ×∇⎜ ⎟⎝ ⎠

(41)

(c)磁気双極子による磁場は上の式をr について微分しB= ∇×Aに代入する ことにより得られる。r ≠0の場合を考え、磁場を求めよ。またM がz方向を向 いていると仮定する。rベクトルとz軸のなす角をθとしたとき、双極子磁場の z成分をrおよびθを使ってあらわせ。

(d)電子は大きさの無い素粒子とされている。(Web で「電子の大きさ」を 検索してみればよい。)上の式で電子スピンの作る磁場を計算する場合にはr =0 での微分値を求めなければならない。ところが関数1 rは原点で発散するのでそ う簡単には微分できない。電磁気学でなじみの深い次式を思いおこせばと式

(41)の外積で与えられる磁場もデルタ関数δ

( )

r に比例する項を含んでいること

が予想できる。

( ) ( )

2 1r 4πδ r

∇ = − (42)

問題はデルタ関数の何倍になっているかであるが、これを求めるうまい方法が

実はある。rrε = r22 に置き換え微分を計算し最後に

0

limε を計算するのであ る。この方法で∇2

( )

1 rε 及びB r

(

=0

)

= ∇×

(

A r

) (

=0

)

を計算してみよ。電子が核 の上に有限の存在確率を持つために生じる核スピンと電子スピンの相互作用を 超微細結合と呼ぶ。ヒント:ε →0とした時、−∇2

( )

1 rεr =0で+∞に発散す ること。また全空間で積分すると4π となることを示す。同じ方法で∂ ∂2 x2

( )

1rε

や∂ ∂ ∂2 x y

( )

1 rε も計算できる。

5.磁気モーメントの歳差運動がコイルに引き起こす起電力

図のような円形の一巻きのコイルの中心にz方向の静磁場のまわりを歳 差運動している磁化m t

( )

=m0

(

sin cosθ ω0t sin sinθ ω0t cosθ

)

があるとする。コ イルに誘起される起電力はΔ = −V

E dl = − ∂ ∂ ⋅

(

A t

)

dl で計算できる。ここで

磁気モーメントによるベクトルポテンシャルはA=

(

μ0 4πr3

)

m r× で与えられる。

(a)1個のプロトンの磁気モーメントが9Tの磁場に置かれているとき、半径 5mmのコイルに誘起される起電力を計算せよ。(θ = °90 の場合を計算せよ。)

プロトンでは磁化の大きさはm0 =

(

3 2

)

γ

( )

1H となっている。

(b)いま1g(約1ml)の水が前問のコイルの真ん中に置かれているとす る。この時、磁化の大きさは

( )

1 1

( )

0 2

m = γ H N+N (43)

で与えられる。ただしN±はそれぞれ磁場に平行な方向に±12のスピンを持つプロ トン核の総数である。これら状態のエネルギーはE± = 12 γBで与えられる。平 衡状態で核スピンはこれらふたつの状態を Boltzmann 分布にしたがって占有し ている。平衡磁化の大きさを計算せよ。またコイルに誘起される起電力はどの ような値になるか?ただし、kB =1.38 10× 23JK1NA =6.02 10× 23を使え。

6.溶媒の粘性と分子の回転相関時間の関係

溶媒の粘性がηの時、半径aの分子の回転相関時間τcはDebyeが提案した次の式 ΔV

B m

θ

x

y z

で見積もることが可能である。

4 3

c a k TB

τ = πη (44)

メタノール(半径0.15nm)およびt-ブタノール(0.25nm)について室温(300K) のτcを求めよ。また水溶液中の半径 5nmのタンパク分子ではどのような値にな るか。

(

methanol

)

0.5 10 Nsm3 2

η = ×

(

t-butanol

)

3.0 10 Nsm3 2

η = ×

(

water

)

0.8 10 Nsm3 2

η = ×

7.メチル基のプロトンの緩和時間

(a)原点にあるz軸方向を向いた磁気モーメントが極座標

( )

r,θ の位置につく

る磁場のz方向成分(静磁場方向成分)は

( )

, 0 30

(

3cos2 1

) ( ) (

3cos2 1

)

4

dipole dipole

z z

B r m B r

r

θ μ θ θ

π

⎛ ⎞⎛ ⎞

=⎜⎝ ⎟⎜⎠⎝ ⎟⎠ − = − (45)

今、原点にある磁気モーメントがメチル基のプロトンのひとつであるとする。

他のプロトンの位置での双極子磁場の大きさBzdipole

( )

r を計算せよ。メチル基の C-H結合距離は0.1nm、H-C-Hの結合角は109度としてプロトン間距離を算出 する。またプロトンの磁気モーメントはm0 = 23γ とする。γ =26.75 10 T s× 7 − −1 1

1.06 1034Js

= × μ0 =4π×10 JA m7 2 1 T=JA m1 2を用いよ。

(b)溶液中では分子があらゆる方向をランダムに向いている。極座標θは球面 状の平均をとる必要がある。 Bzdipole

( )

r,θ および Bzdipole

( )

r,θ 2 を計算せよ。

(c)ランダムに変調する磁場による緩和時間は

( ) (

1 2

{ )

2

( )

2

} { (

2 2

) }

1 0

1 T =γ H Bxrandum + Brandumy τc 1+τ ωc (46)

で与えられる。(Slichter,p.212またはCarrington & McLachlan,p.210)ここで

(

Bxrandum

)

