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Uptake (nmol/mg protein)

0.00 0.05 0.10 0.15 0.20

0.25 * *

HSVTK + si-ENBT1 HSVTK + si-control

pCI-neo + si-control pCI-neo + si-ENBT1

A

Cell viability (% of control)

0 20 40 60 80 100 120

140 *

*

HSVTK + si-ENBT1 HSVTK + si-control pCI-neo + si-control

pCI-neo + si-ENBT1

B

sicontrol siENBT1sicontrolsiENBT1

ENBT1

HSV-TK

-actin

C Fig. 20. Effect of silencing of ENBT1 on GCV

uptake and GCV-induced cytotoxicity in HeLa cells transiently expressing HSV-TK

(A) Mean ± SE (n = 4); uptake of [3H]ganciclovir (30 μM) for 5 min at 37°C and pH 7.4; *, p < 0.05.

(B) Mean ± SE (n = 4); cells were cultured for 72 h in the presence or absence (control) of ganciclovir (30 μM) and the numbers of cells were determined by MTT assay; *, p

< 0.05.

(C) The protein levels of endogenous ENBT1 and β-actin, and exogenous HSV-TK/FLAG in HeLa cells were analyzed by western blotting.

HSV-TK/FLAG was used in this set of experiments to assess its expression by probing for FLAG in Western blot analysis. Western blots shows the representative results in at least two independent experiments.

26

第3章 ENBT1特異的阻害薬としてのdecynium-22の特性

1 ENBT1によるadenine輸送に対するdecynium-22の阻害特性:ENT1及びENT2によ るadenine輸送との比較

各種の組織由来細胞等での核酸塩基関連医薬品等の取り込みにおける ENBT1の寄与に 関する情報は、その種の医薬品等の体内動態特性を的確に把握し、開発及び使用を効率的 ないし効果的に行う上で有用である。また、一般に、薬物等の細胞膜輸送における各種ト ランスポーターの寄与を探る目的で、特異的阻害剤による阻害率を指標とする手法が汎用 されている。そこで、ENBT1に関して、特異的阻害剤の検索及びその阻害特性の把握する ことにした。

核酸塩基関連医薬品等の細胞膜輸送におけるENBT1の寄与の評価に際しては、一部の核 酸塩基等に対する輸送活性が知られている ENT1及び ENT2の寄与との識別が特に重要と なると考えられる。第一章では、各種薬物等を用いた一連の ENBT1阻害試験に行い、

ENT1/2の特異的阻害剤として知られるdipyridamol(200 M)24,25)が阻害活性を示さず、

またENT1の特異的阻害剤として知られるNBMPR(200 M)24,25)の阻害活性もかなり弱 い一方で、核酸塩基輸送の阻害剤として知られる decynium-22(10 M)が強い阻害活性 を示すことが見出された。そこで、decynium-22のENBT1特異的阻害薬として有用である かを解析した。

decynium-22の各種核酸トランスポーターに対する阻害効果の解析に先立ち、adenineを モデル核酸塩基基質として、ENBT1及びENT1、ENT2一過性発現HEK293細胞における 輸送解析を行った(Fig. 22)。ヒトENBT1(hENBT1)発現細胞でのadenine取り込みは、

1分まで取り込み時間にほぼ比例して増大した。そこで、hENBT1による取り込み初速度の 評価のための取り込み時間を1分と設定し、以後の実験を行った。ヒトENT2(hENT2)に ついても、同様に、取り込み時間を1分と設定した。また、マウスENBT1(mENBT1)及

びマウス ENT2(mENT2)に関しても、同様に取り込み時間を1分と設定した。ヒト及び

マウス ENT1については、HEK293細胞での一過性発現における取り込み時間1分での adenine取り込みに関して有意な増大が認められず、adenine輸送能を持たないことが示唆 された。

続いて、ヒト及びマウスのENBT1及びENT2によるadenine輸送の濃度依存性に関する 検討を行った(Table 2)。いずれのトランスポーターに関しても5 nMから100 nMの範囲で 取り込み速度/濃度比は一定となり、Km よりも低濃度で、取り込み速度が濃度に比例する 速度論的線形領域にあることが確認された。これに基づき、5 nMのadenine濃度設定で、

