第 6 章 解析 32
6.3 NOvA 実験と T2K 実験での実験結果を用いた解析
図6.22 vdを変化させたときのsin2θl13のχ2 図6.23 vdを変化させたときのsin2θ23l のχ2
これを見ると、rはvdの変化の影響が小さい。CKMも良いfitにはならないが、原点付近と|vd|>1.5[GeV]
が排除されることが見て取れる。その上で見てみると、u,d,e-typeの質量はRe(vd)>0に良いfitをしてい ることが分かる。一方でsin2θl12及びsin2θl13はRe(vd)>0かつIm(vd)>0ではfitがあまり良くない。ま た、sin2θl23は傾き1の線にそってfitしている。以上からvd= (0.512 + 1.01i)[GeV]付近でu,d,e-typeの質 量とsin2θl23が良いfitをしていることが分かる。
図6.24 NOvA実験の結果を用いたときのu,d,e-typeの質量とδCKMとsin2θ12l ,sin2θl23のχ2i をあわ せたχ2のrv変化。
図 6.25 NOvA 実 験 の 結 果 を 用 い た と き の u,d,e-typeの質量とδCKMとsin2θ12l ,sin2θl23
のχ2iをあわせたχ2のvu変化。
図6.26 T2K験の結果を用いたときの u,d,e-typeの質量とδCKMとsin2θ12l ,sin2θl23のχ2i をあわせたχ2のvu変化。
図 6.27 NOvA 実 験 の 結 果 を 用 い た と き の u,d,e-typeの質量とδCKMとsin2θ12l ,sin2θl23 のχ2iをあわせたχ2のvd変化。
図6.28 T2K験の結果を用いたときの u,d,e-typeの質量とδCKMとsin2θ12l ,sin2θl23のχ2i をあわせたχ2のvd変化。
第 7 章
まとめ
まず、対称性の点から標準模型を解説し現状の問題点を上げた。電弱相互作用はSU(2)L×U(1)Y で書か
れ、Higgs粒子が真空期待値を持つ頃によって電磁相互作用のU(1)QEDに破れる。また、強い相互作用は
SU(3)Cで書かれる。しかし、標準模型はLeft-Right対称性が破れており、右巻きneutrinoが存在しないの で質量が0になってしまう。また、カイラルアノマリーはquarkとleptonの両方が存在しなければならず、
かつweak hyperchrgeが少しでも異なれば相殺されない。
次に最も単純なGUTモデルであるSU(5)GUTを例にとってGUTモデルについて解説した。GUTモデ ルではquarkとleptonを同じ粒子の別の状態として考える。SU(3)C×[SU(2)L×U(1)Y]を含む最も単純 な群はSU(5)であるが、SU(5)GUTでは右巻きneutrinoを説明するためには特別な機構を加えなければな らない。また、陽子の寿命が短いので補正を加える必要がある。また第一世代のdとeの質量の関係が合わな い。一方でWeinberg角はよく合い、第二世代sとµと第三世代b,τの質量の関係は実験と合う。
次 に 今 回 用 い る 対 称 性 で あ る SO(10) を 用 い た GUT に お い て 一 般 的 に 言 え る こ と を 解 説 し た 。 SO(10)GUT の場合、右巻きneutrinoを含めたすべての fermi粒子を一つの基本表現で表せる。また、
SO(10)GUTで現実の粒子を説明するには中間状態としてSU(4)C×SU(2)L×SU(2)R対称性を経由する 必要がある。また、補正を加えずに陽子の寿命を説明するには126H でSO(10)GU T を破る必要がある。ま
た、seesawメカニズムによって右巻きneutrioに重い質量が与えられるため実験で観測されていないと考え
られる。
次に実際のNon SUSY MinimalSO(10)GUTモデルについて詳細に議論した。現実的な質量をfermions に与えることが出来るminimalなHiggsは10H と126H の二つが必要である。またGUTスケールでtと
b quarkの間の大きな分割を説明するためには2HDMを用いる必要がある。その場合2-loopでカイ二乗
