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憲50 せ

3.3 NOx排出量の解析

3.3.1 計算格子および計算条件

前節では予蒸発管のみを対象に噴霧の蒸発率について詳細に検討した。これらの結果を

もとに、燃料噴射弁の開発が進められている【119】。本節では、それを実際に燃焼器に組み

込んだときの蒸発率の予測とNOx生成を解析した結果について示す。燃焼器の構造を図

3‑ll(a)に示す。予蒸発管からの予混合気は、ブラフボディーの周囲を旋回した後、主燃焼

室に流入し燃焼する。したがって、噴霧は予蒸発管に引き続きブラフボディー周囲でも蒸

発するため、前節で示した予蒸発管での蒸発率よりも、実際に燃焼室に流入する際の蒸発

率は高くなることになる。計算格子を図3‑ll(b)に示す。計算領域を蒸発管から主燃焼室、

希釈領域とし、予蒸発管は前節よりも大幅に単純化し計算時間の短縮を計った。なお、要 素数は13000である。

未蒸発燃料のNOx生成への影響を調べるために、図3‑12に示す典型的な3種類の燃焼

方法について計算し、燃焼ガス温度分布、

NOx排出量を比較した。図3‑12(c)の完全予混

合燃焼とは、燃料が完全に蒸発し、均一な予混合気が形成されたと仮定したものであり、

理想的な性能を持つ燃料噴射弁を用いたときと言える。予蒸発・予混合燃焼とこの理想的 な場合とを比較することにより、未蒸発燃料や混合気分布の不均一の影響を調べることが できる。

計算条件を表3‑2に示す。空気および燃料の条件はそれぞれエンジン運転条件をもとに

与え、燃料噴霧の初期条件は、前章と同様にPDPA(Phase

Doppler Particle

Analyzer)に

よる測定値を与えている。燃焼室壁は熱伝導率の小さいセラミックで構成されていること から、壁境界は断熱と仮定した。

3.3.2 計算結果

予蒸発・予混合燃焼における、燃料噴霧および燃料蒸気濃度分布を図3‑13に示す。

(a)

(a)燃焼器の構造

7●ラフホ●テ●

予蒸三

1I‑

主燃ゴ

希釈空

I

i&

三I..

l

q

I

燃焼ガス

(b)計算格子(要素数: 13000) 図3‑11予蒸発予混合燃焼器の構造と計算格子

予混合気

(a)拡散怠競 (b)予蒸発・予混合患妓 (c)完全予混合燃焼

図3̲12 NOx排出量の比較を行なう燃焼方式

表3‑2計算条件 空気

温皮(E) 1173 涜i(g′s) 21 圧力(at皿) 1

燃料(セタン) 追 i::: 300K

壁気過剰串 1.5,2.0,2.5

粒径

I‑≦...‑

噴射

燃料噴射弁

プライy7) セカン1T)

(SXD)(叩)

30 60

負(.) 60‑90 60‑100

速度(〟s) 70

(a)燃料噴射位置

(b)主燃焼室流入位置

ブラフボディ

0.0 4.0

燃料蒸気濃度(wt%)

図3‑13 燃料噴霧および燃料蒸気濃度分布 (予蒸発予混合燃焼)

から、噴射された燃料噴霧は前節同様、蒸発管の壁付近に多く存在しており、旋回室に入 ると、図の上側に位置する噴霧は旋回室の外壁にそって進み、逆に下側の噴霧はブラフボ ディーに衝突し、ブラフボディーの周囲を添う形で進む。その結果、燃料蒸気濃度は旋回 室の外壁とブラフボディの壁近傍で高くなっている。一方、主燃焼室流入位置ではほとん

ど濃度分布はみられず、ほぼ均一な予混合気が形成されている。主燃焼室流入位置での燃 料の蒸発率は約90%である。予蒸発管出口における蒸発率が約50%であることから、燃料 の約40%がブラフボディー周囲で蒸発したことになり、燃料噴霧は主燃焼室流入前に十分 蒸発していることがわかった。

以上のように、燃料噴霧の約90%は、主燃焼室流入前に蒸発することが明らかになった

が、残りの燃料噴霧は主燃焼室で直接燃焼することになるため、その影響について検討し た。図3‑14に3種類の燃焼方式における燃焼ガス温度分布を、また、図3‑15にNOx濃度

を比較した。

(a)の拡散燃焼では、燃料と空気が混合する位置で燃焼が起こるため、前辛

に示したと同様に、噴霧を取り囲む形で火炎が存在し、さらに理論空燃比に近い形で燃焼

することから、燃焼室の中心軸付近に高温領域が形成される。それと対応してNOx濃度

も高くなっている。また、燃料噴霧の一部は燃焼室の壁まで到達して燃焼しており、その

下流の壁付近にも高温領域がみられる。一方、

(b)の予蒸発・予混合燃焼および(c)の完全

予混合燃焼の場合は、混合気が主燃焼室に流入した直後に燃焼し、ブラフボディー近傍の

狭い領域で燃焼している。混合気流速が遅くなると、火炎は上流に伝播する(逆火)、また、

逆に速くなるとブラフボディーから離れて保炎されなくなる(吹き消え)ことになり、予混

合燃焼の火炎安定範囲が、拡散燃焼と比較して狭くなることが理解できる.

