FSSC 22000 : C2015-00210-T
3) Kokubo T et al., 薬理と治療 2012 40;3:205-212
19.研究内のバイアス・リスク
(項目19)
(1) バイアスリスクの評価 (別紙様式(V)-11
参照)文献
1、2、3
はいずれも「バイアスリスク低(0)」であった。いずれも研究の質は高かったため、バイアスリスクは問題なしと考えられた。
(2) 非直接性の評価 (別紙様式(V)-11
参照)文献
1
は、いずれの項目も問題はなく、文献2、 3
は被験者がフラッシャーで あることから対象について「軽度な問題あり(-1)」と評価した。したがって、それぞれの試験の
PICO
に対する非直接性の総合的な評価(まとめ)は、文献1
は問題なし(0)、文献2、3
は軽度な問題あり(-1)と評価した。(3) 不精確の評価 (別紙様式(V)-13
参照)対象となった例数は、文献
1
が26
例、文献2
が11
例、文献3
が11
例で、合 計は48
例であった。以上より、「実績のある数値または経験的な閾値(-1)」と 評価した。(4) 非一貫性の評価 (別紙様式(V)-13
参照)すべての論文でオルニチン摂取群に有意な睡眠の質の改善効果が確認された。
しかし、効果が得られた項目にバラツキがあることから、「肯定的な効果の論 文数が否定的な論文数を上回っている。(-1)」が妥当と判断した。
20.個別の研究の結果
(項目20)
文献
1
の継続摂取の評価では、OSA
睡眠調査票MA
版の「入眠と睡眠維持」の4
週目(平均差4.9 points、p=0.027)、
「睡眠時間」の5
週(平均差3.9 points、
p=0.025)、 6
週(平均差4.3 points、 p=0.042)、 7
週目(平均差6.2 points、 p=0.011)、
AIS
の4
週目(平均差-1.7 points、p=0.035)でオルニチン摂取群に有意な睡眠の 質の向上効果が確認された。文献
2
の単回摂取の評価では、OSA
睡眠調査票MA
版の「睡眠時間」(平均差 6.0 points、p=0.034)、VAS
の「目覚め気分」(平均差-13.9 mm、0.045)、「起床時の 疲れ」(平均差-14.1 mm、 p=0.012)、
「起床時のだるさ」(平均差-12.5 mm、 p=0.033)
でオルニチン摂取群に有意な睡眠の質の向上効果が確認された。文献
3
の単回摂取の評価については、設定された飲酒量で非フラッシャーに睡 眠の質などで悪影響を与えることは不十分であるとの考察から判断し、フラッシ ャーに限定した解析を本レビューの評価対象とした。OSA
睡眠調査票MA
版の「入 眠と睡眠維持」(平均差7.8 points、p=0.03)、VAS
の「起床時の疲れ」(平均差-14.1 mm、p=0.01)と「満足な睡眠」(平均差-21.1 mm、p=0.01)でオルニチン摂
取群に有意な睡眠の質の向上効果が確認された。以上の採用した文献より抽出した結果を総合的に判断し、オルニチンの睡眠の 質の向上効果は、効果に中程度の確信がある(-1)と判断した。
21.結果の統合
(項目21)
メタアナリシスを実施していないため対応していない。
全体のバイアス・リスクは問題なし(0)、非直接性は軽度な問題あり(-1)、不 精確は実績のある数値または経験的な閾値(-1)、非一貫性は肯定的な効果の論文 数が否定的な論文数を上回っている(-1)であった。
出版バイアスを回避するために、①UMIN-CTR、②JAPIC-CTI、③JMACCT-CTR、④
ICTRP、⑤ClinicalTrials.gov、⑥The ISRCTN registry
にヒト試験の登録がある か検索した。その結果、①、④、⑤、⑥のデータベースにそれぞれ5
件、42件、76
件、2件のヒト試験の登録されていることが分かった。他方、②と③のデータ ベースには、登録はなかった。登録されていたいずれの試験も、本研究レビュー のPICO
に合致した試験は確認されなかったため、出版バイアスは低いと考えら れた。しかし、これらヒト試験の事前登録データベースの活用が十分に進んでい るとはいえないため、出版バイアスが存在する可能性がある(-1)と判断した。なお、その他のバイアスとして、抽出された文献が全て同一グループから報告 されていることが挙げられた。
23.追加的解析
(項目23)
メタアナリシスを実施していないため対応していない。
考察
24.エビデンスの要約
(項目24)
(1) 有効性について
オルニチン摂取によって、睡眠の質の向上効果が認められた。本レビューで 認められた効果は主観的評価によって得られた結果であり、客観的な効果につ いて更なる研究が必要と考えた。
(2) 機能性関与成分の定量的・定性的同等性について
オルニチンアスパラギン酸塩を
800 mg
含有する当該製品は、機能性関与成分 のオルニチンが400 mg
含まれる。本研究レビューで採用したいずれの文献も オルニチン400 mg
の効果を示したものなので、定量的かつ定性的に同一であ ると考えられる。なお、オルニチンアスパラギン酸塩については、アスパラギ ン酸の睡眠への影響を考慮する必要があるが、オルニチン塩酸塩で同じ効果が 発揮されていること、また、アスパラギン酸が睡眠に影響を及ぼすことは報告 されていないことから、アスパラギン酸による睡眠の質への影響は少ないと考 えられる。(3) 研究の外挿性(研究対象とは異なる特性を持つ集団に対しても結果が当ては
