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NFL ecw に対応したラムダ項の強正規性

ドキュメント内 北陸先端科学技術大学院大学 毛利元彦 (ページ 31-36)

1.4 論理積を含んだ NFL

1.4.4 NFL ecw に対応したラムダ項の強正規性

先に定義したリダクリョンの手続きは停止するだろうか。この性質を強正規性と呼ぶが、含意に制限した場合の手

法(定理1.3.30参照)はそのままでは使えない。∧とに関する場合が問題である。

例えば、今MABを考えるとする。強正規性の証明では、NABAをとり、(N◦M)Aというラムダ項を考えて、

型の構造に関する帰納法を用いようとする。なんらかの尺度で測ったときに、このNの型A⊃B⊃AA∗Bより も構造が小さくならないと帰納法の仮定を用いることは出来ない。

そこで、型の複雑さを次のCPという関数で捉えて、この複雑さに関する帰納法を用い、参考文献[8]と同様な考え 方により強正規性を示す。

定義1.4.23 (型の複雑さ(CP)) 型の複雑さ(CP:型→自然数)を以下のように型の構成に関して帰納的に定義する。

1. A:アトミックCP(A) = 1 2. CP(A⊃B) = CP(A) + CP(B) 3. CP(A∧B) = (CP(A) + CP(B))×2 4. CP(A∗B) = (CP(A) + CP(B))×2

定義1.4.24 (可約集合) ラムダ項の部分集合REDAを以下のように型の構成に関して帰納的に定義する。

1. MAREDA(A:アトミック)⇔M が強正規性(SN)を持つ 2. MABREDAB ⇔ ∀NAREDA((MN)BREDB) 3. MAB REDAB ⇔ ∀NAAREDAA,∀LBBREDBB

((NlM)AREDAかつ(NrM)BREDB)

4. MAB REDAB⇔ ∀NA⊃(BA)REDA⊃(BA),∀LA⊃(BB)REDA⊃(BB) ((N◦M)AREDAかつ(L◦M)B REDB)

定義1.4.25 (ニュートラル) MA が型付き変数かあるいはアプリケーションの形をしているとき、ニュートラルと呼

ぶ。すなわち、何らかのラムダ項を右にアプリケーションとして付け加えても、それ自身がレデックスにならないよ うなラムダ項である。

定義1.4.26 (最長のパスの長さ) MAが強正規性も持つときMAの任意のリダクションは有限の手続きで停止する。

それらのリダクションパスのうち最長のものの長さをν(MA)で表わす。

補題1.4.27 (可約集合) 任意のラムダ項MA(CR1)から(CR4)までのCR性を全て満たす。

(CR1) MA REDA⇒MA: SN

(CR2) MA REDA, MAMA⇒MAREDA

(CR3) ∀M :ニュートラル,∀MA(MAMA⇒MAREDA)⇒MAREDA (CR4) MA:ニュートラルでかつ正規形 ⇒MAREDA

((CR4)(CR3)の特殊形である)

(証明)型Aの複雑さに関する帰納法。MAが(CR1)から(CR4)までを満たすときMA(CR)と書くことにする。

1. A:がアトミックのとき。

(CR1) REDの定義から明らか。

(CR2) MAREDAをとり、MAMAとする。REDの定義からMAは強正規性を持つ。よって、明らか にMA:も強正規性を持つ。故に、MAREDAである。

(CR3) MAMAかつMAREDAなるMAをとる。REDの性質より、MAは強正規性を持つ。すると、

MAをリダクションしたMA全てが強正規性をもつから、MAも強正規性を持つ。故に、MAREDAで ある。

2. A≡B ⊃Cのとき。

(CR1) MBCREDBC とし変数xBをとる。

xB, MxC(CR) (I.H.より)

xBREDB ((CR4)より)

MxCREDC (定義より)

MxC: SN ((CR1)より)

もしMBCから始まる無限のリダクション列があるならば、MxBも無限になり矛盾する。故に、MBC は強正規性を持つ。

(CR2) MBCREDBCをとり、MBCMBCなるMBCNBREDBを取る。

NB, MNC(CR) ( I.H.より)

MNCREDC (定義より)

MNCMNC (定義より)

MNCREDC ((CR2)より)

MBCREDBC (N は任意より)

