被説明変数=Ln ( 賃金率)
( 定数)
N 調整済みR2 乗
- 3 5 ,3 7 9 ,4 9 6 3 5 ,3 7 9 ,4 9 6 3 5 ,3 7 9 ,4 9 6
0 .5 2 6 0 .5 4 6 0 .8 5 0
被説明変数=Ln ( 賃金率)
モデル① モデル② モデル③
No
事業所固定効果 をコントロール
No
モデル① モデル② モデル③
3 3 ,1 0 4 ,9 1 1 0 .5 0 1
3 3 ,1 0 4 ,9 1 1 0 .5 2 2
3 3 ,1 0 4 ,9 1 1 0 .8 4 9
- No
No
事業所固定効果
をコントロール
図 表 5 個 人 属 性 に 基づ く 賃 金 格 差 の 大 き さ( % )
[H22年 調 査 ]
[H26年 調 査 ]
5 . イ ン プ リ ケ ー シ ョン
以上 の分 析結 果に 基 づき 、若 干の イン プリ ケーシ ョン を述 べる 。第
1
は、本稿 で採 用し た 分析モ デル の有 効性 に ついて であ る。 この 分 析モデ ルで は、 モデ ル ③にお いて 大量 のダ ミ ー 変数を 投入 して いる た め、その 部分 で分 析結 果が不 安定 にな る可 能 性もあ った が 、H22
年 調 査とH26
年 調査 とで 分 析結果 は大 きく 変わ ら なかっ た。同一 の企 業・団体内 で生 じて いる 賃 金格差 と、 賃金 水準 の 高い企 業・ 団体 への 就 職(転 職) しや すさ に よって 生じ てい る賃 金 格 差を分 別す るた めの モ デルと して 、こ の分 析 モデル は有 効だ と言 え る。第
2
は 、本 稿で 使用 したデ ータ の有 効性 に ついて であ る 。本 稿で 使用し た「就 業形 態の 多 様化に 関す る総 合実 態 調査」 では 、事 業所 に おける 個々 の労 働者 へ の調査 票配 布の 際に 、 就 業形態 別に 配布 数が 規 定され て( そし て回 収 後に復 元倍 率が 掛け ら れるよ うに 設計 され て ) いるが 、そ れ以 外の 個 人属性 に関 して は、 配 布の際 に偏 りが 生じ て いる可 能性 が、 少な く と も潜在 的に はあ る。 し かし、 記述 統計 量を み た限り では 、H22
年調 査とH26
年調 査と で個 人属性 の分 布に 大き な 違いは なく 、分 析結 果 もほぼ 同じ であ った 。 このデ ータ が、 本稿 の 目 的に適 って いる こと が 確認さ れた 。28.9
26.9
9.3
16.0 15.0
13.9 29.9
27.3
10.0
13.7
11.2 12.8
29.2
25.4
10.4
6.6
5.0
12.2
0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0
正社員 男性 30歳→40歳 大卒以上 ホワイトカラー 勤続10年
モデル① モデル② モデル③
34.0
27.1
9.4
11.9 13.2 12.5
36.0
25.8
10.0 9.6 9.8 11.3
31.7
23.6
9.2
5.3 4.5
11.3
0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 40.0
正社員 男性 30歳→40歳 大卒以上 ホワイトカラー 勤続10年
モデル① モデル② モデル③
第
3
に 、実 質的 なイ ンプリ ケー ショ ンと し て、学歴 や職 業に よる 賃金格 差に つい て 、同 一 の企業 ・団 体内 で生 じ ている 部分 もあ るが 、 それよ りも 、大 卒以 上 の者や ホワ イト カラ ー 労 働者が 賃金 水準 の高 い 企業・ 団体 に就 職( 転 職)し やす いこ とに よ って生 じて いる 部分 の 方 が大き い、 とい う分 析 結果が 持つ 意味 を強 調 してお きた い。昨 今 、「 同 一 労 働 同 一 賃 金 」 の 名 の 下 に 講 じ ら れ よ う と し て い る 法 政 策 に お い て は 、 同 一 の企業・団 体に おけ る雇 用形態 間の 不合 理な 待 遇差の 是正 に焦 点が あ てられ てい る。他方 で、
本稿か らは 、(学 歴や 職 業によ る賃 金格 差を 是 正すべ きか どう かは 別 に措く とし て )学 歴や 職 業によ る賃 金格 差に つ いては 、同 一の 企業 ・ 団体内 で不 合理 な格 差 を是正 した とし ても 、 さ ほど小 さく はな らな い ことが 示唆 され る。