(b)の予蒸発・

予混合燃焼の温度分布は、 (a)の拡散燃焼と比較するとほぼ均一となっているが、 (c)の完

全予混合燃焼と比較すると燃焼室壁付近に温度が高い領域がみられる。これは、未蒸発の 燃料噴霧が壁付近で拡散燃焼することによる影響である。完全予混合燃焼におけるNOx濃

度は、温度がほぼ均一であるにもかかわらず、燃焼室の中心軸付近で高くなっているが、

これは、壁付近と比較して中心軸付近の流速が遅く、滞在時間が相対的に長いことによる。

予蒸発・予混合燃焼のNOx濃度は、燃焼室中心軸付近は完全予混合燃焼と同様の分布を 示すが、壁付近には燃焼ガス温度が高い領域に対応して、濃度の高い領域がみられる。し かし、その領域は拡散燃焼と比較して小さく、燃焼ガス温度の均一化によりNOx生成量 が著しく減少していることがわかる。

未蒸発燃料のNOx排出量への影響をみたのが図3‑16であり、空気過剰率2における結 果を示す。拡散燃焼は燃料供給位置等が異なり、予混合燃焼の結果と同様に扱うのは問題

(a)拡散燃焼 (b)予蒸発予混合燃焼 (c)完全予混合燃焼

図3‑14 温度分布の比較

0.0 NO (wt%)0.40 (a)拡散燃焼

1800温度(K)2300

0.0 NO (wt%) 0.04

(b)予蒸発予混合燃焼 (c)完全予混合燃焼 図3‑15 NOx濃度分布の比較

があると思われるが、比較のために同図に示した。未蒸発燃料の減少に伴い、 NOx排出濃 度は指数関数的に減少する。予蒸発・予混合燃焼では、大部分の燃料は予混合燃焼するた め、 NOx排出量も完全予混合燃焼に近くなるが、前述の未蒸発の燃料噴霧が拡散燃焼する ことにより、ほぼその割合だけ拡散燃焼のNOx排出量に近づくことになる。このとき、予

蒸発・予混合燃焼のNOx排出濃度は拡散燃焼の約1/6、理想的な完全予混合燃焼と比較し

ても約1.3倍程度の低い値となっている。佐々木等は予蒸発予混合燃焼のNOx排出量が完

全予混合燃焼の約1.5倍程度であることを報告しており【82ト今回の計算結果は妥当なち

のであると考えられる。

図3‑17は、計算による予測結果を実験結果と比較したものである。空気過剰率が2より 小さいときは計算と実験は良く一致するが、 2以上では大きく異なり、実験では空気過剰 率を増加させたとき、一定値以下には下がらないような傾向を示している。燃料と空気が 完全に予混合されていると仮定とすると、予混合気温度が一定の条件では、燃焼ガス温度 は空気過剰率のみでほぼ決まり、 NOx排出量は計算結果の様な傾向を示すはずである。こ れが、一定の値から下がらないということは、実験では局所的に高温の領域が存在してい るためと考えることができる。本研究におけるNOx生成の計算においては、各計算要素に おける平均ガス温度を用いているが、実験における温度分布が局所的で、計算格子の分解 能以下の場合には、計算におけるNOx排出量は実験よりも低くなる可能性がある。 NOx

排出量の計算方法について、まだ課題が残されていることもわかった。しかし、実際のエ ンジン運転条件において、火炎が不安定となりやすい空気過剰率2以上の希薄な条件で燃 焼器を作動させることは無い。したがって、実用上は問題が無いと考えられる。

以上のように、 3.2節で示した噴霧特性に基づき開発された燃料噴射弁を用いることに よって、 NOx排出量の低い予蒸発・予混合燃焼器が実現できることが明らかになった。し かし、理想的な場合と比較すると、 NOx排出量は1.3倍であり、まだNOx排出量低減の 余地が残されている。 3.2節では、噴霧の初期条件として、噴霧角については検討しなかっ た。しかし、図3‑13に示したように,燃料噴霧は壁付近に偏って存在していることから、

これを改善することを狙って、燃料噴射弁の噴霧角の影響について検討した.表3‑2に示し た計算条件のうち、噴霧角のみ変えたときの予蒸発管断面における燃料濃度分布を図3‑18 に示す。なお、燃料濃度は図3‑13と異なり、燃料の分散度合いをみるために、噴霧と蒸発

した燃料蒸気とを合わせた空気過剰率で示してある。噴霧角が大きい場合、燃料は壁付近 に極端に偏って存在しているが、噴霧角を小さくすることによって、燃料濃度分布がより 均一に近づくことがわかる。燃料濃度分布が均一である程、燃料噴霧を取り巻くガスの中

10.0

i

=;

l⊥

l