2 =

(

Byrandum

)

2 =2

(

Bzdipole

)

2 (47)

として前問のτcをつかってブタノールとメタノールについて緩和時間を求めよ。

ここで2を掛けたのはメチル基内に自分とは異なる 2 個のプロトンがあるため である。またプロトンの共鳴周波数はω0 2π =60MHzである。

8.Evans法の原理

磁力線は無限遠まで続いているか閉じたループになっている。これはい いかえれば閉局面を横切る磁束Bの和はゼロ、またはBの発散がゼロということ になる。

∇⋅ = B μ0∇⋅

d

H+ M

i

=0 (48) 均一に磁化された試料では試料表面で磁化M r

b g

は不連続に変化する。(48)から

B r

b g

は連続に変化することが判るので、これを補うように座標rの位置では反磁

Hdemag

b g

r ができる。この式と∇ ×H = +J D t=0を使うとHdemag

b g

r は次式で

与えられる。

( )

demag M

H r = −∇φ (49)

ただし

(

1 4

)

1

( )

M S rS r M da rS

φ = π

(50)

ここでrSは試料の表面の位置ベクトル、da r

b g

S rSにおける微小表面ベクトルで 試料表面に垂直に試料から外向きにとる。Mは試料の磁化で常磁性や反磁性の 物質では充分高温で磁場が低ければ静磁場H0の大きさに比例する。

MH0 (51)

χは試料の磁化率である。Hdemag

b g

r の静磁場H0に平行な成分のみを考えると次式 が得られる。

H r H da rz S z z r r

S S S

demag

b g b g

= − 1 4π χ 0

z b g b

g

3 (52)

(a)球形の試料について中心の位置での反磁場を計算せよ。

(b)x方向に無限に伸びた半径Rの円筒状の試料管について円筒の中心の位置 の反磁場を計算せよ。ただし

dt a2 t2 a

3

2 2

+ =

−∞

z e j

(53)

を使え。(53)式はt=atanθ と積分変数を変えると導くことが可能である。

(c)右図の円筒状の試料管にいれた試料の体積磁化率によるシフトを考える。

常磁性の電子は化学結合を生成しない限 り核の位置には存在しない。あるいはもし 存在してもそれを Fermi の contact シフト

(または超微細結合)というものに含めて しまう。そのため、次の図のように小さな 球を観測している原子核のまわりにおき その中ではχ=0を仮定する。観測核の感じ る反磁場は試料管の表面と小球の表面の つくる反磁場の和である。ただし後者では 磁化率の変化の方向は前者の反対である。

試料管の長さは充分長いとして中心の位 置での反磁場の値を求めよ。

注:(50)式でM da r

( )

S は微小面積に誘起された磁極の大きさである。電気双極 子が正負の電荷の対によって引き起こされるように、正負の磁極が存在し磁気 双極子を作っていると解釈しても式の上では問題はない。そう考えられていた 時期もあった。磁気単極子は見つかっておらず電流のループによって磁気双極 子が生じているという考え方が現在では支配的である。

χ=χ

χ=0 S x

z

9.化学交換のある時のスペクトル。

A成分の横磁化(FID)は

dMA+

b g

t dt=iωAMA+

b g

t (54) に従う。ただしωAはAの核スピンのLarmor周波数。AとBの化学種が交換に より入れ代わるとすると各々の確率PAおよびPB

d dt

P t P t

W W

W W

P t P t

A B

A B

b g b g b g

L b g NM O

QP

=

L

NM O

QP L NM O

QP

(55)

にしたがって時間変化する。ただし、Wは A と B の間の交換速度。また(55)で は左辺をゼロと置いてやると平衡状態のAとBの確率がもとまる。これらは等 しい:PAeq. = PBeq.= 12。 核磁化の大きさは各化学種の存在確率に比例するので(54) 式と(55)式を組み合わせて

d dt

M t M t

i W W

W i W

M t M t

A B

A

B

A B +

+

+ +

L NM O

QP

=

L

NM O

QP L

NM O

b g QP

b g b g

ω

b g

ω (56)

をえる。テキスト(8)式のようにスペクトルは FID を FT したものの実部で与え られる。すなわち

( ) { ( ) ( ) }

( ) ( )

{

21 0

}

Re Re

A B

i t

A B

I I I

dt M t M t e ω

π

ω + ω + ω

+ +

= +

⎡ ⎤

=

⎣ + ⎦ (57)

となる。(56)の両辺にei tω をかけて積分しIA+

( )

ω とIB+

( )

ω を与える式を導出せよ。

そして(57)式を使ってスペクトルを計算せよ。ただし時間の長いところで横磁化 が ゼ ロ に 減 衰 す る 条 件 : MA+

b g

∞ = MB+

b g

∞ =0 お よ び 横 磁 化 の 初 期 値 が

MA+

b g

0 = PAeq.= MB+

b g

0 = PBeq.= 12で与えられるという条件を用いる。

10.量子力学によるスピン(S=1/2)の記述。

スピン角運動量演算子(プランク定数を単位として測る。)の3つの成分は Sz= ±12の状態 Sz;± を基底関数にとると次式で与えられる。

; ; ; ;

; ; ; ;

S S S S S S S

S S S S S S

z

z z z z z z

z z z z z z

= + + + −

− + − −

L NMM O

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