その上 で、 本稿 から 導 かれる のは 、低 学歴 者 、非ホ ワイ トカ ラー 労 働者が 多く 働く 事業 所 はそう でな い事 業所 と 比べて 賃金 水準 が低 い という こと であ り、 そ れゆえ 、彼 らの 賃金 を 高 めるた めに は事 業所 の 賃金水 準自 体が 高く な る必要 があ ると いう こ とであ る。その 具体 策が 、 生産性 向上 であ るの か 、事業 転換 であ るの か 、サプ ライ チェ ーン に おける 利益 配分 の変 更 で あるの かは ここ では 論 じられ ない が、 いず れ にせよ 、同 一の 企業 ・ 団体内 での 不合 理な 格 差 の是正 とい うア プロ ー チだけ では 解消 され な い賃金 格差 があ るこ と は強調 され てよ いだ ろ う。
第 4 章 そ の 他 の ト ピ ッ ク ス に 関 す る 分 析 結 果
第4 章で は、 前章 ま でで取 り上 げた テー マ 以外に 、近 年の 非正 規 雇用を めぐ る動 向の 中 で 注目さ れる トピ ック ス のいく つか を取 り上 げ 分析し た結 果を 紹介 し たい。 とは いえ 、こ こ で の分析 はい たっ てシ ン プルな もの であ り、「 多 様化調 査 」で はど のよ う なデー タと なっ てい る のかと いっ た視 点か ら 行った もの であ る。今 回 は、有 期雇 用者 の無期 転 換に関 する テー マ(第 1節) と、 パー トタ イ ム労働 者に 関し て各 種 制度の 適用 状況 (第 2 節)及 び週 労働 時間 の 増 減希望 状況 (第 3節 ) の2つ のテ ーマ 、合 計 3つの テー マを 取り 上 げてい る。
第 1 節 有 期 雇 用 者 の無 期 転 換 等 の 希 望 に つい て
平成
24
年( 西暦 では2012
年)に改 正さ れた 労働契 約法 によ り、有期 雇用者(同 法上 は「 有 期労働 契約 を締 結し て いる労 働者 」) の無 期雇 用(同 「期 間の 定め の ない労 働契 約」)へ の転 換に関 する「 5年 ルー ル 」が 規定 され た。関係 規 定は平 成25
年4
月か ら 施行さ れて いる が、当該施 行日 以降 に開 始 される 有期 労働 契約 か ら適用 され るこ とと さ れ、平 成
30
年4
月以 降 に同規 定に 基づ く無 期 転換が 実現 する こと と なり、 その 動向 が注 目 されて きて いる 。こ う し た動き も受 けて 、H26
(前 章ま でと 同様「 平 成26
年 調査 」を 指す 。)に おい て 、有 期雇 用 者 に対し て無 期雇 用へ の 転換(以 下「 無期 転換 」という 。)の希 望の 有無 を尋ね る設 問が 新設 さ れた。 その 結果 につ い ては、 第Ⅰ 部第 6章 第 1節( 6- 1) でデ ー タを概 観し たと ころ で あ る。こ こで は、 当該 デ ータを 活用 して 、有 期 雇用者 はど のよ うな 場 合に無 期転 換を 希望 す る のかに つい て、 簡単 な 分析を 行っ た。 また 、 それと 関連 して 、現 在 の会社 での 正社 員転 換 希 望も取 り上 げ、 どの よ うな場 合に 正社 員転 換 を希望 する のか に関 す る分析 も併 せて 行っ た 。1 - 1 分 析 の 方 法
分析 は、有期 雇用 者が 無期転 換や 正社 員転 換 を希望 する 場合 に「
1
」、そうで ない とき は「0
」 をとる ダミ ー変 数を 被 説明変 数と した 二項 ロ ジステ ィッ ク回 帰分 析 により 行っ た。 説明 変 数 は、女性 ダミ ー、就 業形 態ダミ ー(基 準:契 約社 員)、産 業ダ ミー( 基準:素材関 連製 造業 )、 企業規 模ダ ミー (基 準 :1,000
人以 上規 模)、 事業所 形態 ダミ ー( 基 準:工 場・ 作業 所)、職 業(種 )ダ ミー (基 準 :事務 の仕 事)、最 終学 歴ダミ ー( 基準 :中 高 卒)、 ライ フス テー ジ・ダミー (基 準: ステ ー ジ設定 類型 以外 )、 在籍 (勤続 )期 間ダ ミー ( 基準:
1
年未 満)、 満足 度スコ アで ある 。多 く は、第 3章 の賃 金関 数 でも説 明変 数と して 用 いたも ので あり 、そ れ ら につい ては 説明 を省 略 したい が、 ここ での 初 出の変 数に ライ フス テ ージ・ ダミ ーと 満足 度 ス コアと があ る。 前者 の ライフ ステ ージ は、 第 Ⅰ部第 5章 で設 定し た ライフ ステ ージ であ る 。 ここで は 、や や変 則的 な取扱 いで ある が 、設 定した「 独身・親 同居 」か ら「 末子 年齢:16