以後の阻害試験を行うことにした。

29

Uptake rate (% of control)

0 20 40 60 80 100 120 140

Control Decynium-22 10 M Decynium-22 100 M Dipyridamol 10 M *

Fig. 24. Effects of decynium-22 and dipyridamole on uridine uptake by hENT1 transiently expressed in HEK293 cells transiently expressing hENT1

The specific uptake rate of [3H]uridine (5 nM) was evaluated for 1 min at 37°C and pH 7.4 in the presence of decynium-22 (10 µM or 100 µM), dipyridamole (10 µM), or in their absence. The control value was 0.194 pmol/min/mg protein. Data are presented as means ± SE (n = 4). *, p < 0.05 compared with control.

31

Uptake rate (% of control)

0 20 40 60 80 100 120

NBMPR Dipyridamole Decynium-22 Comtrol

*

Fig. 26. Effect of decynium-22, dipyridamol and NBMPR on the carrier-mediated component of adenine uptake in HepG2 cells

The uptake rate of [3H]adenine (5 nM) was evaluated for 1 min at 37°C and pH 7.4 in the presence of decynium-22 (10 µM), dipyridamol (10 µM) or NBMPR (100 nM), or in their absence and the nonsaturable component of the uptake rate was subtracted from that. The control value was 0.177 pmol/min/mg protein.

Data are presented as means ± SE (n = 4). *, p < 0.05 compared with control.

32 3 まとめ

hENBT1及びhENT2によるadenine輸送に対するdecynium-22のIC50は、それぞれ2.90

M 及び111 M と算出され、大きく異なった。さらに、mENBT1及び mENT2に対する decynium-22のIC50は、それぞれ2.30 M及び134 Mと得られ、ヒトの場合と同程度の阻 害活性及び差異を示した。一方で、adenineに対する輸送活性の認められなかったhENT1 においては、そのuridine輸送に対するdecynium-22のIC50は100 Mを大きく上回ること が明らかになった。これより、核酸塩基輸送において、10 Mのdecynium-22はENBT1 の選択的かつ強力な阻害薬として働き、ENBT1の寄与の把握に役立つものと考えられる。

また、ENBT1の発現が認められるHepG2細胞における adenine輸送では、担体輸送の関 与が大きく、10 M の decynium-22によりその担体輸送はほぼ完全に阻害された一方で、

ENT1/2を完全に阻害する10 M のdipyridamoleは阻害効果を示さなかったことから、そ の担体輸送のほとんどがhENBT1の寄与によるものであることが示唆された。

decynium-22の薬理作用としては、dopamineやserotoninなどのモノアミンの再取り込 みに対する阻害作用及び抗うつ様作用を示すことが報告されている46,47)。現在抗うつ薬とし て用いられている三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬及び選択的セロトニン再取り込み阻害 薬は、モノアミンの再取り込みを阻害することで抗うつ作用を示す。decynium-22とこれら の抗うつ薬との間には複数の環構造からなる化学構造を有するという共通点が存在するこ とからも、decynium-22は抗うつ作用を持つ可能性は高い。さらに、三環系抗うつ薬である amitriptylineや四環系抗うつ薬であるmianserin、選択的セロトニン再取り込み阻害薬で

あるparoxetine等は、鎮痛作用を有するため、慢性疼痛に対して適応されている。近年、

paroxetine は、慢性疼痛の一種である神経障害性疼痛抑制作用を有することが報告されて

おり、paroxetine による神経障害性疼痛抑制作用はセロトニン神経非存在下においても認 められることから、モノアミンの再取り込みの阻害とは異なる作用機序で生じている可能 性が高い48)。従って、ENBT1を標的とした阻害薬は、うつ病及び疼痛をはじめとする炎症 性疾患に対する新たな治療薬となる可能性が考えられる。

33

結論

本研究では、ENBT1を核酸塩基トランスポーターとして同定し、その輸送機能解析と合 わせて、核酸塩基利用における細胞内核酸塩基代謝酵素との協働的機能の解析、協働的機 能の医療面での応用利用等に取り組み、以下の成果を挙げることができた。

