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課題 8:上記の状態図において、Ni=0.7mol における 1500℃から 800℃まで降 温した時の 1000℃における固溶体の各相の変化を定量的に説明せよ。

●計算結果の説明(Ni=0.7mol で 1000℃における固相と液相の割合の求め方)

Au-xNi P=1.01325bar

CaTCalc

Mole fraction Ni

1 .8

.6 .4

.2

Temperature (C)

1500 1450 1400 1350 1300 1250 1200 1150 1100 1050 1000 950 900 850 800

LIQUID

LIQUID+FCC_A1

LIQUID+FCC_A1

FCC_A1 FCC_A1

T

Ni=0.86mol Ni =0.60mol

S L

a

M

b

T

2

Ni=0.10mol Ni =0.05mol

S c L d

T

e

N

Ni =0.075mol

Ni =0.70mol

①xに0 と1を入力する。

②Temperatureに800 1500 10と 入力する。

③Phase Diagramを選択する。

④Calculateを実行する。

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・等晶系合金において、液相から固相への冷却過程における、各相の変化並びに組織変化に ついて、上図に示す前述の状態図をベースに説明する。

(1).Ni=0.7molの場合

・等晶系合金の状態図において、Ni=0.7mol と Au=0.3mol である X=0.7 の組成の合金を 1500℃から冷却させた時、1000℃における固相と液相の割合を求める。

・固溶体の場合は、「テコの原理」で固相と液相の割合が求められる。1000℃の等温線と

X=0.7の組成線が交差する点をMとする。また、1000℃の等温線と液相線が交差する点を

aとする。この点は、Ni=0.70molに相当し、液相の組成を表す。同様に1000℃の等温線と 固相線が交差する点をbとする。この点は、Ni=0.86molに相当し、固相の組成を表す。

・1000℃における固相の割合(WS)は、WS=直線(a-M)/ 直線(a-b)で求められる。

直線ab上のSと記述される範囲である。

・同温度における液相の割合(WL)は、WL=直線(M-b)/ 直線(a-b)で求められる。

直線ab上のLと記述される範囲である。

・上図を基に概略を求めると WS=0.38、WL=0.62となる。

(2)Ni=0.075molの場合

・Ni=0.7mol の場合と同様に、1000℃の等温線とX=0.075 の組成線が交差する点N とす る。Ni=0.7mol の場合と反対に、1000℃の等温線と固相が交差する点をcとする。この点

は、Ni=0.05molに相当し、固相の組成を表す。同様に1000℃の等温線と液相線が交差する

点をdとする。この点は、Ni=0.10molに相当し、固相の組成を表す。

・1000℃における固相の割合(WS)は、WS=直線(N-d)/ 直線(c-d)で求められる。

直線cd上のSと記述される範囲である。

・同温度における液相の割合(WL)は、WL=直線(c-N)/ 直線(c-d)で求められる。

直線cd上のLと記述される範囲である。

・上図を基に概略を求めると WS=0.41、WL=0.59となる。

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○計算熱力学ソフトの使用方法(Ni=0.7mol における 1200℃から 800℃まで冷 却した時の組成変化の求め方)

・わかりやすくするため固溶体を形成する温度範囲を狭くする。

①xを0.7する。

②Temperatureを800℃から1200℃とし、温度間隔を10℃とする。この時、温度間隔を入 力しないと、結果が直線となり不正確になるので、要注意。

③Equilibrium Calc選択する。

④Calculateを実行する。

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●計算結果の説明(Ni=0.7mol で 1200℃から 800℃まで冷却した時の固相と 液相の割合の直接表示)

・固相と液相の割合の表示をわかりやすくするため、温度を850℃から1150℃に設定して いる。

・850℃と1125℃の間で液相と固相が共存する。

・液相と固相の割合は、先述の「テコの原理」から求められるが、本ソフトを用いると任意 の温度での液相と固相の割合を求めることができる。

・先述の1000℃における固相の量は、0.39molであり、液相の量は0.61mol存在している。

Au-xNi P=1.01325bar, X=0.7 CaTCalc

Temperature (C)

1100 1000

900

mol (atom)

1 .9 .8 .7 .6 .5 .4 .3 .2 .1

LIQUID FCC_A1

液相=0.61

固相=0.39

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●計算結果の説明(Ni=0.7mol で 1500℃から 0℃まで降温した時の活動度の 変化)