(CR3) MBCをニュートラルとしMMかつMBC REDBC とする。今NB REDBを取ると帰納 法の仮定よりN, MN∈(CR)。

MN が正規形ならば(CR4)よりMN REDCである。そうでない場合は、MNのリダクションを考え ると、

MNL≡

MN

MN (NN)

のどちらかが成り立つ。なぜならば、M はニュートラルだからである。そして、ν(N)に関する帰納法で L∈REDCを示す。

(a) ν(N) = 0のとき。MNMN である。定義より、MN∈REDC

(b) ν(N)= 0のとき。MNMNのときは、定義からMN REDC。MNMNのときは、(CR2) からNREDB。I.H.より、N (CR)。(CR1)より、N :SN。ν(N)> ν(N)であるから、I.H.よ りMNREDC

故に、LREDC。(CR3)より、MN REDC。 3. A≡B∧Cのとき。

(CR1) MBCREDBCとし、変数xBBをとる。

xBB, xMB(CR) (I.H.より)

xBBREDBB ((CR3)より)

xMBREDB (定義より)

xMB: SN ((CR1)より)

もしMBCから始まる無限のリダクション列があるならば、xMBも無限となり矛盾する。故に、MBC は強正規性を持つ。

(CR2) MBC REDBCとし、MBCMBCなるMBCNBBREDBBを取る。

NBB,(NlM)B(CR) (I.H.より)

(NlM)B REDB (定義より)

(NlM)B(N◦M)B (定義より)

(NlM)BREDB ((CR2)より)

同様に、任意のLCCREDCC に対して(LrM)CREDC。N, Lは任意より、MBCREDBC

(CR3) MBCをニュートラルとし、任意のMMなるMに対してMBC REDBCとする。NBB REDBBを取ると、I.H.より(NlM)(CR)。

(NlM)が正規性ならば(CR4)より、(NlM)REDB。そうでない場合は(NlM)から始まるリダク ションを考えると、

(NlM)L≡

(NlM)

(NlM) (NN)

のいずれかが成り立つ。なぜならM なニュートラルであるからである。そして、ν(N)に関する帰納法で L∈REDBを示す。

(a) ν(N) = 0のとき。(NlM)(NlM)。定義から(NlM)REDB

(b) ν(N)= 0のとき。(NlM)(NlM)ならば、定義より(NlM)REDB。(NlM)(NlM)な らば、(CR2)より、NREDB。I.H.より、N(CR)。(CR1)より、N: SN。よって、ν(N)> ν(N) であるから、I.H.より(NlM)REDB

よってL∈ REDB。故に(CR3)より(NlM)REDB。同様に、任意のPCC REDCCに対して、

(PrM)REDC

N, P は任意であるから、定義よりM REDBC。 4. A≡B∗Cのとき、A≡B∧Cの場合と同様。 2

以上でM ∈RED⇒M ∈SNが言えることになる。次に任意のラムダ項Mに対しM ∈REDとなることを示す。

補題1.4.28 (仮定) xA変数 xAREDA. (証明) (CR3)より明らか。

補題1.4.29 (⊃I) M REDBとする。∀NAREDA([NA/xA]MBREDB)(λx.M)AB REDAB. (証明)∀NAREDA( ((λx.M)N)B REDB)を示す。

M, N REDであるからM, N : SNである。ν(M) +ν(N)に関する帰納法で∀L((λx.M)NL⇒L∈REDB)を まず示す。

1. ν(M) +ν(N) = 0のとき。(λx.M)N[N/x]M であるから、仮定より[N/x]M REDB。 2. ν(M) +ν(N)= 0のとき。

((λx.M)N)





[N/x]M

(λx.M)N (M M) (λx.M)N (NN)

(a) (λx.M)N[N/x]M のとき。仮定より[N/x]M REDB

(b) (λx.M)N (λx.M)N (M M)のとき。(CR2)よりM REDB。M :SNでありν(M)> ν(M)。

I.H.より(λx.M)N REDB

(c) (λx.M)N(λx.M)N (NN)のとき。(λx.M)N(λx.M)Nの場合と同様。

よって∀L((λx.M)NL⇒L∈REDB)。(λx.M)N はニュートラルであるから(λx.M)N REDB。N は任意よ り、定義から(λx.M)REDAB2