1. ENBT1を新たに核酸塩基トランスポーターとして同定し、プリン核酸塩基を特異的に 認識し、促進拡散型の輸送様式で機能することを明らかにした。さらに、細胞内の核酸 塩基代謝酵素と機能的協働関係にあり、代謝産物の生成・蓄積と連動して、細胞内核酸 塩基濃度が低く維持されることで、細胞外との濃度勾配に依存した促進拡散型の

ENBT1介在核酸塩基輸送が効率的に進行することが示唆された。また、ENBT1の生理

的な役割としては、de novo経路が活発に働く肝臓(実質細胞)から血中への核酸塩基 の排出輸送経路(供給経路)としての可能性が注目される。一方で、核酸塩基の供給を 受ける側の諸臓器では、ENBT1が核酸塩基の取り込み輸送経路として働き、細胞内の 核酸代謝酵素と連携して構成されるsalvage経路の最初の段階の役割を担っているもの と考えられる。

2. プリン核酸塩基類似の化学構造を持つGCVの取り込みにENBT1が関与する可能性があ ることに着目し、ENBT1と代謝酵素の機能的協働の応用利用の観点から、ENBT1による GCV 輸送及び HSV-TK/GCV自殺遺伝子治療における ENBT1の役割を探ることにも取 り組んだ。これにより、ENBT1が高いGCV輸送能を持つことが明らかとなり、GCVの 代謝活性化及び殺細胞効果の惹起につながるGCVの供給経路としてのENBT1の重要性 が示唆された。従って、ENBT1を高発現するがん種・細胞にHSV-TK/GCV 自殺遺伝子 治療を適応することで、よりがん選択的な細胞傷害性を有し、副作用の小さいがん治療 法となることが期待される。

3. 核 酸 塩 基 関 連 医 薬 品 等 の 細 胞 膜 輸 送 に お け る ENBT1の 特 異 的 阻 害 薬 と し て 、 decynium-22を発見した。この知見は、核酸塩基関連医薬品等の細胞内取り込みにおけ

るENBT1の寄与を評価するために有用であると考えられる。

本研究の成果は、先天性の HPRT1の先天的欠損による遺伝子疾患であるレッシュ・ナイハン 症候群等の核酸代謝の異常を端とするような病態の解析や、ウイルス感染症やがん・免疫系 疾患の治療の用いられる核酸塩基類似医薬品等の開発及び使用の最適化のための基礎情報と して有用と考えられる。

34

実験の部

1 実験材料

1 試薬

[3H]adenine(25.0 Ci/mmol)、[3H]hypoxanthine (27.0 Ci/mmol) 、[3H]uracil(42.8 Ci/mmol)、 [3H]uridine(30 Ci/mmol)、[3H]xanthine(12.8 Ci/mmol)、[3H]adenosine (39.2 Ci/mmol)、[3H]acyclovir (15.3 Ci/mmol)、[3H]ganciclovir (6.9 Ci/mmol)は、Moravek Biochemicals(Brea, CA, USA)製のものを購入して用いた。[14C]guanine hydrochloride (55 mCi/mmol) はAmerican Radiolabeled Chemicals (St. Louis, MO, USA) 製のものを 購入して用いた。[14C]ascorbate (8.5 mCi/mmol) はPerkinElmer Life Sciences (Boston, MA, USA) 製のものを購入して用いた。シンチレーションカクテルは、Nacalai Tesque (Kyoto, Japan) 製の Clear-sol I を用いた。また、遺伝子操作用キットとして、TRI REAGENT® BD (Sigma-Aldrich, St. Louis, MO, USA)、QIAEX® Ⅱ Gel Extraction Kit (QIAGEN, Valensia, CA, USA)、PureLink HiPure Plasmid Midiprep Kit (Invitrogen, Carsbad, CA, USA)を使用した。DNA polymeraseとしては、Toyobo (Osaka, Japan)製の KOD-FXもしくはKOD-Plus Neoを、ベクターはPromega (San Luis Obispo, CA, USA) 製のpCI-neo、pCI-neo-N-FLAG、Clontech (Palo Alto, CA, USA)製のpEGFP-C1、Takara Bio(Ohtsu, Japan)製のpIRESpuro3 vectorを用いた。なお、pCI-neo-N-FLAG vectorに 関しては、pCI-neo vector を NheI と XhoI の制限酵素で処理し、DYKDDDDK (5’- GACTACAAGGACGACGATGACAAG -3’)の配列を組み込むことにより作製した。制限酵 素はすべて Toyobo 製のものを用い、配列の組み込みには T4 DNA Ligase (Fermentas, Ontario, Canada)及びLigation-Convenience Kit (Nippon gene, Tokyo, Japan)を用いた。