*Caluculate画面で、温度範囲を0と1500℃に変更し、計算実行する。

①Axisタブの”Y-Axis”-“Variable”のプルダウンメニューを表示する。

②項目の中のPhase Activitiesを選択する。

③Applyボタンをクリックする。(”Maker”にチェックすることでマークが表示されます)

・1500℃からの温度降下に伴う固相と液相の活動度の変化について説明する。

・活動度は理想溶体の場合には、1.0となる。

・固相2は臨界温度の853℃まで存在し、それ以上の温度では固相1のみとなる。1128℃ま では1.0であるが、それ以上の温度は1.0より以下となり、合金中には存在しない。

・液相の場合は、853℃までは、1.0 以下であり、この系には存在しないが、それ以上の温 度では1.0となり、安定に存在する。

・853℃から1128℃までは、液相と固相(固相1と固相2は、同じ性質の金属である)が 共存する。

Au-xNi P=1.01325bar, X=0.7 CaTCalc

Temperature (C)

1500 1000

500

Phase Activity

1 .9 .8 .7 .6 .5 .4 .3 .2 .1

LIQUID FCC_A1 FCC_A1_#2

固相2 液相

固相1

853

1128

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課題 9:上記の状態図において、 Ni=0.6mol における 850℃から 0℃まで降温し た時の溶解度ギャップ線内の固相の割合を定量的に説明せよ。

●計算結果の説明(Ni=0.6mol で 700℃における 2 種類の固相の割合の求め方)

・等晶系合金において、850℃からの降温過程において、臨界温度(Tc)は約815℃である。

この温度から溶解度ギャップ曲線を切って、固相から 2 種類の固相への変化について、上 図に示す前述の状態図をベースに説明する。

・上述の溶解度ギャップ線の状態図において、Ni=0.6molとAu=0.4molであるX=0.6の組 成の合金の700℃における2種類の固相の割合を求める。

・溶解度ギャップ線では、固溶体の場合と同様に、「テコの原理」で2種類の固相の割合が 求められる。700℃の等温線とX=0.6の組成線が交差する点をMとする。また、700℃の等 温線と溶解度ギャップ線が交差する点をaとする。この点は、Ni=0.37molに相当し、固相 1 の組成を表す。同様に 700℃の線と溶解度ギャップ線が交差する点を b とする。この点 は、Ni=0.93molに相当し、固相2の組成を表す。

・700℃における固相1の割合(WS1)は、WS1=直線(M-b)/ 直線(a-b)で求められ る。直線ab上のS1と記述される範囲である。

・同温度における固相2の割合(WS2)は、WS2=直線(a-M)/ 直線(a-b)で求めら れる。直線ab上のS2と記述される範囲である。

・上図を基にS1とS2を概略求めると WS1=0.59、WS2=0.41となる。

Au-xNi P=1.01325bar CaTCalc

Mole fraction Ni

1 .8

.6 .4

.2

Temperature (C)

800

700

600

500

400

300

200

100

FCC_A1+FCC_A1_#2 FCC_A1

FCC_A1

T

c

Ni=0.93mol Ni=0.37mol

S2 S1

a M b

固相1(S1)と固相2(S2)

固相

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○計算熱力学ソフトの使用方法(Ni=0.6mol における臨界温度(Tc)から降温 した時の組成変化の求め方)

・わかりやすくするため固溶体を形成する温度範囲を狭くする。

①xを0.6とする。

②Temperatureを0℃から820℃とし、温度間隔を10℃とする。この時、温度間隔を入力 しないと、結果が直線となり不正確になるので、要注意。

③Equilibrium Calcを選択する。

④Calculateを実行する。

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●計算結果の説明(Ni=0.6mol で 820℃から 0℃まで降温した時の 2 種類の固 相の割合の求め方)

(*点を表示したい場合は、Axisタブにある”Maker”をチェックします)

・固相1と固相2の割合の表示をわかりやすくするため、温度を0℃から820℃に設定して いる。

・温度の上昇と共に、固相1は多くなり、約800℃で固相1のみとなる。

・固相2は温度上昇と共に、減少し約800で完全に消滅している。

・固相1と固相2の割合は、先述の「テコの原理」から求められるが、本ソフトを用いると 任意の温度での液相と固相の割合を求めることができる。

・先述の300℃における固相1は、0.59molであり、固相2は0.41mol存在している。

Au-xNi P=1.01325bar, X=0.6

CaTCalc

Temperature (C)