歳 以上」 まで のス テー ジ のほか 「子 ども あり ・ 末子年 齢不 詳」 もカ テ ゴリー とし て投 入し 、 こ れらの ステ ージ のい ず れにも 属さ ない ケー ス を基準 とし た。 もう 一 つの初 出の 変数 であ る 満足度ス コア は 、同 じく 第Ⅰ部 第5 章第 6節( 5-6 )で紹 介し たス コア化 した 満足 度で あ り、
「満足 」か ら「 不満 」までの
5
件法 の回 答に それぞ れプ ラス2
点か らマイ ナス2
点ま での ス コアを 与え たも ので あ る。1 - 2 無 期 転 換 希 望に 関 す る 分 析 結 果
有期 雇用 者の 無期 転 換希望 に関 する 分析 結 果は、図表 4- 1- 1の とおり であ る。推定 は、
男女計 及び 男女 それ ぞ れにつ いて 行っ た。 こ こでも っと も注 目さ れ るのは 、「 無期 転換
5
年 ルール 」と の関 連か ら 勤続年 数で ある が、 残 念なが ら有 意と なっ た ものは 少な かっ た。 勤 続1
年未 満を 基準 とし て、男女計 を対 象と した 推 定で有 意と なっ たの は「10
年 以上 」と いう 勤 続がか なり 長い 場合 で あり、 係数 はプ ラス 、 すなわ ち無 期転 換を 希 望する 傾向 が示 され て い る。男 女別 には 、男 性 につい ては 有意 性が 析 出され ず、 一方 、女 性 では男 女計 の場 合と 同 じ く「10
年以 上」が有 意 となる とと もに 、緩 や かな関 係な がら「5
~10
年未 満」で も有 意と な ってい る。 また 、推 計 された 係数 は、 勤続 が 長いほ ど大 きく なる 傾 向がみ られ 、勤 続が 長 く なるほ ど無 期転 換を 希 望する 傾向 が高 まる こ とが示 され てい る。では 、勤 続年 数以 外 に有期 雇用 者の 無期 転 換希望 の有 無に 影響 を 与える 要素 はど のよ う な ものが ある ので あろ う か。男 女計 の推 定結 果 を中心 にみ ると 、次 の ような 傾向 が窺 われ る 。
①女性 ダミ ーが プラ ス の係数 で有 意で あり 、 男性よ りも 女性 の方 が 無期転 換を 希望 する 傾 向 がある 。
②就業 形態 につ いて は 、その 他( の就 業形 態 )を除 きす べて マイ ナ スの係 数で 有意 であ り 、 基 準 と し た 契 約 社 員 で 無 期 転 換 を も っ と も 希 望 す る 傾 向 が あ る 。 係 数 の 大 き さ か ら は 、 次 い で パ ー ト 、 登 録 型 派 遣 労 働 者 の 順 で 無 期 転 換 を 希 望 す る 傾 向 が 強 い 。 な お 、 男 女 計 で は パ ー ト と 登 録 型 派 遣 労 働 者 と の 係 数 ( そ れ ぞ れ -
0.498
、 -0.550
) の 違 い は 小 さ い が 、 女 性だけ の推 定で は両 者 (同-0.546
、 -0.739
)の差 はや や大 きく な ってい る。③企業 規模 につ いて は 、概ね 規模 が大 きい 企 業ほど 無期 転換 が希 望 される 傾向 があ る。
④事業 所形 態に つい て は、研 究所 で希 望さ れ る傾向 があ り、 店舗 で は希望 され ない 傾向 が あ る。
⑤職業 (種 )に つい て は、男 女計 では 有意 と なった のは 専門 的・ 技 術的な 仕事 と管 理的 な 仕 事 の 2 つ で あ り 、 い ず れ も 事 務 の 仕 事 に 比 べ 無 期 転 換 は 希 望 さ れ な い 傾 向 が あ る 。 男 女 別 の推定 では 、そ れ以 外の 職業で も有 意と なっ て いるが 、男 女で 係数 の符 号が逆 転し てい る。
す な わ ち 、 運 搬 ・ 清 掃 ・ 包 装 等 の 仕 事 や 生 産 工 程 の 仕 事 、 サ ー ビ ス の 仕 事 に 関 し て 、 男 性 で は プ ラ ス の 係 数 で あ る の に 対 し て 、 女 性 で は マ イ ナ ス の 係 数 で い ず れ も 有 意 と な っ て い る 。 女 性 は 職 業 に 関 し て は ほ と ん ど が マ イ ナ ス の 係 数 と な っ て お り 、 事 務 の 仕 事 へ の 選 好 の強さ が窺 われ る 111。
111 こ の よ う に 、男 女 間 で 関 係 の 方 向 が 逆 で あ る 場 合 に は 、男 女 計 で 女 性 ダ ミ ー を 投 入 し た と し て も 、関 係 が 析 出 さ れ な い こ と が あ る 。 回 帰 分 析 の 一 つ の 限 界 を 示 す 留 意 点 で あ る 。