補題1.4.30 (∧I) MAREDAかつNB REDB⇒ M, NAB REDAB

(証明)LAAREDAAをとり、ν(L) +ν(M) +ν(N)に関する帰納法で、∀P(LlM, NP ⇒P REDA)を まず示す。

1. ν(L) +ν(M) +ν(N) = 0のとき。LlM, NLMであるから、定義よりLM REDA。 2. ν(L) +ν(M) +ν(N)= 0のとき。

L◦lM, N











 (LM)

LlM, N (LL) L◦lM, N (M M) L◦lM, N (NN)

(a) L◦lM, N(LM)とのき。定義からLM REDA

(b) その他の場合。(CR2)より、L, M, NRED。(CR1)よりそれらはいずれも強正規性を持つ。I.H.より、

いずれの場合もP REDA

よって、∀P(LlM, NP ⇒P REDA)が示された。LlM, Nはニュートラルであるから、(CR4)より L◦lM, N ∈REDA

同様にQBB REDBをとると、∀R(Q◦rM, NR⇒R∈REDB)が言える。

故に、定義よりM, N ∈REDABである。 2

補題1.4.31 (∗I) MAREDAかつNBREDB[M, N]ABREDAB (証明)前補題と同様。

補題1.4.32 (∧El) MACREDACかつNABREDAB (M lN)CREDC

(証明)(MlN)が正規形ならば、(CR4)より、(MlN)CREDCである。そうでない場合には、ν(M) +ν(N)に 関する帰納法で∀L((M◦lN)L⇒L∈REDC)を示す。

1. ν(M) +ν(N) = 0のとき。N ≡ P, Qであり(M lN)(MP)。(λx.x)AAをとると、(λx.x) REDAA であり、定義より(λx.x)lP, Q ∈REDA。(CR2)より、(λx.x)lP, Q(λx.x)PP REDA。定義より (MP)REDC

2. ν(M) +ν(N)= 0のとき。

(MlN)





(MP) (N ≡ P, Q) (MlN) (M M) (MlN) (NN)

(a) M◦lN(MP)のとき。ν(M) +ν(N) = 0の場合と同様。

(b) (MlN)(MlN) (MM)あるいは(MlN)(MlN) (NN)のとき。I.H.より、いずれの場 合もL∈REDC

よって∀L(M◦lNL⇒L∈REDC)。(MlN)はニュートラルであるから、(CR3)より(MlN)∈REDC2

補題1.4.33 (∧Er) MBCREDBCかつNABREDAB (MrN)CREDC

(証明)前補題と同様。

補題1.4.34 (∗E) MA⊃(BC)REDA⊃(BC)かつNAB REDAB(M◦N)CREDC

(証明)N [P, Q]のときは、(λxy.x)A⊃(BA)と(λxy.y)A⊃(BB)をとることでP REDA, Q∈REDBを示すこ とができる。

そうでないときには、前補題と同様である。

補題1.4.35 (主補題) MA:ラムダ項、N1B1, ..., NnBnRED [N1B1/xB11, ..., NnBn/xBnn]MAREDA (証明)MAの構成に関する帰納法。σ= [N1B1/xB11, ..., NnBn/xBnn]とする。

1. MA≡xBii (1≤i≤n)のとき。σxBii≡NiBiREDBi

2. MA≡xA andxA=xB11, ..., xBnnのとき。σxA≡xAREDA. (補題より)

3. MA(NB, LC)A ( (,)はペアリングまはたアプリケーション)のとき。I.H.より、σN, σLRED。故に補題 あるいは定義からσM (σN, σL)REDA

4. MA (λx.N)BCのとき。LB REDBをとり、σ = (σ[NiB/xB])[LB/xB]とおく。I.H.より、σM REDA。yA∈F V(M)∪F V(N1B1)∪ · · · ∪F V(NnBn)をとると、σM [LA/yA](σ[NiA/xA])[yA/xA]Mであ る。LAは任意より、補題から(λy.(σ[NiA/xA])[yA/xA]M)≡σ(λx.M)REDBC2

定理1.4.36 (強正規性) NFLecwに対応するラムダ項は強正規性を持つ。

(証明)前補題でN1 ≡x1, ..., Nn ≡xnとおくと任意のラムダ項MAに対してMA REDA。よって(CR1)より MAは強正規性を持つ。 2

1.4.37 (強正規性) NFLecwよりも弱い体系に対応するラムダ項も強正規性を持つ。

ドキュメント内 北陸先端科学技術大学院大学 毛利元彦 (ページ 31-36)