検定を行うことで21個のパラメータが必要。このパラメータを変化させたときにどうなるか解析してみる と、u,d,e-typeの質量はrv =vu/vdに対して強い制限を設けるがvuに対してはほとんど変化しない。一方 でr= ∆m221/∆m231とMNS行列はrv の変化の影響は小さいがvuの微小な変化で大きく影響する。また、
CKM行列は2-loopの影響を強く受ける。またNOvA実験とT2K実験ではsin2θ23l のbest fitに違いが見 られるのでそれぞれの場合で解析してみると、vdに影響がでる。
さらに詳細にこのモデルを議論するためには、2-loopでのパラメータの解析を行い、そして具体的な実験に よって他のパラメータについても議論する必要がある。
Apendix
・SU(2)の生成子:Pauli行列σ1∼3/2 σ1=
( 0 1 1 0
) , σ2=
( 0 −i i 0
) , σ3=
( 1 0 0 −1
)
・SU(3)の生成子:Gell-Mann行列λ1∼8/2
λ1=
0 1 0 1 0 0 0 0 0
, λ2=
0 −i 0 i 0 0
0 0 0
, λ3=
1 0 0 0 −1 0
0 0 0
, λ4=
0 0 1 0 0 0 1 0 0
λ5=
0 0 −i 0 0 0 i 0 0
, λ6=
0 0 0 0 0 1 0 1 0
, λ7=
0 0 0 0 0 −i 0 i 0
, λ8= 1
√3
1 0 1
0 1 0
0 0 −2
・SU(5)の生成子:λ1∼24/2 λ1∼8=
( SU(3)のλ1∼8 0
0 0
)
, λ21∼23=
( 0 0 0 SU(2)のσ1∼3
)
λ24= 1
√15diag(−2,−2,−2,3,3)
・SU(4)の生成子:λ1∼15/2 λ1∼8=
( SU(3)のλ1∼8 0
0 0
)
, λ13,14=
( 0 0 0 SU(2)のσ1,2
)
λ9=
0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0
, λ10=
0 0 0 −i
0 0 0 0
0 0 0 0
−i 0 0 0
, λ11=
0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 0 0
, λ12=
0 0 0 0
0 0 0 −i
0 0 0 0
0 −i 0 0
λ15= 1
√6
1 0 0 0
0 1 0 0
0 0 1 0
0 0 0 −3
・SO(10)の生成子(T1,2,..,9,0)とSU(4)C×SU(2)L×SU(2)Rの生成子TC1∼15, TL,R1∼3との関係:
TL,R1 = 1
2(T23±T14), TL,R2 =1
2(T31±T24), TL,R3 = 1
2(T12±T34)
T1 =1
(T +T ), T2 =1
(T +T ), T3 =1
(T +T ),
TC4 =1
2(T96+T05), TC5 =1
2(T59+T06), TC6 =1
2(T67+T85), TC7 = 1
2(T75+T86), TC8 = 1 2√
3(2T65+T78+T09), TC9 = 1
2(T67+T58), TC10= 1
2(T75+T68), TC11= 1
2(T69+T05), TC12=1
2(T95+T06), TC13=1
2(T89+T07), TC14= 1
2(T97+T08), TC15= 1
√6(T65+T87+T90)
・混合行列VCKM, VM N Sのパラメータ:
V =
c12c13 s12c13 s13e−iδ13
−s12c23−c12s23s13eiδ13 c12c23−s12s23s13eiδ13 s23c13
s12s23−c12c23s13eiδ13 −c12s23−s12c23s13eiδ13 c23c13
謝辞
本研究にあたり、2年間にも亘って指導してくださいました安田修教授、北澤敬章助教に深く感謝いたしま す。そしてManojit Ghosh特任助教には貴重なご意見をいただき感謝いたします。また、同じ素粒子理論研 究室のメンバーである酒井裕企さん、柳田秀明さん、増川京佑さん、芝田健仁さんには大変お世話になりまし た。また、すでに卒業していらっしゃる深澤信也さん、大場雅男さん、松坂勇志さん、そして後輩の石川和也 君、鈴木啓介君には1年間という短い間でしたがお世話になりました。最後に、様々な面で支えてくれた家族 に心より感謝いたします。