800 600

400 200

mol (atom)

1 .9 .8 .7 .6 .5 .4 .3 .2 .1

FCC_A1 FCC_A1_#2

固相1=0.59mol

固相2=0.41mol

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課題 10:下記の状態図において、 1300℃から 850℃まで降温した時の各相の変

化を金属組織の変化として、その概念図を図示せよ。

●Ni=0.7mol で 1300℃から 850℃まで降温した時の t0 から t5 までの状態図 の説明

(*課題8の最初の手順を参考に計算結果を出力してください。)

・X=0.7の組成の時、1500℃からの降温過程の概略を温度ごとに説明する。

・t0は液相の状態

・t1からt4までは液相線と固相線の間の状態

・t5は固相の状態

Au-xNi P=1.01325bar CaTCalc

Mole fraction Ni

1 .8

.6 .4

.2

Temperature (C)

1500 1450 1400 1350 1300 1250 1200 1150 1100 1050 1000 950 900 850 800

LIQUID

LIQUID+FCC_A1

LIQUID+FCC_A1

FCC_A1 FCC_A1

T

t

4

t

3

t

2

t

1

t

0

t

5 1128℃

853

1300℃

1200℃

900850℃

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●計算結果の説明(Ni=0.7mol で t1、t2、t3、 t4、 t5 の各温度における各相の 定量的変化)

*Caluculate画面にて、xに0.7を入力。温度(C)は850 1500 50、Equilibrium Calcを 選択して、Calculateを実行します。

・各温度における各相の割合は、Listタブをクリックすると以下の表が得られる。

・温度の設定の項で、自分の必要な温度が欲しい温度間隔を入力する。今回は50℃として いる。以下に表の説明を行う。

・液相に関する全ての情報は、上段の横長の青い線の中に表示されている。

・固相に関する全ての情報は、下段の横長の青い線の中に表示されている。

・mol(atom)は、液相と固相のモルを表している。

・Activityは、活動度である。

・Elementは各相のAuとNiのモルを表している。

t5 t4 t3 t2 t1

液相

固相

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●上記の計算結果の概念図(1400℃から 1330℃の範囲の金属組織の補足説明)

等晶系合金における金属の組織変化の概念図を以下に示す。あくまでも理解を助けるた めの概念図であることに留意して欲しい。それぞれの合金により組織が異なるので、このよ うに単純組織とはならない。

・t0:1300℃:温度が 1300℃の場合、完全な液相の状態であるので、液相のみが存在し、

液相中のNiとAuのモルは、初期のモル濃度設定(Ni=0.7mol、Au=0.3mol)と同じ値で ある。

・t1:1128℃:温度が1128℃に達すると、1128℃の等温線と液相線が初めて交差するので、

Au-Ni合金の結晶核が析出し始める。ただし、この温度では液相と固相が平衡状態にあるの

で、結晶核は消滅したり、析出したりを繰り返していると予測される。結晶核の生成が少な ければ、液相の組成は、初期設定の組成と同じである。この温度で僅かでも結晶核が生成す ると仮定すると、Au-Ni合金の結晶核の組成はAu=0.10mol、Ni=0.90molである。

・t2:1000℃:Au-Ni合金の結晶が成長を始めるので、最初の液相組成からNiが減少する。

そのため、この温度での液相組成は(Au=0.40mol、Ni=0.60mol)のようにAuが増えてく る。この時のAu-Ni合金の組成は、Au=0.14mol、Ni=0.86molである。また、液相と固相 の割合(W)はW=0.62/0.38である。

Liquid(Au=0.3mol Ni=0.7mol

Liquid Au-Ni 結晶

L

t0:1300℃

t1:1128℃ t2:1000℃

Liquid/Solid=1.0/0.0

Liquid/Solid=1.0/0.0

SolidAu=0.10mol Ni=0.90molLiquidAu=0.3mol

Ni=0.7mol

Liquid/Solid=0.62/0.38

Solid(Au=0.14mol Ni=0.86mol)

Liquid(Au=0.40mol Ni=0.60mol)

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