まるかどうか)について採用文献は全て日本で実施されたヒト試験の報告であったため、人種に関す る外挿性に関しては、問題ないと考えた。一方で、それぞれの文献の対象者は、
疲労気味であったり、飲酒負荷を受けたりなど、睡眠の質が悪化しやすい集団 であったが、健常者が日常生活で通常経験する範囲内のものであり、オルニチ ンの睡眠の質の向上効果に大きな影響を与えるとは考えにくく、健常者全般を 対象にできると考える。
(4) エビデンス総体(研究の妥当性・信頼性)について
本研究レビューのアウトカムである睡眠の質向上効果について、全体のバイ アス・リスクは問題ないと評価したが、非直接性、不精確、非一貫性、出版バ イアス、評価指標のまとめに、それぞれ軽度な問題があると評価した。
各アウトカムのエビデンスの強さとエビデンス総体の総括に関しては、上記 項目を以下の
6
段階の評価基準を用いて総合的に評価した(アウトカムが1つ の場合、両評価は同一となる)。その結果、エビデンス総体の総括は、機能性について示唆的な根拠がある(C) と評価した。
A:機能性について明確で充分な根拠がある B:機能性について肯定的な根拠がある C:機能性について示唆的な根拠がある
D:機能性について示唆的な根拠が少数ながら存在するが不十分 E:ヒトでの効果確認例がなく、根拠レベルの評価不能
F:機能性について否定的な根拠がある。あるいは、根拠情報とみなせるも
のがほとんどない(5) 有害事象について
採用文献には、機能性関与成分の有害性や医薬品との相互作用の有無など、
健康被害に通じる特筆すべき報告はなかったため、有害事象が起こる可能性は 低いと考えられた。
(6) 研究レビューの結果と表示しようとする機能性の関連性について
本研究レビューにより、オルニチン摂取により睡眠の質の向上効果が確認さ れた。OSA睡眠調査票
MA
版の「入眠と睡眠維持」「睡眠時間」とVAS
の「起床 時の疲れ」について、3報中2
報で効果が見られており、オルニチンに特徴的 であると考えられた。厚生労働省の「e-ヘルスネット」の休養・こころの健康に関する「快眠と生 活習慣」の項目では、睡眠の質を構成する要素である「寝付き」や「深い睡眠」
を説明することにより、快眠の重要性が述べられている。オルニチンの効果の 特徴は「入眠と睡眠維持」と「睡眠時間」が改善する点にあり、「寝付き」や
「深い睡眠」と強く関連しているといえる。したがって、これらの特徴を考慮 して、本研究レビューにより表示しようとする機能性は、「本品にはオルニチ ンが含まれます。オルニチンは、快眠(良い寝つき・深く長く眠れた感覚)をサ ポートすることが報告されています。」とした。
25.限界
(項目25)
(1)研究レベルとアウトカムレベルでの限界の記述(項目 25a)
本研究には、下記の通り、いくつかの限界と問題点があると考える。
① 採用した文献が同じ研究グループから報告されている点
② 対象となった
1
次研究の中にクロスオーバー試験が含まれており、順序効 果の存在については否定できない点③ 文献
1
で、被験者がやや疲れ気味のオフィスワーカー(30歳から60
歳でる点
⑤ いずれの文献も、用いられている評価指標は主観的な指標に限られている 点
(2)レビューレベルでの限界の記述(項目 25b)
医中誌
web、Pub Med
を中心に4
つのデータベースを用いた網羅的検索と、出版バイアス・リスク低減のための
UMIN-CTR
を代表とした6
つのヒト試験登録 データベースの検索を実施したが、下記の通りいくつかの限界があると考える。① 英語と日本語以外で記載されていて有効性のエビデンスとなる文献が検 索から漏れている可能性がある点
② 上記データベース以外のデータベースに掲載されている文献やヒト試験、
ハンドサーチでしか収集できない文献などが漏れている可能性がある点
③ 食品素材の機能性について、UMIN-CTRをはじめとしたヒト試験登録デー タベースの活用が十分には進んでいない点
④ メタアナリシスを実施できなかった点
26.結論
(項目26)
本研究レビューにより、健常者においてオルニチン摂取による睡眠の質向上効 果が確認された。効果が得られた項目にバラツキが見られるなか、OSA睡眠調査 票
MA
版の「入眠と睡眠維持」「睡眠時間」とVAS
の「起床時の疲れ」について、3
報中2
報で効果が見られており、オルニチンに特徴的であると考えられた。本効果は、主観的指標によって得られた結果をもとにして評価されたものであ るため、客観的指標を用いたさらなる研究が今後求められる。
27.資金源
(項目27)
(1) 研究レビューの資金源とその他の支援(項目 27a)
本研究レビューは、キリン株式会社及び協和発酵バイオ株式会社によって実 施され、資金源は両社であった。
(2)
研究レビューにおける資金提供者の役割(項目27b)
本研究レビューにおいて、研究者(両社社員)の役割は下記の通りであった。
レビューワーA(生物学系博士、協和発酵バイオ株式会社 ヘルスケア商品開 発センター):文献検索のキーワード選定、検索の実施
レビューワーB(生物学系博士、協和発酵バイオ株式会社 ヘルスケア商品開 発センター):文献検索のキーワード選定、検索の実施
レビューワーC(生物学系博士、協和発酵バイオ株式会社 ヘルスケア商品開 発センター):文献検索のキーワード選定、検索の実施
レビューワーD(工学系学士、協和発酵バイオ株式会社 ヘルスケア商品開発 センター):文献検索のキーワード選定、検索の実施
レビューワーE(生物学系博士、キリン株式会社