また、ヒトのcDNAライブラリを作製するにあたり、ヒト組織の total RNA はClontech から購入し、逆転写酵素はReverTra Ace (Toyobo)を用いた。その他の試薬は全て特級品を 使用した。免疫染色には、Human Normal Adult Liver Frozen Tissue Section (BioChain Institute, Newark, CA, USA)を購入して用いた。その他の試薬は、全て特級品を使用した。

2 培養細胞

HEK293、MDCKII、A9、HeLa、HepG2、Caki-1、A549、HCT-15、MCF-7の各細胞 は、すべて東北大学加齢医学研究所医用細胞資源センター(Sendai, Japan)より提供を受け た。

35 2 実験方法

1 各種遺伝子のクローニング

1-1 human equilibrative nucleobase transporter 1 (hENBT1)

hENBT1 (GenBank accession no, NM_017611.2)のクローニングには、human lung total RNA を用いた。ReverTra Ace を用いて total RNA から逆転写を行うことにより cDNAを得た。このcDNAを鋳型とし、hENBT1のcDNAを得るためにPCR (LittleGene TC-25/H, BioFlux)を行った。DNA polymeraseとしてはKOD-Plus DNA polymeraseを用 い、プライマーとしては以下のものを使用した。

forward primer: 5’-ATTTTCCAAGTGCTCAAACGC-3’

reverse primer: 5’-CTGCCAAGGCTAAGTGCAAGG-3’

これによってできたPCR産物を鋳型として、制限酵素サイトをデザインしたプライマー を用い、再びPCRを行った。プライマーとしては以下のものを使用した。

forward primer, +EcoRI site (下線) : 5’-AGGAATTCTGCTCATGGCGGGCCA-3’

reverse primer, +XbaI site (下線): 5’-GCTCTAGAACTATGCAATTGCAGA-3’

得られたPCR産物を、制限酵素EcoRIとXbaIで処理し、その後、電気泳動しQIAEX®II Gel

Extraction Kitを用いて精製、抽出した。哺乳類発現ベクターであるpCI-neo vectorも同様の

制限酵素処理を行った後、精製した。これらをT4 DNA Ligaseを用いてライゲーションし、

ヒ ー ト シ ョ ッ ク (42C、1分) に よ っ て 大 腸 菌 (DH5) に 導 入 し た 。 そ の 大 腸 菌 を ampicillin 添加したLB プレートに播き、37C で一晩 (約12時間) 培養した後、プレート 上のコロニーを採取した。そこからプラスミドDNAを抽出し、制限酵素処理後、電気泳動 を行うことによりインサート部分を確認した。予想された長さのインサート部分が確認さ れたコロニーから得られたプラスミドは、シークエンスを確認し、インサート部分の塩基 配列に変異がないことを確認した (ABI PRISM® 3100-Avant Genetic Analyzer)。なお、大 腸菌 (DH5) のコンピテントセルは、Inoueらの方法49)に準じて作製したものを用いた。

また、Green fluorescent protein (GFP) 遺伝子を組み込んだpEGFP-C1 vectorも同様 の制限酵素処理を行い、hENBT1のcDNAを導入し、GFP-hENBT1プラスミドを作製した。

1-2 human adenine phosphoribosyltransferase (hAPRT)

hAPRT の遺伝子導入用プラスミドの作製にあたっては、human liver total RNA から ReverTra Aceを用いて逆転写することによってcDNAを得た。このcDNAを鋳型とし、

hAPRT (GenBank accession no.,NM_000485.2)のcDNAを得るためにPCRを行った。

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