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4.4 Nausea 気持ち悪さ

刺激観察後のNauseaから刺激観察前のNauseaの差を全被験者分求め,平均値を算出し, まとめたものを図4.3に示す.統計的検定による分析の結果,刺激観察前後間でそれぞれの刺 激に対して有意な差は見られなかった.2つの実験それぞれの刺激においてスコアが小さいた め,刺激観察時に気持ち悪さは感じなかったと考えられる.

4.3 SSQ Nausea

4.5 Disorientation めまい・ふらつき

4.5 Disorientation めまい・ふらつき

刺激観察後のDisorientationから刺激観察前のDisorientationの差を全被験者分求め,平 均値を算出し,まとめたものを図4.4に示す.統計的検定による分析の結果,刺激観察前後間 でそれぞれの刺激に対して有意な差は見られなかった.実験2の正立刺激と倒立刺激の間に 差が見られなかった.

4.4 SSQ Disorientation

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全体の結果と考察

データの解析として計測した重心動揺のデータから被験者全員の重心動揺面積を算出し, 分析をした.その結果,それぞれの実験において有意差が認められなかった.FFTが刺激に同 期した特定の部分からの分析に対して,重心動揺面積は全ての揺れから値を求めているため 刺激の違いによる値の変化が見られなかったと考えられる.

 次に計測した重心動揺のデータについてFFTによるパワースペクトルの分析を行い,刺 激に同期した周波数付近のピーク値を算出した.分散分析の結果,実験1では,左右方向と前 後方向の値に関して有意差が認められた.このことから正立刺激と倒立刺激どちらも前後方 向のベクションを引き起こしていることが示唆された.さらに前後方向の正立、倒立刺激で は倒立刺激の方に有意差が認められた. この結果から少なくとも正しい奥行き情報がベク ションの増大にはつながるわけではないことが示唆された.また,倒立刺激が不整合な刺激と して設定したが,視線の位置が天井の位置にあり天井の高さが観察者から遠方に行くにした がって下がっている特殊な状況下(図5.1)であるとも考えられる.この状況で観察者が前後 に移動した場合に接近しそのまま移動すると,天井に当たってしまう状態になる.そのため, 天井が当たるという状況を無意識に回避する運動をし,身体が動き,倒立刺激において前後 方向の重心動揺が大きくなった可能性も考えられる.

 実験 2に関しては左右方向の重心動揺が起こり,前後方向と左右方向,正立刺激と倒立刺

えられる.しかし被験者7人中3人は正立刺激において左右方向の大きな重心動揺が見られ たことから,個人差は大きいものの,前進しつつ左右に動く運動の刺激に関しては正立刺激 によるベクションが大きい可能性がある.

 重心平均移動速度を算出し比較したが,有意差は認められなかった.しかし左右方向と前後 方向の重心平均移動速度を比較すると,どの被験者も左右方向の重心平均移動速度が速いこ とがわかる.これは足を閉じた状態でバランスWiiボード上に乗っていたため左右方向のバ ランスを取ることが前後方向のバランス取るより困難だったためだと考えられる.

  SSQ ア ン ケ ー ト の 結 果 は TotalScore,Oculumotor(眼 精 疲 労),Nausea(気 持 ち 悪 さ),Disorientation(め ま い・ふ ら つ き) す べ て に お い て 有 意 差 が 認 め ら れ な かった.

かし,Nause を除く他の項目に関して実験 1 では倒立刺激より正立刺激のスコアが, 実

験 2 で は TotalScore と Oculumotor 正 立 刺 激 よ り 倒 立 刺 激 の ス コ ア が 大 き く なった

が,Disorientationに関しては値に差が出なかった.刺激観察によって気持ち悪さは感じられ

なかったが眼精疲労とめまい・ふらつきは刺激観察によって生じたと考えられる.

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まとめ

本研究では床面にグレーティングがある状況をシミュレートした運動刺激において,奥行 き情報の整合性がベクションによる重心動揺を変化させるかを検討した.実験1では正立刺 激,倒立刺激どちらも前後方向の重心動揺が起きており,倒立刺激の方が大きい重心動揺を引 き起こしていることが分かった.このことから正しい奥行き情報がベクションを増大させる とは言えないと示唆された.また,現実的ではなく特殊な状況下が重心動揺を引き起こす可能 性も示唆された. 実験2では左右の動きによって左右方向の重心動揺が起こると予想してい たが左右の振幅運動が明確ではなかった.しかし被験者7人中3人は正立刺激において左右 方向の大きな重心動揺が見られたことから,個人差は大きいものの,前進しつつ左右に動く運 動の刺激に関しては正立刺激によるベクションが大きい可能性がある.

謝辞

本研究をすすめる上でご指導と多大な助言を下さった繁桝博昭先生に深く感謝します.ま た副査を努めて下さった,篠森先生と濱村先生に感謝いたします.自分の卒業研究が忙しい 中,実験に協力していただいた友人の皆様,ありがとうございました.

参考文献

[1] 望月久,’立位姿勢の安定感と重心動揺計によるバランス能力評価指標との関連性’文教 学院大学保健医療技術学部紀要 第2巻 2009:55-60

[2] 中村信次, 視覚誘導性自己運動知覚の実験心理学, 北大路書房,2006.

[3] J Kim,’ Effentric gaze dynamics enhance vection in depth’,Journal of Vision(2010)10(12):7,1-11.

[4] J Brindza,J Szweda,Q Liao,Y jiang,A Striegel, ’ WiiLab: Bringing Together the Nintendo Wiimote and MATLAB’ Department of Computer Science and Engi-neering University of Notre Dame Notre Dame, IN 46556 USA

[5] Installing WiiLAB Library,

http://ndss-gpu2.cse.nd.edu/svn/wiilab/trunk/Documentation /Installing_the_Libraries.pdf

[6] Brainard, D.H. (1997) The Psychophysics Toolbox, Spatial Vision 10:443-446.

[7] Psychtoolboxをがんばる:

心理学,実験,プログラミング, https://sites.google.com/site/ptbganba/

[8] Kennedy, R.S., Lane, N.E., Berbaum, K.S. Lilienthal, M.G.(1993). Simulator sick-ness questionairre: an enhanced method for quantifying simulator sicksick-ness. The Infernafional Journal ofAviation Psychology, 3(3), 203-220.

[9] A brief explanation of the Simulator Sickness Questionnaire(SSQ), http://www.cybersickness.org/Simulator_Sickness_Questionnaire.htm [10] Ross, Adam, Yonghao, Paul, Kim, Michael, ‘ Validityn and reliability of the

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